学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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今回はアメリカ陸軍の第82空挺師団が登場します。


自分達だけで行け。

ジェイコブがリヒターを初対面のルイス達に紹介した。

 

「初めましてだ、ルイス・ゴートン中尉。私はエーリヒ・フォン・リヒター。所属はドイツ国防軍の陸軍(ヘーア)、階級は元帥だ。宜しく頼む」

 

アメリカ海軍の黒人将校と握手したリヒター、それから倉庫がある世界から来た者達が亀裂から出てくる。

 

「すげぇ、タイガー戦車だ!しかもかなり砲塔が長い!!」

 

パッキー達が出て来た後に、初見のSEALs隊員が叫んだ。

71口径88mmKwK43戦車砲に換装したティーガーⅠが出て来た。

その後からバウアーのKwK68口径10.5cm戦車砲に換装したティーガーⅡ発展型、クルツの変わりないパンターG型、再びティーガーに乗ったバートルとゾーレッツ、ディーターのヤークトティーガー、Ⅳ号戦車J型、Ⅲ号突撃砲G後期型、三式中戦車から四式中戦車に乗り換えたキューポラから上半身を出した佐武郎が出てくる。

他にも続々と出て来て、広い場所へと向かっていく。

 

「言い忘れたが、他にも居るぞ。案内するこっちへ来い」

 

ジェイコブがルイスの肩を叩いて、リヒター達と共に車両が集結する地点に向かう。

そこには驚くべき光景が広がっていた。

 

「スゴーイ・・・!」

 

リエラが驚きの余り声を上げてしまった。

この地の出身者である賢治は尚更驚きは隠せず、呆然としてしまっている。

 

「ここマジで日本なの・・・?」

 

膝をついて見てみれば、コータが失神しそうな光景だった。

手前はドイツ第三帝国の陸上兵器群で固められ、パイパーがメモに目を通して、自軍の戦力を確認しており、最後尾を見てみれば、メーサーシュミットBf109K型が八機、Ju87スーツカD四機、フォッケウルフFw190F8型四機、ヘンシェルHs129B-3一機があった。

奥の方がソビエト赤軍の兵器群で固められている。

砲撃陣地も対空陣地も出来ており、夢のドイツとソビエトの連合軍が現代の日本に誕生した。

しかし、ソ連軍陣地の方で、アレクセイと複数の政治将校達が揉めており、苛々しながらアレクセイがリヒターの元へやって来た。

 

「リヒター元帥、同志バラネフ大佐と政治将校達はあなた方とは協力しないと存じ上げ、聞く耳持ちません!党の連中は話の分からん奴らばかりだ!」

 

「またか・・・なんとしても協力させたまえ!」

 

了解(ダー)!」

 

アレクセイはリヒターに向かって敬礼し、再び説得に戻った。

 

「元帥閣下、どうやら協力体制は取れていませんね」

 

隣に居たジェイコブが言った後、リヒターは頷いた。

 

「うむ、元の世界では殺し合って互いの捕虜を皆殺しにしてきた“仲”だからな・・・理由は分かる。我々ドイツ軍の仲にも協力しないと言う者まで居る」

 

瞳を閉じ、アリシア達に背を向けて今の現状を伝えた。

一方、美緒はストライクウィッチーズの面々と再会し、喜んでいた。

その時である。

上空からワルキューレのP-47の編隊が飛来し、配置された対空砲が火を噴く。

 

『戦闘爆撃機だ!!』

 

誰かが叫んだ後、砲撃陣地がロケットで攻撃され、近くに置かれてあった弾薬が誘爆して配置されていた野戦砲や榴弾砲が全て使い物にならなくなる。

 

「砲撃陣地がやられたか・・・」

 

全員が地面に伏せる中で、リヒターは今も誘爆してる砲撃陣地を見ながら呟いた。

砲撃陣地を破壊したP-47は一機を残して壊滅した。

 

「あ~勿体ねぇ・・・博物館やマニアに売り付ければ高値で買い取ってくれる火砲を」

 

ジェシーは燃え盛る砲撃陣地を見ながら呟き、立ち上がって煙草を取り出し、火を付けて吸った。

立ち上がって埃を払いながら、リヒターが口を開く。

 

「これで砲撃支援無しで戦わなくてはならなくなった。さて、自走砲が残っているとはいえ、かなり厳しいぞ」

 

