今回は以前から書いていた小説を設定とかちょこちょこ変えて新しく書き始めました。
前のよりももっともっと面白い言っていただけるように頑張ろうと思います まる
白騎士事件、それは長い間平和を享受していた日本を襲った事件だ。
空を埋め尽くすミサイル群、空を見上げた人々の目に浮かんだは光景は底なしの絶望か。
しかしその刹那、空を裂くように飛来し、ミサイルを切り落とした存在がいた。
ーーー白騎士。
両手に構えた剣で持ってミサイルを斬り伏せる、白い鎧に身を包んだ純白の戦乙女。
その後、最後のミサイルを墜とし、直後に襲来した各国の戦闘機を撃退した白騎士は終始言葉を放つことなく空の彼方へと姿を消した。
ーーーー以上が因不明の天災のシナリオであり、「白騎士」と名乗る人間の、戦いの結果である。
この出来事に……正義は……無い。
其処にあるのは純粋な願いだけである。
その是非を問える者は―――――。
「下らねえ」
グシャリ、一息に握り潰した新聞紙を、黒髪の少年は両手を使ってくしゃくしゃに丸め込んだ。
ふん、と詰まらなそうに鼻を鳴らして近くのゴミ箱に乱暴に突っ込み、両手をポケットに差し込むと、どこを見るでもなく人混みを歩き出す。
「………腹減った」
気怠げに少年は言った。
烏の濡れ羽色を思わせるボサボサの黒い髪と、開くにしても辛そうな二重瞼はとても眠そうに、そして随分憂鬱そうに爛々する瞳を覗かせている。
少年の上下の格好はダボついた黒ズボンに草臥れた黒いパーカーで、グギュルルと鳴るお腹に手を当てて眉間に皺を寄せる姿は、傍目にはホームレスそのものだ。
「飯、飯、飯」
クンクン鼻を動かして餌を探す様は残飯を漁る鴉にも、縄張りを練り歩く野良犬にも見えるて仕方ない。
しかし少年の眼に飲食店の店頭に置かれたショーケース内に置かれたリアルすぎる食品サンプルは写っていないのか、あちこちと眼を動かしては混雑した雑踏の中を歩いていく。
「くんくん、くんくん」
キィィィィン
「くんくん………くん」
耳障りな不協和音、それが響くと同時に少年の鼻が止まる。
少年はふと足を止め、次いで眠たげな瞳を大きく見開くと、その端正な表情はニヒルな笑みで歪められた。
「
とても嬉しそうに笑顔を向けたのはとあるゲームセンターの窓ガラス。
鏡面に反射する人混みの中、少年はあくまで〝異質〟であり、〝異物〟で、〝異常〟であった。
鏡に映る彼の眼は煌々と赤く輝き、その瞳はしっかりと獲物を見定めていた。
「餌の時間だ」
ーーーグゴガァァァァァァ!!ーーー
散歩にでもいくような調子で少年は告げる。
途端、咆哮とでも言うのか、思わず耳を防ぐほどの激しい音が鳴り響き、通行人達は一瞬顔を顰めた。
キィィィィン
いつの間にか少年の姿は見えなくなっていた。
「はぁ、はぁはぁ」
夕暮れに差し掛かった路地裏を一人の少女が走っていた。
ビリビリに切り裂かれた白い学生服、それは世界的なIS操縦者の教育機関、IS学園の在学生だと示すものだった。
『キキキキキキ』
「はぁっ、はぁっ、ひ…!」
IS学園の一年生、夜竹さゆかは路地の壁を跳ねつつこちらへ近づいてくる影に怯えの表情を見せる。
『キャーキャッキャッキャ!』
少女の怯えた仕草が琴線に触れたのか、影は楽しそうに奇声を上げる。
その鳴き声に夜竹さゆかは更に顔を歪ませると、路地裏の奥へ奥へ逃げ出そうとしてアスファルトの歪みに足を取られてしまった。
「あ……」
膝から地面に倒れる。
とっさに庇った右腕のおかげで負傷も軽く、素早く立ち上がることができたが、転んだ際にアスファルトにぶつけた膝頭と右腕がズキズキと痛み出し、少女の行動を抑制していた。
それに加えて未だに少女の頭上を占拠している影は拍手喝采を繰り返しながら少女の逃避行を見物している。
痛む傷口に喘ぐ少女、彼女はもしかすると自分は今日死ぬのかもしれないな、と漠然とした死を意識した。
