学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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囚われの者達

一方、新しく日本支部の司令官となったマクシミリアンは小室一行を捕らえた知らせを聞いた。

 

「少し損害は出たが、捕らえることに成功したか・・・ここへ連れてこい。余はその一団に興味がある」

 

報告に来た士官は敬礼した後、部屋を出て行った。

部屋には自分一人しか居なくなったと確認したマクシミリアンは、監視カメラが動いてないことを確認してから、総司令部に通信を繋ぐ。

天井からモニターが現れ、そこに総司令官の顔が映し出される。

 

『マクシミリアン・ガイウス・フォン・レギンレイヴか・・・どうした?』

 

椅子に座る青年のフルネームを言った総司令官の中年の男に無表情で告げる。

 

「フルネームで呼ばんで良い、マクシミリアンで構わん。所で例の男のことはどうなっておる?」

 

『あぁ、現在ウォーカー共は絶滅の一歩を辿ってるよ。研究者共が何体か研究用に欲しがっている。科学者の頭の中はよう分からん』

 

「それが科学者という物だ。知らない物を知ろうとする連中だ。その所為で悲劇を起こすことも知らずにな」

 

マクシミリアンが言った事を画面の向こう居る男が苦笑いした。

 

『ハハハ・・・相変わらず面白い物言いをする男だ。それでこんな話をする為にわざわざ通信を開いたわけでは無いだろう。一体何のようだ?』

 

「そうだったな・・・余は例の男と接触しようと考えておる」

 

『なに・・・?』

 

画面の向こう側の男の表情が変わった。

 

「予想外の反応のようだな・・・まぁ、良い。冥土の土産に教えてやるのだからな」

 

勝ち誇った笑みを浮かべながら告げるマクシミリアンに、画面に映る中年の男は眉を歪める。

 

『どういうことだ・・・貴様頭でも狂ったか・・・?』

 

「狂ってなどいない、チャンスと思っただけだ。そのチャンスを掴み取ろうというのだよ」

 

右手で頭を支えながら続ける。

 

「このチャンスを掴み損なえば、余は一生ワルキューレの戦士として使役される。だが余はこの運命(さだめ)を受けるつもりはない!」

 

右拳を握りながら机を叩いた後、左手で何かの装置を取り出した。

 

『せっかく拾った恩を仇で返すつもりか!?』

 

唾を吐く勢いで画面の向こう側の男はマクシミリアンに向けて言う。

 

「その通りだ。前の世界で成し得なかった我が願い、第二の人生で果たせて貰う!!」

 

椅子から立ち上がったマクシミリアンは叫びながら告げ、左手に握られた装置のボタンを親指で押した。

突如、画面の向こう側の部屋は爆発し、その場にいた男は爆風に呑まれてから断末魔を上げて爆死し、映像が途切れた。

数秒後、士官が報告に来る。

 

「ほ、報告いたします!総司令官殿が自爆テロに遭い、死亡しました!!」

 

「そうか・・・で、次期総司令官は?」

 

椅子に座って自爆装置をポケットに隠し、報告に来た士官に問う。

 

「ハワイに居るハナ前日本支部司令官か貴方です・・・他の支部は諸外国との問題で武装解除されたり、ここかハワイに向けて撤退しております。後は総司令官がテロで亡くなられた後、完全撤退を開始しております」

 

「成る程・・・では、ハナとのいざこざとなるな・・・こちらに来る友軍の大部隊を出迎える準備をしておけ」

 

「ハッ!」

 

マクシミリアンの司令を聞いた士官は敬礼し、部屋を出て行った。

その数分後にストアーが姿を現す。

 

「来たか・・・迎え撃つ準備は出来てるな?」

 

「当然だ、その為にここへ来たのだからな。それよりこの国にいる邪魔な連中を始末せねば・・・いずれハナという娘が率いる軍勢と戦わねばならん・・・!」

 

壁に凭れながら告げるストアーにマクシミリアンは頷いた。

 

「安心して良いぞ。この部屋には盗聴器や監視カメラはついておらん、誰か来るまでゆっくりして良いぞ?」

 

「お言葉に甘えさせて貰おう」

 

ゆっくりとソファーに向かった瞬間、机に置かれていた通信機が鳴った。

 

「済まんな、何処かへ隠れておけ。例の一団がここへ連れてこられる」

 

マクシミリアンが言った後にストアーは姿を消した。

その後、孝が男の衛兵と一緒に連れてこられる。

 

