無冠の英雄 隻腕の長門   作:◯のような赤子

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~~前回のあらすじ~~

「翔鶴さん大丈夫ですか?何か欲しいものがあったら僕がとってきますよ?」

「お願いします。ちょっと腰が痛くて・・・」

「すみません・・・昨日は激しくし過ぎましたね・・・」

「いえ!全然そんなこと・・・その、良かったです」ポっ

「テメェ等俺の鎮守府でナニやっとんじゃぁぁああああ!!?」

・・・嘘です(裏では本当にヤってました(笑)


そして今回、誰も番外編が一つだなんて言ってねぇよ?

普段でない憲兵さんや地域住民等に焦点を当てています
他視点から見る彼女達をお楽しみください!!
(あとなるべく主人公の名を出さないようにしています
理由は・・・世界観・・・ですかねぇ?)


今更ながら感想、評価待ってます(笑)



番外編_壱  憲兵の一日

吾輩は憲兵である。名前はあるが・・・まぁここでは関係のないことだから別にいいだろう

 

見慣れた門をくぐり、駐在所まで歩いていく

 

 

「お疲れ様です!憲兵長殿!!」

 

部下の憲兵Aが挨拶をしてくる。それに続き、B,Cも立ち上がり挨拶を交わす。・・・そう、憲兵長、吾輩は憲兵長なのだ

 

「おはよう、憲兵A、今日も元気でよろしい」

 

吾輩は長だからといって権力を振りかざす気は無い。わずか2年でこんな地位についてしまったが・・・素直に喜べない

 

「さて、今日も一日頑張るぞ。憲兵A、B、C」

 

「「「はいっ!!」」」

 

 

 

憲兵Aと共に鎮守府正面の門に立つ、暇そうに見えるが・・・ここ、柱島鎮守府はかなり忙しい

 

 

「おや、憲兵さんかい?いつもごくろうさん」

 

「お婆さんでありますか、また持ってきたので?」

 

「えぇ、これ、みんなに食べてもらおうと思って」

 

そう言われ、おはぎを受け取る

 

「いつもありがとうございます。提督殿もみんなも美味しいって言っているであります」

 

満足そうに頷きお婆さんが立ち去っていく。それを皮切りに次々と人が寄っては立ち去る

 

 

 

漁師のオヤジ

「よう!憲兵さん!ウチで取れた魚だ!!皆で食ってくれ!!」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

農家の息子

「これ親父のとこで採れた野菜だ。持っていけとうるさくてな・・・」

 

「息子殿もたいへんでありますな、ありがたく頂戴します」

 

 

 

夜のお姉さん

「これあの人に渡してくれない?いつもすっぴんだから化粧をすればもっと綺麗になると思うの。あと今夜どう?イロイロサービスするわよ♪」

 

「・・・あれですっぴんでありますか・・・。それにサービスとはどれくrゲフン!

ちゃんと渡すであります」

 

 

 

Gay Bar(♂)の茂美ちゃん

「憲兵ちゅあ~ん!あの子に伝えてくれるう~?この前はア・リ・ガ・トって♪」

 

「ウプっ、つっ伝えとくであります」

 

 

 

 

 

 

 

 

人々の往来をさばいているうちに昼になる。

ここ、柱島鎮守府に駐在する我々憲兵は昼になると皆、駐在所に戻る。鎮守府と周辺住民とはかなりの好感度で、見てもらった通り普段は忍びこむような馬鹿はまずいない。(これも全て彼女のおかげなのだが)

 

 

「___しまった!!憲兵長殿・・・弁当を忘れてしまったッス」

 

「そういえば憲兵Aは昨日入ったばかりだったな、弁当の心配はいらん。もうすぐ持って来てくれる」

 

「へ?それはどういう・・・」

 

コンコンコン

 

「ほうら、来たぞ?」

 

扉を開けるとそこには____

 

 

「あ、あのっ、けんぺーさん!これ、ほーしょーさんがもっていけって!ぽい」

 

この鎮守府の正規アイドル、夕立ちゃん(声に出す時は殿と呼んでいる)が弁当を持って立っていた

 

「おや、夕立殿、今日は鳳翔殿ではないのでありますな」

 

「うん!・・・夕立じゃヤだった?」ウルウル

 

止めてくれ、その眼は吾輩に非常に効く

 

