学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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もっさん(SW)がようやく参戦します。


絶望的な状況

目の前にいた大量のゾンビを大鎌のたったの一振りで惨殺したルリ、そのまま時計台の上にいるストアーに斬り掛かろうとしたが、洋風美女の手から発せられた空気圧を食らって地面まで飛ばされる。

 

「馬鹿正直に突っ込んでくるとは愚かな!」

 

ストアーは手を振り翳し、ルリが落下するであろう地点に自爆ゾンビを複数召還させた。

しかし、ルリは着地して大鎌で回転斬りを行い、全ての自爆ゾンビの頭を吹き飛ばし、爆発する前にジャンプして爆風を回避した。

それを見ていた沙耶は、ひたすら驚いているしかない。

 

「前々から変な娘だと思ってたけど・・・こんな現象有り得るのかしら・・・?」

 

「奴らが出て来てる限り、有り得ない訳が無いでしょう」

 

MP5kを持って、ルリの有り得ない動きに唖然している沙耶に、コータはM654を向かってくるゾンビの頭を性格に撃ちながら答えた。

頭を撃っても死なない(?)ガイコツに正はひたすらS&W M36をひたすら撃ち続けている。

 

「なんだ!?遂に骨になっても動くようになったか!」

 

目の前から群がってくるガイコツの集団に正は叫びながら拳銃を撃ち続けたが、まるで効果が無い。

そこへ麗がハンビィーのトランクに仕舞ってあったM1銃剣付きM1ガーランドを正に向かって投げた。

 

「お父さん!これ使って!」

 

「お、おっと!」

 

M1ガーランドを見事キャッチできた正は目の前にいたガイコツの光る心臓に銃剣を突き刺した。

弱点である心臓を刺されたガイコツはバラバラになり、骨がそこらに散らばった。

 

「この光る心臓を突き刺せばバラバラになるぞ!みんな、ガイコツの弱点は心臓だ!心臓を狙え!」

 

全員に大声で知らせた正、それが耳に入った者達は直ぐにガイコツの心臓目掛けて撃ち始める。

武器を持ってない避難民達は逃げ惑うも、マシンガンゾンビに逃げ道を阻まれMG42の掃射で次々と射殺されていく。

指揮官を失ったワルキューレの兵士達も浮き足立っており、次々と屍の数を増やしていき、外にいた戦車もゾンビの餌食となる。

少数の兵士と陸上自衛隊員達以外まともな戦力になりやしない。

その自衛隊員達も切りがないほど沸いてくるゾンビに焦っていた。

 

「雲霞の如く沸いてきやがる!」

 

「まるでイナゴの大群みてぇーだ!」

 

憲兵に連れて行かれていた紫藤の元にもゾンビの大群はやって来た。

必死に拳銃や短機関銃で迎撃する憲兵達であったが、数が多すぎて対処できず、護衛の軽歩兵も飲み込まれ、憲兵もゾンビに喰い殺された。

 

「ヒッ、ヒィィィィ!!」

 

死の恐怖を感じた紫藤は手錠を付けたまま逃げようとしたが、足に下半身を完全に喰われた軽歩兵が掴む。

 

「た、助けて・・・」

 

「は、離せ!」

 

学園で見捨てた生徒のように、紫藤は童顔の女性の顔に思いっ切り蹴り入れる。

骨の砕けた音が鳴り響き、愛らしい顔がズタズタになり、紫藤の足を掴んでいた手が剥がれた。

空かさず紫藤はその場から生徒を置いて一目散に逃げ出す。

逃げる紫藤が振り返れば、叫び声を上げて複数のゾンビに鈍器で死ぬまで殴られたり、肉を食い千切られている生徒が居たが、自分の命を優先している紫藤には関係ない話だ。

 

「(もうすぐだ!私は生き残れるっ!)」

 

そのまま逃げ切れると思った瞬間、目の前に言葉(ことのは)が現れた。

 

「何処へ行くのですか?」

 

「ヒッ、そ、そこを退きなさい!貴方もあの人食い共に喰われてしまいますよ!?」

 

追ってくるゾンビの集団を指差しながら言葉に告げる紫藤であったが、当の言葉は笑みを浮かべて紫藤に言った。

 

「貴方は生かしては帰しませんよ・・・何故か生かしておくとトンでもない気がしますから・・・!」

 

言い終えた後、言葉は右腕で手刀を作り、紫藤の胸に突き刺した。

 

「グッ・・・!?ガハッ!」

 

思いっ切り胸を突き刺された為、刺された場所から血飛沫が上がり、口から吐血してしまう。

右腕を突き刺しながら言葉は紫藤の心臓を見付け、それを掴んだ。

口から血を吐きながら紫藤は言葉に命乞いを始める。

 

「た、助けてくれ・・・!」

 

「心臓を無理矢理引き抜かれたら、人間は生きているのは数分間だけですよ・・・」

 

