不満足先生のARC‐V   作:ナスの森

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訳あって、今までの話を消してこの話から書き直します。
理由は活動報告にて記載してあります。


開く冥府の瞳

鬼柳:

LP 1250

手札 0枚

フィールド インフェルニティ・ネクロマンサー(☆3)

伏せカード2枚

 

少年:

LP 3000

手札 3枚

フィールド 捕食植物オフリス・スコーピオ(☆3)

伏せカード2枚

 

 

「なっ――――」

 

 いつの間にか、己の横に立っていた髑髏面を被った長身の男。

 髑髏面の奥から見える赤色の眼光が、少年に殺気を向けながら、眉間に銃口を突き付ける。

 あまりにも突然の出来事に、少年は言葉を失う。

 

「手札がゼロで効果ダメージが発生した時、墓地にいるこの『インフェルニティ・デス・ガンマン』を取り除き、その効果ダメージを無効にする」

 

 『インフェルニティ・デス・ガンマン』……それが今少年の横に立って銃を突き付けて来るモンスターの名前らしい。

 最初のターンの手札抹殺で捨てた鬼柳の四体のモンスター達の内の、最後の一体である。

 

「そして、相手は『インフェルニティ・デス・ガンマン』の効果を選択できる」

 

「な、何を……っ!?」

 

 突き付けられた銃の撃鉄が引き起こされる音を聞き、少年の頬を冷や汗が迸る。

 

「今からオレは、デッキの一番上のカードを引く。それがモンスターカードだった場合、このターン、お前は俺が受けた効果ダメージと、無効化した効果ダメージの合計分のダメージを食らう」

 

 説明しながら、デッキの一番上のカードに手を添え、カードを引く準備をする鬼柳。

 隣に立つ『インフェルニティ・デス・ガンマン』の銃の引き金も引き絞られ、ライフが有利であるにも関わらずまるですぐそこに己の死が迫っているような錯覚に陥りそうになる。

 

「引いたのがモンスターカードでなかった場合、俺はこのターン受けた効果ダメージ分のダメージを受ける。つまり、テメエのドラゴンの効果で発生した効果ダメージを、何方かのプレイヤーが受けるって訳だ。

 そして、この選択を拒否した場合、お前はこのターン、効果ダメージを与える事はできない

 ――――さあ、どうする?」

 

「っ!」

 

 選択を迫られ、少年は隣にいる『インフェルニティ・デス・ガンマン』を見やる。

 己よりも遥かに背の高い長身の男が、銃を突き付けながら己を見下ろしてくる。

 

(アイツのデッキの一番上のカードがモンスターカードじゃなかった場合、『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』の効果ダメージで、アイツのライフはゼロになる。けれど、)

 

 だが、もしもだ。

 あのデッキの一番上のカードがモンスターカードだった場合の、己の敗北ビジョンが浮かび上がる。

 

(もし、モンスターカードだった場合、『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』の効果ダメージを僕が受け、僕のライフは……)

 

 そうなれば、自分のライフは文字通り0となる。

 ライフ0、それ即ち敗北。

 しかも、己のエースモンスターによる効果ダメージを受けてでの敗北、これ以上の屈辱は存在しないだろう。

 

「正直オレも自分のデッキにどれくらいモンスターカードがあるのか忘れちまってる。さあ、どうする?」

 

「……最初から、このために僕の『スターヴ・ヴェノム』を破壊したっていうの? 博奕を僕にさせるために?」

 

 相手が『インフェルニティ・デス・ドラゴン』の効果で自分の『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』を破壊しようとした時、脅しでスターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンの効果を説明しても、相手は戸惑いもなく効果を発動させた。

 

「さあな。たかがデュエルだ、勝てばいいんだろう?」

 

「……ちっ」

 

 皮肉のつもりなのか、明らかに勝とうとする意志が感じないにも関わらず、そのように答える鬼柳に対し、少年は少し苛ついたように舌打ちする。

 勝つ気がないのであれば最初からこのような事はしないでほしいし、そもそもこのような博奕に付き合わされる事自体、少年の性には合わなかった。

 

「僕はその選択を拒否する。君の博奕に付き合う気はない」

 

 ライフはまだ自分の方が有利。

 せっかくライフを回復したのに、ここで勝負を焦って、相手にモンスターカードを引かせてしまってはソレが台無しになる。

 

「『インフェルニティ・ネクロマンサー』の効果発動。手札がゼロの場合、1ターンに一度、自分の墓地から『インフェルニティ』と名のつくモンスターを特殊召喚する」

 

「っ、そんな効果が……」

 

「甦れ、『インフェルニティ・デス・ドラゴン』!」

 

 なるほど、どうやらあのドラゴンの厄介さは効果そのものよりも、『インフェルニティ』の名を持つ所にあるようだと少年は実感する。

 せっかく自分のエースモンスターを破壊させてまでして倒したのに、レベルがたった3のモンスターの効果であっさりと蘇ってしまう。

 

 だが、今に限っては、その効果が命取りになる!