「そんなことはないであります。夕立殿は偉いでありますなぁ」

 

「ほんと!?ママ、ほめてくれる!?」キラキラ

 

「えぇ、長門殿もたくさん褒めてくれるでありますよ?」

 

 

嬉しそうにスキップしながら帰る夕立ちゃんを暫く見守り中に戻る

 

 

「__はあぁぁああ♡夕立ちゃん可愛いッスわ~」デレデレ

 

「おい、憲兵A。我らが大天使に手をだせばどうなるか分かっているな?」ギロリ

 

「憲兵Bの言うとおりだ。YesロリータNoタッチでござるぞ」ジロリ

 

「分かってるッスよ!我々はただ見守るだけッス!!」

 

「お前ら、無駄口する前に早く食べるぞ。折角のメシが冷える」

 

 

 

吾輩の言葉に食べ始める。だが食事の場というのはどうしても喋りたくなるもので

 

 

 

 

「___えぇ!?じゃあこの弁当長門さんも作ってくれてるんッスか!?」

 

「なんだ憲兵A、知らなかったのか?」

 

「知らないッスよB先輩!!・・・うわぁ、あの人の手作りが食べれるなんて、・・・自分ここに来てよかったッス!!」バクバク!

 

「まぁそうだよなぁ、他の連中に言ったら凄い眼光で睨まれたでござるよ・・・」

 

「あぁ、某も最初は憲兵Aと同じ反応をしたのを思い出す」

 

「憲兵長殿もやっぱり長門さん目当てでここに来たんスか?」

 

「なんだ憲兵A、まるでお前がそのようではないか」

 

「いやそれ以外無いッスよぉ!!あんな美人をまじかで見れるんスよ!?くぅ~自分もあんな彼女欲しい~ッ!!」

 

・・・やはりか、そんな気はしていたが

 

「止めておけ、あの方は文字通り高嶺の華だ。何よりあの方と鳳翔殿は元帥閣下の義娘だぞ?」

 

「いや絶対嘘ッスよ!!どうせそうやって二人を囲いながら夜寝室に呼んで・・・グフフっ!!」

 

「__ハァ、B、Cお前達と同じ反応だな」

 

「・・・恥ずかしい限りであります」

 

「あの時は若かったので・・・憲兵長殿は違うのでありますか?」

 

「吾輩は普通に配属されたな。周りの先輩方はあの方を手に入れようと躍起になっていたが・・・」

 

「その先輩方は何処に?」

 

「皆退職された。もうすぐ昼休憩も終わりだ、早く食べろ」

 

「マジッスか!?やべっ!!_____ぷはぁ!ごっそーさん!!憲兵長殿!!自分、ちょっとトイレにこもるッス」ダダダ!!

 

 

「・・・B」

 

「あぁ、間違いない。憲兵長殿」

 

「・・・あいつも持って3週間だな」

 

 

この柱島は昼も忙しい。朝鍛錬を終えた艦娘達が町へ繰り出す為だ

 

「ちーす!憲兵さん達いつもお疲れ~」

 

「鈴谷殿でありますか。朝の鍛錬お疲れであります」

 

「も~、憲兵長さんは相変わらず硬いな~。あれ?新人さん?」

 

「はっ、はいッス!!自分!新人の憲兵Aというッス!!」

 

「へ~、新人らしくてカワイイね~。鈴谷とイ・イ・コ・トしてみる?」

 

「うえ!?いっ、イイコト・・・?」ゴクリ

 

「・・・鈴谷殿、あまり憲兵をからかわないでほしいであります」

 

「あはは~ゴメンね~?じゃあ頑張って~」

 

こちらに手を振りながら出掛ける鈴谷殿。あの方は新人が入るといつもあぁだ、・・・まぁ、あれで色々確認(・・・・)しているのだろう

 

「鼻の下が伸びているぞ憲兵A。それよりどうした?さっきよりなんだかやつれている(・・・・・・)が・・・?」

 

「あっあはは、何でもないッスよ?」ゲソッ

 

・・・まぁいい。おっと、次は

 

「あれ~新しい男じゃん。ねえ、ヒマなんでしょう?お姉さんの部屋に来なあい?」

 

___まためんどくさいのが・・・

 

「足柄殿、先程鈴谷殿にも言ったでありますが、新人をからかわないでほしいであります」

 

「からかってないわあ、私は本気よお?」

 

だからめんどくさいのだッ!!この行き遅れがぁ!!

