最後まで重めかと思いますがどうぞお付き合いくださいませ。
時間にたっぷりと余裕のあった私は、いつもよりしっかりと準備した。
”いつも”といってもかなり久々なのだけれど。
それでもこれでやっと私は解放される。
そう考えればかなり気が楽になった。
にしても、父の幸せを望んで私がこんなに運が良くなるということは、父もああ言っておきながら、
案外娘の就職を強く願っていたのかもしれないとも思った。
そんな余計な思考が出てくるぐらいには余裕があった。
そして面接の時間も近づき、私は軽くスキップしながら街に出た。
この日以上に幸せな日もなかった。これで成功すれば私はもう怒られることはない。
昔みたいに喜んでもらえる。それに、実家に帰らなくてもよい。
私はニコニコしながら面接を受けた。
…そして、完璧に終わった、はず。
いままで受けてきたどの面接よりも完璧だったと思う。
幸いにも殆どの面接が遅刻などの理由で受けていなかったため、面接に対する苦手意識などは特になかった。
それよりも、絶対に成功するとわかっていてもこんなにうれしいのは久々だった。
いつもより軽い足取りで帰路につく。
面接官によるとすぐに結果は届くらしい。
道中特に何もなく帰宅。
軽めの夕食を済ませ風呂に入る。
私は父になんて言って成功を伝えようかと悩みつつも、今日はおとなしく寝ることにした。
そして2日後、結果がついに届いた。
「ふふ、やっと来た♪」
そんな喜びの声が漏れるぐらいには嬉しかった。
中身を見れば当然合格の通知が入っていることだろう。
そろそろ父から連絡が来る。早めに中身を確認しなければ。
せっかくなのだから受かった通知の画面を送っておきたい。
しかし、この時私は『父親が幸せになりますように』という願いが大きな間違いだったと気づくことになった。
「え…なんで…うそ…嘘でしょう?」
通知に書かれていたのは不合格の三文字だった。
それに加えてご丁寧にテンプレな文章が添えられていた。
携帯が鳴った。
父からだ。
さっきまで自信満々に出ようとしていた着信。
今は全く出る気が起きなかった。
これに出たら何と言えばいい?
もちろん「落ちた」としか言えないだろう。
父にとっては、いや両親にとっては何度めかわからない「不合格」の報告。
前の言葉通り私は実家に帰らなくてはならない。
戻りたくなかった。
「幸運」だけが取り柄なときに戻ってしまうような気がしたから。
確かに頼った。でもひどすぎる。
裏切られたような気分だった。
結局その日は電話に出ず、風呂だけ入り早めに就寝した。
明日は連絡しなければいけないという現実から目を背けるように。
基本は書き溜めですがこんな感じで不定期に更新することもあります。
一話一話をサクッと読めるようにしたいと思っているので、こんな感じの更新になります。