~アルヌスの丘 陸上自衛隊 駐屯地~
「堅苦しい話終わった~」
龍人と白き龍は話が終わると助けたコダ村の者達の元へ向かった。そこで、伊丹達が何やら話し合っていた。
「何か在ったか?」
「「うひゃぁぁぁ!?」」
いきなり話しかけられた事で伊丹の部下達が驚いた。
「……ちょっと傷付いた」
「ぁ~すまない……部下が」
「いや……まぁ、いきなり話しかけた俺も悪いし。そういや……そっちの人達には自己紹介してなかったな。俺は狩矢 龍人、見た目はガキだけど見た目以上に生きてる。まぁ宜しくね、でこっちが」
「私はアマツマガツチと申します。知っておられると思いますが、龍です。主に風、水、天候を操ります。もし、我が王を侮辱するのであれば、相手が神だろうと王だろうと………存在ごと消します」
ニッコリと笑みを浮かべるアマツマガツチ。それを見た、伊丹とその部下達は顔を真っ青にさせた。
それから龍人は伊丹の部下……桑原、黒川、栗林、倉田達と自己紹介をすると何を話していたのかと聞いた。
どうやら、保護したコダ村の者達について話し合っていたらしい。一応、彼等は保護と言う名目で此処に居るがいずれは自活しないといけない。
「伊丹、少し話がしたい」
声のした方向を見ると、そこには水色髪の少女とエルフの少女、ロゥリィが立っていた。
「誰だ?」
「私はレレイ・ラ・レレーナ、ルルドの一族。賢者カトーの弟子」
「私はコアンの森、ホドリューが娘、テュカ・ルナ・マルソー」
「レレイとテュカ……俺は龍人だ」
「貴方に尋ねたい」
レレイが龍人に聞きたい事があるらしい。
「そちらの女性……龍だった。でもあんな龍は見た事も聞いた事もない、古代龍でもない。気になる」
「アマツマガツチって言ってたな」
伊丹が先程、聞いた名を呟いた。
「天龍のアマツマガツチ様?!」
アマツマガツチの名を聞いた瞬間、テュカが驚いた様に声を上げる。
「聞いた事ない」
「エルフの神話に出てくる天の神様よ。アマツマガツチ様は、エルフと精霊達の懸け橋となって下さり、精霊魔法を授けて下さったと言われているわ」
「へ~……そうだったんだ、アマツがねぇ」
龍人はアマツマガツチの方を見る。
「たっ唯………この世界で戸惑っていたエルフ達を憐れに思って少し手を貸しただけです」
「お前らしいと言えばお前らしいが……」
「やっぱり」
テュカはアマツマガツチの前に跪き、祈り始めた。
「じゃあ………貴女は神様?」
「神話に出てるならそうなるな………まぁこの世界では神なんて珍しくも何ともないけど。取り敢えz「お兄さま~!」ぐぼぉ?!」
龍人が何かを言おうとした時に、声と共に彼に何かが飛び込んできた。飛んできた何かは彼の鳩尾に直撃し、そのまま倒れた。
「なっなんだ!?」
「うごごっ……」
苦しそうに起き上がる龍人は自分の腹の上を見る。そこには紫髪の幼女が居た。
「ナズチか……そういや、監視する様に言ったんだったか」
「お兄さま……の匂い……久しぶり……くんくん……はぁ」
幼女に抱き付かれて、押し倒され、匂いを嗅がれて………端から見ると如何わしい、此処が日本なら確実に警察を呼ばれるだろう。
「毎度言ってるけど全力で飛び込んでくるな、鎧を着けてるなら未だしも生身でされると俺も痛い」
「ごめんなさい」
「まぁ次から気を付けなさい………それで何で此処に?」
「監視と見回り……お兄様の姿見えたから……我慢できなかった」
「そうか」
龍人はそう言いながら、幼女を抱えて立ち上がり、彼女の頭を撫でる。
「ねぇ……龍人……その子はだぁれ?」
龍人が振り返ると、青筋を浮かべているロゥリィ。
「誰だか知らないけどぉ……私と被ってるじゃない!」
「ようz………コホン、可愛い所かな?」
幼女と言おうとしたが、物凄い勢いで睨まれたので言い直した龍人。
「お兄様……この『小さいの』なに?」
とロゥリィを指差してそう言った。ロゥリィに青筋を増やしそうな程の怒りが込み上げてくるが、龍人に抱えられている幼女を見て、危険を感じ直ぐに下がった。
「ッ………そう……そう言うこと……」
「スンスン………亜神………お兄様、コレと知り合い?」
「あぁ、数百年前にちょっとな。なんで、喧嘩はしないでくれよ。後、自己紹介」
