GATE 古龍と共に、彼の地で生きる   作:始まりの0

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EP22 地揺れ

 ~???~

 

「して王は?」

 

 

「アルヌスに滞在中だ………まぁ、何処か他へ行かれてるかもしれんがな」

 

 巨大な影達が何かを話している。

 

「それで………時空の様子は?」

 

 

「フム………もぅそろそろ、徴候が現れる頃ではないかのぅ」

 

 影達の言葉にそう答える人間の姿のゾラ・マグダラオス。彼は自分の髭を撫でながらホホホと笑っている。

 

「では早めにあの門を壊さねばならぬのではないか?」

 

 ゾラ・マグダラオスの横に青い髪の男が現れた。

 

「それに関しては王の指示なくば行えねぇだろう、天翔龍」

 

 暗闇から赤い髪の男と水色髪の女性が現れた。

 

「炎王に炎妃か………」

 

 青い髪の男……天翔龍シャンティエンは、やって来た炎王龍テオ・テスカトルとナナ・テスカトリを見た。

 

「王がお眠りの際は我等が判断すべき事でしょうが…………王が起きておられる時は王の御判断次第でしょう」

 

 

「そうそう………王に任せようぜ」

 

 テオ・テスカトルとナナ・テスカトリがそう言うと、シャンティエンも同意した。

 

「フム…………では王の命が在るまで酒を飲むとするかのぅ」

 

 ゾラ・マグダラオスはそう言うと、闇の中へと溶け込んで行った。それについて、数体の巨大な影達もそれに着いて行った。

 

「じゃ俺も………」

 

 

「貴方はこっちです。まだ片付けが終わってませんので手伝って下さい」

 

 

「うぇ~……俺も酒飲みてぇ~」

 

 

「貴方は酔っ払うとスーパーノヴァを連発するから駄目です。この間も神殿を壊し掛けたでしょう」

 

 

「ぁ~そんな事もあったな。でもそれを言うなら他の奴等も」

 

 

「他の者は他の者………貴方は貴方でしょう。ほらっ子供みたいに駄々こねてないでいきますよ」

 

 

「ぁ~」

 

 強い妻(ナナ)に引きずられていく言い負けた夫(テオ)

 

 端から見たら妻には逆らえない夫………誰もこの男が数多のハンター達を苦しませた古龍だとは思いもしないだろう。

 

 

 

 

 

 

 ~アルヌスから離れた上空~

 

「はぁ~…………なんか………変な感じだよな」

 

 そう呟く龍人、彼は現在リオレウスの上に乗っており、空を飛んでいた。何時も一緒に居るリオレイアがリオレウスの横で飛んでいた。

 

 龍人は地上を見下ろしながら、違和感を感じていた。

 

「ん~………俺はこういうのは分かんないんだよな。お前等は分かるか?」

 

 

【地揺れの予感はします】

 

 

【これが門の影響なのかは我等には分かりかねます。祖龍達なら分かるでしょうが】

 

 

「だよな。でも、あいつ等が出るとそれだけじゃ済まないだろうし………仕方ない。誰かを訪ねてみるか」

 

 

【まさか王、あの愚か者達(神々)の事を言っているのですが?】

 

 

「この星の事は一番あいつ等が理解しているからな。それが一番早い」

 

 

【【‥…………】】

 

 竜の状態の為、表情は分からないがリオレウスとリオレイアは怒りを顕わにしている。

 

「はぁ…………何時までも昔の事を根に持つなよ。古龍(お前等)神々(アイツ等)は顔を合わす度に戦争をしようとするなよ。取り敢えず、戻るぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 ~夜 アルヌスの丘~

 

 リオレウスとリオレイアは丘の近くに着地すると、龍人はその上から降りた。リオレウスとリオレイアはそれを確認すると、人化するとそれぞれ龍人の左右に着く。

 

「おい、くっ付くな。歩き難い」

 

 

「「嫌です」」

 

 揃ってそう言うと、龍人の腕に自分達の腕を絡めるレウスとレイア。こうなってしまっては何も言っても離れないので諦める事にして、駐屯地に向かう事にした。

 

 既に夜も遅く周囲は寝静まっており、龍人は伊丹達に掛け合い用意して貰った部屋へと戻ろうと考えていた。

 

