学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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原作メンバーと合流編です。(ルリと美少女バウアーの方ね


合流の時と休息の時

東の橋へと到達したハーゲンとゴロドクにバートルとゾーレッツのWWⅡ組。

近くの建造物の屋上まで上がり、ハーゲンとゴロドクはそこで様子を窺い、バートルとゾーレッツは建造物の調査を行う。

 

「まるでカイザー通りの大渋滞だな」

 

ハーゲンは双眼鏡で橋の状況を見ながら口にする。

 

「鉄骨の上に銃を持った女が何人か居るぞ。橋に近付いてくる死人を撃ち殺してる」

 

ゴロドクは鉄骨の上から銃を撃つワルキューレの兵士を指で示しながら言う。

その時、建造物の調査を終えたバートルとゾーレッツが戻ってきた。

 

「どうだ、死人か人は居たか?」

 

「いや、誰も居なかった。食料と生活必需品が在るだけだ。ついでに出入り口にバリケードを拵えておいたぜ」

 

「流石は武装(ヴァッフェン)SSだ。良い装備が優先されて国防軍より鍛えてるだけのことはある」

 

バートルとゾーレッツの用意の良さにハーゲンは褒める。

ゴロドクの方は「ファシストの手先め」と陰口で叩く。

 

「それにしてもジェット機や頭にプロペラを付けた飛行機が喧しく飛んでるな。そしてこの時代の装備をした兵士だ、何でみんな女なのか分からない。警官は男ばかりなのに」

 

「さぁな、おそらくあの女兵達は正規軍ではないだろう。多分何処かの組織だ」

 

バートルが言ったことにゾーレッツは付け足す。

そしてゴロドクは「なんでロシア人は俺1人なんだ?」とぼやいた。

 

その頃のパッキー達は、WWⅡ組と同じく東橋近くまで来ていた。

身を隠しながら橋の現状を確認する。

 

「休日と祝日の大渋滞みたいだ」

 

頭を出しながらボタスキーは口にする。

鉄骨の上や橋の至る所に居るワルキューレの兵士を見てまた口を開く。

 

「あっちもこっちも美人兵士だらけだ。特にあの川辺に居る奴は胸が大きい」

 

「ボタスキー、今は駄目」

 

「はいはい、出るなってことだろう」

 

チコの注意にボタスキーは不満げに返事を返した。

パッキーとラッツも様子を窺う。

 

「空は空自の所属と思われるヘリとジェット機と邪魔な報道ヘリ、そして東側のヘリ・・・どうなってんだ?東側の兵器まであるなんて」

 

「分からない、俺の消息を絶ってから5年くらいか・・・日本はPMCでも雇ったのか?橋は渋滞だから川に架橋を組み立てて車輌を街に出入りさせてる。一体何が目的だ?」

 

状況を把握した後、パッキーは後ろに振り返った。

何かを乗せたトラックが橋に向かって行くのが目に入る。

 

「やはり何かあるようだ・・・」

 

自分達に気付かずに通り過ぎていくトラックを見ながらパッキーは口にした。

 

夕暮れが近付き、街中から銃声が徐々に減っていく中、紫藤達と決裂を起こした冴子達は、新たに西寺を加えてバスを降りた。

出た先でワルキューレのミニスカポリス風なMP5kを持った女性兵士3名と年輩の女性兵士1人に止められる。

 

「止まれ!バスを勝手に降りることは許されんぞ!」

 

ホルスターからPMM-12を取り出して冴子達を止めようとしたが、冴子達は無視して、街に戻っていく。

 

「聞こえんのか貴様等ァ!!」

 

安全装置を外して撃とうとしたが、周りにいたミニスカ兵士に止められる。

 

「良いじゃないですか、あの女子高生等戻っていくし。それに無駄に発砲したら警察に怒られますよ」

 

この言葉に腹を立てたのか、年輩の女性兵士は口にしたミニスカ兵士の頭をマカロフのクリップで叩いた。

少し強めに叩いた為か、頭を抑える。

 

「格下の分際で口を開くな、このクズが!」

 

年輩の女性兵士は痛がるミニスカ兵士を罵った。

他の2人も怯えて何も言えず、ただ突っ立て居るだけだ。

痛がるミニスカ兵士を見て鼻で笑った後、年輩の女性兵士はその場を去っていく。

去った後に額を抑えながら起き上がる。

 

