学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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さらわれた後

ルリが地中から侵入してきた部隊と交戦してる頃、小学校の外でワルキューレの重装備歩兵部隊と銃撃戦を行っていたアリシア達は、これが囮とは知らず、ただひたすら目の前の敵に向けて銃を撃ち続けていた。

 

「頭一つ上げれんぞ!どういう機関銃だ!?」

 

IMIゲネブSFを連射してアリシア達の反撃を抑え込む重装備兵を手に入れた手鏡で見ながら、ローバックが叫ぶ。

遮蔽物越しからM1A1トンプソンを乱射したが、向こう側で銃撃を加えてくる重装備兵達には一切命中しない。

頭を上げようにも敵のSUVに搭載された凄まじい連射力を誇るM134ミニガンがあって、遮蔽物から出たら挽肉に変えられてしまう。

裏門に居るSTG達も乗用車一台しか通れない程の狭い道路を通って来たBVP-M80A歩兵戦闘車と交戦していた。

 

「STG!歩兵戦闘車両だ!!」

 

「こんな狭い車線に入ってきやがって!」

 

STGはレーザー発射器をBVP-M80Aに発射し、大破させた。

爆風がSTG達を呑み込み、黒人の隊員が咳をしながら文句を言う。

 

「ゴホッ、ゴホッ!なんて健康に悪い煙だ!」

 

その次に突撃銃や軽機関銃などを武装した歩兵部隊が新手のBVP-M80と共に現れる。

 

「敵の増援だ!ゾロゾロ居るぞ!」

 

トビーが向かってきた敵兵を指差しながら叫び、直ぐに応戦する。

こうして彼等が目の前の敵に夢中になっている間に孝達は捕らえられていくのだった。

アリシア達を追ってきたルイス率いるSEALsの七名からなる分隊は彼女達がワルキューレの重装備歩兵部隊と交戦しているのが見えた。

ポイントマンが直ぐにルリスに知らせる。

 

「目の前で標的がPMCと交戦中、学校の方角から聞いたこともない銃声とAK74の銃声が聞こえてきます」

 

「どうやら本物のようだな・・・!」

 

「どうします?標的に友軍の陸軍歩兵分隊も居ますが・・・」

 

その言葉にルイスは双眼鏡を取り出して、交戦中のアリシア達を見た。

自分達の合衆国陸軍の歩兵装備をしたイーディ達を見て驚いた。

 

「本当だ・・・我がアメリカ合衆国陸軍の歩兵分隊が居る・・・」

 

「通信を入れますか?この距離から十分届きますが」

 

軍用トランシーバーを持った隊員がルイスに問う。

この問いにルイスは自分のトランシーバーを取って、受信ボタンを押す。

 

「俺が通信する。こちら合衆国海軍、特殊部隊SEALsのルイス・ゴートン中尉だ!そちらは陸軍の歩兵分隊と確認した。部隊の所属と任務を表せ!」

 

銃撃戦を行っていたアリシア達を見ながら言った後、返事が来るのを待つ。

イーディは自分のトランシーバーからルイスの声が聞こえてくることに気付いて、それを手に取り、返答する。

 

『もしもし、何方ですか?』

 

遮蔽物に身を隠しながらルイスに応答するイーディ。

突然少女の声が聞こえてきた為、ルイスは驚いて部下達の顔を見て知らせた。

 

「おい、どうなってるんだ!?嬢ちゃんが応答してるぞ!」

 

「陸軍に17歳の少年兵士が前線に出られますが、同年の少女兵士は前線には出られません!」

 

部下がルイスに告げた後、彼は再びトランシーバーに耳を当てた。

 

「分かっている!応答しろ、嬢ちゃん。どうして陸軍の装備をしているか知らんがこれは嬢ちゃんには危ないお仕事だ。俺達が援護するからその間に逃げろ、オーバー?」

 

『嬢ちゃんですって・・・!私はガリア義勇軍の第7小隊のアイドル、イーディ・ネルソンですわ!アウト!!』

 

子供と思われて通信を切ったイーディ、ルイスは部下達に顔を向けて両手を挙げる。

 

「子供じゃないらしい。しかも切り方を知っていた」

 

その場にいた全員が少し笑った後、ルイスはアリシア達を救出する事にした。

 

「聞け、お前等。あそこで銃撃戦をしてる嬢ちゃん達を援護する。敵の戦力はミニガン搭載のSUVと先進国並みの装備をしたPMCが六十名程だ」

 