 

「・・・提督殿はいいのでありますか?あんなにアタックしてたのに」

 

「そうなのよぉ、でも提督は相変わらず長門一筋だしぃ?最近金剛もお熱だからそろそろ別の男にしようかなぁって」

 

意味深な発言をしながら歩いていく足柄殿。___提督殿も相変わらず一途なお方だ

 

「けっ、憲兵長殿!!さっきのは本当ッスか!?」

 

「何がだ?」

 

「提督が長門さんのこと!?・・・くう~!!どうせ提督権限か何か使って毎晩あのヤラシイ身体を味わってるんスよ!?ズルいッス!!」

 

「・・・提督殿はそんな人間ではない。艦娘の反応を見ればそれくらい分かるだろう?」

 

「・・・言われてみれば・・・ウッ、ちょっちょっとトイレ行って来るッス」

 

______・・・若いなぁ、本当に3週間で消えそうd「やぁ憲兵長殿」・・・!?

 

甘い香りと共に、僅かに紫煙が鼻孔をくすぐる。間違いないっ!あの方が吾輩の後ろにいる

 

「精が出るな、いつもおつかれ」ピコピコ

 

 

振り向けば__そこに彼女がいた。出掛ける為かいつものように着崩さず、しっかりとサラシを巻いて前を隠している。だが一つ一つの挙動からは匂うような色香が溢れ、キセルをくわえた薄いピンク色の唇から目が離せない。

 

 

 

鎮守府の高嶺の華、我々憲兵の至上の憧れ。___隻腕の長門殿がそこにいた

 

 

 

「なっ長門殿もおつかれであります!!」

 

くそ、いつもそうだ。彼女を前にしてはどうしても、どもってしまう

 

「私なんぞに敬語はいらんといつも言ってるだろう?仮にも長ともあろう者が一介の艦娘なんぞに使うんじゃない」

 

「___いえ、そういう訳にもいきませぬ。夕立殿は?一緒ではないのでありますか?」

 

「あぁ、アンペソマソのDVDに釘付けでな、ちょうどいい機会だから偶には一人でと思ったんだ」プカー

 

「そうですか、お気をつけて」

 

「うん、憲兵長殿も頑張って」ピコッ

 

 

 

 

 

__あの方が遠ざかって行く、何度会われてもやはりドキドキしてしまう

 

 

「___ふぅ、帰ったッスよー。・・・あれ?何だか良い匂いが」すんすん

 

「なんでもない、続けるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び二人で正門前に立っていると背後から異様な威圧感を感じる。自分は何ともない、_が憲兵Aの顔は青い

 

「___お疲れ」

 

やはり叢雲殿か

 

「これ、いつものリスト。ヒマな時に目を通しておいて?」

 

「了解であります。叢雲殿もどこかお出かけで?」

 

「えぇ、ちょっと息抜きにね。___あぁそれと・・・そこのアンタ」

 

「じっ、自分スか・・・?」

 

「・・・いい加減にしないと切り落とすわよ」

 

「なっ何をスか!?」

 

ナニ(・・)をよ。じゃあ憲兵長さん、頑張って?」

 

ひらひらとこちらに手を振っているが、その姿に一切の隙は見当たらない。・・・流石あの方のお弟子さんだ

 

「___ッ!!はっ、はっ!!なっ、何なんスか!?あの子!?おもっくそ人殺しの目してたッスよ!?」

 

「女性は気づきやすいからな、言われた通りいい加減にしておけよ?」ペラ

 

「なんスかそれ?」

 

「この鎮守府にあの方を目当てにやって来る提督や一般人のリストだ。絶対に通さないようお前も見ておけ」

 

「はぁ、やっぱりあんだけ綺麗な人だと追っかけとかいるんスねぇ」

 

「かなり有名なお方だからな、時折パパラッチや芸能事務所、テレビの取材が来るが、絶対に通すなよ?最悪、権力を振りかざしてもかまわん」パサッ

 

「へぇ、やっぱ凄いんスねえ長門さんて。エロいだけじゃないんスねえ」ペラ

 

・・・もうこの場でクビにしようかコイツ

 

確かにあの方は見目麗しい、だがそれだけじゃないのだ。最も素晴らしいのはあの高潔な精神だ

 