「ご安心を元帥閣下、第82空挺師団(オールアメリカン)を呼びました」

 

「オールアメリカン?あぁ、アメリカ陸軍の第82空挺師団のあだ名か。兵員の出身者が全48州と言う」

 

笑みを浮かべて告げるジェイコブにリヒターは無表情で答える。

 

「そうです。現在、師団総出でこの床主に向かっております。ジップス!」

 

長距離無線機を背負ったアーウェンが、ジェイコブの隣に来る。

 

「なんでしょう?」

 

「オールアメリカンの連中はいつ頃来るんだ?」

 

「今から5時間後です」

 

「なんだと・・・!?」

 

今まで黙っていたセルベリアが拳を握りながらジェイコブ達を睨んだ。

 

「どうしたお嬢さん。そんなに攻撃が待てないのか?」

 

「少佐、彼女は・・・!」

 

ルイスがジェイコブに耳打ちしてセルベリアが大佐だと言うことを知らせる。

 

「失礼しました大佐殿!しかし、82師団と陸上自衛隊の二個師団が来ない限り攻撃は不可能です」

 

改めたジェイコブの答えにセルベリアは今の戦力を考えれば、孝達のことを助けるのを諦めるしかなかった。

 

「クッ・・・分かった。では、攻撃の準備が出来たら知らせてくれ」

 

そう言ったセルベリアは野営地の場所を聞いた後、アリシア達と共に向かった。

その頃、第二次世界大戦時世界連合軍と対峙するワルキューレの陣地では、さらに軍規模の戦力が集結しつつあった。

 

「韓国軍・北朝鮮軍殲滅作戦、ご苦労様ですオドレイ・ガッセナール軍長様」

 

指揮所として使われている建造物の屋内で、敬礼しながら告げた指揮官は敬礼した後、オドレイと呼ばれる女性が士官帽を机の上に置いて、椅子に座ってからここにある戦力を問う。

 

「報告書にも書かれてましたが、例の一団が師団規模にまで膨らんでいるようですね。先程、戦闘爆撃機が火を噴きながら滑走路に向かっているのを見ました。ここにある戦力は?」

 

「ハッ、5個師団と軽師団と旅団の残存兵力を防衛に当てています」

 

指揮官の報告を聞いた後、オドレイは「配置が間違っている」と指摘し、地図を持ってくるように近くにいた士官に命じた。

 

「そこの貴方、この辺りの地図を」

 

「何をするつもりなんです?」

 

「先程貴方の防衛陣形を見させて貰いましたが、砲撃陣形以外どれもこれも一直線で攻められたら崩れるような陣形です。各部隊それに適した陣形に配置しましょう」

 

ポケットからペンを取り出し、士官が持ってきた地図を受け取って、机に置き、自軍の配置を記し、それが終われば指揮官に渡す。

 

「この通りに陣形を変えてください。敵側にアメリが軍の兵士が居ると聞きますから、おそらく何処かの駐屯地から三個師団程度の戦力が来るでしょう」

 

了解(コピー)

 

敬礼してから地図を受け取り、部屋を出た。

オドレイはペンをポケットに戻し、沈み行く夕日を見ながら近場にいた士官に珈琲を持ってくるよう指示を出した。

一方、美緒を初めとしたストライクウィッチーズが旅支度をして、リヒター達の元から去ろうとしていた。

たまたま野営地から出て行く最低限の護身用の火器を装備した美緒達を見て、ルリとエイリアスは声を掛ける。

 

「何処行くんだ?」

 

「あぁ、ここから出て行くんだ」

 

先頭から戻ってきた美緒は、聞いてきたエイリアスに答えた。

次にルリが理由を問う。

 

「どうして?」

 

「それはな、山から私達の大事な物が見えてな。それを取りに行くんだ」

 

「そうなんだ」

 

エイリアスが言った後、美緒は頷いて笑みを浮かべた。

 

「その通りだ。この事はリヒター元帥にも言ってある。それではまた何処かで会おう!」

 

美緒が先頭に戻れば、美緒についていく彼女達がルリとエイリアスに向けて手を振る。

彼女達は手を振りながらワルキューレが防衛陣形を張っている向かっていった。

大事な物を取りに行く彼女達の姿が見えなくなった後、二人は野営地へと帰って行く。

アリシア達が居る天幕へと帰り、ずっと机の上で肘を付いて、彼女達と一緒に鬱ぎ込まれる。

第82空挺師団が来るまで数分を切った瞬間、ソ連軍陣地から騒音が聞こえた。

何事かと思い、天幕にいた全員が見に来る。

 