「マジであのババア殺す!」

 

ホルスターの拳銃を引き抜こうとしたが、他の2人に止められた。

 

「止めときなよ、この前逆らった子みたいになっちゃうよ!」

 

眼鏡のミニスカ兵士の言葉にそのワルキューレの兵士は拳銃を抜くのを止める。

 

「早くしないとまた殴られたり、盗撮写真ばらまかれちゃうよ。早く行こ?」

 

MP5kを受け取った彼女は他の2人について行った。

 

橋の小さないざこざが終わった後、冴子達はゾンビ達に遭遇した。

ゾンビ達を見た瞬間、西寺が橋の方へ逃げて行ってしまう。

 

「何処へ行くつもりだ!?西寺君!!」

 

「馬鹿野郎、お前等についていったのは紫藤から逃れるためだ!そこで死んでろ、アホ共!!」

 

笑いながら彼は行き先にいたゾンビを払い除けて橋へと逃げ去った。

仕方なく武器を持つ冴子、コータはゾンビと交戦を開始した。

武器を持ってない沙耶と鞠川は避けるように動き回る。

暫し先頭を続けていると、コータが釘打ち機(ネイルガン)の釘が切れると冴子に知らせた。

 

「毒島さん!弾が切れそうです!!」

 

聞いた冴子は手前に居たゾンビの右頬を叩くと、木刀の取っ手をコータに向けた。

 

「これを貸そうか?」

 

「肉弾戦は無理ですぅ!!」

 

コータは木刀を使うことを拒否、そのまま残りの釘を撃ち尽くしてしまい、悲鳴を上げながらゾンビの攻撃をかわす。

そして、ゾンビの攻撃を避けていた鞠川が躓いて沙耶の方へと倒れてしまった。

 

「ちょっと、先生!重いんですけど!?」

 

「ふわぁ~!ごめんなさい!!」

 

鞠川は沙耶に慌てながら謝った。

余談だが、大きな2つのメロンが沙耶の頭に載っている。

その時、遠くの方からバイクの走行音が聞こえた。

 

「平野、退け!」

 

その声は孝だ、荷台には麗がいつでも飛ぼうと身構えている。

偶然なのか、ジャンプ台になっている坂を上がり、飛んだ。

この瞬間を待っていた麗は空中でジャンプし、下にいるゾンビの頭をモップで突き刺す。

 

着地した孝が乗るサイドカーはゾンビを跳ねながらコータの近くまで迫った。

そして孝は、手に入れた回転式拳銃のS&WM37をコータに投げる。

それを受け取ったコータは不気味な笑顔を浮かべて二連射し、ゾンビを片付けた後、決めセリフを吐く。

 

「ダブルタップだぜ!」

 

そのまま孝は冴子の手を取り、空中高くに投げ込む、身体を回転させながらゾンビを一気に3体も仕留めた。

最後の1体が倒れると、全員ホッと息を撫で下ろす。

戦闘が終わると、麗が鞠川の胸に飛び込んだ。

 

「あら?よしよし、怖かったんだね~」

 

「小室君、宮本君、無事で何よりだ」

 

冴子が孝と麗の無事を確認して安心する。

鞠川の胸に顔を納める麗が、孝に近付いた冴子を見て嫉妬していた。

 

「所でルリちゃんは?」

 

「それが・・・」

 

その問いに孝と麗の表情が暗くなった。

安心する彼等に追い打ちを掛けるように旧日本軍の野戦服を纏ったゾンビが襲ってきた。

 

「なんだコイツは!?」

 

孝は大きく開いた青い目を光らせながらこちらに向かってくる日本軍ゾンビを見て叫ぶ。

冴子は直ぐに木刀を日本軍ゾンビに振りかざしたが、木刀を掴まれて蹴り飛ばされてしまう。

次に孝と麗が立ちはだかるが、あっさりと倒される。

小室一行の戦闘が出来る者を全て倒した日本軍ゾンビはコータと沙耶、鞠川に目を付け、呻り声を上げて襲おうとしたが、突然日本軍ゾンビの両腕が吹き飛んだ。

 

「ひゃ、な、なに!?」

 

