学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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二週間ぶりの更新


狂気と遭遇

何処かのお手製ゲームの様な学園の地下にある研究所に到達した佐藤と中村、早速案内人に現状を聞く。

 

「上の学校でやたら銃声が聞こえるんだが、あれはお前達か?」

 

「俺達じゃなぞ。おそらくライバル会社の差し金だ」

 

「ああ、確かあいつ、ライバル会社があるとか言ってたな」

 

その案内人の返答に納得がいく佐藤、研究施設に入ると、白衣やタクティカルベストを纏った人々が、あちらこちらに横たわっていた。

何人か息があったが、大多数は動かず、息をしていなかった。

佐藤は、この事を案内人に問い詰める。

 

「一体ここで何があった?」

 

「さぁ?警備兵の俺に聞かれても分からん。なにか隕石の研究をしてたみたいだが、突然緑の光が現れて、そこから蒼い眼のゾンビが現れて研究員達を・・・後は犬やら、ゲームに出て来そうな化け物が出て来て誰彼構わず襲ってきた。そしてこの有様だ」

 

話を聞いていた佐藤は、床や天井、壁に飛び散った血を見ながら、その事に納得する。

そして所長らしき男の部屋まで案内された。

 

「あ、あんた達は・・・?」

 

「テメェ等の御上さんの頼みで来てやったぜ。今頃上でバカ騒ぎを起こしてた連中が地下に来る頃だ、さっさと回収物を出せよ」

 

佐藤の威圧的な態度に所長は、怯えながらスーツケースを佐藤に差し出した。

 

「二佐殿・・・それは・・・?」

 

「お前の知能では分からん奴が入っとるんだろう。それで、所長さん。脱出の手段はあるのか?」

 

「ああ、あると言ってもあるが・・・そこはもう駄目だ・・・異世界からの化け物でいっぱいに成ってる・・・あるとすれば地上に上がって脱出をするしかない・・・」

 

「おい、おっさんよ。上はライバル会社の差し金でいっぱいだぜ?どうやって脱出するんだよ」

 

「それもそうだが・・・化け物が現れた時に本社にヘリを呼んでしまって・・・後、十分足らずで学校の屋上にヘリが来てしまう・・・」

 

「オイ、待てよ。上に差し金が居ると知って呼んだのか?」

 

「こんなに早く来るとは思わなかったんだ!それにここの所在がばれてるなんて思いもしなかった・・・」

 

この所長の言葉に佐藤は呆れた、中村は所長に聞こえないように佐藤の耳に口を寄せて話し掛ける。

 

「どうするんですか?二佐殿」

 

「呼んじまったもんは仕方ない、それにコイツ等を連れて街を移動するのは危険だ。取り敢えずヘリに乗って早いこと拠点に戻ろう」

 

中村が「了解しました」と告げて離れた後、佐藤が「脱出するか?」と所長に問う。

その言葉に所長は直ぐに返答し、床に落ちていた護身用のPMマカロフを拾い、佐藤と中村についていった。

 

「学校へのエレベーターは?」

 

「向こうだ、ついてこい」

 

案内人は直ぐに佐藤と中村を地上まで続くエレベーターまで案内した。

途中、何人かの警備兵が彼等の後をついてきた。

 

「なんだコイツ等は。職務放置か?」

 

「多分そうだろう。もう負傷者の事なんてどうでも良いかもしれないな」

 

返答の後に、振り返ってみると、白衣を着た者まで追加されていた。

エレベーター辺りまで着くと、案内人が全員に止まるようにハンドサインで指示した。

状況が分からない中村は、案内人にその事を聞く。

 

「おい、一体何があったんだよ?」

 

「例の化け物だ・・・」

 

その返答に疑問に思い、エレベーター付近を壁越しから覗いた。

そこには、緑色のガスのような物を出す四つん這いの人型と、全身に炎や雷を纏った犬型が徘徊している。

 