「……霞龍……オオナズチ」
そう言うと、オオナズチは龍人の胸に顔を埋めた。そして一瞬だけロゥリィの方を振り返ると、ニヤッと笑みを浮かべ再び龍人に甘えだした。ロゥリィは悔しそうに歯軋りしている。
「聞いた事のない伝説の龍……その龍と親しくしている貴方は何者?」
「ん~ちょっと長生きな人間だよ」
レレイの問いにそう答えるが、彼女はどうやら納得していないらしい。
「それで伊丹に聞きたい事があるらしいがなんだ?」
「えっと、翼竜のこと」
レレイによると、自衛隊と戦ったエルベ藩王国と戦った際に多くの翼竜が死んだ。その翼竜達の鱗は、鎧などに使われるので高値で取引できる。なので、それを取っていいかと聞きに来たらしい。
伊丹は上の人間に掛け合い、サンプルはもう回収し、在っても射撃訓練の的にするだけなので別に構わないと言った。
「うっ……凄い腐敗臭」
戦いから日が経っている為に、翼竜達の腐敗もかなり進んでいた。保護した者達、自衛達の人間達で、匂いを我慢しながら翼竜から鱗や牙、爪を取ろうとするが、難航していた。
「剥ぎ取りじゃあぁぁぁぁ!!!!」
唯1人を除いて。龍人は腰に装備されていたナイフで、翼竜を解体していた。
「あのナイフどうなってんの?」
「さぁ?」
翼竜の鱗は12.7の徹甲弾で何とか貫通するくらいの強度を誇る。簡単に言うなら、普通の機関銃では歯が立たず、重機関銃や対物ライフル銃と言うものでないと効かないと言うことだ。それを銃で貫通できないのを、ナイフで解体するなんて普通は在り得ないのだ。
―ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!―
「すっげぇ速いね」
「速いですねぇ」
伊丹と倉田はそれを見て唖然としていた。龍人は凄まじい速度で翼竜から剥ぎ取っている。
どれくらいの速度かと言うと……普通の人間が翼竜1体を解体するのに約1時間ちょっと掛かるのに対して、龍人は2分も掛からずに1体を解体している。
「高速剥ぎ取り!剥ぎ取りは久しぶりだぜ!!」
かなりテンションが上がっている様だ。龍人の活躍で数時間で作業は終了した。
~簡易風呂~
「ふぅ……はぁ……風呂……いいよね」
「はぁ~……気持ちいい」
伊丹、倉田は汗と腐敗臭を流す為に自衛隊の用意した簡易風呂に入っていた。
「簡易風呂って中々広いんだな」
「って何時の間に」
伊丹と倉田が横を見ると、そこには龍人が居り、身体を洗う為にタオルを泡立てていた。
「ついさっき」
龍人がそう言うと、泡立てたタオルが浮き上がり彼の背中を洗い始めた。
「それって魔法ですか?!」
倉田がその光景を見てそう聞いた。
「いやこれは……スタンド」
「「………」」
龍人の言葉に固まる2人。
「スタンドって……アレですよね」
「オラッオラッですかぁぁぁ?」
「イエス」
倉田、伊丹の問いにそう答え、洗い終わったのでシャワーで泡を洗い流すと、龍人は湯船に浸かる。
「じゃあ、炎龍と戦っていた時に消えたのって」
「無駄無駄無駄無駄!」
「あの手で触れて傷を治してたのって」
「ドララララララァ!」
龍人が言っている事が理解できた2人は子供の様なキラッキラッした目で彼を見る。
「でもそんな力持ってるのに……そんな傷が」
倉田が龍人を見る、彼の身体には無数の傷が刻まれている。しかも致命傷になる様な大きな傷もある。
「これはスタンドを手に入れる前についたんだ。アマツとかと戦った時にね」
「アマツ……それってエルフの娘が言っていたあの龍?」
「うん……あの子等とは仲良くなる前には結構戦ったからね。何度死に掛けたか」
龍人は昔を懐かしんでいる様だ。
「でもスタンドって本当に在ったんですね!」
「俺のこれは神様から貰ったものだし……」
「「神様?」」
「この世界の神でなく、もっと高位の神様にね……ふぅ、気持ちかった」
龍人はそう言うと、湯船から上がる。そして次の瞬間、彼は服を着ていた。
「じゃあねぇ」
彼はそう言うと、その場から消えた。
「スタンド」
「すげぇ」
改めて伊丹と倉田は龍人の力の凄さを実感した。
~この世界の古龍の扱い~
モンハンの世界でも厄災扱いの古龍達。
この世界では色々な種族の神話に出てきます。