「一個小隊と一個分隊分の人数か。俺達なら瞬きする間に皆殺しに出来ますね」

 

「あぁ、そうだ。俺達は海軍の最強の特殊部隊だ。アフガンでは四名で百人のタリバンと交戦した」

 

「しかし、あの戦闘では全員数に押されて戦死しました」

 

盛り下がる事を言った隊員を睨み付け、ルイスは続けた。

 

「たかが六十人くらい葬る事なんて俺達には容易いことだ。こうしている間にもあそこの嬢ちゃん達が死んじまう。行くぞ!」

 

SCAR-Hのボルトを引いたルイスは部下達に告げ、アリシア達の救出に向かった。

ハンドサインで二手に分かれることを指示、三名にSUVを破壊することを命じ、自分達はアリシア達に銃撃を加える小隊の殲滅に当たる。

SUVに近付いた隊員達は、消音器が初めから付いているMP5SD6を単発にしてPKMを撃ち続けている重装備兵の首に狙いを定めて発砲した。

首を撃たれた重装備兵は首を押さえて苦しみだし、それを消音器を付けたM16A3を持った隊員がトドメを差す。

周りにいた重装備兵達を全て始末した後、隊員は銃座に着いている敵兵が気付かないと確認し、車体の下にC4爆薬を投げ込んだ。

爆薬を仕掛けたとハンドサインで他の三人に知らせ、ルイスの加勢に向かった。

その間に起爆スイッチを押して、SUVを破壊しておく。

ルイス達は重装備兵達が固まっている場所にM67破片手榴弾を投げ込んだ。

突然後ろから飛んできた手榴弾に気付かなかった爆発の範囲内に居た彼女達は、一回の爆発で全員が地面に倒れ込んだ。

こちらに気付いた重装備兵がAEK-971を向けて発砲しようとしたが、ルイスのSCAR-Hに射殺され、残りはM249を持った隊員に始末される。

 

「なんだ?リヒター達が助けに来たのか?」

 

G36Kを持っていたセルベリアがSEALsの分隊と交戦している重装備兵達を見ながら言う。

 

「敵が引いてるぞ。きっとリヒターおじさん達が助けに来たんだ」

 

P90を持っていたエイリアスが重装備兵達が引いていくのを見て、全員に知らせた。

その隙を逃さないようにカールが遮蔽物から飛び出し、スプリングフィールドM1903A4のスコープを覗き、ビルに居た狙撃手に狙いを定めて、引き金を引いた。

それを援護するかのようにルイスの分隊に居たM14EBRを持ったブニーハットを被ったマークスマンがカールと一緒に狙撃手を始末していく。

マリーナもその作業に加わり、ワルキューレの狙撃手が撤退するまで撃ち続ける。

敵兵が全て逃げ去った後、ルイスの分隊がアリシア達と接触した。

 

「なんだこりゃ・・・?」

 

SUVを爆破したバラクラバの隊員がアリシア達を見て驚く、さらに彼等が驚いたことはローバックとカールの格好だ。

大戦末期のOSS狙撃手装備と50年代のフォースリーコンの装備をした男達が居るからだ。

少し動揺しながらもルイスはアリシア達に指揮官が誰なのかを問う。

 

「この・・・部隊の指揮官は誰か?」

 

「誰も居ねぇよ。一番高い階級と言ったら、そこのデカパイのお嬢さんだ」

 

ローバックがM1A1トンプソンを銃身を肩に担ぎながら首でセルベリアを差す。

マガジンベストを巻いたPMCの様な長い銀髪と赤い瞳、絶大な美貌を持つ彼女にルイスは少し緊張する。

他の隊員はアリシアを含む女性陣の美貌を見て、小声で会話する。

 

「でけぇなおい」

 

「あっちも問題ねぇ」

 

アリシア、セルベリア、リエラを見ながらSEALsの隊員達はほくそ笑んだ。

ルイスがセルベリアと握手してから自分の所属と階級を名乗る。

 

「小官はアメリカ合衆国海軍特殊部隊SEALsのルイス・ゴートン中尉だ。貴官の名は?」

 

「セルベリア・ブレス大佐だ」

 

「失礼しました大佐。理由は聞きませんが、あの公園から・・・」

 

