無冠の英雄 隻腕の長門   作:◯のような赤子

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本日二度目の投稿です

お気に入り件数が気付けば40件になっていることに
ビックリです

本当に読んでくれている皆さまに感謝です!
ありがとうございます!

まだまだ金剛の受難は続きます
(正直この話の主人公は金剛ですね)

~注意~
これから2話程にわたって豚野郎が
すごい調子に乗ります
どうか酷いめにあうよう祈りながら御覧ください


雨は8年前から止むことを知らない___弐

「そうか、私は出ないほうがいいのか・・・残念だが、まぁしょうがないな。伝えてくれてありがとう、ビスマルク。」

 

「本当は言うなって言われてたけど、除け者にするようで嫌だったの。お昼寝中にあなたが離れたら夕立が起きちゃうし、それに今行けばあの豚に会ってしまうわ。」

 

「ビスマルクさん、そんなに酷いのですか?」

 

「えぇ鳳翔、あれは女をブランドとしか見てない目よ、救いようがないわ。」

 

 

 

ここは鳳翔の部屋。何度か書いたとおり、この鳳翔も「始まりの6隻」の一人だ。

 

長門が「最強の艦娘」なら鳳翔は「原初にして始まりの艦娘」だ。一番初めに生まれた、全ての艦娘の母であり、姉である。

 

 

「・・・ところで鳳翔なにしてるの?」

 

「見てわかりませんか?かわいい妹を膝枕してるんです」

 

ね、と言いながら長門の頭に手を置き、艶やかな髪を梳いている。長門はされるがままにされ、その胸の中で夕立が「ぽいい ぽいい」と寝息を立てている

 

「・・・なぁビス子、お前にとって私は何だ?」

 

「?なによ急に。」

 

「答えてくれ・・・頼む」

 

つねに笑みを浮かべた姿はそこにはなく、とても弱弱しかった

 

「あなたは私の親友よ。それ以外に興味はないわ」

 

「・・・鳳翔?」

 

「あなたは長門、お父様の娘で私のかわいい妹。そして夕立ちゃんのお母さんよ」

 

うん、うん、と小さく長門が呟く

 

 

「わかってるんだ・・・でも、みんなが言うんだ・・・無冠の英雄(・・・・・)隻腕の長門(・・・・・)。【天龍】は【神風】と【春風】を助け戦況を変える情報を持ち帰らせた・・・・。【神風】【春風】は私を庇って・・・そして沈んだ。3人とも「誓い」を果たした。真の英雄は、あの海戦で沈んでいった者達だ。彼女達はその使命を果たした」

 

 

無意識に、夕立を抱きしめる

 

「私は何も成していない、ただ暴れまわっただけだ。誰も助けてない、ただ殺しまくっただけだ」

 

「長門、それをいうなら私だって・・・」

 

「鳳翔の戦場は台所だろう?「誓い」は守られているさ。【金剛】もそうだ。あいつが父上の近くにいてくれるから、こうして私達が安心していられる。」

 

ビスマルクは口を挟めない、そこには__家族の会話__があった

 

「・・・えぇ、そうね。ひどい長女よね、次女に全て投げ出して、こうして三女に付いてきてるんだから・・・あの子、私になんて言ったか知ってる?」

 

 

__私には壊すことしかできまセン。でも鳳翔はご飯を作ることができマース!今の長門に必要なのは燃えるようなLoveではなく、静かに寄り添うようなLoveデース!_

 

 

 

「・・・バカだなぁアイツ。姉が傍にいてほしくない妹なんていないのに」

 

「そうね・・・みんなバカばっかり」

 

「ここの金剛もそうだ。きっと誰も傷つかないように、独りで少将の相手をしているに違いない。」

 

膝から頭を離し、夕立を起こす。そこには先ほどの気配など微塵もない、いつもの長門がいた

 

 

「ぽぃ・・・?ママ、どうかしたっぽい?」

 

「うん、ママね。ちょっと行かなきゃいけないんだ。」

 

「・・・たいせつなことなの?」

 

