学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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終わりに近付いていく・・・


最終決戦編
孝達との再会


視点は戻り、ワルキューレの拠点前に展開していた中東軍をヴァルキュリアの力を使って排除したルリ達。

そして速やかに拠点まで向かう。

 

「き、来たぞ!」

 

対立しているハナとの交渉に向かった為、今は居ないマクシミリアンの代わりに拠点の指揮を執る副官がやって来た四人のヴァルキュリア人を見て、腰を抜かした後に叫んだ。

拠点の中にいた兵士達が大いに震え上がり、こちらへと向かってくるヴァルキュリア人達に恐れ戦く。

 

「な、何を怯んでいる?!貴様等は無敗の軍集団なるぞ!恐れずに戦わんかっ!!」

 

拡声器を使って士気を向上させようとした副官であったが、拠点内に居た兵士達は持ち場を離れて逃げ出し始めた。

 

『助けてくれぇー!』

 

『死にたくねぇーよ!』

 

中東軍を圧倒的な力でねじ伏せた回があったのか、ここを指揮する士官を含めた将兵達は恐慌状態に陥った。

 

「ま、待て!逃げるなっ!射殺されたいのかっ?!」

 

拳銃を取り出して持ち場を離れて逃げ出していく配下の将兵達に銃口を向ける副官であったが、銃口を向けられているのも関わらず、兵達は我先にと一目散に逃げ出していく。

副官も取り残されることを恐れたのか、自身も拳銃を仕舞って逃げていく一団へ加わった。

暫く経って、ルリ達が誰も居なくなった拠点内に入る。

 

「ふむ、誰も居ないみたいだ。お嬢さん達のあの怖さで皆逃げ出したみたいだな」

 

「あのお嬢さん達と戦うことになったら俺はショック死するね!」

 

熱源センサーで拠点内に敵兵が居ないことを確認したSTGが全員に知らせた後に、黒人の隊員がヴァルキュリア人の圧倒的な強さに自分ならこうなると公言する。

そのヴァルキュリア人であるアリシア、リエラ、セルベリア、エイリアスは少し悩んだ顔をしていた。

失言した黒人の隊員はその彼女達の表情を見て謝った。

 

「済まない、口がすべっちまった」

 

「いや、気にしなくて構わん。それよりここに孝達が囚われてる筈だが・・・?」

 

セルベリアは話を切り替えた後、孝達がどの辺りに囚われているか辺りを見渡した。

「捕虜を捜すなら司令室に向かうと良い」と発言したゴーグルの隊員の言葉に全員が納得し、正面の出入り口にローバックを見張りに立たせた後、司令室に向かった。

その後、敵から奪った装備を身に付けたゲイツが拠点に入ってくる。

 

「銃口を向けるな。俺だ」

 

「何かと思ったら一人軍隊(ワンマンアーミー)のゲイツ様か。その装備は何だ?」

 

M1A1トンプソンの銃口を下ろしたローバックは、ゲイツが身に付けている装備のことを問う。

 

「これは敵からは頂戴した物だ。それよりあんた等の目標は見付かったのか?」

 

「今、探している所だよ。レーザーを持った一人のゴーグルを付けた奴が、司令室に向かうのが良いとか言って、俺だけ残して司令室に向かったよ」

 

「俺のことは何か言ったか?」

 

「爆乳の大佐ちゃんがそれも予て俺に見張ってろとか言ってたさ。合図は光信号で来るんだろうな」

 

それを聞いたゲイツは「成る程」と一言漏らした後、銃器の清掃に入った。

暫く経って、司令室がある場所から合図が来る。

 

「お、来たぞ!行くか」

 

「あぁ」

 

ローバックが言った後にゲイツは答え、司令室へと向かった。

司令室には先に向かったルリ達が居た。

荒れた室内を見たゲイツとローバックには驚きが隠せなかった。

普通、運べない機材は処分され、重要書類も焼却処分するはずだが、ヴァルキュリア人の圧倒的な強さに恐怖したのか、拠点内に居た兵士達はそのまま放置して逃げていった。

これを見ていたBJは「楽で助かる」と、前までここに居た兵士達に感謝の一言を申し上げた。

早速一同は、捕虜に関する書類を探し始める。

その間に負傷しているイムカと連れてきたハイトは何処か安全な所に置き、STG達が持っている治療薬を使った。

 

「凄いですわ!傷が見る見る内に消えていきます!」

 

「バイオテクノロジーの成果さ。後23時間59分20秒経てば、このお嬢ちゃんは元通りだよ。傷も綺麗さっぱり無くなる」

 

「ばいおてくのろじー?」

 

付き添って居たイーディは未来の治療薬に驚いた。

それを使ったトビーは自慢げに話したが、リコルスに詳しく聞かれ、少し悩んだ末に説明し始めた。

それは割愛して捕虜に関する資料が見付かり、同時に捕虜達が収容されている場所も判明した。

直ぐにルリとイーディ分隊に向かわせる。

向かう途中、ホーマーが少し余計なことを言った。

 

「あぁ、捕虜収容所か・・・自分も捕虜にされたら毎日看守に罵られて・・・」

 

もちろんその後、ホーマーはイーディとリコルスにシバかれた。

捕虜収容所に入った後、随分と綺麗にされている事に全員が驚いた。

 