「さ、集中するぞ。まだまだ仕事の時間だ」

 

うーす、という声とともに再び後ろで手を組み、正門前に立つ。吾輩がこの鎮守府を守っていると思うと疲れも吹き飛ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「____っあー、終わったぁ終わったッス!」

 

夕刻となり、正門前の仕事が終わる。本来なら門を閉めるのだが___まだあの方が帰ってきていない

 

「どうしたんスか憲兵長殿?もう閉める時間スよ?」

 

「・・・まだ帰ってきていない方がいる」

 

「かぁー!!門限も守れないヤツがいるんスか!?誰スか!?憲兵として自分がとっちめてやるッスよ!?」

 

「いや、それは・・・「っすまない!遅くなった!」 っ長門殿!?」

 

走ってきたのだろうか、肩を上下させ息が乱れている。行く前はしっかり巻かれていたサラシが解け、今にも胸が見えそうになっており、汗がその柔肌に沿って胸の谷間へと視線がいってしまう

 

「っ!?なっ、長門殿、安心してほしいであります。門限には間に合っているでありますよ?」

 

「はぁ、はぁ、そうか、良かった」

 

「珍しく遅かったでありますが、・・・何かあったので?」

 

「うん、__うん?そっちは行く時いなかったな、それに初めて見る顔だ」

 

「昨日入った新人であります。長門殿が出掛けた時はトイレに籠っておりましたので」

 

「__はっ、初めまして!!じっ自分はぁ!!憲兵Aといいますッス!!ハイ!!」

 

「そうだったのか・・・まずったなぁ」

 

「・・・どうかしたので?」

 

「いや、憲兵長殿だけになってしまうが・・・はい、これ」

 

「_____これは?」

 

「まだまだ春先で寒いだろう?少し遅いがマフラーをと思ってな」

 

憲兵服に合わせてくれたのか、濃い緑色のマフラーがそこにあった

 

「いつもこの鎮守府を守ってくれてるから、いつかお礼をと思っていたんだ。憲兵長殿_____いつもありがとう」

 

その言葉と共に笑顔を振りまいてくれる。_____・・・あぁ、吾輩は・・・吾輩のしてきたことは・・・ちゃんと見られていたのか・・・ッ!!

 

「?どうかしたのか憲兵長殿?震えているぞ?」

 

「__いえ、何でもないであります。さぁ、お入りください。身体が冷えるであります」

 

「うん、新人の君には悪いことをしたな。今度何かで埋め合わせするから」

 

「ほっ、ホントスかぁ!?なっ、何でもいいんスか!?」

 

「私にできることならな、じゃあ引き続き頑張ってくれ」

 

靴音を響かせながら、あの方が帰っていく。

 

 

「グフフ!!き、聞きました憲兵長殿!?あぁ!何にしようかなぁ!!・・・ちょっとトイレに」

 

そう言った瞬間、見慣れたマスト型の槍が憲兵Aの足元に飛んでくる

 

「ひっ、ヒイイイイイ!?なっ何なんスか!?」

 

 

 

「_____私言ったわよね?切り落とすって」

 

あぁ、やはりあなたか、・・・叢雲殿

 

「何なんすかアンタ!?自分が何したってんスか!?」

 

「アンタが何度も使ったトイレ、イカ臭いって苦情が来てるのよ」

 

「はぁ!?ちゃんと消臭剤を使って・・・あっ」

 

「女の嗅覚ナメんじゃないわよ、・・・憲兵長」

 

「・・・何でありますか?」

 

「秘書艦権限よ。コイツ、この場でクビ」

 

「ッ!!ふざけんな!!何様ッス____!?」

 

言い返そうと憲兵Aがするがもはや声を出せない。そりゃあそうだ、なんせ_______男の弱点を踏んづけてられているのだから

 

「一目見た時から私の師匠をヤラシイ目で見ていたことは気づいていたわ。・・・ねえ、なんか言ったら?」ギリギリ

 

「かっ、はっ、つっ潰れる・・・!?」

 

「ふーん、謝罪もないのね。あっそ、じゃあ潰れれば?」グッ

 

「ッッ_____!?やっ、止めっ!?」

 

 

 

________ブツッッ!!

 

 

 

 

 