命乞いをする紫藤に言葉は告げた後、心臓を引き抜いた。

心臓を引き抜かれた紫藤は道路の上に膝を着き、ずっと空を眺めていたが、左手で手刀を作った言葉に首を飛ばされ、切断された根本から血飛沫を上げながら道路に倒れた。

右手てで持っている紫藤の心臓をどうするか悩んだ言葉は、それを思いっ切り握り潰し、笑みを浮かべて小さく笑い出し、何の意味もなく、その場から去っていった。

小学校で惨事が起こる中、尋常じゃない重傷を負ったアレクサンドラの元に多数のゾンビが襲い掛かる。

必死に応急処置をする衛生兵達を守るように、中歩兵と重装備兵が正確に頭を撃ち抜きながら迎撃を行っている。

このままずっと守りきれるはずもなく、マシンガンゾンビやスナイパーゾンビが現れ、必死でアレクサンドラを守る護衛の兵士達を次々と撃ち殺していく。

為す術もなく武器を持たない衛生兵達も撃ち殺され、致死量に致ほどの重傷を負ったアレクサンドラに容赦なく銃弾が浴びせられた。

それを目撃したルリは、屋上から狙撃するゾンビスナイパーを全て切り裂いた後、品詞のアレクサンドラに容赦なく銃弾を食らわせていたマシンガンゾンビを全て片付け、もう助かる見込みもない彼女に近付いた。

 

「来たか・・・」

 

まだ動く左手で近くに寄り添ったルリの頬を触りながら力を振り絞って口を動かす。

頬から左手を離し、懐から写真を取り出し彼女に渡した。

 

「家族の写真を頼む・・・私が持っていたら汚れそうだ・・・」

 

手渡された写真を見たルリ、そこに映っていたのはアレクサンドラを初めとした彼女の家族写真だった。

ルリが見ている間に空気を読まないゾンビが襲い掛かったが、中歩兵が始末される。

夫らしい人物の隣にアレクサンドラが居り、彼女と夫の前には小学生くらいの男児が一人にまだ幼い女児が一人だ。

その中の女児の容姿がルリに少し似ていた。

恐らくアレクサンドラはルリが敢えてここへ来ることを予想し、わざわざ出迎え、ヘリがストアーに破壊されて爆風からルリを守ったのも、娘の面影を思い出した所為であろうか。

そう思ったルリはアレクサンドラの顔を見た時は既に彼女が息絶えた後だった。

近くで彼女の付き添いの士官が護衛の兵と共にやって来て、自分達の上官であるアレクサンドラの死を知った後、部下達に退却を命じた。

 

「アレクサンドラ日本支部司令官が戦死した!総員退却せよ!!」

 

兵にアレクサンドラの亡骸を運ばせ、ルリから既に息絶えた彼女の家族写真を取り上げ、小学校から退却を始めた。

上空から数機の戦闘爆撃機ホーカータイフーンが編隊を組んで現れ、退路を塞ごうとするゾンビをロケット攻撃で粉砕した後、そこからワルキューレの兵士や戦車が雪崩れ込み、小学校から退却していく。

運良く生き延びた避難民が退却するワルキューレの後を追おうとするが、追ってきたゾンビの餌食になる。

逃げ出していくワルキューレの兵士達を見ながらSTG達は、ゾンビの迎撃で手一杯な孝達に知らせた。

 

「小室!あの女戦士と戦乙女達はここから逃げ出していくぞ!」

 

「嘘だろ、おい!」

 

「そんな・・・!私達を置いていくなんて・・・!」

 

孝はイサカM37を構えながら言った後、麗が絶望する。

和風の美少女と斬り合っていた冴子も、背中を守ってくれるワルキューレの兵士達が居なくなって、後ろから襲ってくるゾンビも相手をしなければならなくなる。

 

「クッ・・・!武士道もないか・・・!」

 

容赦なく斬り掛かってきた美少女に対処しながら防ぐ冴子。

今戦っているのは小室一行とルリ、少数の陸上自衛隊員だけであり、ワルキューレの兵士達は誰一人とでこの場に居らず、全員が撤退していった後だった。

時計台にいるストアーは孤立奮闘する彼等を見て、笑みを浮かべながら告げた。

 

「ハハハハ!頼りの戦乙女が逃げて哀れだな!いつまで銃弾が持つかな?それと非武装な女と小娘の守りががら空きだぞ!」

 

ストアーは鞠川とありすの近くに複数のゾンビを召還した。

周囲を囲まれた鞠川とありすを助けようと小室一行とルリは向かおうとしたが、行き先を地面から這い出てきたゾンビや召還されたヘル・ハウンドに邪魔される。

 

「こいつ等!」

 

それでも向かおうとした孝だが、シャベルを振り翳してきたゾンビに邪魔をされ、地面から這い出てきた手に足を掴まれ、身動きが取れなくなる。

孝の母親が助けようと向かったが、正に止められてしまう。

 

「しまった!」

 

「孝!!」

 