「捕虜収容所と聞いて汚い所だと思っていたけど、随分綺麗にされてるじゃない」

 

ヤンがニヤニヤしながら辺りを見渡した後、ドアの上部にある鉄格子の窓を覗き、孝達が居ないかと探したが、そこに自分好みの筋肉質の男が居た為、ウィンクする。

 

「うっ、この男に見られると何か貞操の危機がする・・・」

 

この場の看守も逃げだし、不安になっていた男はヤンにウィンクされてさらに不安になった。

その後、男は解放され、孝達が何処にいるのかを聞かれる。

 

「解放した後ですが、この方々をご存じで?」

 

イーディはポケットに入れていた孝達の写真が付いた書類を男に見せた。

 

「あぁ、その藤美学園の生徒達なら奥の方に居るよ。所で外はどうなってるんだい?」

 

「ご安心を。ここに居た兵士達はお姉様達の強さに恐れをなし、全員逃げ出していきましたわ」

 

男が聞いた事にイーディは自慢げに話した後、苦笑いした。

目の前に自分の好みが居ることにヤンは、ずっとその男に好意の視線を向けていた。

 

「(やっぱり前の方がマシかも・・・)」

 

男はそう思った後、少しヤンから距離を置いた。

そしてようやく孝達を見付けたのであった。

 

「君は・・・!ルリじゃないか!無事だったのか?!」

 

ドアの鉄格子から孝が覗いていた為、直ぐにルリは孝達の居るドアを開け、彼等を解放した。

孝が出た後、鞠川がルリに抱き付く。

 

「もう見られないかと思ったよ~ルリちゃ~ん」

 

泣きながら強くルリを抱き締める鞠川、抱き付かれている彼女はもの凄く苦しい。

離された後、ルリはその場に倒れ込んでしまい、ありすに看病されている。

その場にいた全員が苦笑いした後、直ぐに全員が居る司令室に向かった。

取り敢えず、他に囚われていた人々は解放しておくことにする。

 

「あれ、貴方は・・・まさかアーノルド・シュワルツ・ネッガー・・・」

 

「残念ながら人違いだ」

 

「あぁ、そうですよね。ハハハハ・・・」

 

コータはゲイツがあの元州知事に似ていたことに驚き、聞いてみたが、違うというので頭を抱えながら笑った。

そして孝はここにあった事を包み隠さすルリ達に話した。

 

「成る程・・・殿下もこの世界へ・・・」

 

「生前の上司だったのですか?」

 

マクシミリアンがこの世界に居たことに驚くセルベリアに、孝がどんな関係なのかを問う。

 

「話しても良いですか・・・?」

 

「良いだ、話そうか。君達が対峙した男のことを」

 

セルベリアの上司であるマクシミリアンの最期を見たアリシアが不安げな顔をする。

そしてセルベリアは包み隠さず自分が死ぬまでのことを話した。

言い終えた後、セルベリアは椅子に座り、STIナイトホーク4.3をガンホルスターから抜いて、机に置いた。

次に話を聞き終えた沙耶が口を開く。

 

「結局の所、あんたは使えないとされて。捨てられた訳でしょ?」

 

「高城!お前、なんてこと言うんだ!」

 

「そうよ!この人だって、辛いことはあるはずよ!」

 

「煩い、名前で呼んでって言ってるでしょ!」

 

言い争いが起ころうとした瞬間にセルベリアが孝と麗に向けて手を翳して静かにさせた。

それと同時に沙耶も黙るが、セルベリアは口を開いた。

 

「そうだ。私はアリシアとの戦いに敗れ、捨て駒にされ、敵の捕虜となり、多くの敵を撒き沿いにしながら自爆して死んだ。あの男は期待に応えられない者は容赦なく捨てる冷酷な男だ」

 

セルベリアが言った事に沙耶は少し動揺しながらも頷いた。

 

「そうよ。あんたはアリシアさんに負けて捨て駒にされたのよ」

 

「では、生き返ったことに何の意味がある?」

 

後ろから突然イムカの声が聞こえてきた為、一同がイムカの方へ視線を集中させる。

そのままイムカは続けた。

 

「これは貴様を捨てた男に復讐する為に生き返った物だと私は思う。間違っているなら否定しても構わない」

 

「何の話しをしてるの?」

 

「多分、元恋人への復讐だ。大人の女は怖いからな」

 

イマイチ話が理解できなかったありすが近くにいたゴーグルの隊員に話し掛け、彼は直ぐに答えた。

さらにイムカは続ける。

 

「別に復讐じゃなくても構わない。捨てた理由を聞けばいい。私達にそれを否定する理由はない」

 

その言葉にセルベリアの中で、何かが吹っ切れた。

彼女は立ち上がり、マクシミリアンが向かった方向を見ながら口を動かす。

 

「そうか・・・では、マクシミリアンに会いに行くか・・・」

 

イムカの声で、セルベリアはマクシミリアンとの再会を決心した。

それと同時に防衛戦を突破したリヒター達がやって来る。

 

「援軍です!援軍がやってきました!!お~陸自やアメリカ軍も居るぅー!!」

 

全員にリヒター達がやって来た事を知らせたコータは、共にやってきた日米連合軍の部隊を見て、かなり興奮していた。




なんか無理矢理感がするような・・・

次回からは最終決戦編です。

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