 だがサイレント共に自衛隊の車が走ってくると地震発生の警告を始めた。そして数分すると、皆が広場に集まり点呼をとっていた。

 

 レウスとレイアは何かを感じたのか、突然龍人の身体を抱える。

 

「王………来ます」

 

 

「失礼します」

 

 2人はそう言うと、背中からそれぞれ翼を生やすと龍人を抱え飛びあがった。そして、凄まじい音と共に大地が揺れ出した。地震である。

 

「こりゃ………デカイな」

 

 と周囲を見回しながら抱えられている龍人。

 

「この辺りで地揺れとは…………」

 

 

「発生源は此処ではない様ですが……………それより王」

 

 

「?」

 

 

「下で騒いでいる輩………消し炭にしていいでしょうか?」

 

 集まっていたこの駐屯地にいる者達…‥…正確には自衛隊以外のこの世界の者達が悲鳴を上げていた。

 

「止めなさい。まぁ、この辺りの土地では地震なんて滅多にないからな。獣人達の本能が働いているんだろう。取り敢えず、降りよう」

 

 

「「はい」」

 

 龍人はレウスとレイアに地面に降ろされると、近くの自衛隊員に話し掛けた。

 

「あっそこの人………確か柳田さんだっけ?」

 

 

「龍人くん………戻って来たのか」

 

 

「えぇ、まぁ…………結構大きな揺れでしたね。この後も余震が続くでしょうし………どう……伊丹達は?」

 

 

「そっそれが……」

 

 

「帝都に?」

 

 柳田によると伊丹達は任務で帝都に行っているらしい。

 

「まぁ………ちょうどいいか。懐かしい顔を見に行くか………2人とも帝都だ。他にも途中で合流して、乗り込むとしよう」

 

 

「「御心のままに」」

 

 彼女達はそう言うと、その身を竜の姿へと戻した。龍人はレウスの上に跨った。銀龍と金龍はその巨大な翼を広げ、空へと舞いあがった。

 

 

 

 

 

 

 

 ~帝国 皇宮~

 

 この世界において覇権国家である帝国………首都【帝都】。人口100万の城塞都市である。

 

 そしてその中心は勿論、皇帝のいる皇宮だ。

 

 伊丹は部下の栗林、富田、外交官である菅原と共に皇宮に来ていた。何故、帝国と敵対している彼等が此処に居るのかと言うと………ピニャに泣き付かれたからである。

 

 そして、彼等は玉座の間に居り皇帝モルトと対面した。それからピニャを通して話していたのだが………モルトの息子ゾルザルが乱入した。加え、彼は奴隷を複数連れてきており、その中に帝国が日本に蹂躙した際に拉致された日本人の女性がいた。

 

 故に伊丹が激昂………ゾルザルを殴り飛ばし、現在伊丹達は帝国と対立している状況だ。

 

「皇子たるこの俺に手を出したんだ、どこぞの蛮国かは知らn【グオオオォォォォォ!!!】」

 

 今にも戦闘が始まると言う瞬間、場の全ての者がその咆哮が………圧倒的な殺意と力が場を覆い尽した。

 

 玉座の間の天井が壊れ、黒い影が飛び込んで来た。

 

【グオォォォォォォ!!!】

 

 

「なっなんだ!?」

 

 ―ドゴォォォォォォン!―

 

 さらに天井を壊して、銀と金の龍が天より舞い降りてきた。

 

「此処に来るのも30年ぶりくらいか………ちょっと変わったか?」

 

 

【目障りな者共ばかり………焼き払っても宜しいでしょうか?】

 

 

【この周辺一帯も焼き払い、森にしましょう。その方が、今後の為になります】

 

 

【全部叩き潰せばいいのか、王?】

 

 と物騒な事を漏らす古龍達。

 

「はぁ………レウ、レア、ネル、お前等はどうしてそうも、物騒なことばかり言って……下がれ」

 

 

【【【はい】】】

 

 

「「「りゅ……龍人くん?!」」」

 

 

「よう、同志………それと久し振りじゃないか、小僧(モルト)

 

 こうして長く続いた帝国に最悪の形で古龍王がやってきた。




次回、皇子ピンチ!

運がよければ生きてるかな?

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