GATE 古龍と共に、彼の地で生きる   作:始まりの0

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EP11 空気は読まないといけないと思いまして

 ~装甲車内~

 

 目的の翼竜の鱗も売却し、イタリカからアルヌスへと帰還する事になった一同。

 

「はぁ……じゃあ、ぐるっと回って帰りましょ……って寝ちゃってるのか」

 

「まぁ無理もない、徹夜だもの」

 

 行きと同じく倉田の運転で帰る事になった。だがロゥリィ、テュカ、レレイは流石に疲れたのか眠ってしまっていた。

 

「ん?……前方に煙が見えます」

 

「また、煙かよ」

 

 倉田は車を止めると、伊丹は双眼鏡を取り出した。そして煙の方を見てみるが、煙が邪魔で見えない。

 

「あっ……見えました!ティアラです!」

 

「あぁ……ティアラ……ってティアラ!?」

 

「金髪です!」

 

「金髪!?」

 

「縦ロールです!」

 

「縦ロール!?」

 

 倉田の報告に驚きながら、伊丹は直ぐに双眼鏡を構え直した。そこには騎士の格好をした女性陣が馬に乗って此方にやって来ていた。

 

「バラだな!」

 

「バラです!隊長!金髪縦ロールの実物なんて初めてです!」

 

「おう!」

 

 どうやら彼等は興奮している様だ。

 

「まぁ、こっちの世界ではそんなにも珍しくけどね……伊丹よ、どうする?」

 

「全員、手を出すなよ!協定違反になる可能性がある!」

 

 伊丹が無線でそう伝える。富田が金髪縦ロールの騎士に話しかけられたのだが……何やら口論になっている。騎士達は剣を抜き富田の方に向けた。流石にこのままにはしておけないので龍人と伊丹が車から降りた。

 

「えぇと部下が何か失礼を?」

 

「降伏しなさい!」

 

「えっと話を」

 

「聞く耳持たぬ!」

 

「えっと、話し合えば」

 

「くどい!」

 

 伊丹の態度に腹が立ったのか、金髪縦ロールが動き出した。

 

「ええい!お黙りなさい!」

 

 とビンタ。部下達が動こうとするが、このままではいけないと思った伊丹は部下達に逃げる様に指示を出した。装甲車が急発進でその場から離れる。

 

「取り敢えず、伊丹!お前も行け!」

 

「えっ、ちょw!?」

 

「スタープラチナ!」

 

 龍人の身体からオーラが出現し、スタンド・スタープラチナが現れる。

 

「スタープラチナ?!マジ!?」

 

 《オラァ!》

 

 スタープラチナは伊丹を抱えると、装甲車に向かって投げた。

 

「リン!」

 

 装甲車の上に雷が発生し、そこに白い髪の女性が出現した。彼女は伊丹を片手で受け止めた。

 

「後、頼んだぞ~」

 

 そう言いながら龍人は手を振って彼等を見送った。

 

「さて……俺も逃げようっと」

 

「「貴様ぁ」」

 

「アレ……物凄く怒ってるし………なんだろう。此処で逃げちゃ駄目な空気なんだけど……(はぁ、仕方ないか。空気は読まないとね)」

 

 

 

 ~イタリカ 領主の館~

 

 

「なんてことをしてくれたんだ!!!」

 

 ピニャは現在、部下であるボーゼスとパナシュに叱責した。ボーゼスには杯を投げており、彼女の額からは血が流れている。

 

「ひっ姫様!?私達が何をしたと?!」

 

「協定を結んだ日に、協定破り……よりにもよって」

 

「龍人殿!?龍人殿?!」

 

 ボロボロになった龍人を必死に揺すっているハルミトンの姿を見たピニャ。

 

「ぁ~痛い……生身でドスファンゴに突進された後、ブルファンゴの群れに轢かれた様な感じだ。久々に……意識が飛ぶ……ガクッ」

 

 龍人は空気を読み、逃げる事をしなかったのだが……引っ叩かれるし、馬で引き摺られるしと酷い扱いを受けていた。

 

 ピニャはこんな事、自衛隊が黙っていないと思っていた。だが実際には恐ろしいのは自衛隊ではない……この時の彼女は未だ何も知らなかった。

 

 

 

 

 ~館の一室~

 

 