(ああ、私、死んじゃうのかな)
夜竹さゆかは平凡である。
学力ではどんなレベルのテストでもそのレベルに合わせた平均点を取り、極々普通の趣味嗜好、良くもなく悪くもない運動神経、早くもなく遅くもない判断力と、良いこともあれば悪いこともあった人生と、何処にでもいる平凡な少女だった。
(それが、超難関って言われるIS学園の受験に受かって……すごく嬉しかったのにすぐこれだよ)
良いことがあれば悪いこともある。
夜竹さゆかにとってのそれは、IS学園に合格して入学式の当日に得体の知れぬ存在に襲われたことだった。
夜竹さゆかの脳裏をふと、人生の走馬灯がよぎって行く。
両親と自分、楽しかったこともあれば辛く、泣いたこともある。
(こんな……こんなの、あんまりだよ)
これまでも、そしてこれからも平凡に、普通に生きて行くのだと思っていた。
普通に好きな人が出来て、結婚し、子供を産んで、育んでいく。
しかし、自分にはもう、その平凡な未来は、恐らく無い。
必死の逃避行の果てに疲れ果てて崩れ落ちた夜竹さゆかの目の前に、その影は降り立った。
顔を上げると、この世のものとは思えない形相と風体の生き物が夜竹さゆかをニヤニヤと見下ろしていた。
ああ、本当に死んでしまう。
観念したと共に夜竹さゆかの体が粒子となって少しずつ消滅していく。
(やだなぁ。あぁ、いやだ)
そして最後に死がやって来るのなら、
例えば、そう。
まるで絵本に出て来るようなーーー、
(白馬の王子様が現れてくれたなら)
きっと、彼女は恋に落ちるだろう。
無論、彼女はそんなことが現実に起こるはずなど無いと知っている。
日本の都会の路地裏に、白馬に乗った何処ぞの王子がいるはずなど無いと。
『キャキャーーー!!』
理想と現実は違う。
白馬も、王子様も、
『ーーーはっ!』
『キャギャーーー!!?』
「………………………え?」
此処は現実世界には見えない表裏が混在する世界。
此処は鏡合わせの世界、全くの別物、恐ろしい怪物たちの住処。
此処に、絵本に出る白馬の王子様など存在しない。
『……ふん。痩せこけた猿が1匹だけか』
『グォォォ』
『……分かってる、ドラグブラッガー。こいつの魂じゃ、腹は膨れない』
艶消しされた漆黒の甲冑、それは極限まで無駄を削ぎ落とした黒い騎士の様相を見せていた。
兜には黒龍のエンブレムが刻印され、複数のスリットからは血のように赤い吊り目がちの瞳が2つ、底冷えする感情を痩せ干せた二足歩行の猿に向けている。
(絵本みたいな……白馬の王子様じゃないけど……なかったけど)
夜竹さゆかは何処にでもいる普通の女の子であるが、裏表が反転し、異常が跋扈するこの世界において、普通とは
それも、世界最難関のIS学園に合格し、異形の怪物によって不思議な世界に誘拐され、生と死の瀬戸際で黒龍の騎士に、黒騎士に遭遇してしまうような普通は。
だからこそ、夜竹さゆかは目の前の黒騎士に心を奪われたのだ。
美しく綺麗な白馬では無い。
其れは雄々しく力強い黒龍。
お姫様の危機に颯爽と駆けつけるような王子では無い。
其れは己の飢餓と欲望を満たすために戦い続ける騎士。
『ただ、腹が満たないまでもオヤツにはなるだろう?』
『グガァァァァァァァァァァァァァ!!!』
『キャーキャッキャッキャィィィィィィ!!!』
突然の乱入者に痩せこけた猿が激怒する。
口から大量の涎を振り落とし、ギョロギョロと血走った目で黒騎士と少女を見、聞くに耐えない絶叫と共に地団駄を踏む。
さながらチンケな悪役が主人公に対し名を名乗れと喚くようにも見て取れるそれに対し、黒騎士は静かに俯かせている面を上げた。
『………仮面ライダーリュウガ』
黒龍を従えた黒い騎士
その騎士の名は、仮面ライダーリュウガといった
『キキャーーー!!』
仕掛けたのは、猿型の怪物〝クレバーモンキー〟いつの間にか手に持っていた小石をリュウガに向けて複数投擲した。
