全然の続きです!
ちなみにこの話し、実は未来のお話なんです。
今回も伝わらないことがあるかも、知れませんが、どうか暖かい目で見て頂けると、幸いです。
2201年 5月
これは2016年から185年経った、未来の話。
巨大なスカイツリーのような高さのビルの建物の中の、小さな円を描いた空間に、2つの影が現れた。
そして、その2つの影に近づいて行く少女がいた。
少女は綺麗な白髪で三つ編みをしていた。
「お疲れ様でした!ケイジさん、ガヴェインさん」
その少女の名前はイブ。
片言の日本語のような喋りかたは、イブの特徴のひとつだった。
「おう!お疲れ、イブ」
影の一人、ガヴェインが笑顔でイブに話しかけていた。さっきの暗い表情はもうすっかり消えていた。
「お疲れー、いやー、ほんとに疲れた。」
髪の毛を手でかきあげながら、近づいくるもう一つの影は敬二だった。
敬二は今にでも寝そうな表情をしていた。かなり疲れがたまってるようだ。
「お二人とも、今日は初めての対人だったのですから、疲れでしょう。なので、今日はゆっくり休んで、明日からも頑張ってください!休むこともブシドーにとっては大切なことです!」
イブは両手を腰にあて、自信満々でガヴェインと敬二のほうを見る。彼女にとって、武士道とは「人生」そのものだと、このときの敬二は思った。
「では、私は次の『サポート』の仕事があるので、この辺で失礼します!ケイジさん、ガヴェインさん、今日はお疲れ様でした!さようならー。」
「おう、じぁな!」
ガヴェインが大きく手を振る。イブもそれを返すように、手を振っていた。
イブは角を曲がって見えなくなってしまった。
イブの姿が見えなくなった、瞬間に敬二がガヴェインの耳元に近づく。
「まぁ、ガヴェイン。お前....、イブのこと好きなのか?」
突然の質問にガヴェインは動揺すると同時に顔をあからめた。
「はぁ?!な...、何でそんなことわざわざ聞くんだ?」
「いや、だって顔、赤くしてたじゃん。」
「いや、そんなはずはない!」
ガヴェインはそう、言うと前に向かって、歩き始めた。早く敬二との会話を終わらせたかったのだろう。
「おーーい、ガヴェイン、歩くの速いぞ。」
「今日は早く帰らないといけないからな。」
ガヴェインに敬二がついていった。
いつの間にか、円の空間には誰もいなかった。
巨大なビルかまるで森のように建っていた都市とは違い、敬二とガヴェインは一軒家が建ち並ぶ、歩道を歩いていた。
一軒家とは言っても、昔みたい木で作られた家はもう一軒もなく、明るさも昔の都会並みの明るさだった。
それだけ、今の都市は明るかったのだ。
「なぁ、ガヴェイン。」
敬二が暗い空を見ている。二人は太陽というものを、しばらく見ていない。
「どうした?敬二、暗い顔して?」
「俺さ、さっきはお前に『ウジウジ考えてたって仕方がない。』って言ったけど、本当は俺もずっと考えてた。人を殺すなんて、例え、世界が違う人間でもいいのかって、そして、人間でなくても、命がある生物だったら、殺してもいいのかって、ずっと考えてた。だから、さっきの言葉は自分にも言い聞かせるために言ったんだ。」
敬二はため息をつく。とても、深く考えていた。
そんな、敬二の言葉を聞いて、ガヴェインは敬二の肩に手を回していた。そして、笑顔でこう言った。
「お前って、本当に優しいやつだな。」
ガヴェインの言葉に敬二はビックリしているようだった。
「ガヴェイン、どうした?頭のネジが取れたか?」
「おい、おい。頭のネジは取れてないわ!てか、俺本気で思ってるんだぜ?お前とはまだ20年ぐらいの付き合いだが、初めての会ったときから、お前が優しいやつってことぐらい、すぐに分かるぜ。こんなに生きていたら。」
「お前、スゲーな。超能力とか使えるの?」
「だから、カンだ、カン!」
さっきの暗い表情とは一変に、ガヴェインとの会話で敬二の表情は明るくなっていた。
敬二とガヴェインがたわいのない会話をしながら、夜の歩道を歩いてあると、敬二に肩を軽く叩きながら、声を掛けてきた人物がいた。
「あなた、今日の任務は終わったの?それに、隣にいるのはあなたが言ってた、同僚のガヴェインさん?」
黄色の長い髪を揺らしながら、少女は敬二に聞いていた。
ガヴェインは軽くお辞儀をしながら、答えた。
「あなたが敬二の奥さんですか。初めまして、私は敬二の同僚のガヴェインです。いつも、敬二にお世話になっています。」
「あら、お世話になっているのは、こちらのほうです。
