それと活動報告に〈UBM〉案の募集を行っていますので興味があれば見てみ頂けると嬉しいです。
□【
「そういえば俺たち何処に向かってるんだ」
食事も終わりそろそろ移動しようかというタイミングでウェインがいきなり聞いてきた。
「ウェイン、出発する前に何処に行くかは皆で話し合ったのに聞いてなかったの。バカ」
「べ、べつに只の確認だよ、パセリはいつも口煩いな」
「ウェイン「まぁ、待って」」
別に放置してもいいがダイ・フラの食事でバフが乗っているので時間がもったいないから俺が仲裁と説明を勝手でよう。
「今から行くのはもう少し先にある国有林だな」
「つまり森ってことか」
「そうだな。そこに木材を採取しに行く」
今から行くのは国内に幾つかあるレジェンダリアが管理する森の一つだ。
「木材ってこの辺にある木じゃ駄目なのか?」
「基本的に木を伐採するにはちゃんとしたギルドに所属した上で資格が無いと伐採出来ないしそれに今から取りに行くのはモンスタードロップの木材だしね」
そう今回の目的の木材は【ヤングツリートレント】のドロップアイテムの【トレントの幼木】だ。
トレント系のモンスターからドロップされる木材は質が良く魔法に対する適正が高いこともあり魔法発動用の杖に使われるらしくMPを消費して発動する《傀儡操糸》とも相性がいいらしい。
なのでそのトレント系のドロップの中でも性能は低いが作った装備に装備制限が掛からない【トレントの幼木】を使って初心者用且つ自分用の戦闘傀儡を作る材料を取りに行くのだ。製作費は師匠持ち。
そして【ヤングツリートレント】がいる場所こそが国有林で木に擬態して普段ほとんど動かないトレント系のモンスターを種類ごとにある程度一定範囲内に集めて纏めて管理して育成することでドロップの木材を需要の一定数確保しているそうだ。
今から行く【ヤングツリートレント】のいる場所はまだ弱いからいいが成長した亜竜級や純竜級とかいう強さになると管理するための【
今の知識は師匠からの受け売りだし、国有林の範囲もここ辺りまでと大雑把に決めてるある程度で今から行く場所の【ヤングツリートレント】はトレント系最弱で対策アイテムも師匠から預かっているので特に問題なかろう。
「と、言うことで問題ないかな」
「おう、分かったぜ」
「では、行こうか」
「へ?」
俺とウェインが話している間に他の皆は既に準備が出来ておりかく言う俺も何時でも出発出来る状態だ。
「ほら、早くいくわよ」
「お、おう。すぐ準備する」
パセリに言われて慌てて準備するウェイン。
準備自体はアイテムボックスに物を入れるだけなのですぐに終わるだろう。
「あの、マスター」
呼ばれて振り向くと其処には俺のエンブリオ(女性型なのでこう言うと恥ずかしいが)の【運命乙女 モイライ】が何か言いたそうにしていた。
「名前」
違った言いたそうではなく言おうとしていただった。
取り敢えず休憩中に考えた名前を告げてみることにする。
「あー、君の名前はアクロラとかどうかな」
余り自分のネーミングセンスはいいと思ってないので伺い気味に聞いてみる。
「アクロラ」
小声で俺が考えた名前を呟くと少しうつむいてから顔を上げる。
「モイライの三女神の名前からですかね」
「そうだな」
アクロラの由来はモイライの三女神アトロポス、クロートー、ラケシスの頭文字から付けた物だ。
「いい名前ですわ。これからわたくしはアクロラと名乗りますわ」
どうやら気に入ってもらえたようだ。
自分のパーソナルから生まれた存在に名前をボロクソ言われたらちょっと立ち直れなかったかもしれない。
「マリオさん、準備出来ましたよ~」
どうやらウェインの準備も終わったらしくブリーザが声をかけてきた。
「分かった行こうか、アクロラ」
「はい、マスター」
◇
それから移動して俺たちは国有林に到着した。
途中で何度か戦闘はあったりしたがそれ自体は問題無かったが別の問題が発生した。
「なぁ、マリオが迷わなかったらもっと早かったんじゃないか?」
「俺だってここに来るのは初めてなんだから仕方ないだろ」