もはや声とも悲鳴とも聞こえぬ奇声を上げて憲兵Aが泡を吹いて倒れる

 

 

「__ハァ、ったく、男ってみんなスケベなんだから。これなら茂美ちゃんさんに憲兵頼んだほうがまだ気が休まるわ!」フンっ

 

「__あの人は叢雲殿のお知り合いでありましたか・・・」

 

「えぇ、そうよ。見た目はあんなだけどいい人よ?」

 

__それとこっからは内緒ね?__そう言われ、頷く

 

「私、あの人に料理習ってるの。結構美味しいのよ?鳳翔さんや長門さんに頼むのは・・・ちょっと恥ずかしいし」

 

はにかみながら語る彼女は年相応の少女にしか見えない。もう一度約束すると心に誓う

 

「ふう、それにしてもスッキリした!初めはBさんCさんも潰そうと思ったけど・・・止めといてよかったわ!」

 

・・・きっと今頃あの二人は謎の悪寒に襲われているだろう

 

「この玉無し野郎をお願いしていいかしら?用事すませずに来ちゃったから」

 

「任せるであります___これは?」

 

叢雲殿が謎の包みを手渡してくる

 

「お握りよ。小腹空いてると思って、あとの二人にも渡してくれるかしら?」

 

___いつもありがとう__そう言い残し、彼女は去っていく。

 

 

 

開けてみると不格好な握り飯がでてきた____食べてみると・・・普通の塩握りのはずなのに、すごくおいしかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「____そうでありますか。たった二日とは」

 

「・・・某達も下手すればああなっていたのでありますな」

 

「そうだ。先輩方は退職されたと言ったな?アレは殆どがテクノブレイクか叢雲殿に潰されたのだ」

 

「・・・憲兵長殿に感謝であります。あの時しっかりと教育していただいたおかげで、こうして男のままでいられるのでありますなぁ」ホロリ

 

「さて、吾輩はこれから提督殿に書類を届けてくる。お前達はこれを食っていろ」

 

「__?これは?」

 

「叢雲殿の手作りお握りだ。小腹が空いてるだろうからと言われてな、食ってみろ?うまいぞ?」

 

「___憲兵長殿」

 

「なんだ?」

 

「拙者、___涙いいですか?」

 

 

駐在所を出れば「うめぇ、うめぇ!」と咽び泣く声が聴こえる。・・・我々は世界で最も幸せな憲兵だと断言できる

 

さて、最高の報酬はもらったのだ。それに見合う仕事をせねば

 

 

 

足早に執務室へと歩を進める____首に巻いたマフラーを揺らしながら

 

 

 

 

 

「____うん、確かに報告受け取りました。憲兵長殿」

 

「止めてほしいであります。提督殿、貴官はこの鎮守府の長でありますぞ?」

 

「いやぁ、でも俺がなんかしたらまっ先にあなたに捕まりますし。早いもんですね、もう憲兵長ですよ?」

 

「・・・吾輩は嬉しくないであります。大した成果も上げずにこんな地位まで来てしまったであります」

 

「ははっ!謙遜しないでください。自慢していいですよ?俺がまともに敬語を使う数少ない相手ですから!」

 

・・・それは果たして自慢になるのだろうか?確かにこの提督殿は口調が乱雑だ、あの元帥閣下とも平気で喧嘩をおっぱじめる。だが、根は真面目でそれは閣下も分かっているはずだ。それにあの方を傍に置いておきながら、一切手をだしていない。それだけでこの方を同じ男として尊敬してしまう。・・・そう考えていると、何故か酒を取り出してきた

 

「どうです?一杯?」

 

「あぁ、いや。まだ仕事が残っているゆえ」

 

「・・・本当に真面目な方だ。では持っていってください、終わった後に部下の皆さんとご一緒にどうぞ」

 

断ろうとしたが、無理やり手に持たされ執務室を後にする。ラベルを見たが・・・これはかなり高い値段だったハズだが・・・?

