GATE 古龍と共に、彼の地で生きる   作:始まりの0

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EP1 銀座事件、銀竜・金竜降臨す

 ー始めまして、酔っ払いのクソ神により殺されて、更に死にかけた転生者の狩矢 龍人(かりや りゅうと)です。

 

 職業は……何だろう?農業したり、鍜治したり、魔法開発したり……まぁ色々だ。

 

 ハンターじゃないのか?

 

 じゃあ、これまでの事を話そうか。

 

 まず俺は何とかイビルジョーから逃げ切り、それから森の中でサバイバル生活をしていた。

 

 始めはランポスとか、ジャギィとかに殺されそうになったけど、しぶとく生き残り、素手で【ドス】クラスの相手なら倒せる様になっていた。

 

 なに?そんな訳あるか……人間、極限状態だと何でも出来る様になるんだよ。うん……。

 

 それで、少しして女神様がやって来たんだが、あの酔っ払いが暴れた所為で暫くは違う世界に行けないと言われた。それで少しの間、モンスターハンターの世界で生活しいてた。

 

 とは言うものの、時代が竜大戦直後と言うもので、正式なハンターが居ない時代だ。

 

 なので、能力を貰った。武器とかに防具作成とか色々だ。

 

 それからモンスター達と闘いながら生活していたのだが……それだけでなく、俺が助けた人々と暮らす様になった。それが何時しか巨大な村になって……色んな出会いがあった。本当に色んな……

 

 10~5・6年くらい過ごした時、女神様が現れ、違う世界に行けると言われた。俺は行くかどうか迷ったが、俺の存在はイレギュラー過ぎて、今後の世界の発展に影響しそうなので、再び転生した。

 

 そして、この世界に来た。来て驚愕して倒れそうになったが、その理由は後々語ろう。

 

 で、色々と在ったんだか現在俺は東京にいます。両手に花でー

 

 

「ほぉ……これが車、あれは変わった服だな」

 

 と俺の右腕に抱き着くながら興味深そうに車や行き交う人々の服を見ている銀色の髪の、白いコートを着た美少女。

 

「空には鉄の塊が飛んでますわね。それに一面ガラス張りの建物……壊したら、さぞ綺麗に散るでしょう」

 

 俺の左腕に抱き着くドレスを着た金髪の美少女。彼女は飛行機やビルを見ながら物騒な事を呟いている。

 

(あぁ……周りからの視線が……視線がヤヴァい)

 

 周囲の男性からは美少女を侍らせている事で嫉妬と羨望の目で見られ、女性からは「二股」などと言う言葉が聞こえてくる。

 

「なぁ、2人共……少し離れて」

 

「「嫌だ(ですわ)」」

 

 と言って離れてくれなかった。

 

 

 

 

 ~20XX年 夏~

 

 銀座の中心に突如、巨大な【門】が出現した。そしてその門より、鎧を着た兵士達、オーク、ワイバーンと言ったファンタジーの世界に存在しない筈の者達が突如、襲来した。

 

 それは一方的な虐殺だった。平和な日本……何の訓練も受けていない一般市民に抵抗する術はなく、彼等は蹂躙されていた。

 

「お母さん」

 

「大丈夫、大丈夫だから」

 

 何処にでもいる普通の親子……この親子もまた理不尽な暴力により危機に晒されていた。母親は娘を抱え必死に逃げる……だが鎧を着た兵士達が親子を追いつめた。

 

 母親は娘を護ろうとする。

 

「むっ娘だけは」

 

「――――――」

 

 しかし言葉は通じていない。1人の兵士が、母親から娘を取り上げ、その凶刃で娘を斬り裂こうとした。

 

『おいおい、異世界とは言え娘を殺そうなんて………向こうの世界の人間の質も落ちた物だな』

 

 そう声が聞こえた、次の瞬間、娘を殺そうとしていた兵士の身体が真っ二つになる。そして巨大な太刀を持った少年が現れた。

 

 彼の腕の中には先程まで殺されそうになっていた娘が抱かれていた。

 

「ほらっ……娘と一緒にさっさと逃げな。皇居が避難場所になってる、近くまで行けば自衛隊が保護してくれるだろう」

 

「えっ……あの…」

 

 少年はそう言い、娘を母親に渡す。どうやら娘は気を失っている様だ。母親は何が起きたのか理解できておらず、唖然となっている。

 

「此処は戦場になる………子供には刺激が強すぎる。さっさと行きな、じゃないとその辺の死体みたいになっちまうぞ?」

 

「あっありがとうございます!」

 

 母親は我に帰ると、少年に感謝の意を伝えるとすぐに駆け出した。

 

「――――!!―――――!」

 

 他の兵士達が親子を追おうとするが、少年が立ちふさがった。

 

「おっと………行かせねぇ。いきなり無抵抗な人間に攻撃とは……穏やかじゃない」

 

「―――――!!――!!」

 

「あっ……そうか、日本語は分からないんだったな。じゃあ、そっちの言葉で。

 

『無抵抗な人間を殺し、挙句の果てに子供まで殺そうとする下種共には死を』

 