先程アリシア達が出て来た公園の次元の亀裂のことを問おうとしたが、その時ルリが追っていた擲弾兵の隊長が置いた梱包爆弾が爆発音が彼等の耳に入ってきた。

 

「中尉!小学校の一階で爆発が起きたぞ!!」

 

Jesus(ジーザス)!あそこの嬢ちゃん達が陸軍の格好をしていたことが聞きたかったが」

 

小学校で起きた爆発に驚いているイーディ達を見て言った後、アリシア達と共に小学校に向かった。

その爆発もSTG達も聞いており、攻撃してきた敵部隊が引いていくことに気付いた。

 

「ン、敵が引いていくぞ?」

 

「俺達にビビッたんだろう」

 

ゴーグルと黒人の隊員が引いていく敵を見て不思議に思う。

そして爆発音が耳に入る。

 

「小学校から爆発!?」

 

「砲撃か!?」

 

STGとトビーが言った後、彼等は小学校に戻った。

その頃、地中のトンネルに居たリディア達はカートに積まれた孝達が元来た道へ向かっていくのを眺めている。

暴れていた鞠川も黙らされ、カートに積まれて孝達と一緒の場所へと送られた。

もう長いが必要ないと感じ取ったリディアは部下達に退却を命じる。

 

「さぁ、あんた達。帰るわよ!」

 

了解(コピー)!」

 

手を叩いて部下達に告げ、元来た道へと戻っていった。

ブルドーザーもバックしながらリディアが戻っていく方へ向かう。

道中、彼女はこの任務に疑問を抱き、考え込んでいた。

 

「(生存率が高い餓鬼共が見たいからって、機械化歩兵二個中隊を送るなんてね)」

 

最後尾のカートに積まれた飛び出した鞠川の足を見ながら心の中でそう思う。

一方、小学校に居たルリの元にSEALs隊員を加えたアリシア達とSTG達が入ってきた。

 

「ハッ、大丈夫!?」

 

膝をついて呆然としていたルリを見付けたアリシアは、直ぐに彼女に近付いて何があったのかを問う。

 

「みんなが連れて行かれちゃった・・・」

 

ルリは崩壊して出入りが出来なくなった穴を指差して、泣きながら答えた。

 

「賢治はどうした・・・?」

 

「あ、何処行ったけ・・・?」

 

美緒はルリに賢治の事を聞いた後、彼女は賢治を探しに行く。

直ぐに麻酔弾を撃たれた賢治が発見され、美緒は彼の腹に一発蹴りを入れて起こす。

 

「起きろ!賢治!!」

 

「ブヘッ!」

 

痛みで起き上がった賢治は、美緒の前に立って礼を言う。

 

「起こしてくれてありがとうございます・・・あれ、みんなは・・・?」

 

周囲を見渡して孝達が居ないことに気付いた賢治、彼が起きて数分後に陸上自衛隊のヘリのローター音が聞こえてきた。

それに気付いたルイスはセルベリアの肩を叩いて公園に引き上げる様に勧める。

 

「大佐、公園に戻った方が良い。この国の自衛隊にあったら俺達以外武装解除されるかもしれない!」

 

「なんだと?」

 

セルベリアは驚き、STG達はもっと驚く。

 

「なんだって!?俺達の装備を剥ぎ取るのか!それはお断りだ、早くリヒター達の所へ行こう!」

 

STGが言った後、全員がルイスが出した案に納得、トビーが眠っている正達について問う。

 

「どうするんだ、小室達の親御さん達は?」

 

「連れて行くのは危ないだろう、自衛隊とやらに保護させて貰おう」

 

美緒の提案に全員が賛成した後、ルリを連れてリヒター達が居る倉庫の入り口がある公園まで戻ることにした。

賢治が寝惚けて戻ろうとしたが、美緒に襟を掴まれて一緒に連れて行かれた。

その後、陸上自衛隊のCH-47Jが着陸し、降りてきた自衛隊員達に寄って正達は救助されたと言う。

そしてリヒターとジェイコブ達が居る公園に到着したルリ達は、何名かが公園に出ていることに気付いた。

 

「隊長!」

 

「ルイス、そいつ等は追跡していた連中だな?」

 

「サー、そうであります」

 

「紹介しよう、ドイツ国防軍のリヒター閣下だ」

 

ジェイコブがリヒターの事を紹介した後、孝達を失い、新たにジェイコブ達SEALsを加えたリヒター達はこれからどうするのか悩み始める。


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