「うん、友達がね、独りで泣いているんだ。助けてって、つらいって、だから助けてあげないといけないんだ」

 

「・・・ぽぃ、わかったっぽい。」

 

「ありがとう、夕立。愛してる」

 

「ん、ママ。あいしてる」

 

チュッと互いの額にキスをする

 

「姉さん、私の娘を頼む」

 

「えぇ、ほら夕立ちゃん。ママにいってらっしゃいって」

 

「うん、ほーしょーさん。ママ、いってらっしゃいっぽい」

 

「いってきます。__・・・すまないビス子、連れていってくれ」

 

 

「__・・・ハァアア、途中からこうなるとは思ったけど。言っとくけど私も含めて舞鶴だってそんな事望んじゃいないわよ?・・・なんのために金剛が__」

 

「娘とたった今約束した、この子を嘘つきの娘にするつもりはない」

 

トレードマークのキセルをくわえ笑みを浮かべる

 

「嫌われても知らないわよ?」

 

「ふふっ、心配ない。」

 

 

___とっくの昔に嫌われている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「視察ご苦労様です。少将殿」

 

「ふんっ、所詮は若造の鎮守府。しらけた場所だ」

 

「少将殿に置かれましてはそうでしょう。もうすぐ本日の演習が始まります。そちらの大淀と舞鶴の提督と共に先に行っておいてください」

 

「なに?キサマは来ないのか?それと私としてはそこの金剛と二人っきりでイきたいのだが?」

 

(・・・厭らしい目で見やがってッ!絶対いく(・・)意味が違うだろうが!?)

 

「この金剛は我が第四艦隊旗艦、なのでこれから打ち合わせをと思いまして」

 

暗にオメーがちゃっちゃと戻らないのが悪いと伝えておく

 

「そうか、それは残念だ。だが彼女が煽情的に(・・・・・・・)私に迫ってきた(・・・・・)のだ。仕方なかろう」

 

 

___チラリと彼女を見る、顔は青醒めカタカタと震えている

 

 

「・・・大淀、お連れしろ。」

 

「若造、キサマは良いペットを飼っている。見境なくケツを振り、媚を売る雌犬が我が海軍に紛れ込んでいるとはなぁ!ははは!!」

 

なんだったらその駄犬、今夜引き取ってもいいぞ?____そういいながら出ていく少将、二人も後に続き、応接室には提督と、金剛のみ・・・

 

「・・・・・・金剛」

 

「____ぅあ、・・・テイ・・・トク・・・____」

 

 

もはや金剛は死人のように真っ白だ。自身の腕に爪を食い込ませ、ドサリ、と倒れこむ

 

 

__これでいい、自分にはこれがお似合いだ。嫌われ者の自分にはこの結末こそがふさわしいのだ。守る為などと言い訳をして、この愛しい人の大切な鎮守府の名を地の底まで貶めたのだ。愛想を尽かされ、捨てられるのが当然だ。・・・なのに

 

 

 

「すまない、金剛っ!!」

 

「・・・テートク?・・・何してるデース?」

 

 

何故この人は私を抱きしめているのだろう

 

 

「こんな穢れたオンナになんか触れたらテートクが汚れてしまいマース。・・・だからっ、お願いだから・・・っ!!離してっ・・・!!」

 

「すまない、俺がっ!!俺がふがいないばかりにっ!!いつもイヤな思いをさせてっ、ごめん・・・、本当にごめんっ!!」

 

 

どうしてこの人は泣いているのだろう

 

 

「全部自分でやったことデース!!アイツに媚売って、よかれと思って鎮守府の名を貶めてっ!!」

 

「そんなもんはどうでもいいんだよ!!大切なのはお前だ!!帰ってくる場所が大切なんじゃなくて、帰ってくるお前達が大切なんだ」

 

 

どうしてこの人はこんなに、こんなにっ・・・!!