そう道に迷ったのだ。ドヤァ。
師匠から預かった地図をインストールしたマップを見ながら移動していたのだが途中で道を間違えたらしく迷ったのだが幸い目的地のすぐ近くにまで来ていたこともありブリーザのシルフィに飛んで貰って何とか場所を確認して国有林の受付の小屋に到着した。
「じゃあ、ちょっと受付に言って来るから待ってて」
皆に一言行ってから小屋に行く。
「ごめんください」
「はーい、今行きます」
小屋の戸を叩いて声をかけると中から女性の声が聞こえてきた。
「はーい、どちら様ですか」
そう言って出てきたのは眼鏡を掛けた女性のエルフだった。
「人形ギルド所属の【傀儡師】マリオ・ネットです。
ここで【トレントの幼木】を手に入れる様に師匠から言われて来たのですが、これ紹介状です」
自己紹介をしてから師匠から預かった紹介状と思われる封筒を渡す。
「へぇ、人形ギルドの新人なんて久しぶりね」
「前は結構来てたのですか?」
「えぇ、人形ギルドのジョン・グレイザモ氏といえばスパルタで有名な人で自分が気に入った人しか弟子にしないし自分で使う人形なら自分で素材を集めてこいって初心者用の人形を持たせて何年か前はよく新人を送り込んでいたわ。あと【傀儡師】は戦闘職だとよく言い張っていたわね」
師匠がスパルタとか初めて聞いたギルド内ではあまり師匠以外と話をしないというか受付に事務員っぽい人がいる以外ほとんど人を見かけないな。
それよりも目の前のエルフさん(そういえば名前聞いてない)は気になることを言った。
「【傀儡師】って戦闘系のジョブじゃないんですか」
そう、初めてデンドロにログインした日に師匠から【傀儡師】は戦闘系のジョブと聞いたのでしっかりと動かせる様になってからは戦闘でレベルを上げていたのだが。
「そうね、厳密には戦闘系のジョブではなく【
「そうんなんですか。
ところでトレントの狩りは大丈夫ですか」
ギルドの新人は長く来ていないとか師匠の話とか色々聞いてみたいことはあるが今はパーティーで来ているので話はまた今度にしよう。
「えぇ、大丈夫よ。
五体も狩れば素材的には十分だと思うけどこの手紙には今後使うから十以上二十未満程狩るように書いてあるから頑張ってね。
それと最後に帰る前に何体倒したか報告してね。
森の管理に必要だから」
「わかりました」
許可も貰ったので皆の所に戻る。
「オッケー貰ったから今から行けるけど大丈夫?」
「「おう」」
「「はい」」
「もちろんですわ」
「♪~」
全員から返事があったので俺はアイテムボックスからモノクルを取り出す。ちなみに最後に返事をしたのはブリーザのエンブリオのシルフィだ。
「マリオさんそのアイテムは?」
「これは【看破のモノクル】というアクセサリーだね。
このアクセサリーを着けるとスキル《看破》が使えるようになるよ」
厳密には《看破》のレベルがプラス一されて汎用スキルなので使い続けるとスキルレベルが上がりそのままスキルを習得出来るそうだ。
師匠が貸してくれたアクセサリーだがかなり高価何じゃ……。
「なんに使うんだ」
「トレント系のモンスターは《擬態》っていうスキルを覚えてて普通の木に成りすまして近くを通った獲物に襲い掛かるんだ」
「つまりそのアクセサリーがあればトレントかどうか見分けられるんですね」
「その筈」
「おいおい、その筈ってどうしてだよ」
「師匠の話だと《看破》のスキルレベル一でも普通の【ヤングツリートレント】の《擬態》は見破られるらしいけどスキルの判定にスキルレベルとステータス差も考慮されるみたいだからレベル高めの奴にはスキルが効かないかもしれないから期待しすぎないように」
「そうなんですね。
それでこれから皆でモンスターを探すんですか?」
「その通り。アクセサリーが一つしかないから此処に来るまでと同じように俺が先頭でその後はウェイン、パセリ、ブリーザ、ダイ・フラの順で一塊で移動でいいかな」
皆から了承を貰って移動を開始する。
国有林の中はここに来るまでに通った森と然程代わり映えしなかった。
