デンドロ傀儡師伝   作:カオスセイバー

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5話 一狩行こうぜ パーティー編1

 師匠と森での訓練からゲーム内で四日がたった。

 この四日間俺はずっとデンドロの中にいた。

 通常なら不可能だがデンドロ内で六時間睡眠を取ったならリアルで二時間寝たのと同じ状態になるらしく片腕を無くして自宅療養(一人暮らし)なのもあって食事とトイレ以外はずっとデンドロにログインしっぱなしだったのだ。

 その間にしたことは先ず最初の一日目は他のプレイヤーと一緒にパーティーを組みレベル上げをして次の日はレベル上げの途中で人形の耐久度を回復させる手段が無いことに気付き師匠に相談した所【人形師(パペッター)】のスキルに《緊急修繕(エマージェンシーリペア)》という特定のアイテムを使って耐久度をある程度まで回復出来るスキルがあるとのことなのでそのスキルの習得に一日かかった。

 習得方法はひたすら人形のパーツに傷を付けて修繕するの繰り返しで朝から初めて十時間程で習得出来た。

 三日目は闘技場に行き一日戦闘について指導してもらった。

 今回は剣以外の槍や弓、斧等色々な武器の扱いを指導して貰い訓練用のホムンクルスと戦ったりもした。

 ホムンクルスは【錬金術師】が作る人型モンスターで訓練用のホムンクルスは召喚した相手に襲い掛かる仕様で他にも一時間で光の塵へとなる。

 三日目が終わって合計レベルは一九で内訳は【傀儡師】が一一、【人形師】が三、【闘士(グラディエーター)】が五である。

 

 

 

 

 □霊都アムニール近郊 【傀儡師(マリオネッター)】マリオ・ネット

 

 

 そして今日は師匠との訓練の次の日に一緒にレベル上げをしたメンバーでそれぞれクエストを受けて移動中である。

「ウェイン、そっちはまだ時間かかるの!」

「もうちょっと!!」

「コリエシュート」

 現在森の中で【ゴブリン】の集団と遭遇して交戦中である。

 その数は十二でこちらの人数の倍いるため苦戦を強いられている。

 突然だがここで自分たちより多数いるゴブリンの集団と戦うイカれたメンバーを紹介しよう。

 先ずは俺ことマリオ・ネット。

 【傀儡師】で剣と盾を装備した人形で防御主体で戦っているぜ。ちなみに最初に「ウェイン~」と言っているのも俺だ。

 次に俺が呼びかけたウェインことサー・ウェインだ。

 彼は【剣士(ソードマン)】で【日聖剣 ガラディーン】という剣のエンブリオでメンバーの中で一番のダメージとして頑張っているぜ。ただし、その分被弾が多いがな。

 三番目は「コリエシュート」と言った危ない彼はダイ・フラ。本当はDrei Uhrと書くらしいが音的には一緒だから気にするな。ちなみに名前の意味はドイツ語で三時を意味する。

 彼のジョブは【格闘家(グラップラー)】でサブジョブに【料理人(コック)】をつけている。ここまで来れば分かるだろうが彼は某海賊漫画のファンで好きなキャラのロールプレイをしていて戦闘は蹴りだけで例えゴブリン相手でも性別女性と分かれば蹴らなかった時は呆れを通りこして尊敬の念を覚えた。

 今は後衛の女子二人の護衛として抜けたゴブリンのオスを相手取っている。

 エンブリオについては戦闘用ではないので後で説明しよう。

 四番目はパセリ。

 彼女はなんとウェインの現実世界で幼馴染みらしい。言葉の端々に彼に対する好意が伺える。ウェイン爆発しろ。

 ただしウェインはなんと鈍感系のようで彼女の好意に気づいてない模様。

 そんな彼女は【司祭(プリースト)】として主にウェインの回復を担当している。

 エンブリオは【運搬木馬 トロイ】と言って木で出来た馬のエンブリオで輸送特化のチャリオットなので戦闘ではなくパセリの盾扱いだ。

 最後はブリーザと彼女のガードナーの【微風妖精 シルフィード】ことシルフィだ。

 ブリーザは【従魔師(テイマー)】で相方のシルフィをスキルで強化して戦うぞ。

 シルフィは微風妖精の名前通り風魔法を使って後ろから援護してくれている。

 この五人と一体で戦っているが実はそこそこ余裕があったりする。

 正面から戦えば数の少ないこちらが不利だが前もって自分たちよりも多くのモンスターと遭遇して戦うときの作戦を練っていたのもあり楽勝とはいかないがこのまま行けば被害なく倒せそうだ。