 少年が、日本語ではない言葉を言い放った。すると兵達にもそれが理解できたらしく、怒った彼等は少年に襲い掛かった。

 

 剣が、槍が、斧が、少年に襲い掛かる。少年は落ち着いた様子で、太刀を構えようとする。

 

 そして次の瞬間、兵士達の武器が止められた。少年ではなく、現れた銀と金の少女達によって。

 

「王よ、此奴等はどうなさいますか?」

 

「まぁ……我等の王に武器を向けた時点で生きて帰すつもりはないですけど」

 

「取り敢えず………門の周りは一掃。追い返そうか」

 

 少年が笑みを浮かべてそう言い放つ。

 

「御心のままに」

 

「御意にございます」

 

 2人の少女はそう言うと、光だした。やがてその姿を変えていく。銀の竜と金の竜へと。その姿を見た兵士達は「古代龍」などと言っているが、彼女達はそれに属さない。

 

「こっちの世界の人間は巻き込まない様にね」

 

 少年がそう言うと、2体の竜は了承したのか頷き、行動を始めた。

 

 2体の竜は翼を広げ、空へと飛び上がると兵士達に向かいブレスを放ち始めた。

 

 兵士達も抵抗するべく攻撃するが弓矢も、剣も、槍も、何もかもが彼の竜達には効かなかった。

 

 

 

 

 ~帝国side~

 

「なっ……なんなのだ!?何故、龍が此処に!?」

 

「矢も、剣も、全く効きません!」

 

 兵士達は困惑していた。

 

「蛮族共は古代龍を飼い慣らしているというのか!?」

 

 古代龍………それは自分達にとっては身近であり、絶対に遭遇してはならぬ存在だ。

 

 

「撤退だ!退け!!」

 

【ガアァァァァァァッァ!!!】

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぐわぁぁぁぁっぁ!!」

 

 銀竜と金竜はブレスで兵士達を焼き尽くし、牙で噛み砕き、爪で引き裂き、尾で叩き潰していく。

 

「なんだ……これは……先程まで我が軍が一方的でだったのに……何故、我等がこんな」

 

 兵士達の将らしい人物は唖然としていた。ついさっきまで自分達は優勢だった……だと言うのに、何故竜が蹂躙されているのかと。現実を受け入れられなかった。

 

「こんな事は出来ればしたくなかったんだけどなぁ……俺は」

 

 と目の前に現れた少年。少年の傍に着地した銀竜と金竜。

 

「ご苦労様………お前達にもこんな事はさせたくなかったけど……先に仕掛けて来たのそっちだし、戦争はやるか、やられるか………撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだよ、おじさん達」

 

 少年は竜達を撫でながら、笑みを浮かべてそう言う………だが兵士達にはそれが悪魔に見えた。少年は太刀を天へ向ける。すると空に巨大な魔法陣が出現した。

 

「【神雷】」

 

 少年がそう呟くと、魔法陣より雷が発生し兵士達に落ちた。

 

「ゆっ……夢だ……これは…y」

 

 その言葉を最後に将は雷に飲み込まれた。

 

 ~side out~

 

 

 

 

 

 

『王よ、追撃は?』

 

「必要ないよ。あんだけ被害が出たら確実に撤退するだろうし………レア、お前は先に向こうに戻ってくれ。他の皆に連絡を頼むよ、誰かに門周囲を監視させて。でも手出しは無用だ」

 

 龍人は金竜にそう言った。

 

『御意に』

 

「後、万が一の場合は直ぐに退く様に。特に暴には注意を促しておいて……怒ると敵も味方も関係なしに暴れるから」

 

『フフフ、確かに……では失礼します』

 

 金竜は一礼すると、門の中へと入って行く。

 

『王よ、私達はどうするのでしょう?』

 

「取り敢えず、生きてる人間には回復薬をぶっかけて治療しよう」

 

『……王よ。人間に甘すぎます、人間なぞ矮小で愚かな存在。いっそ滅ぼしてしまった方がスッキリするでしょう。そうすれば、動物や我等だけの世界になります』

 

「いや俺も人間なんだけど。それに俺が目指すのは共存………ほらっ戻った、戻った」

 

『はぁ………分かりました』

 

 銀竜は光り出すと、人間の姿に戻った。

 

 

「はい、回復薬」

 

 龍人は緑色の液体の入った瓶を銀竜……だった女性に渡す。そして自分も緑色の液体の入った瓶を持ち、生き残りを探し始めた。

 

 

 

 

 

~数十分後~

 

 

「助けられたのは50弱か………」

 

「それでこの状況……どうなさいますか?」

 

 龍人達は現在、銃を持った人間達に囲まれていた。

 

「王に剣を向けるとは……」

 

「てぃ!」

 

 再び銀竜になろうとする女性に手刀を叩きいれる龍人。

 

「痛いです……王。私はえむではないのですが」

 

「黙らっしゃい。殺すなと言ってるだろ………取り敢えず、自衛隊の皆さん……俺が助けた人々を保護して下さい」

 

 龍人は笑みを浮かべてそう言った。

 

 こうして後に「銀座事件」と呼ばれる事件は、一先ず収束したのである。


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