俺か不良と呼ばれるようになったのはいつからだろう。小学生の時に同級生を泣かせたときか?中学生の時に一度だけタバコを吸ったからか?それとも同級生や下級生や上級生問わず殴りまぐったからか?それとも。
「イギィ!」「ウガァ!!」「ギィア!!」
「チッ!……おいこら」
喧嘩売られたから買って、相手返り討ちにして金奪ってるからか?
「しけてんな、昨日殴り飛ばした奴より少ねぇぞ」
俺は不良それも異名つきの不良。ここら辺では『魔王』なんて呼ばれてる、そんな俺の名前は『江崎レイト』だ。
「つまんねぇしサボるか」
俺はそのまま学校を出て家へと帰った。帰る途中、五人くらい不良がいたので殴り飛ばして金ぶんどった。
◆
「ただいま」
家に戻ってきた俺は帰ってきたことを告げる。玄関を見ると『美柑』の靴が置いてあった。あいつはもう帰ってきてるのか。
「おかえりー、あれ?学校もう終わったの?……って、またサボったんだね」
居間にいたのは従妹の美柑だった。そっか小学校はもう終わってるのか。美柑はムスッとした表情で見てくる。
「学校つまんないんだよ、たくリトは何が楽しくて通ってんだか」
俺はそう言い残し階段を上がって自分の部屋へと入った。
◆
下から玄関のドアが開く音と共にリトの声が聞こえてきた。私服に着替えた俺はおもむろに時計を見ると立ち上がり机に置いてあった黒色の指なしグローブを持って部屋から出ていった。
「あれ、もう帰ってたの?」
階段の前にいたリトは俺が帰っていたことに気づき声をかけてきた。
「おう、ちょっと出るわ」
俺はリトに出かけるの告げて玄関のドアを開けて彩南商店街へと向かった。
◆
彩南商店街の路地裏。彩南町は娯楽施設など色々な物が揃っている町であるが治安もまたよい方ではない。特にこういう路地裏の奥には不良が溜まり場として集まっていたりする。
「あん?誰だおまえ」
俺に気づいた不良が一人、その声がきっかけとなり奥からゾロゾロと不良たちが湧いてくる。
「ここどこかわかってる?」
「おれさー、最近金欠ぎみなんだよねー」
「けっこう可愛い顔してんじゃん」
俺は右手に持っていたグローブを両手に装着し目の前の標的たちを睨む。
「全員、病院送りにしてやるよ」
俺は目の前にいたリーダー格のような不良の顔面に当てる。
「ブッウ!」
結果として十人ほどいた不良たちは一瞬にして負けてしまった。俺は倒れた不良たちから盗った財布から現金を抜いて自身の財布に入れた。
「流石、ここまで数いたらけっこうな額になるじゃねぇか」
俺は膨らんだ財布をポケットに入れて路地裏から出てそのまま商店街を進んでいった。
◆
夜、家への帰り道を通っていた時だった。偶々目線を上へ向けたのだがなにやらリトと桃色髪の少女と共に家の屋根を走っていた。
「なにやってんだ?あいつ、つか誰だあいつは。彼女か?」
するとすぐに黒いスーツを着た男二人が追いかけていった、いやホント何やってんの。
「まぁ、リトだしなんとかなるか」
俺はもう疲れたのでそのまま無視して家に戻ったのであった。
◆
翌日の朝、食卓へと向かい部屋を出ると同じタイミングでリトも部屋から出てきた。何やらグッタリしている。
「あーー」
「……どうした、朝からグッタリして。二日酔いか?」
「違うよ、オッサンじゃないんだからさぁ。………昨日色々あったんだよ」
昨日、妙な格好をした桃髪の女と一緒に屋根を走っていた奴か、やっぱ彼女なのか?そのままホテルに行って色々ヤンチャしたせいでグッタリしてるか。
「リト、大人になったな」
「え?」
リトにそれだけ言い残し居間へと向かったのだった。
◆
彩南高校にて、俺は現在担任の先生からの説教が終わり職員室を出て教室へ戻ってきた時だった。
「ねぇさっきの見た?」
「見た見た、変な服着てたけどスッゴい美人だったよねー」
「桃色の髪の毛とか綺麗だったねぇ、外国人かな」
桃色の髪に変な服?俺の中でそれに当てはまるのは昨日リトと走っていた奴なんだが。
「…………行ってみるか」
廊下を出て少し進むと人が集まりいっぱいになっていた、通れねぇ。
「おい」
「なんだよ、ゲッ!?ま、魔王!」
魔王という一言だけで周りの生徒は皆は避けて道を作り出した。
「れ、レイト!」
「誰?」
リトは頬を赤めながら俺の名前を読んだ、頬が赤いのは桃髪の女がリトの腕に抱きつているからだろう。
「り、リト。………お前魔王とどういう関係なんだよ、舎弟か?」
「は?魔王?あ、あぁレイトは従兄だよ」
そんな返しに髪の逆立った男子は驚いていたが、桃髪の女は妙な道具を片手に持っていた。
「あ、作動しちゃった」
ボンッ!という音と共に煙が出てきた。煙が無くなると学生服と妙な服だけが残されていた。
◆
それから数時間がたって空は暗くなり、星がキラキラと光輝いていた。
「………サボらずに最後まで授業受けたの何日ぶりだろうか」
そう、入学してから一ヶ月後に午後は抜け出しているという学園生活を送っていた俺は自分で自分のことを珍しいと感じていた。
「ん?………なんだあれ」
河川敷まで来ていた俺は遠くにリトと桃髪の女が一緒にいるところが見えた。それにあともう一人、知らない男もいた。
「また変な衣装を着た人が増えたな」
銀髪にマントそして鎧となんともまぁ凝ってんな、と俺は思った。
「…………!?」
驚いた、コスプレのイケメンはいきなり剣を出したのだ。最初は偽者かと思ったが、違う。
「…………へぇ」
俺はカバンに入れていた黒い指なしのボクシンググローブを両手に装着した。
◆
「ララ様に見合うか否か!私が試させてもらう!?」
デビルーク星王室親衛隊隊長の座につくデビルーク星No.1の戦士『ザスティン』は目の前にいるデビルーク星の姫『ララ・サタリン・デビルーク』に見合う男なのか試すために愛剣である『イマジンソード』をリトに向かって降り下ろそうとした時だった。
「誰だ!?」
ザスティンは降り下ろすはずだった剣の軌道を横に走らせた。
「っぶな!それやっぱ本物なんだな」
そこにいたのは両手にグローブを装着したレイトだった。