「なんじゃありゃ・・・!?」

 

「この研究所を襲った化け物だ、人型は居ないようだが・・・この数ならやれるだろう。サトウとナカムラ、銃の安全装置を外しておけ、一気にたたみ掛けるぞ」

 

案内人の言葉に佐藤はM4A1の安全装置を外した、中村もワルサーMPLの安全装置を外して身構える。

 

「よし、撃ってっ!」

 

案内人の合図で銃を持つ全員が、徘徊していた四つん這いと犬に向かって銃を撃った。

突然の襲撃で対処できず、異世界からのモンスターは蜂の巣に成り、全てその場に倒れ込んだ。

一人の警備兵が、死んだかどうかを確認するために、AK102を構えて、四つん這いの死体を銃身で突く。

 

「クリアッ!」

 

鎮圧したと皆に知らせた警備兵はドアの近くに付けられたボタンを押した。

残りの警備兵と研究者達が、エレベーターに近付いて行く、所長と案内にも一緒だ。

中村も行こうとしたが、佐藤に止められてしまう。

 

「なにするんですか、二佐殿」

 

「おめぇ・・・警戒心っていうもんが無いのか・・・?」

 

「はぁ?」

 

エレベーターの到着を知らせるベルが鳴り、ドアが開いた途端、特殊部隊並みの装備をした黒一色の者達が銃を構えていた。

警備兵と研究者達は、直ぐにその場を離れようとしたが、既に遅く、放たれた銃弾の前に次々と倒れていく。

何人かの警備兵が反撃しようとしたが、相手の方が反応が早く、あっさりと射殺されてしまう。

佐藤は中村を壁まで引っ張り、体制を整えて反撃を開始した。

 

「中村ァ!機関銃で直ぐに反撃しろぉ!」

 

「は、ハイィィィ!」

 

慌てる中村は、佐藤に言われた通り、FNミニミの安全装置を外して、所構わず銃を撃つ武装集団に向けて発砲する。

何人かが倒れていくが、相手の反応が早かったらしく、遮蔽物に成りそうな場所に身を隠す。

その間、中村はひたすらそこにミニミを撃ち続けていた、当然、佐藤の拳骨を喰らう。

 

「馬鹿野郎っ!敵はあそこだ、早く銃身を向けろっ!」

 

言われたとおりに中村は敵兵が隠れている場所に銃を向けて、発砲を再開した。

暫くすると、ミニミのボックスマガジンの弾薬がそこを尽いた。

 

「無駄撃ちしてるからだ、馬鹿たれ!」

 

佐藤は中村を怒鳴りつけた後、飛んできた手榴弾を拾い、飛んできた方向に投げ返す、丁度全ての敵がエレベーター内に留まっていたらしく、1回の爆発で敵は全滅した。

全滅した後、佐藤は直ぐにスーツケースが無事かどうかを確認、無傷だと分かると、中村にエレベーター内の敵を確認に向かわせる。

 

「二佐殿、敵は全滅しました」

 

「おい、しっかりと確認しとけ。おめぇは詰めが甘いからな」

 

「(ちくしょう・・・舐めやがって・・・!)」

 

中村は心の中で文句を言うと、死んだ敵兵の確認を急いだ。

そして全員死んだと判断すると、佐藤に合図を送った。

 

「ご苦労だ、中村。直ぐに上に上がるぞ」

 

「はい」

 

佐藤が乗った後、中村は学校へのボタンを押した。

ドアが閉まり、2人を乗せたエレベーターは榊野学園へと上がって行く。

その頃、言葉は、Zbv本隊が居る裏門辺りまで近付いていた。

 

「(あそこにいるのは・・・ドイツ軍・・・?)」

 

彼女が驚くのも無理はない、なんせ第二次世界大戦下のドイツ軍の機甲部隊がそこに居るからだ。

指揮車の装甲車から頭が見えないほど深く被り、首が見えないほどコートを着込んだ指揮官らしき男が学園を見ていた。

 