沙耶は目の前の出来事に混乱する。

その狙撃の正体は狙撃銃SR-3Mを持ったルリと突撃銃RWSMK107を持ったバウアーだ。

コータは、ルリとバウアーが持つ小火器に目を輝かせている。

両腕をもぎ取られた日本軍ゾンビは2人に襲いかかったが、バウアーのMK107の発砲で動かなくなり、その場に倒れ込む。

 

「そんな、あの時撃たれたんじゃ!?」

 

麗は目の前で撃たれたハズのルリを見て叫ぶ。

その言葉に一同と新参者のバウアーは困惑するが、ルリの一言で丸く収まる。

 

「気にしちゃ駄目だよ麗ちゃん」

 

「はっ?」

 

一言で麗は唖然したしまったが、冴子の声で正気に戻る。

 

「ところで小室君、床主大橋は見たかね?」

 

「おそらく渡河するのは難しいでしょう」

 

「そうか、北の上流は?」

 

「駄目よ、雨で増水してるから流されちゃうわ」

 

鞠川が割り込むように手を上げた。

 

「あの・・・」

 

「なに、先生?」

 

「今日はお休みした方が良いと思うの」

 

「お、お休みって・・・」

 

「だって暗くなったら幾ら毒島さんとルリちゃんと・・・ゴメン、誰かな?」

 

名前を聞かれたバウアーはドイツ語で答える。

 

「バウアーです」

 

「えぇ・・・バウアーちゃんも大変でしょ?」

 

「で、何処を陣取るの?」

 

沙耶が鞠川に疑問点を問う。

 

「篭城でもするか」

 

冴子がジョークを口にし、孝を見た。

 

「この人数じゃ足りませんよ」

 

「それに突撃銃と狙撃銃だけじゃ駄目だ、篭城するなら機関銃や対物火器が必要でr」

 

孝が答えた後、コータが付け足したが、鞠川の言葉で止まった。

 

「あ、あのね。使える部屋があるの!」

 

「場所は?」

 

冴子が直ぐに訪ねる。

 

「歩いて直ぐの所」

 

「彼氏の部屋?」

 

沙耶の突然の問いに鞠川が慌てて返す。

 

「ち、違うわよ!女の子の友達の部屋なんだけど、お仕事が忙しくて鍵を預かってるから時々部屋の空気を入れ替えてるの」

 

「マンションですか、周りの見晴らしは良いですか?」

 

「うん、川沿いに立ってるメゾネットだから近くにコンビニもあるし。後ね、戦車みたいな四駆が置きぱっなしなの」

 

平野の問いに鞠川は両手を広げて笑顔で答える。

 

「どのみち我々には移動手段が必要だ、それを使わせて貰おう」

 

「確かに、電気や水道が通ってる内にシャワーも浴びたいわ」

 

冴子のうなづきに沙耶が付け足す。

その沙耶の言葉にコータが良からぬ妄想をして、沙耶に蹴られる。

 

「やったね、バウアーちゃん。お風呂に入れるよ!」

 

「うん!」

 

バウアーは笑顔で頷いた。

 

「じゃあ、これから鞠川先生と確認に向かうから、ルリちゃんにバウアーちゃん、みんなを頼んだ」

 

「いえっさです」

 

ルリは二本指で敬礼する。

そして孝は荷台が外れたサイドカーに鞠川を背中に乗せて偵察に向かった。

後のことはカットして鞠川の案内でメゾネットに着いた一行。

 

「は、ハンビィー!!」

 

コータの興奮はますます止まらなくなっていた。

 

「一体どんなお友達なのよ・・・」

 

沙耶が呆れたように言った後、鞠川が答える。

 

「警察関係のお仕事って言ってたけど・・・もしかして言えないお仕事?」

 

鞠川が首を傾げながら言う。

 

「堀が高いし、奴らは越えられそうもないから安心して眠ることは出来そうね」

 

麗が微笑みながら口にした。

 

「その奴らってのが出来てきてますが・・・」

 

ルリはドアから出てくるゾンビ達を指で示す。

 

「これで良い、孝?」

 

「ああ、充分だ。下がってろ」

 

沙耶からバールを受け取った孝はゾンビ達と向き合う。

 

「お互いにカバーすることを忘れるな」

 

冴子の一言で武器を持つ全員がメゾネットに居たゾンビ達に向かっていった。

 

これで彼等は束の間の休息を得ることが出来た。




次回はお色気満載お風呂回っ!!

※都合により、シュタイナーの入浴に変更になる恐れがあります。

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