 

 

「お願いデスから、離してクダサイ・・・__つらいんデス、アナタの傍は。お願いデスから、見捨ててクダサイ・・・。ワタシは・・・誰にでも直ぐに股を開く売女でs」

 

_____パァンッ! 頬を打つ音が響く

 

 

「・・・__ビスマルク?」

 

「えぇ・・・、金剛。あなた今何を言おうとしたの・・・?」

 

コツッといつもの音がこちらへと近づく

 

「・・・金剛」

 

「___________長門・・・?」

 

 

提督が離れ、長門に抱きしめられる。だが、何故だ?何故彼女がここにいる?

 

 

「っ!?ビスマルク!!よくもっ、よくも連れてきましたネ!?絶対に連れてきてはいけないと!!あれだけ言ったのに!!」

 

「金剛」

 

「娘を放ってこんなところに来るなんテ!?夕立が起きたらどうするのデス!?」

 

 

駄目だ、これ以上はもう耐え切れない

 

 

「アナタは最低な親デス!!まさかワタシを憐れんだのデスカ!?フザケルナ!!お前なんかに心配される筋合いは無いデースッ!!」

 

 

頼むからその手を離して、提督の前ではいい、ビスマルクの前ではいい。だけど、長門にだけはソレ(・・)を見せることはできない。___だからお願い

 

 

「金剛」

 

「これは嫌がらせデスか!?まさかあの時のことをまだ根にもっているのデスか!?英雄なのでショウ!?こんなアバズレのことなんか見捨てて部屋に引きこもってろ!!」

 

 

そんな悲しい顔しないで___

 

 

「金剛、私は英雄なんかじゃない。これまでも、これからも」

 

 

私にそんな顔を見せないでほしい。そんな資格は私にはない。だから・・・だから私にふさわしい表情をしてもらう為に、もう一度だけキズつけることを許してほしい

 

 

「___離せっ!!この障害者が(・・・・)!!右腕がないくせに!!ワタシに触るなッッッ!!!」

 

 

だが、それでも・・・

 

 

「金剛」

 

 

 

 

「____ぁ、なんで・・・」

 

 

離さない。左手だけで、その柔らかな胸で私を優しく包んでくれる。目の前にはかつて私が壊そうとした罪の象徴がある

 

 

「金剛、根にもっているのはお前だろう?お前があの日からずっと負い目を感じていたのは知っていた。・・・だが分かってやれなかった」

 

 

否定しないと、罵倒しないと、許されてはいけない、絶対に許されてはいけない。自分勝手な理由で穢してはいけないものを私は穢したのだから、___なのに言葉がでない。

 

 

「もういいんだ。もう、自分を虐めることなんかないんだ。お前の気持ちは十分に伝わった

だからもう、全部背負う必要なんてないんだ」

 

 

____もう、力が入らない。身体の震えを隠すことができない。だが、顔は上げない。

俯いていないと、嗚咽を少しでも隠さないと・・・__泣く資格なんて私にはない。

 

 

少しづつ、密着していた身体が離れていく。

 

「______ダメっ  長門っ!!」

 

「長門・・・全ての責任は俺にある。だから・・・」

 

「それは違うよ、提督。ただ単に私が甘えてただけだ。友人がこんなに傷ついていたのに

見て見ぬフリをしていた。・・・提督、すまないが元帥に連絡を繋いでおいてくれ、終わらせてくる」

 

「違うっ!!長門・・・!!っワタシは!ワタシが・・・っ!!」

 

懸命に手を伸ばす、しかしそこに存在するはずの右手は無く、むなしく空を切る

 

「・・・行くのね?」

 

「あぁ、金剛を頼む」

 

 

すぐそこにいるのに届かない、身体が動いてくれない

 

 

「ダメっ・・・かないで。行かないで・・・っ!!長門っ!!お願いだから!!

長門!!・・・あぁっ!!・・・・・・・・・・・ウアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______雨はまだ、止むことを知らない

 




自分のなかで金剛ってすごい家族思いの
責任感の塊ってイメージがあるんですよね
(自己犠牲の塊っていうか)




金剛にああ言わせた為、嫌いになるかも
しれませんが
言わせたのは赤子です
(金剛のことも赤子のことも、どうか嫌いにならないでください!!)


次回長門達のパパンが画面越しでとうとう現れます

まだまだお付き合いよろしくお願いします



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