デンドロ傀儡師伝   作:カオスセイバー

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 待っている人がいるとは思えませんが一応言い訳。データが一度飛んで意気消沈してました。
 許してね。


4話 一狩り行こうぜ 師匠編

 □【闘士】マリオ・ネット

 

 人形ギルドに戻って来た。

 あの後フィガロにボコボコにされ(被害妄想)更にグラデさんが合気道の投げ技を見て面白い技だなと模擬戦を強制されボコボコにされた(被害妄re)。

 だがボコボコにされた(被害re)お陰でフィガロの時に《剣技能》と《回避》をグラデさんにはボコボコにされた(被re)後で《スラッシュ》と《バッシュ》を教えて貰い《バッシュ》のみ習得出来た。

 習得したスキルの効果は《剣技能》と《回避》はそれぞれ剣を装備した時に与ダメージ上昇と回避行動中にAGI上昇で共通してモーションアシストというか大雑把にどう動けばいいのかが頭に浮かぶ。

 グラデさんにこの事について聞いたがティアンも普通にあるらしく更にスキルレベルが上がればより難しい動きもアシストされるらしいが曰くアシストなく自分で動ける様になってからが一流と言うことらしい。

 プレイヤーの補助のためのアシストをNPCであるティアンも受けられることに若干(じゃっかん)の疑問を覚えながらそんなものだろうと深く考えず流す。

 《バッシュ》の方は切るのではなく叩きつける攻撃でレベル1で通常攻撃の一、一倍で説明ではそこそこのノックバック効果にSP消費も少なくクールタイムも短い使い勝手の良いスキルだ。

 そうして人形ギルドに戻って受付の人に師匠の場所を聞いて訓練場に移動する。

「師匠、只今戻りました」

「うむ、ご苦労」

 訓練場の隅に少し寂しそうに座っていた師匠にこえをかけると鷹揚に頷かれた。

 そういえばゲーム内で一週間以上この訓練場で傀儡の練習をしていたがこの場所を他の人が使っているのを見たことがないが今の師匠の寂しそうな表情と関係あるのだろうか? もしかしたら時期的に新人が入ってこないという可能性もあるかもしれないが。

「マリオよ、戻って来てそうそうじゃがお主に問題がなければ今から街の外に出て傀儡を使った実戦を行おうと思うのじゃが良いか」

「すみません師匠。

 一度向こう側に戻らなければいけないので三十分から一時間程待って貰えないでしょうか」

 戻って来て早々に次の訓練が始まりそうだが少し前からシステムアナウンスで尿意の警告が出ていて報告だけして一度向こうに戻る予定だったので師匠に断りを入れる。

「マスターは別の世界に飛ばされる存在じゃったな。

 儂はまだここにおるから戻ってきたら街の外に行くとしよう。ああ、それと闘技場で【闘士】のジョブを取ったと思うが戻ってきたら【傀儡師】に戻しておくように」

「了解です、師匠」

 そう言って俺はログアウトした。

 

 

 ◇

 

 

 リアルでの用事を済ましてゲームに戻りジョブを変更して師匠と霊都アムニールを出て近くの森に出た。今ここ。

 アムニールを出て直ぐは整備された街道を歩いていたが然程もしない内に街道をそれて森の中に入っていった。

 途中師匠から森の中歩く注意点等いくつか教わったがその中に一つ面白い物があった。

 アクシデントサークル。

 レジェンダリア固有の自然現象で自然魔力が一定以上の濃度に達すると自然そのものがランダムに魔法を発動させてしまう現象だ。

 多少の水やそよ風位なら問題ないが火や攻撃魔法が出てくればただでは済まないだろう。

 しかし、レジェンダリアの街や村などには自然魔力を吸収、あるいは拡散する設備があるため発生しないけれど、街の外では起こり得るが今回師匠は周囲の自然魔力を拡散させるアクセサリーを付けていて少なくとも今回の外出でアクシデントサークルが起こることはないだろう。

「ここらへんで良かろう」

 そうやって暫く師匠から講義を受けながら歩いていると開けた広場の様な場所に出た。

「では今から【傀儡師】の実戦訓練を行う」

 そう言って師匠はアイテムボックスから人形を一体とお灸の様な物を取り出した。

 お灸は緑色で小皿の上に乗っており師匠はそれに火を付けて無造作に地面に置く。

 人形の方はこの間見せて貰った【紅榴の炎繰者(ガーネット・マニュピレイター)】ではなく別の人形だ。

 木で出来たその人形は俺が師匠から貰った人形よりも洗練されているのが一目で分かる。

 俺の練習用の人形は簡素で何も着ておらず顔にも何も掘っていないのっぺらぼうなのにに対して師匠の取り出した人形はローブの様な服を着てしっかりと顔が掘ってあり目も絵ではなくガラス玉の様な物が入っている。

 更に使われている木材も練習用の人形と比べて艶があり頑丈そうで何故か両手だけが別の木材に手の甲に赤い宝石がセットされている。

「今置いたこの香はじゃの効果は低いが周囲の低レベルのゴブリンを引き寄せる匂いを出すアイテムで匂い自体ゆっくりとじゃが広がり少しずつゴブリンをおびき寄せて実戦訓練を積むのに使われるアイテムじゃの」