「マリオさん。殲滅完了二匹追加お願いします」

 パセリから報告を聞き足止めしていた【ゴブリン】の内二体をウェイン達がいる方に誘導して残りをまた足止めする。

 俺達の作戦は俺がモンスターを足止めしてその内の二匹位をウェイン達の方に送りだし倒したらまた送り出すの繰り返しである。

 火力があるウェインにモンスターを倒させパセリが回復、ブリーザとシルフィは後ろから風魔法による妨害とダメージをダイ・フラには俺を抜いて後衛に近づくモンスターの処理をして貰い全体で囲まれないように下がりながら戦闘している。

 多くのモンスターを相手取る関係で俺に結構負担がかかっているが積極的に倒す必要はなく防御に徹しながら囲まれないように下がっているので大丈夫だし後ろからブリーザのシルフィから魔法による援護もありどうにかなっている。

 とは言えこれも俺が【傀儡師】で戦っているのがある程度ダメージを無視して戦える人形だからというのも大きいだろう。普通の戦闘系のジョブで戦っていたら恐らく回復が間に合わなかっただろう。

 それでも人形の耐久値はかなり減っている。《緊急修繕》のスキルを手に入れ人形の回復手段があるとはいえこのスキルは非戦闘時に工房や施設以外の場所でアイテム使いある程度耐久値を回復させるスキルなので気を付けないと気づいたら破損なんてこともあるだろう。

 となんやかんやで苦戦はしたものの誰一人死亡することなく戦闘は終わり近くにあった開けた場所で休憩している。

 このリアルなゲームは休憩中の奇襲はよくあることだから気を抜きすぎないよう師匠にも口酸っぱく言われたがここでまだ紹介していないダイ・フラのエンブリオ【簡易竈 ヘスティア】の出番である。

 このエンブリオはTypeキャッスルで建物、この場合は竈のエンブリオでスキルに一定範囲内の戦闘行為の無効化と敵意ある生き物が近寄り難くなる効果があるため俺たちは思い思いに休憩を取っている。

「さっきのはヤバかったわね」

「そうですねパセリちゃん。こっちより数が多い強そうなゴブリンを見たとき駄目かと思いました」

「そうよね正直マリオさんがいたから生き残れたって感じはあるよね」

「おい、パセリ。ほとんど倒したのは俺なんだから俺を誉めてもいいんじゃないか」

「うっさいわねバカ。

 マリオさんが足止めしてたから安全に戦えてたんだからあんたももっとマリオさんに感謝しなさいよバカ」

「バカって言った方がバカなんだぞバーカ、バーカ」

「なんですって!?」

 スキルを使い人形の耐久値を回復させている横でウェインとパセリの二人が騒いでいるが前回パーティーをを組んだ時もこんな感じだったのでリアルでもこんな感じなのだろう。

 仲の良い友人はいたが幼馴染的な存在はいなかったのでちょっと羨ましい。

「マリオさん、何してるんですか?」

「装備の手入れだね。それよりあっちは放っておいていいの」

 じゃれあっている二人を見つめながら装備のの手入れをしているとパセリと話していたブリーザがこっちによってきた。

「あの二人の邪魔をするのはどうかなと思って。

 それよりデンドロって変な所凝ってますよね。今のマリオさんみたいに装備の手入れだったり移動も基本的徒歩で下手したら移動だけでゲームが終わっちゃいそうだったりしますもん」

「確かにデンドロはリアルだけどこのゲームはそれが売りだし少し位の不便は仕方ないね」

 移動に関してはネットに載っていた情報では現時点では騎乗出来るガードナーかチャリオットでなければ長距離の移動はキツイらしく空に至っては飛行能力があるエンブリオで飛行していたらドラゴンに撃墜された話が上がっていたりする。何それ物騒。

「マ、マリオさん左手」

 唐突にブリーザが焦った様な声をあげたので見てみれば左手の甲に付いたエンブリオの卵が輝いていた。

 どうでもいいがエンブリオの孵化はゲーム内時間で二、三時間位長くても一日もあれば第一形態へ進化するらしいが俺はリアル時間でも四日ちょっとゲーム内でなら二週間近く立っており正直進化しないバグなのじゃないかと思い始めたところだった。

