学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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列車内での地獄

凄い勢いで突っ込んできたストアー。

ルリは動揺することもなくSG553でストアーに狙いを付けて、引き金を引く。

 

「小賢しいマネを!銃など私には通じん!!」

 

連続して銃口から発射された5.6㎜×45弾を恐るべき手の早さで弾くストアー。

ルリが撃つのを止め、左に飛び込んで、ストアーの蹴りを避ける。

 

「避けたか。しかし、貴様はこの攻撃を逃れられん!」

 

そのまま壁を蹴って、ストアーはルリに再び攻撃を仕掛ける。

間一髪、ルリは避けることに成功し、次元の歪みに手を突っ込んで大鎌を取り出し、一旦距離を取って、ストアーを斬ろうとしたが、刃が天井に突き刺さってしまう。

それを見たストアーは勝ち誇った笑みでルリを見ながら告げた。

 

「馬鹿め!ここが貴様にとってどれだけ不利な場所の事も知らずに!これなら赤子を殺すより楽な仕事よ!!」

 

必死で大鎌を引き抜こうとするルリに、ストアーは容赦ない攻撃を加えようとする。

それを防ぐべく、ルリは右手でSG553をストアーに向けて撃つ。

 

「何度やっても同じだ!私に銃は効かん!!」

 

そう言いながら、飛んできた銃弾を高速で銃弾を弾きまくる。

動きを抑えているルリは左手で大鎌を抜こうとするが、深く突き刺さっているので、中々抜けない。

引き金を引いても弾が出なくなれば、スターリングMk7に切り替えて、再びストアーの動きを抑える。

 

「抜けろ!抜けろ抜けろ抜けろ!!」

 

必死に引き抜こうと、視線をストアーから外したルリ。

それを見たストアーは直ぐさまルリの側面に回って襲い掛かる。

 

「敵から目を逸らしたのが命取りだ!」

 

ストアーはルリが振り返る前に一気に接近して、左手の手刀でルリの脇腹を突き刺した。

 

「ブハッ!」

 

脇腹を強く刺されたルリは血反吐を吐き、刺された脇腹からもの凄い勢いで血が噴き出し、その血がストアーにかかる。

 

「フフフ、大した強さも無かったな。幾ら不老不死とは言え、これ程の激痛に耐えるとすれば、化け物以上だ。しかし、貴様は成長が止まったひ弱な少女。これ程の激痛に耐えられるはずはない」

 

勝ち誇った笑みを浮かべてストアーはさらに脇腹に突き刺した左手をさらに突き刺す。

突き刺された衝撃で凄まじい激痛がルリを襲う。

 

「ぐ、があああああ!!」

 

血を吐きながら叫ぶルリに、ストアーは笑みを浮かべながら告げる。

 

「どうした?不死身の貴様でもこれは流石に痛いか?それとも早く楽になりたいか?だが、私の受けた痛みはこんな物ではないぞ!!」

 

怒りの表情を浮かべながらさらにストアーは左手を心臓の近くまで進め、ルリの身体を持ち上げるように左手を上げた。

その衝撃で気を失うかのような激痛がさらにルリを襲い、彼女は人とは思えぬ叫び声を上げる。

 

「ガァァァァァァ!!!」

 

「どうだ?一気に心臓まで左手を通された気分は?さぞや苦しかろう・・・貴様の姉は屈辱的な最期を遂げるがな!!」

 

凄まじいほど出血するルリを見ながらストアーはそう告げる。

ルリは両手に握っていた物を離して、ストアーの左腕を自らの脇腹から引き抜こうとするが、全く力が入らない。

その無駄な抵抗を見ていたストアーは気絶するまで突き刺すつもりだったが、ルリの口から予想外な言葉が耳に入った。

 

「ご免なさい。ご免なさいご免なさいご免なさいご免なさい」

 

「っ!?」

 

ルリの表情が泣きっ面に変わり、ひたすらストアーに泣きながら「ご免なさい」と呟いていた。

この呆気ないルリの変わりように、ストアーは驚愕する。

 

「脇腹に刺した左腕を抜いて・・・お願い・・・なんでもするから・・・!早く抜いて・・・」

 

血を吐きながら助けを求める絶世の美少女の表情に、ストアーは罪悪感に包まれた。

 

