ここは紅魔館の中、血を連想させるような真っ赤な大ホール内である。今、この場にいるのは「悪魔の妹」フランドール・スカーレット、「完全で瀟洒なメイド」十六夜咲夜、「知識と日陰の少女」パチュリー・ノーレッジ、「華人小娘」紅美鈴。そして・・・化け物と化し最愛の家族達を傷つける「永遠に幼き紅い月」レミリア・スカーレットとそれを操る楓季。1人・・・また1人と倒されていく妖精メイド・・・ある者は羽を千切られ、またある者は首をかき切られ、そして遂に妖精メイドはいなくなり、咲夜達のみとなった。
(どうすれば・・・どうすればこの状況を打開できる・・・? お嬢様を傷つけることなんて私にはできない・・・かと言って妹様達を敵の手中に納めさせる訳にもいかない・・・一体どうすれば・・・。)
咲夜は妖精メイドが稼いだ僅かな時間、このことしか考えることは出来なかった。最後の1人が死んだ時、全員目を瞑り、自分の最後を待った。レミリアの咆哮が近づいてくる。彼女達の身体にレミリアの攻撃が当たる直前、こんな声が聞こえた。
「貴女達! これで終わっていいと思ってるの!? 行きなさい! 上海! 蓬莱!」
「彼奴等の手助けをすればいいんだな・・・ 狼符「狼我狼愚」」
爆発音と化け物の咆哮が聞こえ、血腥い匂いがする。目を開けると、そこにいたのは「七色の人形遣い」アリス・マーガトロイド、そして、どこの誰かも分からない男だった。長く、鈍い茶色に輝く髪は後ろで一つに縛られ、薄い藍色の着物を着ている。灰色の瞳からくる圧力の様な物は後ろにいる咲夜達にも伝わった。男は冷めた眼で目の前にいる敵を・・・楓季とレミリアを見ていた
「アリス・・・その男は・・・誰・・・?」
そう聞いたのはパチュリー。その男を物珍しそうに見ている。それは他の紅魔組もだった。
「それは後だ。今は目の前の敵を倒すぞ! お前らのその怪我じゃあまり動けねぇだろ。ここは俺とアリスがやる。アリス行けるか?」
「えぇ、いつでも行けるわ。それにしても、あの楓季・・・だったかしら? 待ってくれるなんて優しいのね。」
アリスと男の視線が楓季へ向く。楓季は下を向き体は小刻みに震えている。
「・・・ぜ・・・る?」
そう言う楓季の声も体と同様に震えていた。
「あ? 何言ってるか分かんねぇよ。もっと大声で言いやがれ。」
「何故・・・お前がここにいる・・・。答えろ・・・答えろよ・・・なぁ・・・どうなんだ!狼鬼!」
狼鬼と呼ばれた男はにやりと笑い、
「何でも糞もねぇよ。お前等が此処で影霊人形(ダ-クド-ル)を使ってここをぶっ壊すって馬鹿な事考えてるのは既に分かっている。そうなっちまったらいろいろと面倒だ。俺はお前等を神々の庭(ヘブンリーヤード)へ帰還させる、もしくは抹殺するっつうまた面倒な命令を出されたんでな・・・面倒臭いけど行かなきゃ首にされるんでな、仕方なく来たって訳だ。」
狼鬼は頭を掻きながらそう言った。
「まぁ、取り敢えずそういう事よ。貴方はこれを聞いて素直に降参してくれたら嬉しいんだけど・・・様子からしてするようなタマじゃないわね。」
アリスの眼からは既に殺る気が満ちている事が分かる。
「ちっ・・・仕方ねぇか・・・殺ってやるよ!お前もそこの金髪人形遣いも!全員殺ってやらァ!」
そう言って楓季と化け物はアリスと狼鬼に向かって来る・・・!
〜幻想狩り執行者について〜
楓季
元精霊(堕落し精霊という位を失った。現在は自称人間)
執行者の中では1番の知識人(らしい)
この世にある全ての書物を読み、その内容を覚えている
次は未定です。あと今回出てきた狼鬼は「ろうき」と呼びます。「ろき」ではないですからね?
それではまた次回に会いましょう