仮面ライダーリュウガ ー無限の鏡界線ー   作:人類種の天敵

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2回目投稿!連日投稿出来るようにがんばりまふ。
今回はモンハンで好きな部類に入るあの鳥を。


盗鳥と契約

 

 

カランカラン

 

明朝。

静寂な店内と珈琲の香りが染み付いた店内。

喫茶店〝花鶏〟の扉を一人の青年が潜った。

 

「……ふわぁ……眠」

 

ボサボサの黒髪に草臥れたパーカーにズボン、いずれも色は黒く、その格好はホームレスと形容することがなんとも似合っていた。

 

「だぁーー!!遅刻遅刻!!?」

 

「ふわぁぁ………うん?」

 

欠伸しながら慣れた手つきでカフェオレを作っていると、ドタドタと煩い音が響いてくる。

口の端に笑みを浮かべて青年が顔を上げると、青年の予想通り店の中から若い男が大層慌てた顔で現れた。

 

「や、やばい。これは編集長に絞められるコース……!!」

 

「くく、また寝坊かよ。バカ真司」

 

青ざめた顔色の男であり青年の同居人ーーー城戸真司へカフェオレを啜りながら青年は揶揄い文句を放つ。

そして真司は青年の声に反応すると首をぐるりと向け、くわっと目を見開いて口を開けた。

 

「お前!昨日帰ってこなかっただろ!アギト」

 

青年ーーー龍賀アギトは真司の怒鳴り声を朝の風物詩として楽しんでいる節がある。

今もこうして真司の説教を右から左に聞き流し、カップに残った中身を一息に呷っていた。

 

「バカ真司のおかげで脳が冴える。それより良いのか?じ・か・ん」

 

トントンと腕に装着したG-SHOCKを見せてやれば、ガミガミ怒鳴っていた真司の顔は先ほどと同じかそれ以上に真っ青になっていた。

 

「あ゛………!?い、行って来ます!」

 

「くく、あははは。行ってらっしゃ〜い」

 

カランカラーン!とアギトが開けた時とは比べ物にならないほど扉のベルが鳴った。

その数秒後にバイクのエンジン音を噴かすブゥーンという音が聞こえて、微かにアギトの目線がそれの行方を追った。

 

「………」

 

口元は微笑を湛え、先ほど使ったコップを洗い終えると、アギトもそろりそろりと喫茶店花鶏を出ることにした。

朝早く帰って来たのはカフェオレを一口飲みたかったからであるため、用が済めばとっとと花鶏から逃げ出す腹積もりだったのだ。

 

「おや、アギトちゃんや」

 

「っ、お、おばば」

 

ーーーが、しかし、そうは問屋が卸さない。

店の奥からやって来た老婆がアギトの名を呼ぶと、アギトは肩をビクつかせて振り返る。

その目はとにかく泳いでおり、アギトがいかにこの老婆に見つかりたくなかったかを示していた。

 

「学校はどうしたんだい?」

 

「………」

 

アギトの年齢は高校一年生相当だが、彼は学校というものに通っていない。

色々と事情があり、かれこれ小学生時代からの不登校だ。

当然中学校も通っていないし、高校入試を受けたことすらない、つまりニート。

同居人のバカ真司に聞かせると「お前も分かってくれるか」とうざったいのだが、アギトには一応〝自分が住む街〟を、正確には〝喫茶店花鶏とその周辺〟を〝外敵〟から守らねばならない理由がある、義務がある、力がある、果たさなければならない約束があった。

 

(……………………ただ………!)

 

果たしてそんな理由で目の前の老婆が納得してくれるか。

それがアギトにとって1番の問題だった。

 

『下手に選択を間違えたら女装して接客ですよ。……それも良いですね。寧ろあり(鼻息荒く)』

 

(………)

 

何処かそんな未来を期待している声に、分かってる、とアギトは胸の奥で答えつつ、老婆にはとりあえず朝の仕込みでも手伝うと言っておくことにした。

 

「俺にはこの街の平和を守る使命がーー」

 

「何バカなこと言ってんだい。ガキはとっとと学校に行きな」

 

まあ、何を行ったところで結局はコレに至るだろう。

しかしアギトが通う学校など在る筈もなく、「へーい」と曖昧な返事を残して喫茶店花鶏を後にするのだった

 

 

 

 

 

龍賀アギトは所謂ニートである。

 

まあ、家に篭りつつ我が家の警備を一手に担う系の〝自宅警備職〟では無く、基本外出しているものの、これといった職業も目的も無く基本的に外をブラブラ徘徊している系のニートであり、言うなればホームレスの性質に近い。

 

朝、あちこちを練り歩いたりネットカフェで当てもなくネットサーフィンをしたり都市伝説を探してみたり。

昼、寝ぐらでもある喫茶店に顔を出して飯を少しつまみ、日当たりの良い高層ビルの屋上でスヤスヤと眠る。

 

「さあ、餌の時間だ」

 

そしてーーー夜。

 