 

「この瞬間、手札の『捕食植物コーディ・セップス』を捨て、場に伏せた速攻魔法『超融合』を発動!!」

 

「……何?」

 

「超、融合……?」

 

 見た事もない融合魔法カードに鬼柳と瑠璃は一斉に訝しむ。

 そのカードから感じる未知なる恐怖を、瑠璃は感じ取っていた。

 ――――あれはヤバい、と。

 油断したら、まるで自分すらもが呑み込まれてしまうような、そんな錯覚すら感じてしまう。

 

「『スターヴ・ヴェノム』が破壊された今、そのドラゴンの効果を使わせるわけには行かない。超融合は自分フィールドのモンスターばかりでなく、相手フィールド上のモンスターも融合素材にできる!」

 

「相手フィールドのモンスターも!? それじゃあこの人の……」

 

「そ、君の言う通り、僕は『オフリス・スコーピオ』と、お兄さんの『インフェルニティ・デス・ドラゴン』を融合する!」

 

「罠カードオープン、『インフェルニティ……ッ!?」

 

 伏せてあった『インフェルニティ・バリア』を発動しようとした鬼柳であったが、効果が発動できない事に、ようやく今まで変えてなかった表情を変える。

 

「無駄だよ。超融合に対してのカードの効果は発動できない」

 

「そんな……」

 

 相手フィールドのモンスターすらも素材とし、そしてその効果に対しての介入は如何なるカードであっても許さない。

 そんな融合が実在していいのかと、瑠璃は超融合というカードに対する理不尽さを呪った。まだ目の前の男性の正体を掴み切れていないとはいえ、アカデミアである人間に負けてもらった方がまだ安心できるというのに、よりにもよって少年はその男性のエースモンスターを素材にするというのだ。

 

「魅惑の香りで蟻を誘う花を持ちしサソリよ! 地獄より来たりし魔竜よ! 今一つとなりて、思いのままに全てを貪れ! ――――融合召喚! 現れよ、レベル10、グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン!」

 

《グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》

融合・効果モンスター

☆10/闇属性/ドラゴン族/攻3300/守2500

「捕食植物」モンスター+元々のレベルが8以上の闇属性モンスター

 

 スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンよりも、更に禍々しいドラゴンが現れる。植物と一体化したような竜は、更にその花弁を生やして開かせ、ここに新たな脅威が誕生していた。

 

「攻撃力3300、これじゃあ――――!」

 

 そのドラゴンをみた瑠璃は心配そうに、鬼柳のフィールドを見る。

 彼のエースモンスターであるインフェルニティ・デス・ドラゴンは素材としてフィールドから離れてしまい、守備力2000のインフェルニティ・ネクロマンサーしか残っていない。

 インフェルニティ・ネクロマンサーの効果は1ターンに一度、その効果はインフェルニティ・デス・ドラゴンを蘇生するのに使ってしまい、それも結果として相手に塩を送る事になってしまった。

 

「……ターンエンドだ」

 

 なのに、鬼柳はフッと笑いながらターンエンドを告げる。

 それが強い相手と戦える事に対する昂揚ではなく、自分を葬ってくれるかもしれないモンスターの出現に対する微かな喜びであるのを、瑠璃は感じ取る。

 それで瑠璃は確信した。

 

(この人、本当に死のうとしてる、このデュエルで……そうなったら……)

 

 次は、自分の出番だと、瑠璃は自分のデュエルディスクを見やる。

 ……とうとう、腹を括る時が来たのかもしれないと、瑠璃は目の前のデュエルの行方を見守った。

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 少年 手札2 → 3

 

