仮面ライダーリュウガ ー無限の鏡界線ー   作:人類種の天敵

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この話でクラス対抗戦は終わり!
とりあえずオリライダーを全員整理して出番を考えなければ……。
ううむ、IS vs.ライダーズか、虎の子のオルタ軍団を出すか……。

あ、前回で誤字修正してくれた方、ご苦労だった!(何様)本当ありがとうございます。今回は何もないといいんですが……。
それと、オリライダーの生みの親が自身の欲望を曝け出してくれるとぼくがとてもよろこびます(悪魔スマイル)。
ほうほう、貴様らそんな性癖だったのか。良いではないか良いではないか。もっとその欲望を見せてみい(外道)


リュウガ(やべ、やりすぎたか……汗)

ドゴオォォォォン!!

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「え?なに!?なんなの!?」

 

「やめ、痛い…痛いって!」

 

アリーナの防護フィールドを破り忽然と姿を表せた全身装甲の所属不明機に会場の女生徒たちは困惑し、パニックに陥り、それは病気のように周囲に感染し、未曾有の大混乱を引き起こした。

 

誰も彼もが我先に避難しようとした為に出口はぎゅうぎゅう詰めの缶詰状態だ。

これではスムーズに避難することは難しく、またこのような経験も、IS学園の防備は万全と避難訓練もさせてこなかった事が仇となり、彼女たちは身動き取れぬまま所属不明のISに背を向ける形となった。

 

『………』

 

その女生徒たちを見たISは片腕を無造作に無人の観客席に向けた。

手のひらから光が収束し太い閃光が無人の観客席に吸い込まれた。

これもまたアリーナの防御フィールドを容易く撃ち貫いて観客席を破壊、融解させた。

 

「ひ、イヤァァァォァァ」

 

「どいて!どいてぇ!?」

 

その光景を見た女生徒たちは恐怖に顔を引攣らせ脱出しようともがく。

しかしそれを尻目に観客席の出口は厚い壁を稼働させて女生徒の逃走を阻む。

鋼鉄の壁に行く手を阻まれた少女たちにできることは何一つなかった。

 

「……なによ。これ」

 

「出して……ここからだしてよぉ……」

 

この緊急事態に教師陣も少なからず混乱した。

IS学園のシステムは何者かのハック攻撃によってコントロール権限を乗っ取られており、現状では出口を固めてしまった隔壁を取り除く方法は皆無だった。

教師の数名が慌ててシステムを取り返そうとするも、強靭なファイアーウォールに手も足も出ないため、救出班の教師IS部隊も手出しすることが出来ず怒りと悔しさに臍を噛む。

 

その中でアリーナの中央。

2人のIS操縦者は目の前の不明機に対して思いの外冷静だった。

言わずもがな先ほどまで戦っていた一夏と鈴だ。

2人は冷静に不明機を観察して互いの意見を出し合う。

 

「あのビームは危険だ。ISのSEも1発で全損させるかも知れない」

 

「そもそも、今の時代に全身装甲型?」

 

操縦者を完全に守るシステムを持ったISを装備しているからの冷静さだろう。

それと、一夏と鈴が話し合っているのを興味深そうに観察する不明機の態度もまた冷静さに一役買っていた。

 

「……なあ鈴。アレ、本当に人間が乗ってるのかな」

 

それを最初に言い始めたのは一夏だった。

疑問に思ったのは鈴の言っていた全身装甲型という時代遅れの技術。

そしてなにより、一夏自身の直感がアレは人間なのか?と告げていた。

 

「一夏?何言ってんのよ。アレが無人ISだって言うの!?それこそ無理よ。無人型は未だ何処の国も開発に成功してない!試作型の情報すら無いのよ!?」

 

たとえ超極秘プロジェクトとしても、何処の国もまだ無人ISの開発に成功していないことが鈴の主張だ。

だが、それでも一夏の違和感は拭いきれない。

今もなおこちらを観察しているあの無人機が人間の真似をしているブリキのロボットの如く印象がどうしても醒めないのだ。

そして鈴も彼の性格を知っているだけに動揺から一転して冷静に確認した。

 

「本気?」

 

「ああ。何でかわかんないけど。アレに人は乗ってないって思うんだ」

 

確かめるように1つ頷いた。

そして自身唯一の実体剣を構える。

 