「(一体何が起きている・・・?)」

 

言葉がそう思い、この場を離れようとした途端、後ろから銃声が聞こえてきた。

遮蔽物に身を隠し、銃弾を避ける。

 

「(気付かれた・・・?)」

 

相手の姿を確認してみると、中装備をしたワルキューレの兵士で、持っているのはノベンスキーN4だ。

MP40を撃とうとしたが、ドイツ軍の機甲部隊が居る方向から強烈な音が鳴り、その場に伏せた。

肉の裂ける音がした為、こちらに向かってきた中歩兵の方を見てみると、右足がもげて死んでいる。

音が方向を見てみると、20㎜機関砲を装備した装甲車が、言葉に砲口を合わせていた。

直ぐに砲口から20×138㎜B弾が言葉に向かってくる。

それを避けるために言葉は、拾った装備を捨てて、遮蔽物になりそうな場所まで走った。

 

「(裏門から離れないと!)」

 

機関砲音が止んだと同時に、言葉は表門の方向まで走り抜ける。

装填手はボックスマガジンを替えようとしたが、既に目標を見失っていた為、無駄に終わる。

その場から逃げることに成功した言葉は、道中に殺した兵士からMP5A4を手に取ると、何処かへ去った。

 

一方の佐藤と中村はと言うと。

 

「着いたか・・・待ち伏せは無いようだな・・・」

 

M4A1を構えながらエレベーターを出た佐藤、中村もMPLを構えながら出る。

 

「中村、前方にゾンビだ」

 

「仕留めますか?」

 

「馬鹿野郎、消音器がねぇんだ。なんか殴れるもん持って始末しろ」

 

「はい(自分でやれよ)」

 

佐藤の指示で、鈍器のような物を探す中村、角材を見つけると、早速それをゾンビの頭に振りかざす。

倒れた方向に皿が置いていた為に、倒れ込んだ衝撃で皿が割れてしまい音が響いた。

 

「お見事だ、中村。もっと静かに仕留めれば満点を与えてやったのにな」

 

佐藤が指差した方向を見ると、3体のゾンビが2人が居る方へ向かってきた。

 

「見ておけ、これが静かに仕留める方法だ」

 

そう言ってから佐藤はナイフを取り出すと、一体目の頭を刺す、二体目はM4のストックで頭を叩き、最後の一体もストックで沈黙させた。

 

「分かったか、中村。これが静かに仕留める方法だ」

 

余りにも見下した表情で伝えるために中村は心の中で「ちくしょう、いつか殺してやる!」と思った。

最上階まで行けるエレベーターを見つけると、少し調べた後にエレベーターに乗り込む。

 

「辺り一面が真っ赤に染まっているが、何処も同じか。中村、押せ」

 

「うわぁ・・・」

 

「どうした中村?」

 

「血塗れですよ、二佐殿」

 

その言葉に佐藤はキレたのか、中村の耳を思いっきり引っ張る。

 

「ツベコベ言わずに押せ!この度アホ!」

 

「イテテテテッ!はい、分かりましたっ!」

 

凸凹コンビを乗せたエレベーターは最上階まで上がる。

再び銃を構えながら出ると、近くから女性の悲鳴が聞こえてきた。

 

「中村、確認してこい」

 

「はぁ、また俺すっか?」

 

「当たり前だろう、他に誰が居るんだ?」

 

「(こき使いやがって・・・!)」

 

文句を言いながらも中村は悲鳴が聞こえた方へ向かう、その後を佐藤もついて行く。

そして思いがけない光景を目にしてしまう。

 

「佐藤二佐殿・・・」

 

「どうした中村?」

 

中村が指差した方を見てみると、言葉が金槌でワルキューレの兵士を撲殺してるところだった。




次は佐藤&中村VS言葉です。

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