『Sword vent』
『その程度か?』
しかしリュウガは虚空から出現した剣〝ブラックドラグセイバー〟の柄を握ると飛来する投擲物を瞬く間に切り落とした。
たった数度剣をふるっただけで分かるリュウガの実力にクレバーモンキーは動揺して後ずさる。
リュウガはブラックドラグセイバーで空を斬ると、たじろいぐクレバーモンキーへ勢いそのままに突っ込むーーー、
『………ほう』
ーーーーしかし、リュウガは右足で地面を踏んだ直後にピタリと動きを止めた。
訝しむクレバーモンキーを尻目にゆっくりと顔を上げて赤い吊り目を細める。
リュウガの視線の先には、細長くぺちゃんと潰れた黄色い皮が幾つも配置されていた。
ーーーーーバナナだ
『石飛礫を飛ばすと同時に罠を配置する。……案外器用だな』
そんなバナナ。
否、クレバーモンキーは己が投擲した礫をリュウガが弾き落とすのを予測して礫を投げると同時にバナナトラップを仕掛け、礫を弾き落としたリュウガの突撃をそのままバナナトラップの餌食にしようと画策していたのだ。
恐らくこのままリュウガが突っ込んでいれば彼はすってんころりんと地面に転び、無様な醜態をクレバーモンキーに見せつけていた事は想像に難く無い。
そして小ダメージも喰らっていただろう、ほんのちょっとだけ。
『ウッキャッキィーー!!』
目論見がご破算に終わり、短気なクレバーモンキーは逆上して自らリュウガに襲いかかった。
その両手は自家製の糞を握り万歳している。
『クソ猿』
『Advent』
『グゴォォガァァオオオオオオオ』
『ウキャァァァ!!?ーーーギャッ!!』
上空から黒龍が尻尾を振るう。
リュウガに飛びかかろうとしていたクレバーモンキーは回避することが出来ずドラグブラッガーの尻尾ごとコンクリートにめりこんだ。
ピクピク痙攣するクレバーモンキーはそのまま光の粒子と消え、粒子の中心にはサッカーボール大の球体が現れる。
『グゴォゥ……』
光の粒子、ミラーモンスターが持つ生命エネルギーを捕食したドラグブラッガーは2度3度粗食すると不満げに唸った。
痩せっぽちのクレバーモンキーでは腹も満たされず、かといって味も悪い。
量も質も悪いクレバーモンキーの魂では上品なお嬢様の舌を満足させる事はできないらしい。
『くく。また餌を探さないとな』
相棒の仕草に笑い声を漏らしたリュウガは半ば粒子と化した夜竹さゆかをお姫様抱っこすると、近くに落ちていた硝子の破片に歩むと硝子の中に吸い込まれていく。
(あれ………私)
さゆかはわずかに揺れる逞しい腕の中で僅かに目を覚ました。
ぼやけた視界、彼女の体はゆっくりとIS学園の保健室ベットの上にやさしく寝かせられた。
もう用はないとばかりに踵を返す黒い騎士、いや自分を助けてくれた彼にお礼を言いたいが、さゆかは緊張から解放された安堵からか、急激な睡魔が襲う。
「……ありがとう」
「………」
最後に夜竹さゆかが見た彼の姿は、こちらを一瞥して静かに歩み去る青年の後ろ姿であった。
「腹が減った」
彼の名前は龍賀アギト。
死の直前にリュウガのデッキとドラグブラッガーの契約を譲り受け、仮面ライダーとなった青年。
その願いは、失った××を取り戻し、2度と無くさぬ己の居場所を見つけること。
『グガォォゥ』
「あぁ、猿とは別の所に腹も膨れて味も良い餌もいたな」
彼の体はミラーモンスターの魂を糧に生き永らえている。
「……誰かに感謝されたなら、不味い飯でも偶には良いだろう?」
青年は、欲望を叶える為に今も戦い続けていた。
どうでしたか?
初っ端から要領得ないと思ったらごめんなさい。作者の文章力不足です。もっと頑張ります。
戦闘描写は今回のように接戦を熱く書く事もありますしギャグ回になるときもあるかもしれないのでゴチューイ下さい!ではまた次の更新で!♪( ´θ`)ノ