「俺に1つ作戦がある。鈴はーーー」

 

その時だった。

生徒たちの脱出を阻む隔壁の1つが、その向こうからミシミシと音を立てて開かれ始めた。

この事態に生徒は困惑、続いて教師が助けに来てくれたと一株の希望を持つ。

 

そして隔壁は開かれた。

 

目の前にいたのは果たして、

 

『………邪魔だ』

 

「あ?え?仮面……ライダー?」

 

黒い騎士の様相をなし、仮面のスリットから覗く血の色をしたツリ目。

黒龍の刻印を持つ騎士、仮面ライダーだ。

 

黒い仮面ライダーは片手で隔壁を強引に開き、その威圧に道を開けた女生徒達を尻目にアリーナへと進む。

そしてアリーナ中央の不明機を見下ろしてこう言った。

 

『よう。出来損ないのポンコツ。クソ女の使いっ走りか?ははは』

 

ドゴォオオオ!!

 

不明機に旧友と再会した感覚で手を挙げた黒騎士に不明機のビーム砲が突き刺さった。

 

観客席も共に破壊したその威力にさしもの黒騎士も倒されてしまったかと女生徒達は目を背けた。

 

ーーしかし、

 

『なんだ。クソアマの技術力も神崎に比べれば大したことないな』

 

無傷の黒騎士だ。

彼の周りを長い躰を持つ黒龍がとぐろを巻き不明機を忌々しげに睨みつけている。

盾にしたであろうその美しい黒い躰には傷ひとつ付いていない。

黒龍の装甲に対して不明機の威力不足が露呈したも同然である。

 

黒騎士は一つ黒龍の背を撫でてやると黒龍は嬉しそうに甘えた声を鳴いて身を捩る。

続いて黒騎士はベルト部のデッキからカードを一枚引き抜き、それを片腕に取り付けられた籠手の中へ差し込んだ。

するとその籠手から低い男の声が流れ、何処からか黒い刀身を持つ刀剣が黒騎士の手の平に納められた。

その黒い刀身を軽く振り、黒騎士の目は細められた。

 

『お前は見せしめだ』

 

グッ、と腰を下ろし不明機に向けロケット染みた爆発的加速で黒騎士は飛び蹴りをお見舞いした。

ドゴン、と派手な爆発音が鳴り響いて一瞬のうちに黒騎士の蹴りが不明機を捉えた。

不明機はその衝撃を受けてアリーナの壁へ深々と突き刺さる。

 

「なっ……」

 

『なんだ。もう終わりか?』

 

ゆらりと体を起こし不明機を見るも、既にその装甲はボロボロの状態で、剥き出しの配線や内部パーツが彼の蹴りの威力と受けた者のダメージを主張する。

もはや不明機は動くことも叶わぬガラクタだった。

 

『はっ、ざまあみろ』

 

ピクリとも動かぬ不明機に黒騎士の追撃が襲い掛かる。

手にした刀剣による複数の剣戟、一撃一撃が必殺の攻撃に不明機の腕や脚などのパーツが簡単に打ち切られていく。

そして一息に刀剣を突き刺して引き抜くと、その切っ先にはISコアと呼ばれるISの格があった。

 

「お、お前……何者なんだ」

 

『………』

 

黒い騎士の赤い双眸が自身へ言葉を投げかけた織斑一夏に向いた。

 

黒を主体とした黒騎士、白を主体とした白式。

相反する2人の視線が交差した時、一夏の脳裏に何か懐かしい感覚と、自分が誰かを呼ぶ声が蘇りかけた。

 

ーーーき、ーーーい、きーー。

 

「!?……なんだ、これ」

 

頭が痛い、ズキズキと唸る突然の頭痛を両腕で押さえつけながら一夏は目の前が真っ暗に染まり行くのを実感した。

 

「おまえは……おまえは……?」

 

『………』

 

黒い騎士は何も答えない。

手のひらに納めたISコアを弄び、一夏をジッと見つめている。

まるで一夏の答えを、一夏が何かを思い出すことを待っているように。

 

期待しているように。

 

「俺は……」

 

何を、思い出そうと?何を、忘れている…?

