GATE 古龍と共に、彼の地で生きる   作:始まりの0

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EP6 えっ脅し?いいえ、O☆NE☆GA☆Iだよ

 ~夜~

 

 龍人とロゥリィを見て村人達が彼等を崇めたりと色んな事があったが、滞りなく埋葬を終えた。

 

 祈りを奉げる皆を見ながら龍人は懐から、以前も出した金の水晶の棒を取り出し、打ち付けた。

 

 ―キィーン―

 

 すると、墓より光の球が現れる。

 

「これは?」

 

「光の球?」

 

 伊丹とその部下達がその光景を見て驚いた。

 

「これは今回の死者の魂だ……俺がこの石を使って魂を呼び出し、迷わず冥府へと行ける様にしただけだ。この魂達は天へと昇って行く」

 

「魂……」

 

 分かっていない伊丹達に龍人がそう説明する。

 

「せめて来世では、此処とは違う世界・時代で在っても……君達が幸せで在ります様に」

 

 龍人がそう言うと、光球……魂達は天へと昇って行った。

 

 

 

 

「それで村長はなんと?」

 

「神に委ねるらしいよ」

 

 龍人は伊丹達と村長の通訳をしていた。村長は村人達の大半を連れて行き、彼等は近くの親類の元へと向かうらしい。しかし、此度生き残った者達の中で家族を失った子供や老人達、またその他の理由で25人をどうするかを話し合っていた。

 

 村長たちも自分達が薄情ではあるが、彼等も自分達が生きていくのに精一杯なのである。そして、村長たちと別れた。

 

「さてどうしよう……」

 

「どうしましょう……後、龍人君は出来れば俺達と来てくれるとありがたいのだけど」

 

「まぁ……いいけど。あっ……同志・伊丹。この者達の保護は可能か?」

 

「あっ……まぁ、そうするつもりだけど。上の人間が何と言うか」

 

「ならば、俺が君達に着いていく条件として彼等の保護を要請すればどうだろう?」

 

「……成程!上の人間も龍人君の事は知っているから、君からの条件だと言えば嫌な顔をしないだろう!」

 

「もし嫌な顔をしたら、俺が国会に攻め込むと言えばいいよ」

 

「そりゃいい!ハハハ……冗談だよね?」

 

「さっきも俺の力見たと思うけど……その気になれば国の1つや2つ、5分あれば滅ぼせるよ?」

 

 満面の笑みで言う龍人に顔を引き攣らせる偵察部隊。

 

「それでどうだろう?」

 

「喜んで、上の人間を説得させて頂きます!他の皆も協力してくれるよな?!」

 

 龍人の提案を受けた伊丹。部隊の皆も凄い勢いで首を縦に振っていた。

 

 

 

 

 ~アルヌスの丘 自衛隊駐屯地~

 

 

「それで……伊丹、どういうつもりだ?」

 

「どうと言われましても……難民を保護してきました」

 

「そうじゃない!あの【龍】だ!」

 

 伊丹の上司の檜垣三佐へと報告したのだが……三佐は外にいる風を纏う巨大な龍を指差した。

 

「えっと……狩矢龍人氏の使い魔的な存在らしく、彼の龍の風に乗って帰って来た訳ですが………」

 

「何処のファンタジーの世界だ!?……異世界だったか、此処は」

 

「保護しないなら、あの龍が暴れるそうです。因みに本人曰く、国の1つや2つは5分も在れば滅ぼせるとか」

 

「……出来れば、その彼にあの龍をどうにかする様に伝えてくれたまえ。私は陸将に報告してくる」

 

 と檜垣三佐は頭を抱えてそう言った。伊丹は本当にすいませんと心の中で謝罪した。

 

 

 

 

 

 

 

「と以上が報告です」

 

「……それであの龍は暴れないんだな?」

 

「保護して貰えるなら、狩矢龍人は此方にも協力してくれるとの事です。実際に伊丹に此方の言葉の翻訳本を渡しているので信憑性が高いかと……唯、協力しないならあの龍が暴れそうです。因みに彼の者は世界の1つや2つは5分も在れば滅ぼせると」

 

 何やら話が盛られているが、眼鏡の人物・柳田二尉がこの駐屯地のトップ狭間陸将へと報告する。

 

 内容を聞く限りは完全に龍人が脅しているのだが………うん、受け入れて貰わねばならないので仕方ない?かな。

 

「この世界での意思疎通に関しても、情勢についても我等は知る必要がある。あの少年の協力が得られるならいいか」

 

「それに難民保護なら上の方々も嫌な顔はしないでしょう」

 

「取り敢えず、あの龍……何とかして貰わないとな」

 

「ですね」

 

 

 

 

 

「と言う訳で龍を何とかして欲しいんだけど」

 

「ちょっとインパクトが強すぎたかな?……まぁ受け入れてくれるならありがたい」

 

 ―グルルルルル―

 

