ToLOVEる 魔王降臨   作:元気マックスssさん

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リトたちは現在、ララや西連寺、美柑と共に水族館を満喫しているのであった。


トラブル5 鉄の心

「げひゃひゃ、ここがターゲットのいる地球、空気がウメェじょねぇか。ターゲットを殺す前に腹ごしらえでもするか」

 

暗い路地裏で異形の存在はひとりでに呟く、両手に持つ光線銃をもって、異形の存在が見つめる場所は目的のターゲットがいる彩南町ではなく離れたところにある色北町であった。

 

 

 

 

「懐かしい、におい」

 

俺は四畳半の部屋で寝そべりくつろいでいた。畳や壁、昔暮らした場所のにおいが今もする。

 

「………」

 

俺は天井を見つめながらボウとする、今の時間帯は母さんが夕飯を作ってくれる頃だ。

 

そんな思いに耽っているとドタドタと聞こえてくる、音の大きさ的に隣の部屋じゃない。

 

『ッセェ!!クソババア!!』

 

そんな暴言が聞こえた、この声、どっかで聞いたような気がする、俺は気になりドアを開けて外を確かめるとフミコばあさん部屋のドアが勢いよく開いた。

 

「くそ!なめやがって」

 

出てきたのは昼間の不良、テツオだった、たしかそんな名前だったような。

 

「あ?てめぇは!?」

「色北町の支配者(笑)」

「てんめぇー!!?表でろやぁ!」

「もう出てるよ」

 

俺に気づいたテツオは俺の胸ぐらを掴んだ、それからすぐにフミコばあさんが部屋の奥からやって来た。

 

「テツオ!何やってるんだい!」

「げ、ババア、ちくしょ!」

 

テツオは手を離し急いで遠くへ走っていった、フミコばあさんは止めようとしたが真っ直ぐに俺を見つめた。

 

「ごめんなさいねぇレイくん」

「あいつ、テツオっつたか?」

「知ってるのかい?」

「ここに来る途中絡まれた」

「……あの子はほんっとに」

 

フミコばあさんは頭を抱えて呻く、俺はテツオが走っていった先を見つめる。

 

「あの子は私の孫でね、今年私のところへ越してきたのよ」

「今年やってきてもはや支配者を名乗っていたのか、あいつは」

 

まぁ、確かに舎弟らしき者を二人連れていた、腕っぷしには自信があるのだろう。

 

「俺ももうそろそろ帰るつもりだったし、ついでに探しとくよ」

「本当かい?ありがとうねぇ」

 

俺はテツオが走っていった先を進んで暗闇に消えていった。

 

 

 

 

「チッ!うざったらしいババアだぜ、……んぁ?」

 

偶々目に入った路地裏、奥はチラチラと光っている、テツオはそんな怪しく光る何かに魅せられ路地裏の奥へと入っていった。

 

ところを俺は遠くから見ていた、なにやってんだアイツは、どうみても怪しい、宇宙人か?いや、でもここは彩南町から少し離れている色北町だ、いくらなんでも考えすぎか。

 

「たく、もうすっかり夜じゃねぇか、リトと美柑、あとララ、大丈夫か?」

 

俺はそんなことを考えながら路地裏へ入った、見たところ彩南町とほぼ変わらない汚さだった。

 

「グァァァ!!」

 

奥から聞こえたテツオの悲鳴、それを聞いた瞬間、俺は足を早めた。

 

「げひゃひゃ、うまそーな地球人だぜ」

 

きんもちわる!顔が触手でできてる、エロゲーでもエロ漫画でもないんだぞ、ここは。

 

「おいこら、キモ星人」

「だぁれがキモ星人だ!!」

「ウワォ!!」

 

顔から伸びた触手が壁を貫く、避けるのに精一杯だった、奴の触手、鞭のようにしなやかで槍のように鋭い、厄介だな。

 

「げひゃひゃ、今日はついてるぜ、獲物が二体も手にはいるなんてよぉ」

「ぶぶぶ」

 

テツオのやつショックのあまりに泡吹いてのびてやがる、この町の支配者とか言っておいてその様かよ。

 

「ワリィけど、テメェの持ってるその木偶の坊を俺によこせ、無理なら頭消し飛ばして奪う」

「げひゃひゃ、このニョロル様を殺すと?寝言は寝てイエ!」

 

そうか、俺はそう言い残して地面に転がっている壁の破片を取った、そして、その破片をフルスイングで。

 

「イギャアアア!!」

 

触手まみれの顔面にクリティカルヒット、テツオは離されバタリと地面に倒れた。

 

「隙あり!っな!?」

 

俺は突きだした右手を触手に捕まれた、しまった!いつものグローブ忘れてきた!

 

「よくも、やってくれたなぁ!下等生物!!」

「アガッハ!!」

 

俺は壁から地面へと叩きつけられた、俺は口から血を流して倒れこむ。

 

「クソ!見誤ったか!」

 

触手の宇宙人はズカズカと俺に近づいてきた、先程まで青かった触手は赤へと変色していた。

 

「もう怒った!ゆ」

 

「る」

 

「さ」

 

ジュバッ!そんな音が鳴り響いた、音と同時に触手の宇宙人はきれいに三等分にされていた。

 

「な、んだ?」

 

俺は呆けることしかできなかった、やがて時間が少したって辺りを見渡す、テツオは気絶から覚めた。

 

「あ!!あの触手は!!」

 

テツオはチラチラと視線を動かし俺に気づく、そのまま下へ視線を落とした。

 

「あ、あんたがやったのか?あのバケモン」

「い、いや俺がとどめ指した訳じゃねぇが、お前危なかったぞ、あと少し助けるのが遅かったらそのまま死ぬところだった」

 

俺の言葉にテツオは何か気づき、バッと立ち上がった、テツオは俺を睨む。

 

「すんませんした!!」

 

は?いきなりのことで何がなんだかわからないが、テツオは立ち上がったと思ったら急に土下座。

 

「な、なにしてん」

「俺を!舎弟にしてください!兄貴!!!」

 

は?は?は?、いやいやなんでそうなる、テツオは額を地面に擦り付けてそういいつづける。

 

「頼みます!なんでもしますから!!舎弟にしてください!」

 

本当に、なんというか、少し古いというか。俺が今まで見てきた不良を見てもこんな奴はいなかった。

 

「えぇ、まぁ、なんでもするなら」

 

俺に舎弟ができた。




「なぁ、俺に舎弟ができた」
「………お皿運ぶの手伝って」

最近、従妹がなんとなく冷たい気がする。


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