無冠の英雄 隻腕の長門   作:◯のような赤子

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相変わらず妄想垂れ流しですが楽しんでもらえると嬉しいです


ビスマルクの憂鬱

「ふーん私が書類まとめている間にそんなことがあったのね」

 

コツコツと廊下に二人分の足音が鳴り響く

 

「あぁ別にイヤってわけじゃないんだ。ただ恥ずかしいだけで・・・」

 

「・・・長門、その言い方絶対に人前でしちゃダメよ、誤解を受けるから」

 

頭に?をうかべる長門。絶対に分かってないわね。と思わず溜息をつくビスマルク

 

「誤解もなにもないだろ。建造されてもう20年。立派なお婆ちゃんだ。一体誰がこんな私に欲情するんだ」

 

そう言いながらくわえたキセルをピコピコと動かす。

前から思っていたがこれは本気でまずい。ビスマルクはタラりと冷や汗をかく。ビスマルク自身この鎮守府に着任して早5年建造されたのはあの「大海戦」があった翌年だから9年前だ。そして着任したと同時に今目の前にいる親友に向かって「化石級の老朽艦」と思い切り罵倒したのは良くも悪くもある思い出だ

 

(ホントになんであんなこと言ったのよ!!~っ私のバカっ!!)

 

ビスマルクは知っている。横にいる女性が「あの戦艦長門(・・・・・・)」であることを。他の鎮守府に行った際、時々別の「長門」を見るがどれも見事に腹筋は割れ、その艤装はまさに超々弩級戦艦であると高らかに吼え、眼光は鋭く艦隊決戦の要にふさわしい惚れ惚れするような艦達だ。しかし、この鎮守府の、全ての艦娘達の雛型であるこの「始まりの6隻」の一隻・・・「隻腕の長門」は全くもって違う

 

確かに10年前。姫・鬼級20隻、戦艦150隻、重巡、軽巡、駆逐艦1800隻、潜水艦500隻。全てがエリート級以上の計2470隻が横須賀、呉鎮守府に攻めてきた「大海戦」時の映像を見た際。隣の親友はまさに「世界のビッグセブン 戦艦長門」であった。

 

だが今はどうだ。かつて20inch砲ですらキズを負わせるのがやっとであった腹筋は今や目を凝らさなければ分からないほど薄っすらとしか割れておらず女性特有の柔らかさを

持っている。かつて敵からは「死の根源」そのものと恐れられ、味方からは「戦神長門」と畏怖され誰一人目を合わせることが出来ず常に眉間にシワをよせ、どんな相手も射殺すような目をし、決して一度も笑わなかったという表情はどうだ。切れ長な目は変わらないが常に慈母のような優しさを瞳に讃え、口元には緩やかカーブで描かれた笑みを浮かべ、時には子供をあやす母のように。時にはイタズラが成功した悪ガキのように。その表情は笑顔だけでコロコロと魅力的に変わるのだ。惹かれないほうがおかしい

 

 

(でもウチの「金剛」は本気でこの長門を怒らせたのよね・・・一体何をやらかしたのかしら・・・?)

 

この件については知る者は殆どいない。文字通り黎明期の時で内容を知っているのは

当事者である「長門」と「金剛」、「提督」に長門の次に最古参「叢雲」・・・そして

家族として長門のお祝いに来た「始まりの6隻」の一人「金剛」。「全ての艦娘の始まりにして原初、「始まりの6隻」が一人。ここ、柱島鎮守府に長門とともにやってきた鳳翔のみである

 

ふと、彼女に目をやる。右腕は肩からなく、つねに袖口が揺れている。だが。

それでもなお、この「隻腕の長門」には魅力しかない。その姿勢は常にピンとしていながら自然体で、何気ないしぐさの1つ1つが流れるようで女性らしいのだ。目で背中をなぞっていくとそこには時折長髪から覗く細く白いうなじ。ツンとつき出たヒップは女性として理想的な形をしている。かつてその背にあった艤装は修復不可能なまでに壊れ、今は薄く軽いピンク色の唇に挿まれキセルとして生まれ変わり愛用されている。その為長門型特有の制服は着れなくなり、海の上を走ることしかできない。かつては敵にたたきこんでいた手足は今やほっそりと細くなり無駄な筋肉を落とした見事な脚線美となった。それは胸も同じだ。胸筋は落ち、歩くだけで豊満に揺れ、決して形が崩れない。

 

(・・・一度触らせてもらったけど、アレは本気でヤバかったわね・・・まさしく神乳だったわ・・・)

 

年端のいかぬ駆逐艦ですらその色気に生唾を飲むのだ。そんな女性がイヤではない?ふざけるな。

 

ビスマルクは知っている。柱島に師事してくる提督達の目的の一つにこの長門を一目見ようとする下心があることを。 

ビスマルクは知っている。長門の全身が入っている写真に懸賞金500万円が懸けられていることを(寝顔は1億円懸けられていた、ふざけろ)

ビスマルクは知っている。当の本人が本ッッ気で自分に魅力がないと思っているのだということを

 

(本気でふざけるなあぁぁ!!女として嫉妬すらわかないわ!!むしろこの場で押し倒しtゲフンゲフン!)

 

「?どうしたんだビス子?急がないと執務室でブリーフィングが始まるぞ?」

 

「・・・何でもないわ。まぁまた何かあったら相談くらい乗るから」

 

ポカンとした表情でキセルをピコっと動かす

 

「・・・?まぁわかった。頼りにしてるよビス子」

 

とにかく少し急ごう。そういい軽く早歩きになる二人。新たな一日の始まりを告げるかの如く、廊下には僅かに紫煙が漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

長門は知っている。ビスマルクは誰よりもおせっかい焼きでお姉ちゃんなのであることを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての提督、そして艦娘は知っている。艤装を失い、片腕を失い、紫煙をくゆらせ常に笑みを浮かべる無冠の英雄、柱島鎮守府所属、艦娘「隻腕の長門」

彼女こそ・・・過去を含め現在も最強の艦娘であることを

 




真面目にふざけていくのがスタンスです

取りあえず長門の大人の色気をうまく伝えれたらなと思っています
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