GATE 古龍と共に、彼の地で生きる   作:始まりの0

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EP5 狩人VS炎龍

 ~伊丹side~

 

 

「隊長……これからどうするんですか?」

 

「取り敢えず、安全な所までは送り届けないと仕方ないだろう」

 

 此方の世界……日本で言う【特地】に派遣された伊丹は第三偵察部隊隊長となり、部下達と共に偵察に来ていた。

 

 途中で1本首のキング〇ドラではなく……龍に襲われたらしいエルフの里を発見。伊丹が偶然、発見したエルフの少女を保護した。近くに在ったコダ村で龍の事を聞いた所、【炎龍】と呼ばれる災害の様な存在である事を知った。

 

 村の村長からの話では炎龍は本来、50年先まで眠っている筈だったのだが何故か起きて、()を求めて飛び回っている。人やエルフの味を知った炎龍はまた人を襲うらしい、丸ごと逃げ出した。

 

 伊丹はその村人達を放っておくことが出来ず、安全な場所まで連れて行くつもりで在ったが……どうするかと考えていた。

 

 途中で村人の荷車が動かなくなったり等のトラブルは在ったものの、何とか此処までやって来た。

 

「はぁ~……どうするかね。本当に」

 

 そう呟きながらふっと、車の窓から外を見てみる。

 

「それにしても、こっちの太陽……向こうの世界より暑いんじゃないか?」

 

 あまりの暑さにそう言い、空を見上げる。雲1つない、晴天である。だが彼の目が捉えた。巨大な赤い竜の姿を。

 

「ドラゴンだ!」

 

「二尉!ドラゴン出現!隊列後方が襲われています!」

 

 現れた炎龍。伊丹はコダ村の村長の言葉を思い出した、「人やエルフの味を覚えた炎龍はまた人を襲うと」。

 

「クソッ!こんな開けた場所で……全員、戦闘準備!」

 

 伊丹は部下達に指示を出していく。そしてどうにか村人達から自分達に注意を向けさせようとする。

 

「怪獣と戦うのは自衛隊の伝統だけどよ!まさかこんな所でおっぱじめることになるとはな!倉田!走れ走れ!」

 

 伊丹達の部隊が64式小銃を撃つが、炎龍の鱗は堅牢で銃弾が全て弾かれている。炎は車の機動力を活かして避けているものの、決定的な攻撃がない。

 

「隊長!全然効いてないみたいですけど!?」

 

「パンツァー用意しろ!」

 

 攻防を始めて早5分、部下に別の武器を用意する様に指示を出す。だが伊丹は異変に気付いた。つい先程まで晴れていた空が暗雲に覆われている事を。

 

 ―ガアァァァァァァ!!!―

 

 咆哮と共に暗雲の中から、凄まじい水流が伊丹達と炎龍の間を別った。

 

「なんだぁ!?」

 

 この場にいる全員が何が起きたのかと思い、空を見上げてみる。

 

 暗雲から現れたのは、白い羽衣を纏った様な姿の龍だった。白い龍は伊丹達を庇う彼の様に舞い降りる。

 

 ―グオオォォォォォォ!!!―

 

「俺達を……護ったのか?」

 

 白い龍が咆哮すると、炎龍はビクッ!と身体を震わせた。

 

 《アマツ!風の護りを!》

 

「この声、何処かで」

 

 伊丹は先程の声に聴き覚えがあった、つい最近の話だ。伊丹は車を動かす様に指示する、そして白い龍の頭の上を見た。

 

 そこに見知った顔の少年がいた。

 

「良し……『赫醒刃リクへスト』」

 

 そこに居たのは、銀と黒をベースにした双剣を持った龍人の姿だった。

 

「行くぞ!」

 

 龍人はそう叫ぶと、白い龍の頭から飛び降りる。地面に着地した瞬間、凄まじい速さで駆け出した。

 

 ―ガアァァァァァァ!!!―

 

 炎龍は自身に向かってくる人間に向かい咆哮する。

 

 炎龍は大きく息を吸い込み、向かってくる人間に向かい炎を吐く。

 

 その瞬間、炎龍は勝利を確信する。所詮、小さき人間()だ。エルフの里では生物共通の弱点である目をやられたが、自分の息吹()をくらい生きていた物はいない。後の問題は目の前にいる白い龍……アレは駄目だ。自分達とは次元が違う、何としても逃げ延びなければと。

 

 だが炎龍はその考えが愚かである事を知る。

 

 

 

 

―斬―

 

 

 炎龍の炎が斬り裂かれた。

 

 ―?!―

 

 そこには双剣を構えた人間()がいた。

 

「どうした、自分の炎が防がれた事がそんなに不思議か?」

 

 ―グゥゥゥゥ―

 

 目の前の人間が何を言っているかは分からない。だが目の前にいる人間はこれまで人間()とは違う。

 

「お前も自然の摂理の中で生きている……生きていくには食わなきゃならない。さっきエルフの里を見て来たが、喰うだけでなく、他にも多く殺してただろう?」

 

 龍人は理解していた、生きていく為に、子を育てる為に生物を狩り食事をしなければならない。ならば、仕方ないと考えていた。死んだ者達は不幸であった……せめて亡骸を弔ってやろうと考えていた。人間も生きていく為に他の生物の命を奪う……逆に人が被食者になったとしてもそれは自然の摂理の中にあるからだ。