モンスターを探しているので皆静かだ。
「ストップ」
前もって決めていた合図を出し立ち止まる。
「居たのか」
「ああ、前方の方に一体いる」
「どれですか?」
「あれだがわかるか」
そう言って俺が指し示したのは他の木と変わらない普通の木だ。よく見れば周りの木より若い木かなと思う程度だ。
「全然わからねえな。で、このまま倒しちまうのか」
「それでもいいがモンスターの強さがわからないから一応周りを確認して他にモンスターがいない確認してからにしよう」
それから辺りを探りモンスターが他にいないの確認する。
「俺が正面から引き受けるからウェインが後ろから回ってざっぱりやってくれ」
「おう、分かった」
ウェインが移動したのを確認して俺たちも移動する。
「ダリ・フラ。モノクル貸すから最初の攻撃を頼めるか」
「任せろ」
ダイ・フラに【看破のモノクル】を渡す。
「どれがモンスターか分かるか」
「おう、バッチリ【ヤングツリートレント】と表示されてステータスも見えるぜ」
俺が見たときもステータスは表示されていたしその数値通りなら倒すのは難しくないだろうがどうせなら簡単な方が良いだろう。
「じゃあ、行ってくるわ。猛進・猪鍋シュート」
準備が出来たのか漫画の技名を叫びながら跳び蹴りをかます。
《看破》がないので何れ程ダメージがあるか分からないが零ではなかろう。
「俺たちも行くぞ」
「「はい」」
戦闘が始まり【ヤングツリートレント】が動き出したのでパセリとブリーザに指示し前に出る。
「させないよ」
動き出し初撃を与えヘイトが乗ったダイ・フラに枝を振り回し【ヤングツリートレント】の攻撃を俺は人形で受け止める。
「以外と軽いな」
受け止め帰ってきた衝撃はそれほどでも無かった。しっかりと構えていればまず受け止められるだろう程度ではあるがそのまま反撃するには辛そうだがそこは仲間に任せよう。
「《ハイキック》」
「シルフィ、《エアカッター》」
スキルによる上段蹴りと魔法による風の刃がモンスターの体力を奪って行く。
「大きいの来るぞ」
枝を大きくしならせるモーションでそれは強力な攻撃を予感させる。
「《ヒートブレード》ハッアァァァ」
しかしその攻撃は放たれる事はなくモンスターの後ろで機を伺っていたウェインが絶妙なタイミングでエンブリオのスキルで炎熱属性が付与された剣を突き刺す。
「うおっおおおお」
「Toooooooo」
突き刺した剣を叫び声と共に振り上げ切り裂くとモンスターもまた声を上げてそのまま光の塵と化してドロップアイテムを残して消えた。
「どうだ、見たか」
ラストアタックを決めてウェインはご機嫌だ。
「ナイス、ウェイン」
俺が片手を挙げて近付くとウェインは嬉しそうな顔をして。
「イエーイ」
ハイタッチに応じてくれた。ここで応じて貰えず何こいつみたいな顔をされたらかなり凹む。
「やるじゃないか」
「あんたにしてはよくやったんじゃない」
「格好良かったですよ」
「いやー、照れるよ」
皆から褒められて満更でもなさそうだ。
ドロップもしっかり【トレントの幼木】が手に入ったので万事順調このまま狩って師匠の紹介状に書いてあった二十本集めるとしよう。
今後後書きにその話に出た単語やジョブの説明を入れていくので興味があれば読んでみてください。
・料理のバフ 【
・アクロラ 【運命乙女 モイライ】の名前。最初は頭文字だけ取ってアクラにしようと思ったが原作に出てくるアクラ・クヴァスターと被るので没になりアクロラになった。
・【
・【
・【傀儡師】 実は戦闘系のジョブではなかったのだ。べ、別に作者のガバじゃないよ。ホントだよ。
・【看破のモノクル】 装備すると《看破》のスキルレベルが1上昇するアクセサリー。類似品に【鑑定のモノクル】や【騎馬民族のお守り】がある。お値段五十万リルなり。
・《擬態》 自らを周囲の風景などに溶け込ませ見つかりにくくするスキル。副次効果として看破されるまでは名前も表示されない。
お読みいただきありがとうございました。