転移する者達
1943年末期のロシアのとある戦線。
「
第2SS装甲師団ダスライヒの戦車猟兵がT34/85を指さし叫ぶ。
それに乗じて残りの兵士達もkar98kやMP40、G43、MG42、パンツァーファウストを持って塹壕から飛び出していく。
「救援のティーガーはまだか!戦車25両と敵歩兵多数が来るぞ」
士官らしき迷彩服を着た将兵が塹壕に居る全兵士に言い聞かせる。
敵とはソ連赤軍のことである。
スターリンの大粛正により、緒戦は次々と敗退したが、新型戦車や新型戦闘機を開発、物量戦、人海戦術で主導権獲得、これによりドイツ軍は東部戦線での敗北することを余儀なくされた。
彼等ダスライヒの歩兵中隊はひたすら援軍を待っているのである。
「引き付けろ、T34の前面装甲はパンツァーファウストも弾くぞ」
下士官の男がMP40を構えながら言う。
「クソォ、これで何度目だ。
パンツァーファウストを構えた戦車猟兵が悪態つく。
「言うなよ、ハルト。イワンだって疲れてるハズだ」
隣にいるkar98kを構えた兵士がその戦車猟兵に話しかける。
ソ連工兵が塹壕の有刺鉄線を工具で切ると、合図を送った。
「変だな。イワンの奴ら、砲撃や迫撃砲を撃ってこないぞ?」
「砲弾が切れたんだ。突撃で潰そうってこんたんだ」
「マヌケな指揮官持ってイワンも可哀想だ」
そんな会話が終わると、敵歩兵の1人が地雷を踏んで爆発した。
そしてSマインが地面から飛び出し複数の敵歩兵を命を奪う。
「
士官帽被った中隊長が攻撃の指示を出した。それと同時に小火器やMG42の連射が始まる。
指示の数秒後、迫撃砲が発射された後、対戦車砲Pak40も敵戦車に向けて発射される。
敵歩兵は迫撃砲の命中で次々と死んでいく、T34は対戦車砲を弾くが、運が悪い者は装甲の薄い所に命中し、撃破される。
「T34が地雷原を突破するぞ!」
誰かが叫び、戦車猟兵がパンツァーファウストを持って撃破に向かう。
途中、突破したソ連兵2人がPPs43や銃剣付きのモシンナガンを構えるが、MP40の乱射で撃退される。戦車猟兵はT34/85の側面に狙いを付け、パンツァーファウストを発射した。
「ざま見ろ!イワンめぇ!」
T34/85は大破した。
しかし、その戦車猟兵は重戦車KV1の砲撃で四散した。
「やばい、KV1だ!火力を集中しろ!」
中隊長は対戦車地雷を持ってKV1に向かった。
その間にKV1の固定機銃が火を噴き武装SS兵の命を奪う。
「喰らえ!」
中隊長は地雷をKV1のキャタピラの下に投げた。
地雷は爆発し、キャタピラを破壊できたが、砲塔は回る。
「あ、終わりだ・・・」
中隊長がそう思った瞬間、KV1が爆発した。
「ティーガーだ!味方が来たぞ!」
福を逆さにしたティーガーが砲撃したのだ。
そのティーガーはT34/76に8.8砲を向けると、撃った。
T34/76は大破し、砲塔のハッチから戦車長が出てきた。
「大尉殿、救援が遅れてすいません。して、戦況は?」
「ああ、確認される敵戦車はT34の短砲身と長砲身が14両、KV14両くらい、敵歩兵、およそ一個大隊程。戦況はこちらが不利だ、ティーガー3台で大丈夫か?」
「ご心配なく、近くの部隊に応援を頼みましょう。グルフ!国防軍でも、他のSS戦車中隊でも構わん、救援を頼め!」
「
「バートル、少々厳しいぞ」
「安心してくれ、ゾーレッツ。地獄の底まで一緒だ」
「よし、目標T34の長砲身!徹甲弾装填!」
『装填完了!』
装填手が徹甲弾を装填を完了し、砲手のバートルにそれを伝える。
そして、戦車長のゾーレッツは砲撃命令を出した。
『ファイアー!』
その頃、とあるソ連の親衛戦車中隊部隊
T34/85の車内で隊長らしき男が騒いでいた。
「なに、今すぐ助けに来いだと!?一体何処の部隊だ?」
隊長らしき男は無線手に問う。
「第9狙撃師団の第8大隊です。同志ゴロドク中尉」
「そいつ等の為に親衛戦車隊を動かすつもりか?向こうも戦車くらいは持ってるだろう?」
「ええ、相手が武装SSらしくて・・・、タイガー戦車が現れたとか」
「なにぃ!タイガー戦車だと!?それはいかん、すぐ出撃だ!親衛戦車隊、前へ!」
ゴロドクはハッチを開き、辺りにいる歩兵に怒鳴り散らした。
「いつまで寝てる!出撃だ!
