とある魔術の幻想曲<ファンタジア>   作:瑠璃色ss

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第一章 一日の始まり
それぞれの朝 其の壹


 

 

 「まったく、傷を癒すために入院しているというのに、何で君はまた傷がひとつ増えているんだい?」

 

 「いやその…まったくその通りです。ハイ……」

 

 午前8時46分

 

 今朝の一件で頭にまた一つ大きな噛み傷を負った上条は、診察室でカエルに似た顔の医者に咎められていた。

 

 「本当にとうまはお騒がせ者なんだよ。お見舞いに来てあげた人の気持ちにもなってほしいかも」

 

 「噛み付いてきた張本人が言う台詞じゃ――いえ、なんでもございません」

 

 斜め後ろに座るインデックスにも責められ反論しようとするが、彼女の口からギラついた歯が覗いたため、即座に撤回する。

 

 「それで、どんな具合ですか?」

 

 「うん…経過は良好、という感じだね」

 

 パソコンを操作して何やら体の断面図のような画像をいくつか見ると、カエルに似た顔の医者は頷き、

 

 「これなら退院しても問題ないかな」

 

 と続けた。

 

 「えっ!? 今日退院できるの?」

 

 すると、何故かインデックスが身を乗り出して聞き返した。

 

 「うん。今日退院できるよ。でも、一つ忠告させてくれ」

 

 目を輝かせて尋ねるインデックスに返事をしつつ、カエルに似た顔の医者は上条をじっと見つめる。

 

 「くれぐれも、絶対に、無茶はしないこと。分かったね」

 

 いつものふざけたような上がり調子ではなく真剣な声に、少々驚く上条はコクコクと頷く。

 

 「あ、ああ。保証はしかねるけど……」

 

 困ってる人を見れば老若男女・親交の有無・自身の危険一切不問で助けに行く男、上条当麻はそう返事をした。

 

 そんな彼の性格を理解しているカエルに似た顔の医者は、困ったように息を吐く。

 

 「ふぅ…まあ、これで何度言ったか忘れたけれど言っておくよ。退院おめでとう、上条当麻君」

 

 「おっお世話になりました」

 

 彼は笑顔で二人を見送った。

 

 

 

  ◆

 

 

 

 

 午前9時28分

 

 「ふんふんふふ~ん♪♪」

 

 寮への帰り道。インデックスは上機嫌に鼻歌を歌っていた。

 

 「……………」

 

 今朝とは打って変わった彼女の態度に嵐の前の静けさのような雰囲気を感じ取った上条は考えをめぐらせる。

 

 (……今日退院できるって分かった途端にこうなった………ってことは今日なんか大切な日だとかか?…………ハッ!? まさかコイツの誕生日か!? ヤバイ、プレゼントなんて何も用意してねえぞ……ッ!!)

 

 考え、勝手に窮地に追い込まれていく上条は、ふと前を歩いていたインデックスが立ち止まった事に気付いた。

 

 「どっ、どうしたインデックス?」

 

 「ねえねえとうま。今日って一日中暇なの?」

 

 「!? まっ、まあ、急に退院が決まったからな。暇かって言われたら暇だけど……」

 

 何でだ? 、といきなりの質問に冷や汗をたらしながら訊くと、彼女は修道服の袂から一枚のチラシを取り出した。

 

 「実はコレに行ってみたいんだよ!!」

 

 「ナニナニ…『ファンシーパーク降誕祭(クリスマス)乗り放題フェスタ』ァ?」

 

  そこには、学園都市で唯一、遊泳施設や遊園地などの娯楽施設が所狭しと存在する第六学区の中でも一際巨大なアミューズメントパーク『ファンシーパーク』で、入場料のみで乗り放題のイベントがあるということが記されていた。

 

 「『ファンシーパーク』ねぇ……」

 

  実はこの『ファンシーパーク』。以前ゴールデンウィークに青髪ピアスと土御門との野郎三人でいったことがあるらしく、『ファンパー』という略称でクラスの中でも結構人気があった。

 

 上条本人からすると、八月より前の記憶を失っているため、『ファンパー』という略称の意味が分からないまま話題を合わせようとして色々と苦い思い出があった。

 

 (………遊園地、か)

 

 また、“遊園地”という場所を『囲いこまれ管理された自然の中に,遊戯 機械 施設 食堂 売店などを配し,各種の催事やアトラクションを提供する屋外型娯楽施設。』と《知識》としては理解しているものの、“ジェットコースター”や“コーヒーカップ”などがどういった物なのか《思い出》が無いためわからないのだ。

 

 (たしか吹寄が「二ヶ月ごとに少しづつアトラクションが変わって飽きずに何回行っても面白い」とか言ってたっけな)

 

 「ねえ良いでしょとうま? 『11日から25日までの二週間は園内にある全ての屋台の食べ物が無料』みたいだし絶対楽しいと思うんだよ!!」

 

 「お前は屋台で食べることが目的なのかッ!?」

 

 花より団子とはまさにこういう事を指すのだろう。

 

 (……まあ、最近『グレムリン』やら何やらで色々あったし、息抜きするには丁度良いか。ついでに遊園地がどういう所なのか知っておきたいし………)

 

 「……行くか『ファンシーパーク』」

 

 「ほんとに!? そうと決まれば今すぐレッツゴーなんだよ!!」

 

 「ちょっ、待てインデックス!」

 

 見当違いの方向に駆け出すインデックスを追いかける上条。彼は目的地の位置を確認するためにチラシに目を走らせる。

 

 「ん?入場料金…………」

 

 すると、地図が掲載された欄の上に小さく載せられた入場料が目に入った。

 

 『お一人様―――四八〇〇円』

 

 「……たくさん食べとけよインデックス…………」

 

 どうやら明日からの食事は塩と水だけになりそうだ……。




どうも瑠璃色です。

 一ヶ月ぶりの投稿になりました。更新が遅くてスミマセン(汗) 仕事の合間に執筆しているため、という言い訳で納得してくだされば幸いです。


 カエルに似た顔の医者こと冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)は個人的に好きなキャラクターです。
 上条当麻が何回、作品の中で彼の病院に担ぎ込まれたかを数えてみたところ合計六回でした。 たった四ヶ月の間に六回も!!月一で入退院を繰り返すなんて、上条さんどんだけ超人なんですか…。
 それとも、どんな傷でもたった一ヶ月で完治させる冥土帰しの腕前が尋常ではないのか……まあどちらにしても普通の人間では不可能ですね(笑)

 『ファンシーパーク』。あれ?どっかの魔神の契約者も行ってた気が…という方。はい、自身のネーミングセンスが皆無なため拝借しました。けど、“ファンシー”って『幻想』っていう意味もあるんですよ?まあ、最終的にパク…拝借したんですけど……


 さて、本編の説明はこれまでにして、謝罪と弁明に移りたいと思います。

 前章のあとがきで予告した敵さんの登場。まったくありません。
 言い訳をするならば、本家の8巻でロキさんとフレイヤさんが出てきてしまったからです。
 ロキはともかく本家のフレイヤさんの能力、どちらかと言うとオーディンの妻フリッグの方が合ってる気がするんですけど……、それを言った所で何にもならないので、ね…。


 結論を言えば、敵さんの登場はもう少し先延ばしさせてもらいたいと思います。申し訳ありませんm(_ _)m

 それでは、今回はこの辺で目を休めていただいて。

 次回も見ていただける事を願いつつ。

 小説の感想、アドバイス、批評、酷評待ってます!!

 ……本家の9巻で、また新たなメンバーが増えないことを祈るばかり
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