学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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敵陣へ突入

一方のリヒター達は、敵陣に攻撃できるほどの戦力が集まった。

ここに居る全ての部隊の司令官を集め、作戦会議を行う。

テーブルの上に置かれた地図に指を差しながら、リヒターがどう攻撃するのかを説明する。

 

「あなた方の時代の兵器はあなた方で相手をして貰おう。我々は我々の時代の兵器を相手をする」

 

周りにいる部隊の指揮官達に告げた後、パッキーとSEALsの隊員達にスコルツェニーの方を見る。

 

「君達は敵の後方に回り込み、砲撃陣地を破壊してくれ。我々が来るまで持ちこたえてくれ」

 

「「了解(イエッサー)」」

 

了解(ヤヴォール)

 

その後、5分に及ぶ詳しい作戦の説明が行われ、それが終われば攻撃の準備が行われた。

まず、後からやって来た米陸軍の第1機甲師団と陸上自衛隊の機甲部隊は、第82空挺師団と共に現代的な兵器を揃えている陣地を攻撃する。

リヒター率いる第二次大戦の兵器群は同じ時代の兵器を相手にするのだ。

パッキーにスコルツェニー、SEALsは敵後方に回り込み、陣地破壊や攪乱攻撃を行い、リヒター達の到着を待つ。

攻撃準備が充分に整った後、ワルキューレの陣地からB-29、B-17、B-25などの爆撃機を中心とした大編隊が、リヒター達の居る陣地に迫って来た。

 

爆撃機(ボンバー)の大群だ!』

 

対空監視をしていたドイツ兵が叫んだ後、アメリカ軍や自衛隊の陣地かた一斉に対空ミサイルが爆撃機の大編隊に飛んでいく。

 

「この時代の対空兵器は凄いな・・・!」

 

対空ミサイルに当たって次々と墜落していく爆撃機を見て、発展型のティーガーⅡのキューポラから見ていたバウアーが呟く。

慌てて逃げていく爆撃機の残りを追うかのように、韓国から日本の駐屯地に避難してきたアメリカ空軍の第8戦闘航空団のF-16が多数現れ、逃げる爆撃機に追い打ちを掛ける。

これを見ていたリヒター達は、「この時代の軍隊と対峙することになっていたらこうなっていたであろう」と確信した。

その次に米日の連合部隊がまず初めに前進、その次に突撃隊長が乗った先頭のティーガーⅠが敵陣へと進んだ。

後に続くようにバウアーやパイパー達が乗る戦車や装甲車両群がエンジンを呻らせ、先頭のティーガーⅠに続く。

それと同時にアメリカ空軍や航空自衛隊による敵陣地爆撃が行われた。

 

「敵が可哀想になってきた・・・」

 

Ⅲ号突撃砲G型から凄まじい地上攻撃を受ける敵陣を見ながらハーゲンが呟く。

味方の砲撃陣地からも砲撃が始まり、敵の防衛陣地はおそらく地獄絵図と化しているだろう。

パイパーが双眼鏡で敵陣を覗き、Sd.Kfz.251/6装甲指揮車から見る。

 

「歩兵は塹壕に隠れて凌いでるな・・・戦車も塹壕に隠れてまだまだ元気みたいだ」

 

塹壕から湧き出るように、米日の機甲部隊の迎撃に向かう第一~第三世代の戦車を見ながらパイパーは呟いた。

やがて連続した砲声も聞こえ、現代の戦車戦が行われが、戦前の兵器しか持たないパイパー達は参加しない。

 

「このまま簡単に敵陣を落とせれば良いけどな・・・」

 

現代的の戦闘を見ながらパイパーがまた呟いた後、彼等の行く手を塞ぐかのように大戦時に使用されていたイギリス連邦軍の戦車や対戦車車両、航空機などが現れた。

 

「いきなりヤーボで出迎えか!」

 

パイパーが叫んだのと同時に彼等の対空車両や戦闘機が敵航空機の迎撃に向かう。

IS-2重戦車の車長を担当していたゴロドクが、自身の車両に砲を向けるシャーマン・ファイアフライに撃つよう指示を出す。

 

「目標は1時方向にいるあの長い砲身のシャーマンだ。絶対に外すなよ!撃て!!」

 

照準手がシャーマン・ファイアフライに狙いを付けて、引き金を引いた後、122㎜砲弾が真っ直ぐ飛んでいき、英国仕様のシャーマンをスクラップに変える。

 

「凄いな、この122㎜砲は!これならタイガー戦車だって一撃だぜ!!」

 

ゴロドクが122㎜砲の威力に感心している間に、その目の前でハーゲンのⅢ号突撃砲がセンチネル巡航戦車を破壊したのを見て、悔しがる。

 

「あのキャベツ頭のペテン師野郎!俺の目の前で獲物を潰しやがった!次の標的に照準しろ!!」

 

悔しがるゴロドクは乗員達に指示を飛ばす。

一方のハーゲンは次々と目に見える敵車両を手当たり次第攻撃していた。

 

「目標11時の対戦車自走砲、ファイヤー!」

 

側面から砲撃を受けたアーチャーは大破、次にラム巡航戦車に75㎜戦車砲を向ける。

 

「次はカナダのM4もどきだ!ファイヤー!」

 

装填手が徹甲弾の装填を終えたのを同時にラム巡航戦車に向けて、48口径の75㎜戦車砲が向けられたのと同時に砲声が唸り、見事撃破に成功する。

逆福マークを付けた正徳とゾーレッツのティーガーⅠも奮闘していた。

 

「2方向よりM3中戦車!」

 

「目視した!」

 