 

 

 

 

 

____外に出るともう夜だ。今夜は満月らしく、かなり明るい。

 

ふっと、足を進める。この鎮守府には大きな桜の木がある、確かちょうど満開の時期だ。まだ飲む気はないが急に桜が恋しくなったのだ

 

 

 

 

 

風に煽られ、桜の花が吹雪く中_______そこに彼女がいた

 

大きな桜の枝に腰かけ、夜桜見物だろうか、静かに月を見上げている。月の光を浴びながら風に着物がたなびく、その様はまるで地上に降臨した美しい女神のようだ

 

 

 

つう____と、気付けば涙が頬を伝う。その横顔があまりにも美しすぎて、人は本当に美しいものを見ると涙を流すことに初めて気づいた

 

 

 

「____あぁ、憲兵長殿。いかがなされた?こんな所で」

 

「っ__!!もっ、申し訳ない!女性を見つめるなど・・・!!」

 

とっさに涙をぬぐう。彼女に気づかれていないだろうか?

 

 

 

すると彼女は静かにこちらを見つめ、なんと手招きをしてきた

 

 

 

「一人で少し寂しかったんだ。憲兵長殿、一献付き合ってくれないか・・・?」

 

「でっですが・・・!?」

 

「本当に一献だけだ。さぁ・・・」

 

ゴクリと生唾を飲んでしまう。決してやましい気持ちはないと断言したい、だが彼女の美しさの前では理性など無いに等しい。

_____気づけば吾輩は彼女の前に立ち、その手に持つ盃に注いでいた

 

 

 

静々と盃を空ける

 

 

「ふふっ____やっぱり貴官にはその色が似合うな」

 

「まさか・・・、これを探す為にあんな時間に?」

 

「うん、普段から世話になっているんだ。あと昇進祝いを送っていなかったからな、それで勘弁してくれ」

 

「・・・吾輩は何もしておりませぬ、ただ、職務を全うしただけのこと・・・このような地位に本来いるべき者ではないであります」

 

「____・・・バカだなぁ」

 

酔っているのだろうか、ふわりと、彼女は吾輩にしな垂れかかる

 

「それがどれだけ難しいか知らないな?この鎮守府のみんながどれだけアナタに感謝しているのかも」

 

「なっ、長門殿・・・」

 

「憲兵なんて・・・普通はろくでもないモンだ。権力を振りかざし、横暴な態度をとる。・・・自分は憲兵だと言ってな」

 

「・・・長門殿」

 

「でもアナタは・・・とても勤勉で、いつもこの鎮守府を守ってくれてる・・・。ちゃんと・・・ちゃんとみんな・・・見てる・・・から・・・」

 

「っ!!」

 

もう、涙が止まらない

 

「何度でも言うから・・・ありがとう・・・ホントに・・・あり・・・がと・・・」スースー

 

・・・どうやら寝てしまったようだ、だが動けない・・・涙が止まらなくて・・・嬉しさが溢れ過ぎて・・・っ!!

 

なぁ、月よ。どうかもう少しだけこのままでいさせてほしい、どうかもう少しだけ・・・彼女の寝顔を眺めるのを許してほしい

 

 

 

 

 

 

 

月は何も語らない、だが許してくれたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だってこんなにも、彼女を輝き照らし続けているのだから____

 




いかがだったでしょうか?
(あ゛~夕立がぽいぽいするんじゃ~)

鈴谷は相手の出方を見るために基本新人が入ったらすぐからかいます

何故か足柄の喋り方が某亜神様のように(一体どこのロウリィ・○マーキュリーなんだ)

憲兵Aは犠牲になったのだ、犠牲の犠牲にな・・・(ナルトス超好きです(笑)

憲兵AのイメージはD×Dの一誠です(嫌いじゃないですよ?全巻買ってますし)

憲兵長は周りがどんどん止めていった為、今の地位にいますが、柱島の面々はこの人以外にいないと思っています
憲兵長のイメージは
_メガネをかけた細身の40代後半・妻と8才の娘有り_となっています
(ホントは絵を描こうと思ったのですが時間がありませんでした)

そして警戒心ゼロな主人公
長門は絶対横顔美人(断言)何となく満月が似合いそうです(笑)

前回のご質問に答えてもらってありがとうございます!!
考慮した結果「無冠の英雄 隻腕の長門」のR18版を描く事にいたしました!!
理由はそうじゃないと過激な絵が描けないのと
話の展開的にそういうシーンができてしまったからです←(おい)
ただしばらくは書く気はありません
書き溜めと絵が一切無いからです
おそらくは1か月ほどかかると思われます

次回が叢雲の番外編となります!
そして叢雲の挿絵付です!!

ではまた次回!

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