「ぅう~……痛い。知らない天井だ」

 

「お目覚めになられましたか?」

 

「あぁ……って、メイド長。さっきぶりだね」

 

 龍人は現在、ベットの上で寝ており、周囲には数人のメイドがいた。そしてその中で一番年上のメイド長は彼の知り合いである。

 

「はい……本当に申し訳ありません。先代のご友人であり、此度の恩人である龍人様にこの様な仕打ちを」

 

「ぁ~……まぁ、勘違いと言う事もあるさ……誰か、俺のポーチ取ってくれない?」

 

「はい」

 

 龍人の言葉に髪が蛇となったメイドが、近くに置いていたポーチを身を起こした彼に渡した。龍人はポーチの中から回復薬を取り出した。

 

「Gとか、秘薬とか入れ忘れたな……まぁいいか」

 

 彼は回復薬を飲み干すと、傷が音を立てて消えていくが、大きな物は完全には治癒していなかった。

 

「龍人様、制裁にてこの街を滅ぼすと言うので在れば我等一同、及ばずながらも力を貸す所存にございます。

 

 ただただ、ミュイ様だけにはその矛先が向かぬ様に……どうか、何卒!何卒!御慈悲を!」

 

 メイド一同が龍人に対して頭を下げる。

 

「アハハハハ、大丈夫、大丈夫。友人の街を滅ぼす程、俺は怒ってないよ。今回は運が悪かったと思うからさ………取り敢えず、お腹が空いたんでご飯貰えるかな?出来れば肉で」

 

「はっはい!直ぐにご用意いたします!

 

 この者達は龍人様、専属です。なんでも御申しつけ下さい」

 

「「「「ご主人様、宜しくお願い致します」」」」

 

 龍人の言葉に安心したメイド達は、再び頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 ~伊丹side~

 

 伊丹達は現在、イタリカを見渡せる丘へと来ていた。

 

「大丈夫ですかね、彼……」

 

「大丈夫だと思うけど………正直、大丈夫でいてくれないと困る」

 

 伊丹、倉田、栗林、富田、レレイ、テュカは自分達の後ろを見た。

 

 ―バチッ!バチッ!―

 

 音を立てて、放電している白髪の少女。頭には一本の角が生えていた……分かるかも知れないが、彼女は古龍・キリンの人間態である。

 

「あの人間共……我が主をよくもぉ!」

 

「まぁまぁ、落ち着きなさいよぉ……貴方の主だって分かっててやったんでしょうし」

 

 キリンは今にもイタリカを滅ぼしそうな勢いで放電している、ロゥリィはそれを必死に止めているのだが……正直、長く保ちそうにない。

 

「グルルル……」

 

 キリンが唸ると、それに合わせる様に空が暗雲に覆われ始め、伊丹達は空を見上げた。

 

「アレって……」

 

「アマツマガツチ様」

 

 暗雲の隙間から白い龍・アマツマガツチが現れた。アマツマガツチもまたイタリカを睨みつけていた。テュカはそれを見て、祈りを奉げている。

 

 アマツマガツチだけでなく、他にも色々な影が現れ始めた。

 

「怪獣大決戦?」

 

「冗談言ってる場合か………あっあのぉ」

 

 伊丹は一先ず、キリンへ話しかける事にした。彼女は怒ってはいるものの、無暗矢鱈にそれを吐き散らさないので未だ冷静な方だろう。

 

「はい、なんですか?」

 

「あっち、こっちにいるのは……貴女の御仲間ですよね?」

 

「えぇ……皆、主の身に何かを在ったのを感じて集まり始めています」

 

「ですが、彼もそんな事は望まないと思うのですが」

 

「確かに……ん、主?」

 

 キリンは何かに気付くとイタリカの方へと向いた。

 

「畏まりました。

 

 貴方達も聞いたでしょう!下がりなさい!」

 

 キリンはアマツマガツチや他の影に向かってそう叫ぶ。彼の龍達は渋々、その場から消えて行った。

 

「ほっ……」

 

「主はどうやら、領主の館にいる様です」

 

「もっもしかして、思念会話ですか?」

 

「えぇ、主と我等は契約により繋がっていますから……取り敢えず、行きましょう」

 

 そう言うと、キリンは歩き始めた。伊丹達も驚きながらも彼女の後について行った。

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