 つまりお灸の方はテ〇ルズシリーズのダークボ〇ルのゴブリン版みたいなアイテムということだろう。

「所で師匠、そちらの傀儡人形は?」

「こいつは【傀儡人形ウィザードロイドNo24チャーリー】じゃな。

 儂のジョブ【魔導傀儡師(マリオネットウィザード)】用に調整された傀儡人形じゃな」

 師匠の説明によるとこの【傀儡人形ウィザードロイドNo24チャーリー】こと通称チャーリーは【魔導傀儡師】が使う戦闘用傀儡人形で腕の部分が杖としての機能を持つのでそれように別の木材が使われている。No24は改造や調整、新規の作り直し等々師匠がいままでにオーダーメイドした傀儡人形がチャーリーで二十四代目ということらしい。

 ちなみこの間見せてもらった【紅榴の炎繰者】を使わないのかと聞いてみればあれは【傀儡師】が使う専用の人形でないこともあり性能は高いがメンテナンスや修理が大変なこともあり基本的に切り札扱いで普段はチャーリーを使っているのだそうだ。

「うむ、そろそろじゃな」

 師匠はそう言ってスキル《傀儡繰糸》を発動してチャーリーを起動すると同時に頭上に【リトルゴブリン】と表示されたモンスターが一体茂みからでてきた。

 その後、師匠が何度か戦いながら傀儡師の戦い方についてレクチャーを受ける。

「ではそろそろおぬしも一度戦ってみよ」

「了解です、師匠」

 同時に現れた五体のモンスターを軽くあしらった師匠に言われてアイテムボックスから人形を取り出し《傀儡操糸》を使い人形を起動させる。

 俺の使う人形は師匠に最初に貰った初心者用のもので代々受け継がれているのか年季が入っておりあちこちに補修の後が見受けられる。その両手にはそれぞれ剣と盾が装備されている。

 ちなみにこの装備も先程ギルドを出る前に師匠から渡された初心者用の装備である。

「キキッ」

 起動した人形に素振りをさせたり調子をみていると早速【リトルゴブリン】が出てきたの人形を動かして対峙する。

 人形を【リトルゴブリン】の正面に配置して俺自身はその後ろに半身を隠す位置に立ち相手が常に見える状態にする。

「ギャー」

 こちらの存在に気づいた【リトルゴブリン】が声を挙げて威嚇しながら手に持ったナイフを掲げてこちらに走って来る。

 それに対し俺は人形を操り剣の柄を盾にぶつけて音を出して注意を人形の方に向けるよう仕掛ける。

 これは師匠が先程複数のゴブリンと戦う時に音鳴らしたり不思議な踊り(MPは減ってなかった)で注意を引き付けていたのできっとこのリアルなゲームではスキルがなくともヘイトを集められるのだろう。

 後で聞いたが踊りの方はヘイトを人形集めるスキルだった。

 そうこうしているうちに【リトルゴブリン】が人形に攻撃し始めたので取り敢えず盾で防がせながら合間に剣を振らせていくが体が小さくそれなりに動きが早いせいかそれとも俺の操作が甘いせいかそれなりに防御は出来ているがなかなか攻撃が決まらない。

 このままでは埒が明かないので防御はしっかりとした上で敢えて注意を惹くように大振りで剣を振らせて【リトルゴブリン】の注意を人形に引き付けて俺はゆっくりと立ち位置を変えていく。

 そして【リトルゴブリン】の斜め後方に陣取ると人形に一際大振りかつ俺自身のいる方向に避けるよう剣を振らせる。

「後ろからストンピング‼」

 こちら一切気づいていない【リトルゴブリン】は人形の攻撃を避けた瞬間にこちらが発した奇声に驚き硬直したところを後ろから踏みつけてそのまま押さえつける。

 そしてギャーギャー喚くのを無視して俺は人形の剣を首に突き刺して止めをさし【リトルゴブリン】を光の塵に変え後には装備していたナイフだけが残った。

「師匠、終わりました」

 追加のモンスターが来ないことを確認してドロップされたアイテムを拾い師匠の下に向かうと何故かため息をつかれた。解せぬ。

「マリオよ。【傀儡師】は人形を操り戦う性質上STRやENDが他のジョブよりも上りにくいと説明したな」

 それから師匠に今回の戦闘にダメ出しされた。

 曰くただでさえ【傀儡師】はSTRやENDが上りにくい上に装備もしっかりと整えておらず合計レベル三の状態で人形を操ったままモンスターに接近して戦う等不死であるマスターであっても危険であるということを十分位かけてこんこん説明された。

 確かに初めての戦闘で気が高ぶっていたのかもしれない。防御して攻撃する地味な戦いかたに焦れて奇策に走ってしまったし闘技場で覚えた《バッシュ》も使わなかったなど抜けている所もありこれでは怒られても仕方ないだろう。

 ダメ出しを受けている間も何度かモンスターが現れたがそのことごとくは片手間に師匠の操るチャーリーに瞬殺された。

「今回はこのくらいにしておくが気を付けるようにの。

 それじゃあ訓練つづけるかのう」

「了解しました、師匠」

 そして師匠に見守られながらアイテムの効果が切れるまでモンスターと戦い続けた。


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