足を掴まれたまま周囲をゾンビに囲まれた孝、そんな彼を助けようとした麗であったが、マシンガンゾンビに頭を掴まれ、さらに首を絞められる。

 

「「麗(ちゃん)!?」」

 

直ぐに助けに向かおうとした正と貴理子であったが、スナイパーゾンビの狙撃で阻まれてしまう。

 

「こんなの無理よ!」

 

ゾンビの迎撃に手一杯な沙耶は周囲から迫ってくるガイコツの迎撃で手一杯で、コータの所にも多数のゾンビが向かってくる。

鬼神のような強さを持つルリとで、分厚い肉の壁で阻まれた為に鞠川とありすの元へは直ぐには迎えない。

ジークは周囲を囲むように迫ってくる鈍器を持ったゾンビアーミーに吠えるが、全く効果無し。

一校の中で高い火力の兵器を持つSTG達とで、数の暴力で圧倒されている。

絶望感に陥る彼等を見たストアーは高笑いしながら彼等に死の宣告をする。

 

「ハッハッハッハッハッハッ!!貴様等はもう終わりだ!我が下僕達にその女と小娘が喰われる様を見て、貴様等も後を追うと良いッ!!」

 

「ありす達死んじゃうの?」

 

「もう分かんないよ・・・」

 

高笑いしているストアーを見て、ありすが鞠川に話し掛け、答えに困った彼女はそう答えた。

このまま鞠川とありすがゾンビアーミーの餌食になると思った瞬間、彼女達の周囲に居たゾンビアーミーの動きが止まった。

 

「どうした?何故動かん!?」

 

突然動きを止めたゾンビアーミーを見て、驚いたストアーは声を上げた。

 

「あれ、お化けの動きが止まったよ?」

 

「本当・・・一体何が・・・?」

 

「その()の目を隠せ」

 

「っ!?」

 

鞠川は隣に黒マントを纏った女性の声が聞こえた。

脳天気な彼女とで、少しは怪しんだが、周りのゾンビアーミーの頭が地面に落ち始めた為、急いでアリスの目を手で覆った。

ストアーはゾンビアーミーの頭が落ちる前から謎の女性の存在に気付いた。

 

「き、貴様!何者だ!?」

 

ゾンビアーミーの頭が落ちた後、謎の女性に指を差して問うストアー、それと同時に学校の校門から日本刀を構えた男子高生が現れた。

 

「坂本さん!早すぎますよ!!」

 

息を切らしながら坂本と呼ばれた黒マントの女性に言う男子高生、その女性は高笑いしながら答えた。

 

「ハッハッハッハッ!少し早すぎたか、それにしても賢治よ。剣道を習ってる者としてこれくらい動けんとな!」

 

フードを取りながら答える坂本、右眼は不思議な模様の眼帯で隠していた。

その容姿を見た孝達は、彼女の容姿を見て思い出した。

それはミーナ達の話に出て来た坂本美緒そのものだった。

直ぐさま腰の日本刀を抜き、孝達の脅威を次々と取り払っていく。

賢治と呼ばれる男子高生も加勢して、小室一行側が少しだけ有利になっていき、ルリもゾンビの肉の壁を突破し、オカルト将軍の周りに浮いていたを頭蓋骨を全てスターリングMk7の乱射で撃ち落とした。

頭蓋骨を失ったオカルト将軍の霊体化は解け、実体が浮かび上がる。

霊体に戻ろうとするが、ルリが逃すはずもなく大鎌で上半身と下半身を切り離され、死んだ。

次に洋風美女がルリに襲い掛かったが、叶うはずもなく大鎌に貫かれた。

 

「クッ、一人殺されたか!」

 

ストアーは空気圧を作ってルリにぶつけ、彼女から距離を取る。

その時、遠くの方から別の銃声が聞こえ、ストアーの頬を掠った。

 

「もしや新手か!?クッ、頃合いを見てもう一度仕掛けるか!」

 

ストアーは校門側から見えたスコープの光を察し、和風美少女を置いて自分一人だけ逃げた。

地面から這い出てくることが無くなったゾンビやゾンビアーミー、召還されることが無くなったクリーチャー達は次々とルリや美緒、STG達に寄って駆逐されていく。

後ろから襲われる心配もなくなった冴子は和風美少女との一騎打ちに集中することが出来、本気を出して和風美少女を追い込んでいき、左腕を斬り付けた。

左腕に力が入らなくなった和風美少女はまだ戦う気で居たが、何処にもストアーの姿がないと分かると、自決しようと試みた。

 

「止せ!止めろー!」

 

美緒が和風美少女の自決を止めようとしたが、間に合わず、既に自分の喉を切り裂いた後だった。

 

「貴様、何故止めなかった!?」

 

立ち尽くす冴子に問うが、当の彼女も何が起きたか分かってない。

和風美少女の肩を抱いてまだ息があるか確かめる。

やがて和風美少女が息絶えたのを確認した後、見開いていた目を美緒は閉じた。


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