「離せ、離せよ!イテ!」

 

マクシミリアンが肘を置く机の前に出された孝、そして一行が手に入れた銃器類等が彼の後ろに置かれる。

目の前にいる金髪碧眼の青年が誰だか分からない孝は、マクシミリアンを睨み付ける。

 

「連れてきました!」

 

「ご苦労、退出して良いぞ」

 

衛兵は敬礼した後に部屋を退出した。

この部屋にいるのがマクシミリアンと孝なった後、まず机に座る男が口を開く。

 

「小僧、随分と運がよいのだな・・・?一体何がお前を助けているのだ?」

 

「何を言ってるんだ、今はそんなことを聞いてるんじゃない!麗と他のみんなは何処へやった?!」

 

全く話を聞いてないと分かったマクシミリアンはモニターを出すスイッチを押し、孝以外の小室一行がどうなっているのかを見せる。

 

「そうカッカするな。全員、優遇された待遇を受けている。安心して良い」

 

「クッ・・・」

 

マクシミリアンの言うとおり、孝は悔しながらも納得した。

再びマクシミリアンが問う。

 

「それでは再び聞くぞ。随分と運が良いな、どんな協力者が居るのだ?」

 

ただならぬ雰囲気で問い掛けてくるマクシミリアンに、孝は緊張する。

 

「異世界から来た者達です・・・」

 

「して、どんな?」

 

その問いに口篭もった孝、マクシミリアンは疑問に思って問い掛ける。

 

「どうした、言えんのか?」

 

「言えません・・・言えばあなた方は容赦なく捻り潰すでしょう・・・」

 

「ほぅ・・・そうなればこちらも強硬手段を・・・」

 

突然強引に部屋の出入り口のドアが開かれ、そこから士官が慌てて入ってくる。

邪魔されて不機嫌なマクシミリアンは、報告に来た士官を睨み付けながら問う。

 

「何事だ!?」

 

「ハッ、例の一団が残党が二手に分かれて我が陣地内に居ます。目撃者の証言と証拠写真があります!」

 

こちらを振り向く孝の横に立って、資料と写真を手渡す。

それを手に取ったマクシミリアンは書類を読み上げた後、写真を見て驚く。

 

「セルベリア・・・それに他のヴァルキュリア人達も・・・」

 

呟きながら見るマクシミリアン、孝は彼がどう思っているのかは分からない。

対策法を瞬時に打ち出したマクシミリアンは、その士官に指示した。

 

「この一団にはこちらに入りたいと願ってる反ワルキューレ派の連中を差し向けろ。首を届けたら仲間に入れてやると伝えておけ。その一団は軽歩兵二個小隊で充分だ」

 

「あんた・・・!」

 

的確に指示を飛ばすマクシミリアンを睨み付ける孝だが、隣にいた士官に足を蹴られ、バランスを崩してしまう。

 

「この餓鬼ぃ・・・相手は良く見てから言え!衛兵、来い!」

 

ガンホルスターから取り出したグロック17を突き付けながら衛兵を呼び、衛兵が孝を拘束したのを確認した後、マクシミリアンに向けて敬礼した。

 

「承知しました!では、失礼します!」

 

士官は後ろに振り返って、孝を連れて行く衛兵達の後へ続いた。

誰も部屋から居なくなった後。再びストアーが姿を現した。

 

「あれは小学校に居た連中か・・・で、その銀髪の髪の女が居る一団にあの小娘がいるのだろう?」

 

「そうだ・・・心配なら貴様も行けばいい。私はこれから太平洋に向かう。あのハナと話し合いを持ちかけられた」

 

それを聞いたソファーに足を組んで座るストアーはほくそ笑み、呟いた。

 

「話し合いで終われば良いのだがな。では、行ってくる」

 

椅子に座るマクシミリアンに告げたストアーはまた姿を消した。

椅子から立ち上がったマクシミリアンはハナとの交渉の為、部屋を出て、ヘリに乗る。

そして空から日本から少し離れた大きめの島に向かう。

その頃、各地から集まってきたワルキューレの戦力を纏めたハナは、ハワイからマクシミリアンと同じ島へと旗艦ヴァンガード級戦艦に乗って、ロンドン級重巡洋艦一隻、セイロン級軽巡洋艦三隻、C級駆逐艦六隻等で編成された艦隊で向かった。




短くてすいません(汗)。
忙しくなってきたのか、何かスランプに陥り掛けています。

ここからはワルキューレの権力闘争かな?

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