 そして光が収まると左手には髪の長い乙女と糸車の形をした紋章があった。

「マリオどんなエンブリオなんだ」

「ちょっとウェイン失礼じゃない」

 さっきまで言い争っていた二人も他人のエンブリオの孵化が気になるのかこちらにやって来る。

「まぁ、待て。

 今から確認するから」

 俺はステータス画面から〈エンブリオ〉を選択してウィンドウを表示させる。

 

 

 

 【運命乙女モイライ】

 

 TYPE:メイデンWithテリトリー

 

ステータス補正

 

 HP補正:E

 MP補正:E

 SP補正:E

 STR補正:G

 END補正:G

 DEX補正:D

 AGI補正:E

 LUC補正:G

 

 『保有スキル』

 《命で紡ぐ糸(クロートー)》Lv1 パッシブスキル

 常時自身のHPとMPとSPの上限の1割を吸収し貯蓄する。

 また保有するHPとMPとSPを指定した数値分をスキルに投入可能。

 

 《命の糸で踊りなさい(ラケシス)》Lv1 アクティブスキル

 《命で紡ぐ糸(クロートー)》で貯めたHPとMPとSPを人形一体に注ぎ非人型範疇生物にする。

 一秒に付きHPとMPとSPを各一を消費しHPが零になったら元の人形に戻る。

 

「メイデンWithテリトリー?」

 効果は良く分からないがそれよりもメイデンのほうが気になる。

 チュートリアルで聞いたものとは違うようだが。

「あっ。聞いたことあります。

 確かレアなカテゴリーで少女の姿ともう一つのカテゴリーにハイブリットらしいですよ」

 自分から少女が出てくることになんとも言えない感じがするが取り敢えず呼び出してみよう。

「出てきてモイライ」

 左手を前に突き出し呼びかけると紋章から一人の少女が出て来る。

「お初目にかかります。わたくしはマスターの〈エンブリオ〉、TYPE:メイデンWithテリトリーの【運命乙女 モイライ】と申します。今後ともどうか良しなにですわ」

 その少女いやこの世界で180オーバーとリアルよりも背を高くした俺と比べても少し低い位の女性は全体的に細く体のラインがで出る確かマーメイドドレスを着ている。

「わぁ、綺麗。ねぇ、モイライさん? お姉さまって呼んでいいですか」

「うふっ。えぇ、いいですわ。お好きに呼びなさい」

 何故かパセリがいきなり俺のエンブリオをお姉さま呼びしているが背が高く顔も北欧系のカッコイイ顔だちにドレス姿は確かにお姉さまと呼びたくなる気持ちも分からなくもない。

「マスター。

 最初にお願いがありますわ。よろしくて」

 パセリの方からこちらを向いたモイライが申し出て来る。

「おう、いいぞ」

「ではマスターにわたくしの名前を付けて頂きたいですわ」

「えっ、なんで? モイライが名前じゃないの?」

 お願いを了承してみれば名付けをお願いされた。

「モイライはエンブリオとしての名前ですわ。

 それに元々モイライは三柱の女神の総称ですから出来ればわたくし自身のを表す名前が欲しいですわ」

「なるほどね、分かった考えるからちょっと待って」

「よろしいですわ」

 前にギリシャ神話の演劇をやった時に調べたことがあったがモイライはスキルにあったクロートー、ラケシスとアトロポスの三柱の女神の姉妹を合わせてモイライと呼ぶので確かに彼女自身を表す名前は必要かもしれない。

「おう、料理が出来たぜ」

 話がひと段落した所でダイ・フラが料理を持って来た。

 ミートソースのスパゲッティは中々食欲をそそる香りを醸し出している。

「所でそちらの美しいお嬢さんはも食事はいかがですか」

「はい、喜んでいただきますわ」

「ではこちらをどうぞ。それともしよければこのあと俺とデートはいかがですか」

「申し訳ございません。わたくしはマスターのエンブリオですから他の殿方との逢瀬はお断りいたしますわ」

 いきなりダイ・フラが人のエンブリオを口説いて断られている。ざまぁ。

 彼はロールプレイの一環でちょくちょく断られる前提で口説いているらしい。

 そして俺たちは回復も兼ねて皆で食事を頂いた。




 エンブリオやキャラの紹介は後書きに書くかそれように一話書くのとどっちがいいですか?
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