寝てる兵士は飛び起き、T34の後部や装甲車に乗り込んだ。
『こちらフェンリアのハーゲン、加勢しに来たぞ。武装SSのティーガーがどうした?手こずってるじゃないか』
Ⅲ号突撃砲G型4両が戦場に到達した。
『三突が4両か・・・、少し頼りないが長砲身なら安心だ。救援感謝する』
『三突で済まなかったな、ヘルマン。目標、T34、徹甲弾装填!』
装填手が徹甲弾を装填し、それを確認したハーゲンは指示を出した。
『ファイアー!』
側面を撃たれたT34/85は大破する。
乗員はハッチから次々と脱出し、逃げるが、迷彩服を着た武装SSの兵士に射殺されていく。
しばらくして戦闘が続き、SS兵士はkar98kを撃った後、ボルトを引き、次弾を薬室に送り込むと、照準を次に向けるが、その兵士は東からの機銃掃射で力尽きた。
ハーゲンは「何だ!?」と叫びハッチを開けた。
そこにはT34/85が砲身をこちらに向けていた。
「見つけたぞ、ハーゲン。モスクワ戦の時に似ているが、今回は違う。さぁ、覚悟しろ、ハーゲン!」
ゴロドクは三号突撃砲から顔を見せるハーゲンを見ながら言った。
その時ハーゲンも三突をT34/85の方へ旋回し、砲撃を命じる。
『ファイアー!』
発射された砲弾はT34の前面に当たり、弾かれた。
すかさずゴロドクも砲撃を命じる。
『射て!』
ハーゲンが乗る三号突撃砲は小破し、横転した。
「大丈夫か、みんな?」
戦車から放れ出されたハーゲンと乗員達、ハーゲンは全員が無事か確かめる。
「大丈夫ですぜ、少尉殿。それより、アントンの奴が脚の骨を折っちまったようで・・・」
ベテランぽい照準手が脚が折れて痛がる操縦手を指さす。
「俺が時間を稼ぐ、あれはゴロドクだ。奴の狙いはこの俺だ。食い止めている間に行け」
ハーゲンは残りの2人に脚の折れた操縦手を運ぶように指示した。
見送った後、死んだ武装SSの兵士からG43と予備の弾倉6個とパンツァーファウスト1本を拾い、
残骸から飛び出した。
「ハーゲン!死ねぃ!」
砲塔ハッチの上から叫びながらPPSh41をハーゲンに向かって乱射した。
転がりながらパンツァーファウストの安全装置を外し、T34の機銃口に向けて撃った。
「うわぁー!」
機銃手が爆発で息絶える。
「のわぁ!いかん!」
ゴロドクはT34から飛び出し、雪の地面に顔から落ちた。
「これで終わりだ、ゴロドク」
G43をゴロドクに構えるハーゲン、だが。
「誰が貴様なんぞに!」
ハーゲンの足を掴んで転ばせた。
バランスを崩した、ハーゲンはゴロドクに殴れる。
「俺が勝ったんだ!」
殴るゴロドクだが、ハーゲンも反撃に出る。
「イワンめぇ!」
両者、そのまま殴り合いとなったが、後ろから政治将校とソ連兵がPPSh41、モシナガン、SVTー40を構え、殴り合いをする2人に近づく。それに気付いたバートルとゾーレッツは救出に向かう。
「ゾーレッツ!」
「分かった、フェンリアを助ける。ゼール、後は頼んだぞ!」
バートルは日本刀を持ち、ゾーレッツはMP41を持ってティーガーから出て行った。
途中、「ちょっと!」と聞こえたが、銃声や爆音でかき消される。
「ゲルマンスキー!」
2人を見つけたSVTー40を発砲するが、ゾーレッツのMP41に射殺される。
隙を突いて、ソ連兵3名が銃剣付けたモシナガンで突っ込んで来るがバートルの日本刀で全員切り捨てられる。ゾーレッツの後ろから襲いかかる者も居たが、MP41の木製ストックに殴られる。
殴り合いをする、ハーゲンとゴロドクの間近に迫った2人であったが、遠くから砲撃音が聞こえ、4人のいる方向に着弾した。
「は、ハーゲン!」
「もう駄目だ!」
「ここで終わりか・・・!」
「クソォ!まだ妻と娘には・・!」
救援を受けて到達したカンプグルッペzbvだったが。
「ふ、吹っ飛んじまった・・・・」
眼鏡を掛けた戦車長、ブルクハイト中尉があ然する。
『よく、あることだ。それよりも中尉、敵の残存戦力を殲滅したまえ』
指揮者用の装甲車から通信を送る、コートと帽子を深く被った男、シュタイナー少佐が冷静に指示を出した。
序章は源文勢の参戦にしました。
それとファンの方々、122㎜砲を向けるのはお止めください!
回も保存してますが、殆どが書き直されております。ご了承を。