「何を勝手な事を!」

 

マイヤーが双眼鏡を見ながら、敵陣地に突っ込んでいく二個旅団を見ながら叫ぶ。

隣にリヒターもやって来て双眼鏡で覗き、舌打ちする。

 

「チッ、余計なことを!」

 

「共産党の連中は身勝手な連中ばかりだな・・・」

 

「そう言わんでください。この世界では協力しなければならないのに・・・!」

 

皮肉るマイヤーに、アレクセイがソ連軍の代表として謝り、敵陣に部隊ごと突っ込んだ指揮官を恨む。

周囲を見たセルベリアは、シュタイナーが何気なく近付いてくるのが分かる。

彼女の隣まで近付き、あることを告げる。

 

「準備はしておいた。後はお前達次第だ」

 

通り過ぎて、リヒター達と共に緊急会議を始める。

それと同時に上空から数十機のアメリカ空軍輸送隊のC-130EとC-17が、落下傘(パラシュート)の雨を降らしているのが見える。

この場にいる者達に聞こえない様、セルベリアはアリシア、リエラ、エイリアスを集めて、自分達だけで会議を行う。

 

「シュタイナーがチャンスをくれた。今がチャンスだ、我々だけで小室達を助けに行こう」

 

「はい。でも、気付かれないでしょうか?」

 

不安げなアリシアがセルベリアに問う。

 

「大丈夫だ、シュタイナーが私の尻ポケットに地図を入れていた。全員装備を纏め次第出発する。エイリアス、漏らすなよ?」

 

「うん、分かった」

 

セルベリアはエイリアスに指を差して告げ、彼女が頷いた後、天幕に戻って野戦用迷彩服に着替える。

ここに間違って落ちた三つの物資の蓋を開けて中身を確認し、中にM16A4やM4・A1カービン、SCAR-H、HK416、M24SWS、M21対人狙撃銃、M14EBR、M82A1、対物ライフル、M249ミニミ、M240機関銃、M9ピストルが入っていることから銃器専用の箱と分かる。

もう一つは携帯式の対戦車のカールグスタフM3とAT4や地対空ミサイルのFIM-92 スティンガーが入っている。

最後の一つは弾薬箱で、弾薬が満載された弾倉ごと入ってる。

早速アリシア達は有り難くその中身を受け取ることにした。

アリシアはM4A1カービンにM14EBR、ずっと持ってたP228。

セルベリアはM249、M82A1、何処からか手に入れたSTIナイトホーク4.3。

リエラはM16A4、カールグスタフM3、M9ピストル。

エイリアスはHK416、FTM-92スティンガー、M9ピストル。

 

『おい、確かこっちに落ちたんだよな?』

 

『あぁ!確かにこっちに三つくらい落ちたんだ。たく、空軍の連中め!適当にばらまきやがって!』

 

悪態付きながら空挺兵がこっちへ来るのが分かる。

素早くアリシア達はこの場を去り、ワルキューレの陣地の向こう側に居るとされる孝達の救出へ向かった。

 

「お持ち下さい、お姉様達!」

 

後ろからイーディの声がした為に振り返ってみると、そこにはイーディ分隊と妹のリコルス、重装備なルリ、Stg44やパンツァーファウストを一本背負った美少女バウアー、M1カービンを抱えた賢治がそこに居た。

 

「貴方達もついてくるの?」

 

リエラが言った直後にイムカの声が聞こえた。

 

「私もついてくる、小室達には少し世話になった。礼をしなくてはいけない」

 

笑みを浮かべて告げるイムカにリエラは礼を言う。

 

「ありがとう、イムカ!」

 

さらに仲間は増える。

 

「俺達も忘れては困るな」

 

そこから出て来たのはBJとカール、ローバックがそこにいた。

さらには平八、STG達までついてくる。

 

「女子供だけで向かわせる訳にはいかんからな!俺も同行させていただこう!」

 

腕組みをしながら言う平八にヤンは凄まじく興奮している。

そして一同は小室一行救出の為、ワルキューレの陣地へと向かった。




明日から労働生活な為、更新が滞る可能性があります。

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