 龍人が白い龍に視線を向けると、龍は頷いて再び人の姿へと変わる。

 

「王、宜しいので?」

 

「うん、保護してくれるって……じゃあ、俺はお偉いさん達と話し合いかな」

 

「では私も御一緒に」

 

 龍人と白い龍は伊丹について行く。

 

 

 

 

 

 

 

「それで、此方に全面的に協力して頂けると?」

 

 龍人は狭間陸将、柳田二尉と話し合っていた。龍人の後ろには無表情の白い龍がいる。

 

「然り、貴方達が友好的にこの世界との交流をすると言うのであれば俺は協力を惜しまない。

 

 これでも貴方達よりは長生きで色んな種族にも精通しているし、必要であればそちらのお偉いさんとの会談にも応じよう。

 

 しかし帝国が行った様な一方的な攻撃をしようとするなら………」

 

「もっ勿論、我々は平和的に此方の世界との交流を図るつもりです」

 

「まぁ貴方達がこの世界の資源を欲しているのは分かっています。取るのは構いませんけど、あまり地球みたいに取りすぎは止めて貰いたい。

 

 後、此処に色々と書いてますんで読んどいて下さい」

 

 龍人が紙を取り出すと、狭間陸将そこには色々な条件が書いていた。

 

 ①資源を採取する際はその物と量を報告すること。

 

 ②此方で活動する時の移動や戦闘手段で車・戦闘機等を使うのは構わないが、あまり使わない様にすること。

 

 ③無駄に動植物を乱獲しないこと。

 

 ④特地の住民とは平和的に交渉すること。但し相手が好戦的な場合はそれなりの手段を取っても問題ない。

 

 等、全部で10項目程の条件が書かれていた。

 

「これを守って頂けるなら俺は少なくとも、貴方達と敵対しないつもりだ。異世界同士の交流はこれまでも在った事だし、それを止めるつもりはない」

 

「これまでも門が開いた事が在ったのですか?」

 

「あぁ、在ったよ。まぁそれは後々説明しよう……もっとも守って欲しいのは最後の項目だね」

 

 狭間と柳田は最後の項目に目を向ける。

 

 ⑩門に関する研究などは決して行わない事。

 

 と書かれていた。

 

「門は自然に開き、自然に閉じる。それを止めてはならない」

 

「それは何故ですか?門がこのまま開き続ければ末永く交流していく事が可能ではないですか?」

 

 柳田はそう言った。確かに、交流が長く続くのはいい事だと思える。

 

「かつてそう言った文明が在りました。でも門に手をだした事で、両方世界で天変地異が多発。此方の世界も、その文明は滅び、海の底へ沈みました」

 

 それを聞くと柳田と狭間がどうしてそうなったのか分かっていない様だ。

 

「本来、何の接点もない物同士が繋がるという事は普通では在り得ない事…………まぁ簡単に説明しましょうか」

 

 龍人はそう言うと、周りを見廻した。すると、狭間の机の上に置いていた2つの消しゴムとペンを見つけた。

 

「あの消しゴムとペン、お借りしてもいいですか?」

 

「えっ………えぇ」

 

 龍人は礼を言いながら2つの消しゴムを手に取る。

 

「此方が地球、此方がこの星としましょう」

 

 そう言いながら、ペンで片方の消しゴムに地球、片方に此方の星と記入した。それを見て狭間と柳田はうんうんと頷く。

 

「宇宙創生時から幾つ物の世界が誕生した。そしてそれは並行して存在し続けている……今、この時もね。

 

 それは本来、交わる事はないが……何がの弾みで近付く事がある。それにちょっとした力を加えると」

 

 離していた星に見立てた消しゴムを近づけ、接触する。

 

「こうして接触する事で門は開く……本来で在れば、これはそれぞれ自分達の流れに戻って行くんだけど」

 

「何か問題が?」

 

「このアルヌスにある【門】は何処ぞの誰かが門が消えない様に作った装置だ………これが開き続けていると」

 

 龍人は2つの星に見立てた消しゴムを握り潰した。

 

「「………」」

 

「まぁ……こうなるね」

 

「………でっではいずれは2つの世界が」

 

 世界の崩壊と言う衝撃の真実を告げられた事で狭間も柳田も動揺している。

 

「そう……それがどの程度の期間で起こるかは分からないけどね。それなりに前触れはあるだろうから………それが起きたらどうにかしないとね」

 

「どうにかする……とは?」

 

「門の破壊……または力尽くで門を閉じる」

 

「閉じる事が可能なのですか?」

 

「門を壊さずにと言うのは不可能ではない………でも自然現象……かは怪しいけど、自然に起こる事を人為的に起こすのはいい事じゃない(まぁ俺は門とか関係なしに行き来するけど)」

 

 柳田と狭間はこれは完全に自分の判断できる話ではないと思い、2人は沈黙する。

 

 結局この場での話は上の人間へと持っていく事になり、詳しい話は龍人が説明するという事で話が終わった。


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