「これで終わりだと思うかい? 僕は超融合のコストで手札から捨てた『コーディ・セップス』の効果発動! このカードを除外し、墓地の捕食植物モンスター二体を復活! 出でよ、捕食植物テッポウリザード、捕食植物オフリス・スコーピオ!」

 

《捕食植物テッポウリザード》(守備表示)

効果モンスター

☆3/闇属性/植物族/攻1200/守1200

 

《捕食植物オフリス・スコーピオ》(守備表示)

効果モンスター

☆3/闇属性/植物族/攻1200/守800

 

「オフリス・スコーピオの効果発動! 手札を1枚捨て、捕食植物モンスターをデッキから特殊召喚。ダーリング・コブラを守備表示で特殊召喚!」

 

 墓地とは違う、もう一体のダーリング・コブラが出現する。

 

「『ダーリング・コブラ』の効果により、僕は『融合』、または『フュージョン』カード一枚をデッキから手札に加える。僕は『融合』を選択。更に『テッポウリザード』の効果でカードを一枚ドロー!」

 

 少年 手札2 → 4

 

「そして魔法カード『融合』を発動! 場の『オフリス・スコーピオ』と『テッポウリザード』を融合する!」

 

「魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ、今一つとなりて、苗床を踏み越えて何もかもを食らい尽くせ! ――――融合召喚! レベル7、捕食植物キメラフレシア!」

 

《捕食植物キメラフレシア》

融合・効果モンスター

☆7/闇属性/植物族/攻2500/守2000

「捕食植物」モンスター+闇属性モンスター

 

「更に手札から魔法カード、『エクストラ・フュージョン』を発動! このカードは自分のエクストラデッキから融合召喚を行える。僕はエクストラデッキの捕食植物二体を融合!」

 

「エクストラデッキから!?」

 

「魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ、今一つとなりて、その花弁で全ての呪いを食らい尽くせ! ――――融合召喚! レベル8、捕食植物ドラゴスタペリア!」

 

《捕食植物ドラゴスタペリア》

融合・効果モンスター

☆8/闇属性/植物族/攻2700/守1900

融合モンスター+闇属性モンスター

 

 相手のターンで融合召喚をし、さらにその次の自分のターンで融合召喚を2回行い、少年のフィールドには三体の融合モンスターが出そろう。

 そのどれもが植物でできた怪物であり、虫は愚かそこいらのモンスターですら容易に食らい尽くす程の欲を持っていた。

 

「バトルだ! 『キメラフレシア』で『インフェルニティ・ネクロマンサー』を攻撃! 紫炎の棘(サポート・ソーン)

 

「手札がゼロで、俺のモンスターが破壊された事により、墓地よりインフェルニティ・リベンジャーを守備表示で特殊召喚!」

 

《インフェルニティ・リベンジャー》(守備表示)

チューナー(効果モンスター)

☆1→3/闇属性/悪魔族/攻0/守0

 

「続けてドラゴスタペリアでインフェルニティ・リベンジャーに攻撃!」

 

 ドラゴスタペリアの口から放たれた毒の炎が、インフェルニティ・リベンジャーを飲み込む。

 そして、ついに鬼柳の場はがら空きになった。

 

「これが通れば僕の勝ち! グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンで、お兄さんにダイレクトアタック!」

 

「罠カードオープン、ガード・ブロック! これにより俺に対する戦闘ダメージを0にし、カードを一枚ドローする!」

 

 鬼柳 手札0 → 1

 

 グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンの展開した花弁から放たれたビームが鬼柳に当たる直前、障壁が鬼柳の前に現れ、その攻撃は防がれる。

 間一髪の所で、鬼柳は敗北を免れた。

 負ける事を望んでいる筈なのに、その身体は自然と場に伏せた罠カードを発動させていた。

 

「躱されちゃったか……。まあいいよ、次こそ仕留めてあげる。僕はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

「融合モンスターが3体に、伏せカードが3枚……これじゃあ……」

 

 瑠璃は鬼柳と少年の場を見比べ、表情を絶望に染める。

 少年の場には融合モンスター3体と、伏せカードが3枚。

 それに比べて鬼柳のフィールドには伏せカード1枚のみ。手札はたったの一枚であり、既に勝敗は決しているようなものであった。

 鬼柳にとってみれば負けた所で本望であろうが、瑠璃にとってはこれ以上にないくらい絶望的な状況である。

 鬼柳が負ければ自分に出番が回ってくる、その時、自分はあの少年に勝てるのだろうか?