「(な、なんだこの気持ちは・・・!?あの女(マリ)と同じ化け物に罪悪感を感じている!?そんなはずはない!現にこの小娘も我が一家いや、一族虐殺の加担者!ここでこの小娘を我が肉体の一部としなければ、私のようにさらなる犠牲者が!どうして勝手に左手が抜けるのだ!?)」

 

心でそう思っていても、身体は少女の願いを引き受けてしまう。

徐々に左腕がルリの脇腹から引き抜かれていき、完全に引き抜かれた後、床にルリは床に倒れ込み、暫し脇腹を左手で押さえながら血を吐いていた。

 

「(なんなんだこの気持ちは・・・!?あの小娘のような年頃の娘を持つ親の気持ちか・・・?何を躊躇っているのだ私は?今なら吸収のチャンスだ。さぁこの身体よ、この小娘を受け入れるが良い!)」

 

ゆっくりと常人では死んでる程の重傷を負ったルリに近付くストアー。

全身に異常なほど汗を掻いており、手に掛けるはずの右手を異常なほど震え、呼吸が乱れている。

 

「(どうしたというのだ一体・・・?僅かほんの数㎝足らずだぞ・・・!?)」

 

気が付けば目眩まで起こしており、近い距離に居るルリが遠くに居るような感覚に襲われる。

目の前で苦しんでいた少女は遂に力尽きたか気絶したか、動かなくなった。

それでもストアーの状態は戻らない。

 

「(チャンスだぞ・・・行け、私の身体・・・!)」

 

近くまで来た瞬間、ストアーは右手を振り下ろした。

だが、その右手は気絶していた筈のルリに受け止められてしまう。

 

「な、なに・・・!?」

 

右手に激しい激痛を覚えたストアーは正気に戻り、右手を強く握るルリを見た。

良くルリの脇腹を見れば、内臓まで見えるほど開いていた穴が塞がっている。

死の恐怖を感じたストアーは、自身の右手を握るルリの左手を自分のもう片方の手の手刀で切り落とした後、距離を取った。

 

「一体何が起こってるというのだ・・・!?あれ程の激痛で、直ぐに蘇ってくるとはっ!?」

 

強く握られて出血している右手を左手で握りながら言った後、ストアーはルリを警戒した。

そしてルリは起き上がり、無の表情を浮かべ、睨み付けるようにストアーを見た。

 

「何という恐ろしい表情だ!吸い込まれそうな蒼い瞳が血のような赤い瞳に変わっているっ!!」

 

右手が完全に治ったのを確認したストアーは赤い瞳に変わったルリに身構えた。

訃音気が変わったルリは、次元の歪みの歪みに手を突っ込んで、ショートソードを取り出した。

 

「(また異次元から武器を・・・!しかも間合いのことを考えてショートソードを!直ぐに叩き割ってくれるわ!)」

 

完全に回復したストアーはそのまま一気にルリに接近した。

手刀でショートソードを叩き割ろうとしたが、あっさりとかわされてしまう。

 

「なに・・・!?」

 

驚いたストアーは空かさず次の攻撃に移行しようとしたが、ルリの動きがストアーよりも早く、両腕を切り落とされてしまった。

 

「な、なにぃ・・・!私より早いだと・・・!?」

 

切り落とされた両腕を見ながらストアーは床に膝を突いて、先より戦闘力が遙かに増加したルリに驚愕した。

 

「ば、馬鹿な・・・!先程まで遙かに劣る小娘が何故ここまで強く・・・!?うぅ!?」

 

切り落とされた腕が再生する前に、ストアーはルリの手に握られたショートソードを心臓に突き刺された。

 

「貴様・・・一体何者だ・・・?!」

 

心臓を刺されながらも、ストアーはルリに何者を問う。

だが、赤い瞳に変わった少女はそれに答えることもなく、心臓に突き刺したショートソードの力を強め、ストアーの息の根を止めた。

全く動かなくなったストアーの身体を見たルリは、ショートソードを引き抜き、この列車を引っ張るディーゼル車まで向かった。

大した罠も無く、あっさりと操縦室まで行け、緊急停止(ブレーキ)のレバーを引く。

高速で走っていた列車は急な停止に耐えきれることもなく、線路から客車が外れて、大きな音を立てて脱線。

先頭車に居たルリはディーゼル車が完全に止まるまで、全身を打ち付けられていた。

やがてディーゼル車が止まった後、ルリは頭を打ち付けた衝撃で再び気絶した。




今回は短め。
あぁ、伏線が二つほど残っている・・・

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