 

 だがこの炎龍はエルフの里で食事以外にもエルフ達を殺していた。どんな獣であれ、生きていくのに必要なだけ狩りを行い、必要がなければ殺さない。獰猛な獅子でさえも満腹であれば、目の前に獲物が通ったとしても手を出さない。だからこそ自然の中では捕食者と被食者のバランスが取れるが、それを崩せば生態系が崩壊してしまう可能性がある。

 

「よって俺がお前を狩る!」

 

 ゾクッと炎龍は身を強張らせる。白い龍だけでなく、目の前の人間もまた危険だと本能が感じ取った。炎龍はその場から逃げ出そうと翼を広げるが

 

 

「【THE WORLD】」

 

 龍人がそう呟いた。次の瞬間、炎龍の身体に無数の傷が出来ていた。そして龍人が炎龍の頭の上に乗っていた。

 

 ―!?―

 

「次行くぞ」

 

 龍人は炎龍の頭からジャンプすると、尻尾の方に向かいに落ちていく。そして回転しながら尻尾へと斬撃を放つ。

 

【剣技:天翔空破断】

 

 斬撃により、炎龍の尾が切断された。龍人はそのまま地面に着地するが、少しよろめいた。

 

「おっとと………久しぶりにこれを使うと眼が周る」

 

 どうやら回転し過ぎで目が周った様だ。

 

 ―グォォォォォォ!―

 

 炎龍が咆哮と共に龍人に襲い掛かろうとするが、振り返った龍人に睨みつけられ動きを止めた。

 

 《ドオォォォン!》

 

 その動きを止めた隙に伊丹の部下が放ったパンツァーファウストにより炎龍の左腕が吹き飛んだ。

 

 ―グガァァァァァァ!―

 

 これには堪らず炎龍は逃げ出した。

 

 龍人は追い掛けようとするが、周囲を見回した。白い龍の後方には無数の怪我人や瀕死の者達がいる。今、追い掛ければ確かに仕留める事は可能だろう。

 

 しかし自衛隊に瀕死の者達まで助けれるだけの医術はあるか?病院が近いならば未だしもそんな物が在る訳もなく、持っている装備にも限界がある。

 

「アマツ!風の結界を解け!お前も人化して手を貸せ!」

 

 白い龍にそう言うと、風の音と共に何かが消えた。

 

 どうやら、白い龍の力で被害が村人達に行かない様に風の幕を張っていた様だ。白い龍が光り出すと、その姿を白い羽衣を纏った白髪の少女へと姿を変えた。

 

「はい、我が王よ」

 

「ん?……同志・伊丹じゃないか!」

 

 龍人が急いで村人達の元へ向かおうとすると、車から顔を出している伊丹を見つけた。

 

「あっどうも……」

 

「取り敢えず話は後だ、今は怪我人の治療が先!はい、これ!」

 

 龍人は伊丹に瓶の入った大きな袋を渡した。何処から出したのだろう?

 

「これは?」

 

「俺特製の回復薬だ。飲ませるなり、傷口にぶっかけるなりすればいい。俺は瀕死の者の治療をする、手伝ってくれ」

 

「あっ…あぁ」

 

「アマツ!怪我人を一箇所に!ロゥリィ!瀕死の者がいたら、直ぐに教えてくれ!救えるなら何とか命を繋ぐ!」

 

「御心のままに」

 

「分かったわぁ」

 

「多少疲れるが、命には代えられんか」

 

 龍人の身体を黄金のオーラが覆った。

 

「時間との勝負だ!動ける者も手伝ってくれ!」

 

 次々に指示を出していく龍人。伊丹達も唖然としていたが、命を救う為に動き始めた。

 

 

 

 

 ~第三偵察部隊side~

 

 

「すっ凄い……」

 

「傷が治っていく」

 

 伊丹とその部下達は龍人から渡された回復薬の凄さに驚いていた。龍人の指示通り、怪我人に飲ませたり、傷口に掛けたりしている……すると傷が数秒で完治するのだ。

 

 龍人に至っては回復薬を飲ませる事無く、怪我人に触れるだけで怪我の治療をしている。瀕死の状態でも直ぐに生存可能な域まで回復している。

 

「何とか……助けれたか」

 

 龍人と彼の齎した回復薬のお蔭でもっと犠牲者が出ていた所を100人弱に抑える事ができた。

 

「ふぅ………何とかなったか」

 

「御疲れ様です、我が王よ。怪我人はほぼ完治……死人は100人程かと」

 

「それでも100人か………もう少し早ければ、助けられたかな?」

 

 龍人は沈んだ表情でそう言う。

 

「戦争なら仕方ないが……今回はそうじゃない。だからこそ残念だよ」

 

「王よ……僭越ながら申し上げます。王がいなければもっと被害が出ていた物だと思います。それに王の御力で本来死んでいた者も死の淵から戻りました」

 

「だと良いのだけどね……」

 

「そっちの龍の言う通りよぉ………生死はそれこそ天の采配による物よぉ。本来はもっと死人が出ていた筈なのに、貴方はそれを変えたじゃない」

 

 白い龍とロゥリィにそう言われると、龍人は顔を上げた。

 

「ふぅ………せめて助けられなかった者達を弔うとしよう」

 

 龍人は気持ちを入れ替えると、伊丹達の元へ向かった。




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