 

 どんなに考えた所で、今は鬼柳のドローに全てを託すしかなかった。

 

「死が目前まで迫っている……やっとデュエルから解放されるのか、それとも……オレのターン、ドロー!」

 

 手札 1 → 2

 

『…………』

 

 

 

 場を、沈黙が支配する。

 鬼柳はそっと、自分が引いたカードを見やる。

 鬼柳の手札にあるのは魔法カード『戦士の生還』が一枚と、そして――――

 

「たった今引いた魔法カード『バレット&カートリッジ』を発動! デッキからカードを4枚墓地に送り、カードを一枚ドローする」

 

 デッキからカードを四枚選び、墓地に送る鬼柳。

 そして、『バレット&カートリッジ』の効果により更に一枚ドローし、そのドローしたカードを、鬼柳はそっと覗き込んだ。

 

「――――」

 

 そのカードを覗き込んだ鬼柳は、カッと目を見開く。

 今まで無表情であっただけに、そこからは余程の驚愕が垣間見えた。

 

 

 

 

 

 

 引いたカードは、《DT(ダークチューナー) ナイトメア・ハンド》

 

 

 

 

 

 

「ク、クク……」

 

 

 

 

 驚きを露わにしたかと思いきや、突然、笑いを堪える鬼柳。

 何がそんなにおかしいのか、少年も、そしてデュエルを観戦していた瑠璃も訝しげな表情で鬼柳を見る。

 

 

 

 

「ク、クク、ハハ、ハハハハ……」

 

 その笑いはどことなく乾いており、かつ自嘲しているようにも見えた。

 そのドローしたカードは、鬼柳にとっては、拭い難い罪の記憶を象徴するカードの一枚であったのだから。

 

「……どうしたのさ、いきなり笑いだして。狙いのカードを引けなくて、自暴自棄になっちゃった?」

 

「ハ、ハハ……自暴自棄、か。確かに、この状況でこんなカードを引いちまうとは……自暴自棄にもなりたくなる」

 

 今まで無表情であった鬼柳が初めて見せたその笑みは、とても乾いていた。少年の言う通り、彼の心は文字通り『自暴自棄』になっているのかもしれない。

 

「……どうやら、どうあってもデュエルは、オレを離しちゃくれないらしい」

 

 『バレット&カートリッジ』の効果でドローした『ナイトメア・ハンド』を再び見つめ、鬼柳は自嘲するように呟く。心から笑っているわけではない、ここまで来たら最早笑うしかない、といった感じのものだった。

 

「魔法カード『戦士の生還』を発動。墓地の戦士族モンスター1体を選択し、手札に加える。オレは墓地の『インフェルニティ・ドワーフ』を選択し、手札に加える」

 

 元から手札にあった魔法カードを発動し、墓地のモンスターを鬼柳は手札に加える。

 ならば、と少年と瑠璃は、鬼柳の引いたカードに注目する。

 今まで無表情だった男を、あれほどまでに乾いた笑いに誘ったカード……それが気になったからだ。

 

「そして、『バレット&カートリッジ』の効果で墓地に送ったモンスターカード『馬頭鬼』の効果発動。このカードを除外し、墓地のアンデット族モンスター一体を特殊召喚する。オレは、墓地から『ダブル・コストン』を特殊召喚する」

 

《ダブルコストン》

効果モンスター

☆4/闇属性/アンデット族/攻1700/守1650

 

 『バレット&カートリッジ』の効果により墓地に送られたモンスターの効果により、更に同じカードの効果で墓地に送られたモンスターがフィールドに出て来る。

 二つの黒い怨霊のようなモンスターが姿を現した。

 

「そのモンスターは、一回で二体分のリリース素材にできるモンスター。……という事は……」

 

 フィールドに出てきた『ダブルコストン』を見て呟いた後、少年は顔を見上げて鬼柳がドローしたカードを見つめる。

 態々二体分のリリースにできるモンスターを特殊召喚した。

 それはつまり――――。

 

 

 

「『ダブルコストン』を二体分のリリース素材とし、手札から『DT ナイトメアハンド』をアドバンス召喚!」

 

DT(ダークチューナー) ナイトメア・ハンド》

効果モンスター(ダークチューナー)

☆10/闇属性/戦士族/攻0/守0

 

 特殊召喚された『ダブルコストン』がリリースされ、新たなモンスターが現れる。

 