アギトは近くの工場に不法侵入していた。

この工場は加工食品をパックに詰めて出荷する場所で、ここ最近謎の怪奇現象に頭を悩ませている場所でもあった。

 

「『社員が2名行方不明でアルバイトの一人が鏡に映る謎の影を複数見た』………ね」

 

キィィィィン、キィィィィン。

頭に響く不協和音を、目を細めて聴き入る。

いつの間にかアギトの周囲には生き物とは別種の気配が混在していた。

 

「……おお、大量だ」

 

しかしそれに怯む事なく、アギトはパーカーのポケットから長方形のカードデッキを取り出す。

黒い色合いで、中央に黒龍のエンブレムが刻まれたデッキだ。

それをトイレの鏡に向けると、鏡面に映るアギトの腰にはいつの間にかVバックルと呼ばれるベルトが装着されている。

 

「変身」

 

そして無造作にデッキをVバックルへと填め込み、一言言葉を呟くと、鏡から黒い騎士の鏡像がアギトの身体を幾つも重なり合い、音を鳴らし、いつしか青年を仮面ライダーリュウガへと至らせた。

 

『腹が空いて待ちきれないな』

 

そう笑って鏡に歩を進めたリュウガはまるでダイ○ンの掃除機が如く鏡面に吸い込まれていった。

 

 

 

鏡面の世界、〝神崎士郎〟が名付けた名称はミラクルワールドというが、この世界は正に現在世界の裏側と形容するに相応しい。

そんな裏表が反転した世界を黒い騎士は1人彷徨い歩いていた。

いや、1人では無い。

リュウガの周囲をとぐろを巻きながら空を飛ぶ黒龍、ドラグブラッガーが周囲を忙しなく見渡している。

どうやらミラーモンスターの生命エネルギーを捕食したくて堪らないようで、リュウガはそんな愛龍の様子に苦笑しながら漆黒の背を撫でた。

 

『行って良し』

 

『ゴォアアアアアアアアアア!!』

 

まるで障害物など豆腐だというのか、工場の壁を容易く破壊しながら黒龍は飛び出して行った。

その後に聞こえる獣の断末魔と嬉しそうな淑女の咆哮に猫とネズミが仲良く喧嘩する某アニメを思い出したリュウガは『くっくっく』っと笑いながら反対方向へ進む。

 

『………』

 

コツコツコツ、廊下に響く足音。

リュウガは辺りを見回しながら鼻を嗅ぐ仕草を見せた。

どうやら、この工場には噂のミラーモンスター以外にも面白そうな野良モンスターがいるらしい。

それを示すのは目の前に映る電球や蛍光灯だけを器用に盗み取られた部屋。

しかししどんな間抜けなのやら、工場のベルトコンベアにはそいつの〝忘れ物〟が放置されている。

 

『触感はゴムだ。珍しい』

 

グニグニ、ブヨブヨと適度に反発する灰色のナニカ。

リュウガは蛍光灯の消えた天井を見つめ、モンスターの行動と体質を思案する。

 

(………蛍光灯や電球をパクるんなら、それを利用してくる知恵者と考えるか。もしくは体内に電気を貯蓄、放出できるタイプか?)

 

だとすれば不意打ちの閃光技や通過するだけで感電してしまうトラップを警戒しなければならない。

そして次にブヨブヨが挟まっていたベルトコンベアに目を向ける。

 

(これが挟まっていたとすれば、まあベルトコンベアに乗って蛍光灯をパクる作業をしてたんだろうな。コンベア自体も他と比べてここの区域だけ沈み込んでいる)

 

支えきれない自重の物が載っていた証拠だ。

だとすれば盗人はコンベアに乗ることで天井まで手、もしくは頭が届き、更には中々の重量を持ち、頭が回る知恵者であること。

電球や蛍光灯をパクる理由は分からないが、大体掴めてきた。

 

(さてと、後はどう誘き出すかだ……が……)

 

広間自体を見渡しながら歩いていたリュウガは、ベルトコンベアラインの右端に辿り着くと、其処にあり得ないものを見つけてしまった。

 

『げ、ゲェェ………』

 

『…………』

 

なんと、コンベアの終着点に凡そ3mに及ぶサイズの鳥にも竜にも似たモンスターが、身体中を蛍光灯や電球から繋がれたコードに縛られ、気の抜けた悲鳴を上げながら身動ぎしていたのだ。

 

『ぐ、グゲェェェェ〜〜〜〜〜』

 

ーーー阿保過ぎる。

 

蛍光灯の窃盗犯は恐らくこいつだろう。

しかしこのアホ鳥、バカなのか頭が回るのかどっちかにして欲しいと思う。

稼働しているベルトコンベアの状況を見るに、電球をパクる作業をしている際に『アレ?このボタン押せば床(ベルトコンベア)が回って蛍光灯の所まで歩かずに済んで楽チン♪』と思い付いたのだろう。

そして作業に夢中でベルトコンベアの終着点が頭からすっぽり抜けて、そのまま床に転落、その時にコードが絡まってーーー今に至る……だろうか。

 

ああ、本当に、

 

『……阿保過ぎる』

 