初めまして、ガヴェインさん。私は敬二の妻の杉内千聖と言います。これからも主人をよろしくお願いします。」
ガヴェインと千聖の挨拶が終わった後に、ガヴェインが敬二に話しかけてきた。
「いやー、お前は本当にいい奥さんに出会ったなー。」
「まぁな、いい妻だと思っているよ。」
千聖は平然としているが、敬二には千聖が心の中では、顔を赤らめていることが分かった。長年の勘だ。
「俺、家近いからそろそろ帰るわ。敬二と千聖さん。じゃあな!」
ガヴェインが両手を大きく振っている。
敬二と千聖はその手の振りを返すように、手を振った。
「ガヴェインさんって、本当に優しい人ね...。なんだか、あなたみたいだわ。」
ガヴェインの姿が見えなくなったとき、千聖は敬二に話しかけていた。
「そうだな、だから、俺達は気が合うのかな...。」
「自分が優しいことに否定はしないのね?」
千聖が不思議そうに敬二のほうを見る。
「えっ?俺、優しいだろ?」
「さぁ、どうかしら?」
「いやさっき、『優しい』って言ったじゃん。」
「さぁ、早く家に帰りましょ。」
「えっ?!ちょ、ちょっと待って、千聖ーーー。」
千聖は笑顔で家に向かって、歩く。その後ろを敬二が追っていく。
結局、『優しいか、優しくないか討論会』は、ガヴェインだけが優しいという結論に至った。
黄色の2階建ての一軒家の玄関の扉を敬二が開けた。すると、扉を開けた瞬間にとても大きな元気な声と共にショートボブに、小さな三つ編みの青髪の少女が敬二に抱きついてきた。
「おかえり、敬二!それに千聖ちゃん!」
少女の名前は杉内日菜。敬二のもう一人の妻だ。
「日菜ちゃん、ちょっとこの荷物運ぶの、手伝ってくれないかしら?」
敬二に抱きついている日菜に千聖が聞く。
千聖はガヴェインと別れたあと、敬二と一緒にスーパーマーケットで買い物をして、両手に重そうな袋を持っていた。
敬二が『持とうか?』と聞くと、千聖は『あなたは疲れているから、楽をさせたい。』という理由から、敬二に荷物を持たせなかった。
「いいよ!私、頑張っちゃうからね!千聖ちゃん。荷物両手貸して?」
そういうと、日菜は千聖が持っていた袋を両方奪い、家の中に、ものすごい勢いでかけていった。
「本当に、元気な子ね。」
千聖が笑っている。
「日菜は本当に、昔から分からないなー。もちろん、お前もな。」
敬二も千聖につられて笑っている。
「フフ、ありがとう。さぁ、これからパーティーの準備に入らないとね。」
「パーティー?」
敬二が不思議そうな顔で千聖に聞く。
「あなたの初の対人任務だったでしょ?その記念のパーティーよ。」
千聖が髪をなびかせながら言った。
「いや、パーティーとか、そんな大袈裟な...。」
「敬二、千聖ちゃん。早く、パーティー始めようよ!」
日菜が大きな声で玄関で扉を開けながら、話している敬二と千聖に声を掛ける。
「さぁ、行きましょう。」
千聖が敬二の手を引っ張った。
「そうだな...。パーティー、するか!」
一夫二妻制(いっぷふさいせい)
それは男が妻を二人持てるという制度。
敬二にはこの長い人生の中で、数々な障害を乗り超えてきた。その障害の中には、一夫二妻制で苦しんだこともあった。でも、千聖と日菜の二人の妻のおかげで、今の敬二がいると言っても過言ではない。そんな、障害を乗り超えてこそ、この三人が一緒に夫婦の関係で入れることが許されている。これからもいろいろな障害にぶつかるかもしれない。しかし、この三人なら大丈夫だろう。今までの障害を乗り超えてきたから。
敬二は開いていた扉を閉めて、千聖と一緒に日菜の元へと向かう。
暗い空には星が見えていた。
分からないところ、沢山ありました?
ちなみに、一夫二妻制について補足説明をすると、
*一夫二妻制
日本が2118年に発表した、男が妻を二人まで持てるという制度。日本が少子化対策として発表した。最初はその制度に不満を募らすものが多かったが、いつしかだんだんと認められるようになった。実際、少子化がこの制度のおかげで少なくなっていった。
その他にも分からないことがありましたら、どしどしコメントで聞いてください!聞かれたことはネタバレしない程度で、前書きに書こうと思います!
*新キャラ情報
杉内 千聖・・・ガールズバンドパーティーの白鷺千聖より
杉内 日菜・・・ガールズバンドパーティーの氷川日菜より
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