こちらに向けて砲撃してくるM3A5リー中戦車に照準を合わせ、発射ペダルを踏んだ。

88㎜の砲声が唸り、忽ちM3リー中戦車を鉄屑に変える。

そのまま次の目標に砲を合わせ、再び砲声が唸りを上げる。

 

「ヴィットマンと佐武郎は中々やるな。俺達も負けられんぞ、戦車前へ(パンツァー・フォー)!」

 

次々と撃墜スコアを上げていくヴィットマンとティーガーⅠと佐武郎の四式中戦車を見て、バウアーが微笑み、自信も指示を出して前に出る。

 

「徹甲弾装填、目標は2時にいるチャーチル歩兵戦車だ!」

 

砲を向けて砲撃してくるチャーチル歩兵戦車を見ながらバウアーが指示を出す。

装填手が徹甲弾を装填したのを確認した照準手は、チャーチルに狙いを定めてバウアーに報告する。

 

「照準完了、何時でも吹き飛ばせます!」

 

「よろしい!では、ファイヤー!」

 

バウアーが指示を出したのと同時に発射ペダルが強く踏まれ、それと同時に回避行動を取ろうとしていたチャーチルに命中し、その亀のような重装甲を貫いて弾薬庫に徹甲弾が行き届き、内部爆発を起こさせる。

次にこちらへ向けてPIAT(ピアット)を向ける軽歩兵に砲を向けるよう指示を出す。

 

「英軍の対戦車火器を向けたお嬢さん(フロイライン)が居るぞ!機銃で大人しくして貰え!」

 

その指示に従って砲を急いで回転させた照準手は、照準器にブロンディヘルメットを被ってこちらにPIATを向ける二人組の女性兵士に向けてMG42砲塔搭載機銃で撃ち倒す。

電気ノコギリのようなMG42の射撃を食らった軽歩兵の腕が吹き飛び、直ぐに息絶えた。

それと同時に前面装甲に敵戦車からの砲撃を弾く。

 

「前方にM4シャーマン五両だ!クルツ!こちらに加勢しろ!!」

 

『ヤヴォール!』

 

砲身がシャーマンが居る方向に旋回している間にパンターとは思えない速度でクルツのパンターG型がやって来た。

目の前に居たM5A1軽戦車に体当たりして吹き飛ばし、無理矢理パンターを静止させる。

彼が乗るパンターのエンジンはガスタービンであり、それ故に操縦手にはかなりのドライバーテクニックが要される。

バウアーのティーガーⅡの後ろに回ろうとしたM4A2シャーマンは直ぐにクルツのパンターによって撃破された。

残りのシャーマンも残らず黒騎士中隊の残ったメンバーに撃破されていく。

その頃、敵の後方地帯に潜入したパッキー達は、邪魔な敵兵を殺しながら砲撃陣地に向けて手榴弾を投げまくっていた。

 

「野戦砲ならび榴弾砲全て沈黙!」

 

「よし!パイパー大佐達が来るまで適当に暴れまくれ!!」

 

降下猟兵が知らせた後、スコルツェニーがStg44を乱射しながら指示を出した。

その後、潜入部隊は周囲から湧き出るように出て来る敵歩兵を次々と撃ち殺す。

 

「殆ど前線に回ってるんじゃなかったのか!?うじゃうじゃと沸いて出て来るんだが!」

 

ボタスキーが遮蔽物に隠れ、M16A1を抱えながらMP5SD6を持った隣にいたラッツに聞く。

 

「知るか!パイパー達が来るまで耐え切れ!それと兎に角敵を撃ってろ!!」

 

そうボタスキーに告げ、ラッツは側面から回り込んできた敵兵に向けてMP5を乱射した。

ボタスキーが居る側面からも敵兵が出て来たが、チコのM16A1の乱射で全員地面に倒れる。

 

「ボタスキー、周囲確認を忘れちゃ駄目」

 

「分かってるよ!」

 

遮蔽物に向けて機関銃を撃ち続けている敵兵に向けてM16をセミにして撃った。

頭に5.56㎜弾を食らった敵兵は機関銃から手を離して、地面に倒れる。

パッキーもかなりの数の敵を相手に奮闘していた。

M653をセミにして、次々と出て来る敵を撃ち殺していく。

その時、一人のSEALs隊員が、ルリ達が向かった方向に指を差して叫んだ。

 

「敵の増援だ!」

 

その頃、仮眠を取っていたオドレイは起こされ、指揮所に入った後、大分混乱していた。

外から聞こえてくる砲声や爆発音が聞こえてくる中、彼女は何事かと近くにいた士官に問い質す。

 

「一体何が起きてるのですか?!」

 

「米軍と自衛隊が攻撃してきました!それに後方から特殊部隊の急襲です!!」

 

これを聞いたオドレイは、士官の両肩を掴んで凄い剣幕で問う。

 

「何故後方からの潜入を許したのです!あれ程警戒しろと言っておいたはず!!」

 

「そんなの知りません!」

 

士官はオドレイから腕を退けた後、何処かへ向かった。

戦況を報告する画面を見れば、味方部隊が次々と消えていくのが見える。

オドレイは指揮を執っている副官を呼んだ。

 

「オドレイ司令、お目覚めになられましたか!戦況は」

 

「そんな事はアレを見れば分かります!私は後方に入り込んだ鼠を戻ってきた部隊と共に始末します!貴女にここの指揮を任せます!」

 

「え!?は、ハッ!」

 

副官は敬礼した後、オドレイはそのまま兵器貯蔵庫へ向かった。




次は源文勢VSオドレイかな?

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