『げ、ゲェッ!?』

 

思わず漏らした言葉に阿保鳥が反応する。

素早い首の動きで顔をリュウガに向けると、心外な!とでも言いたげに鳴いて首と嘴を動かしてコードを解き始めた。

その手つき(嘴つき?)の動きが良いのは過去にこう言ったことが何回もあったからだろう。

それを思うだけでリュウガを感傷が襲う。

 

そして作業が終わって解いたコードをクルクルとマフラーのように首に巻くと、鼻息荒くドヤ顔をしてリュウガに『どう?どうだった?』と顔を近づけ、

 

『………』

 

『………』

 

暫くの間石化の炎を喰らったが如く固まってしまい、

 

『……………ギョエエエエエエエエエ!!?グェェ!?グェッ!?』

 

直後、喉を詰まらせた顔で驚き喚く。

どうやらリュウガの存在に今初めて気付いたというか、なんというか………。

『おまえ誰だよおおおおおお』などと首を振り回しながら叫ぶ阿保鳥を、リュウガは呆れた様子で右ストレートパンチを繰り出し、それが腹部に上手いこと突き刺さって阿保は倒れる。

 

『グゲッ……』

 

『………』

 

軽くセーブしたパンチに悶絶したらしい阿保鳥は横目でリュウガをチラ見すると、その目を鋭く、そしてキラリと光らせ、聞くに耐えない悲鳴を上げた。

 

『ゲゲェェ〜〜〜〜〜バタン』

 

まさかの〝死んだふり〟である。

間抜けな鳴き声だが、一応最後の断末魔らしい………因みに最後の倒れる効果音も自分で発音していた。

お粗末な演技、しかも死んだふりの後もうっすら薄眼を開けてチラ見して来るため、なんとも大根役者なものだと評価せざるを得ない。

 

(間抜け……いや、ここまで来ると最早大物か?…うん。大物だな、こいつは)

 

そもそもの話、ミラーモンスターは命を落とすと体は消滅して魂だけになるため、この死んだふり自体が胡散臭いのだ。

しかしそれを知ってか知らずかこうも堂々と死んだふりをされると、リュウガとしては呆れて物も言えなくなってしまう。

 

『………』

 

『………げぷっ…(ゲップ音)』

 

この阿保をどうしようか悩んでいると、食事の終わったドラグブラッガーが帰ってきた。

体感としてはこの阿保と出会ってからまだ2分も経っていない。

 

『グガァ?』

 

『………(!?)』

 

リュウガの視線を辿ってアホ鳥の存在に気付くドラグブラッガー。

するとドラグブラッガーはアホ鳥の体を鋭く睨みつけ、スンスンと鼻を鳴らし始めた。

 

『グゴォォォォ』

 

『………(汗)』

 

黒龍のプレッシャーに神経の図太いアホ鳥も焦り始めた。

ピクピクと痙攣し始める身体を消して動かすまいとする気迫に、それまで沈黙していたリュウガは思わず笑ってしまった。

 

『ぷっ……クク。あはははははは』

 

『……グガァ?』

 

『……ゲッゲゲ?』

 

 

 

ドラグブラッガーと、死んだふりをしていたアホ鳥がお互い首を傾げてリュウガを見た。

一方2匹の視線に晒されながらも、リュウガは心の中で「これだからこの世界は面白い」と呟き腹を抱える。

視界の隅ではドラグブラッガーがアホ鳥の尻尾を自分の尻尾で潰して動けないようにしていて、アホ鳥はゴムみたいな尻尾が千切れそうな勢いで逃げようとしている。

 

『ゲエッゲェッゲゲ〜〜!』

 

彼が見る限り、ドラグブラッガーの機嫌もそこまで悪くない。

 

だからリュウガは腰部のデッキから一枚のカードを取り出す。

 

それは、契約と誓いを交わす宣誓書だ。

 

『食べる分には困らせはしない。ドラグブラッガーもお前が嫌いってわけじゃないから、弄られることはあっても石にされることはないだろう』

 

『ゲッ……?』

 

アホ鳥はリュウガの手に挟まれた契約のカードを首の角度を変えながらじっくり眺め、次いで続きを促すようにリュウガと目を合わせた。

 

『だから、約束だ』

 

カードを近付ける。

光がチカチカと輝き、アホ鳥の体がゆっくりとカードの中へ吸い込まれて行く。

 

『絶対に、俺の側から離れるな』

 

光が収まった時、既にアホ鳥の姿はどこにも見えず、契約のカードには不細工な嘴と特徴的なトサカを持つ〝ゲリョス〟の姿があった。

 

『ゲゲゲ〜♪』

 

 

 

青年の側に、新たな家族が加わった。

 




というわけで、今回はゲリョス回でした。ゲリョス可愛いよね。
モンハンの中では一位ベルナ村の集会場の受付嬢(龍歴院の人)同率一位ラギアクルス、三位ゲリョス、同率三位アイルー&メラルーですかね。皆さんはモンハンのキャラorモンスターは何がお好きですか?

それにしてもモンハンワールドがすごく楽しみです。
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