デンドロ傀儡師伝   作:カオスセイバー

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2話 人形ギルド

 問題なく人形ギルドに着いた後はそのままジョブクリスタルに触れると現在就けるジョブの一覧が表示されそのまま【傀儡師(マリオネッター)】を選択して【傀儡師】に就く。

 ステータスにてジョブに就いているのを確認するとレベルは1になっていたのでついでに【人形師】にも就いてサブに回し少しでもステータスを上げておく。

 とりあえず〈Infinite Dendrogram〉の【傀儡師】がどんなものか確認しないとリアルとの違いによってはジョブ構成は別にして傀儡はジョブ無しの片手間な感じでもいいだろう。

「お前さん、ちょっといいかの?」

「えっと、俺ですか?」

「そうじゃよ。お前さんじゃ」

 呼ばれたらしく振り向いてみると杖を持ったお爺さんがいた。

「お前さん今、【傀儡師】に成ったばかりだろう」

「そうですが何か?」

 今から実際に傀儡を動そうと思っていた所に水を指されて少し言葉に棘がふくまれているが勘弁してほしい。

「何、儂は【魔導傀儡師(マリオネットウィザード)】のジョン・レグイザモじゃ。

 お前さんは中々見所が有りそうじゃから儂が師匠として色々教えてやろう思ってな、どうじゃ弟子にならんか?」

「よく俺が【傀儡師】に成り立てだってわかったな」

「これでも【傀儡師】になってウン十年で何人も弟子にしとるからな、それにそんなに楽しそうにジョブクリスタルに触れるのはだいたい上位のジョブになるか初めてのジョブのどっちかじゃ」

 お爺さんもといジョンさんの指摘にそんなものかと思いながら弟子入りについて考えてみる。

 思うにこれはジョブ毎にあるチュートリアルなのではないだろうか。見たところジョンさんはかなり出来る感じがするし行きなりそんなレベルの高そうな人が絡んで来るならそうに違いない。

 発売されたばかりのこのゲームにはまだ攻略サイトもない現状チュートリアルをしないと分からない情報もあるだろうから受けた方がいいかも知れない。

「分かりました、俺はマリオ・ネット。ジョンさん、俺を弟子にしてください」

「よかろう。それと儂のことは師匠と呼ぶように、では付いてこい」

「はい、師匠」

 

 ◇

 

 ジョンさん改め師匠に連れて着いた場所は同じ人形ギルドの中にある体育館の様な場所だった。体育館と違いを挙げるなら床が板ではなく地面であることと壁際に弓道に使う的みたいなものがあることだろう。

「早速じゃが、【傀儡師】について教えてやろう」

「よろしくお願いいたします師匠」

「ではまず前提として【傀儡師】は傀儡を使って戦う戦闘系のジョブであるのじゃがマリオは操り人形を使ったことがあるかの?」

 師匠は腰のポーチ型のアイテムボックスからリアルにもありそうな一般的な木の操り人形を取りだしこちらに差し出してきた。

「はい、あります」

 そう言って俺は差し出された人形を受け取り十字に交差した木片から伸びた糸を取りゆっくりと動かしていく。〈Infinite Dendrogram〉のアバターでは初めて人形を動かしたが感覚的にはリアルより少し動きが鈍く駄目とまでは言わないが思った様に動かせない。これは〈Infinite Dendrogram〉のゲームとしての限界なのかそれとも今のステータスよりもリアルのステータスが高い為上手く動かないからなのか後者ならレベルを上げれば解決するかもしれないが前者だったら妥協すべきか……。

「マリオもうよいぞ」

「あ、はい」

 考えながら人形を動かしていたら師匠からストップがかかったので動きを止める。

「お主中々の腕じゃのう。とてもジョブに就いたばかりとはおもえんわい」

「一応向こうの世界でも少し嗜んではいました」

「少し嗜んだだけでそれだけ出来るもんか。過ぎた謙遜はもはや嫌味じゃわい。

 まぁ、出来る分にはよしとするとしてお主は【傀儡師】についはどれ程知っとるかの」

「まったく知りません!」

「バカもん。見栄を張って嘘を言うよりましじゃが威張って言うことじゃないわい」

 はっきり答えたら怒られた。解せぬ。

「【傀儡師】とは特殊装備品である傀儡を使い戦うジョブじゃな。ステータスはDEXとMPがメインで後は程々じゃな。取り敢えず実演してやるから見ておくがよい」

 そう言って先程人形を取り出したポーチとは別の腕輪型のアイテムボックスらしきものから一体の人形を取り出した。

「……綺麗」

「そうじゃろう」

 取り出された人形は先程の物とは違い高さ百七十センチ程のマネキンみたいで赤い髪と赤い瞳、凛とした表情は額にある赤い宝石と球体関節で無ければ一目では人であると判断してしまいそうだ。