俺は、俺は。

 

『リュウガ。……仮面ライダーリュウガ』

 

黒い騎士は自らの名を名乗った。

感情を抑えた無機質なその声に、やはり一夏は堪らなくなる懐かしさを覚えていた。

 

「りゅう……が……」

 

不可思議な頭痛に脳が負荷に耐えれなったため、一夏の意識はそこで途絶えた。

パタリと倒れる。

リュウガはそれをずっと見つめていた。

 

『………ふん』

 

しかしそれも束の間、彼は最後にブラックドラグクローを用いて黒い炎弾を吐き出すと石化した不明機を今度こそ粉々に破壊した。

そして踵を返して立ち去ろうとする。

 

「ちょ、ちょっとアンダーソン!そのコアをどうするつもりよ!?」

 

中国代表候補生 凰鈴音だ。

彼女は一夏を庇えるように彼とリュウガの中間に立ち位置を変え、手に持った青龍刀を目の前の黒い騎士へ向ける。

ハッキリ言って勝算があって構えたわけではない、むしろ戦いに入れば鈴音は目の前の騎士に一太刀も入れることなく倒れるだろう確信があった。

 

何故ならリュウガは彼女たちの目の前で圧倒的なビーム砲を持つ不明機を赤子を捻るように完封してみせたのだから。

 

「ふ、ふん!かかってきなさい!アンタは私が倒すんだから!」

 

リュウガと自分の力量は差がある事は理解している、しかし鈴音は引けない。

彼女の背後には一夏が、想い人が気を失っているのだから。

目の前のリュウガが何者か分からぬ以上一夏の身の危険も、今や自分がどれだけ粘れるかに掛かっていると鈴音は冷や汗を垂らしてリュウガを睨み付けた。

 

(大丈夫。先生たちだって黙って見てるわけじゃない。コイツを相手に粘り続ければ数で有利なのは学園側よ!さあて、何処まで粘れるかしら?)

 

『………』

 

覚悟を決めた鈴音に対し、龍の顎を構えたまま動かぬリュウガ。

ただ突っ立ているだけなのにその風貌からは恐ろしいオーラが立ち昇っていることを対峙する鈴音は視認していた。

 

『………』

 

「え?」

 

リュウガがぶっきらぼうに何かを投げつけた。

飛び道具の類を警戒した鈴音はISのハイパーセンサーが捉えた飛来物に思わず目を丸くした。

 

「これって」

 

ISコアだ、リュウガが先ほど倒した不明機の。

何故今自分に渡したのか鈴音には想像も、ましてや突然過ぎて判断すら付かない。

 

『お前、今死んだぞ』

 

そんな、軽いパニックを起こしている鈴音の真横をリュウガは平然と通った。

彼女の耳に、ゾッとする警告を残して。

 

「ッ!?」

 

ハッと気づいた時には遅かった。

ダラダラと冷や汗は流れ、全身の筋肉が一瞬にして縮こまる。

まるで獅子に睨まれた子ウサギのようだと、とはいえ今の彼女にそんな思考をする余裕すらないのだが。

 

リュウガはその姿にフンと鼻を鳴らし、人外染みた脚力でアリーナから観客席へ飛び移った。

そしてもう一度倒れた一夏を振り返ると、二度と立ち止まることなくその姿を消した。

 

「はっ、はっ、はっ」

 

見逃されたこと事に脳が遅まきながら気付いた。

極度の緊張と死の実感に感覚は麻痺してその手から青龍刀が音を立てて地面に倒れた。

がくりと膝をつき、カタカタと震えて見つけた想い人の寝顔。

 

「い、い、一夏ぁぁ……」

 

自分が生きていた事に、想い人が無事だった事に、彼女の頬か涙が一筋流れた。

 

「あなた、大丈夫!?」

 

「男性操縦者を運ぶわ!担架!」

 

「こ、怖かった……怖かった……わた、私……生きてた」

 

リュウガの消失に遅れて教師陣が辿り着く。

複数の熟練者が乗り込むISに囲まれてもなお少女の涙が泣き止むことはなかった。




フンと鼻を鳴らして鈴音ちゃんから離れるまでは『コイツ肝座ってんなぁ』と感心していましたがミラーワールドで泣いてる鈴音ちゃんを見て『やっべ……』と思わず顔を背けたアギトニキ。
尚ドラグブラッガーは倒れた一夏さんに興味津々でした(伏線?)

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