 

 

 

「レベル10……攻守0!?」

 

 そのモンスターを見て驚く瑠璃。

 態々二体分のコストとできるモンスターをリリースして召喚したにしては、そのモンスターあまりにもステータスが貧弱すぎた。

 レベルが10であるにも関わらず、攻守ともに0。

 

「……態々攻守0のモンスターをアドバンス召喚までして、そのモンスターに何か意味あんの?」

 

 態々レベル10であるにも関わらず、攻守が0のモンスターをアドバンス召喚した鬼柳に、さしもの少年も訝し気な視線を送る。

 鬼柳の意図が、少年にも、そして瑠璃にも図りかねていた。

 

 

「『ナイトメア・ハンド』の召喚に成功した時、手札からレベル2以下のモンスターを特殊召喚できる」

 

 

「……レベル2以下?」

 

 やけに範囲の狭い特殊召喚能力を持ったモンスターだ、と少年は訝しげな顔のままそう思う。少なくとも、この効果の為に『戦士の生還』で『インフェルニティ・ドワーフ』を手札に加えた、というのは理解できた。

 

「手札から『インフェルニティ・ドワーフ』を特殊召喚!」

 

《インフェルニティ・ドワーフ》

効果モンスター

☆2/闇属性/戦士族/攻800/守500

 

 炎を纏った斧を構えながら、髭を生やした低身長の男が現れる。

 

 

「レベル2の『インフェルニティ・ドワーフ』に、レベル10のダークチューナー『ナイトメア・ハンド』を()()()()()()()()()

 

 

「……ダーク……?」

「……チューニング?」

 

 

 ダークチューニング……更なる知らない単語に少年と瑠璃は混乱するばかりであった。

 先ほど見たシンクロ召喚により、チューニングという行為が何を意味するのかはおぼろげながら理解できていた二人であったが、ここに来て『ダークチューニング』というこれまた意味の分からない単語が出てきたのである。

 

 

『■、■■■、■■■■ッ!!!』

 

 

 不気味な声を発した『ナイトメア・ハンド』が体を広げると同時、『ナイトメア・ハンド』の身体から闇の瘴気が広がってゆき、更にそこから10個の(レベル)が飛び出す。

 

『ウオ、オ”、ォ”……』

 

 その闇の瘴気は、傍にいた『インフェルニティ・ドワーフ』へと迫り、その闇の瘴気に、『インフェルニティ・ドワーフ』が苦しそうに呻きながらその闇へと飲み込まれてしまう。

 闇の飲み込まれた『インフェルニティ・ドワーフ』を囲む、10個の星が、一斉にドワーフの身体に突き刺さった。

 

『ウ”ア”ア”、ア”、ア”ッ、う”ぅ”ア”ァッ!!!!!』

 

 10個の星は『インフェルニティ・ドワーフ』の身体を侵食し、やがてドワーフの体内の二つの星と打ち消し合う。

 

 

「な、何が起こってるの……?」

 

 その光景を、瑠璃は顔を青ざめながら見守る。

 闇の瘴気による球体で中の様子こそ見えないが、中から聞こえてくる『インフェルニティ・ドワーフ』の悲鳴らしき声から、頭の中で余計な想像を掻き立てられてしまう。

 ――――一体、あの中で何が起こっているのだ?

 

 

「漆黒の帳降りし時、冥府の瞳は開かれる……舞い降りろ闇よ ダークシンクロ……ッ!」

 

 

 ダークシンクロ……幾ばか苦しそうに胸を抑えながら、鬼柳は口上を喋る。

 それに呼応するように、『インフェルニティ・ドワーフ』の身体が砕け散り、闇に染まった八つの星が稲妻のような物を発しながら、列を為して回転する。

 

 やがて、闇の球体は大きくなる、まるで卵が孵化するように、その闇は広がっていく。

 

 次に見えたのは、大量の瞳だった。

 ボツ、ボツ、ボツと闇の中を、紫色の瞳が列を為して開かれ、やがてその開かれた大量の瞳に沿うかのように、影が顕になる。

 そして、その影の胸の部分の、大きな瞳が最後に開かれると同時。

 

 闇は晴れる。

 そして――――

 

 

 

「出でよ! レベル(マイナス)8! ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン!」

 

 

 闇の中より出でし百眼の龍が、復活の雄たけびを上げた。

 

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