鉄仮面の少女と穏やかな日常。   作:古路 東

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備えあれば憂いなし、いつも憂いだけど。

それからハグリッドから色々訊いた。

私には一人、兄が居て、その兄は何が何やら分からなかったが、兎に角色々凄いらしい。

まぁ、私にはそう関係のない事だろう。

数年も離れていて、はい私が貴女の兄です。なんて、反吐が出る。

取り敢えず頷きつつ、これから行く場所の事なんかを訊いた。

何でも、入学する為に色々と準備せねば成らないらしい。

 

面倒ね。

 

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オートバイから降りてからはスムーズだった。

漏れ鍋とか言う雑多なパブを抜け、隅っこの扉をゴンゴンと開けるだけ。

其の手順を踏めば、ほら簡単。

ダイアゴン横丁に到着だ。

「ここが、ダイアゴン横丁?随分と…不思議なところ」

 

「あぁ、そうさ、凄いだろう?マグルの世界にはこんな所ないだろう」

 

声の明るさが上がった。

あぁ、でも、そのせいで何だか冷めてしまったわ。

 

「ごめんなさいね。生憎、私は教会から出た事なんてほんの数回しかなくて。」

 

悪態を吐く様にそう言えば、彼は戸惑ったように目を開く。

 

「私、さっき教えて貰ったから一人で行けるわ、ハグリッドは私に説明していない所に行ってきてくれるかしら?私、一人で回りたいの。」

 

冷たいトーンで言い放ち、小首を傾げ、問う。ニンゲンだった頃によく来てくれたお爺様にこうすれば、忽ちいい笑顔になったから。

 

「あ、あぁ、良いだろう。んじゃあー、これ。」

 

何よ、そんなに狼狽えて。レディに向かって…。渡されたのは金貨がずっしりと入れられた皮袋。一応基礎教養としてシスターに教えられてはいるから、お買い物も出来る。

 

「ありがとう、行ってくるわね。全部買い終わったら漏れ鍋の扉の前に居るわ。」

 

表情一つ変えずに、そう言えば、さっさと歩いて人混みに紛れて消えてやる。異端の者になんか手を貸させてやるものか。

 

「本当に、大丈夫か…?」

 

 

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「えっ、と…」

アレから少しの間、人の波に押されていたのだが、ようやく抜け出せた。

煉瓦の壁に背を持たれつつ、ぺらり、とメモ用紙を捲る。

【衣類】

普段着のローブ三着(黒)

普段着の三角帽(黒)一個 昼用

安全手袋(ドラゴンの革またはそれに類するもの)一組

冬用マント一着(黒、銀ボタン)

衣類には名前をつけておくこと

 

【書物】

「変身術入門」、「魔法薬調合法」、「闇の力ーーー護身術入門」

「魔法史」、「薬草ときのこ千種」、「基本呪文集・1学年用」

「魔法論」、「幻の動物とその生息地」

 

【道具】

「真鍮製秤」「真鍮製の望遠鏡」

「ガラス製の薬瓶」or「クリスタルの薬瓶」薬瓶(何れかひとつ、)

 

 

「スズ製の大鍋」「銅の大鍋」「真ちゅうの大鍋」(スズ製標準2型1つ)

 

 

【杖】

「自分の手に馴染む杖」

【ペット】

「梟」「猫」「蟾蜍」(何れかひとつ、)

 

 

飛び込んできた文字を指でなぞり、把握すれば、跳ねる様に立ち上がり、しゃんと背を伸ばし歩き始める。窮屈な修道服ではない服は久しぶり過ぎて、なんだか逆に戸惑ってしまう。

目に映る景色は異色で、穢れある物も何もかもがごった返している、まるで異国の様な、目眩を覚える程の情報量を含んだ液体の様に、脳内を侵食していく。目が回る。楽しいと思ってしまう。

 

あぁ、全く、嫌になる!




2019/4/6
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