「こやつは昔儂が遺跡で発見した未完成の煌玉人【紅榴の炎繰者(ガーネット・マニュピレイター)】じゃ。

 【傀儡師】が使う専用の物ではないが性能はピカイチじゃ、と話が逸れたが【傀儡師】はスキル《傀儡繰糸》を使い人形を動かすのじゃ。このようにな」

 師匠のそれぞれの指から半透明の糸状の何かが伸びると【紅榴の炎繰者】に接続される。

『コンニチハ』

「うおっ‼ 喋った」

 喋るとは思っていなかった俺は多いに驚いたが【紅榴の炎繰者】はそんなことは気にもせずカタコトの挨拶の後に丁寧な動作でお辞儀をする。その動きは自然で淀みない。

「普通の傀儡人形は喋らんがこやつみたいに発声装置があるとそいつを起動させれば話すことも出来るぞ。

 そして【傀儡師】系統の《傀儡繰糸》と並ぶもう一つの代表的なスキル《技能再現》じゃがこのスキルは自身が使えるアクティブスキルを人形に行使させることも出来るスキルで【傀儡師】は基本メインに【傀儡師】系統でサブに他の戦闘系を入れて戦うジョブじゃな」

 今までの説明と実際に師匠が動かすのを見て俺は昔の忍者マンガのMA○UTOの傀儡の術に近いと思った。

「実際にマリオにもやって貰おうかの、ほれ」

 そう言って師匠は先程操り人形を取り出したアイテムボックスからマネキンの様な人形を取り出した。

 取り出された人形は手入れはしっかりとしてあるがあちこち傷のある年季のある人形だった。

「そいつは練習用の人形じゃがレベル五十以下で使う分には問題ないからそいつで慣らしてから人形を買えばよかろう」

「はい、ありがとうございます師匠」

 さっそく俺は人形を動かしてみようと両手を前にだす。

「おい、どうしたのじゃ?」

 両手を前出して十数秒程俺が動かないのを見て師匠が不振がって俺に声をかける。

 それに対して俺は真剣な顔で言った。

「師匠、糸が出ません」

 俺の発言に師匠はずっこけた。

「あいたたた、すまんうっかりしとったがスキルは声に出せば発動するぞ」

「《傀儡繰糸》」

 後で聞いてみたが慣れて感覚を覚えたら言わなくても発動出来るらしい。

 俺のそれぞれの指から師匠と同じ様に半透明の糸が伸びて行き人形に接続される。

「うわっ、結構難いぞ」

 糸が接続された時点で大体の動かし方がイメージ出来たので取り敢えず右手を挙げ様としたら人形はバランスを崩し倒れてしまう。その後も立たせようと悪戦苦闘しながら動かすがもがくだけで上手く立ち上がらなかった。

 五分位した所で急な倦怠感と共に糸が消え人形が動かなくなってしまう。

「あれ、はぁ……なんで……はぁ」

「MP切れじゃな、ステータスを見てみ」

 言われてステータスを見てみるとMPの数値が零になっていた。

「《傀儡繰糸》はMPを常時消費して発動しておるからMPが枯渇すると自動的に消えてしまい更に命に関わる。

 それとこれを使え」

「おっと」

「MPポーションじゃ。使うが良い」

 渡されたガラスの瓶の中身を飲むと少しずつだがMPが増えていくのがステータスから読み取れた。

「さっきは敢えて止めなかったが今後は自らのMP量をしっかりと把握してスキルを使うのじゃぞ」

 確かに簡単な演劇ならまだしも戦闘や動きの早い演劇中にステータスを見ながらでの操作は厳しいだろう。

「では、MPが回復しだい練習を再開せい」

「はい師匠」

 余談だかしっかりと人形を動かせる様になるまで十回程MP切れ気絶したがそれでも師匠はかなり早い方だと言われた。

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