学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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狂気VS凸凹

金槌で女性兵士を撲殺していた言葉は、中村の視線に気付き、MP5A4の安全装置を外し、顔を出していた中村に向け、単発で発砲した。

 

「ヒィッ!」

 

悲鳴を上げて倒れ込んだ中村、言葉は手応えがなかったのか、構えながら警告する。

 

「出て来てください、大人しく出てくれば銃は撃ちませんよ?」

 

中村が失禁してるので、変わりに佐藤が言葉を見てみると、表情が狂気の笑みだった。

仮に大人しく出て来ても、あんな顔をしているので、殺されるのがオチだろう。

佐藤は、失禁している中村を蹴り上げて我に返した。

 

「さっさと起きろ、マヌケ。ション便をチビらしてる場合じゃないぞ、直ぐに屋上へ非難だ」

 

そう言った後、佐藤はM4A1を言葉に向けて発砲しながら屋上に向かった。

走りながらの射撃の所為か、弾丸は言葉には一切命中しない。

そして撃たれている彼女は全く恐れもせず、ただMP5を構え、2人に狙いを定めていた。

 

「やはりあの女性達と同じ無地の穴ですね。逃がしませんよ・・・!」

 

銃弾をかわしながら言葉は佐藤と中村を追った。

それに驚いた中村は、悲鳴を上げながらMPLを乱射する。

 

「ヒェ~!来るな、来るなァ!!」

 

パニックに至っているのか、一発の弾丸も言葉に命中しなかった。

当たるのはそこらに居たゾンビか、窓ガラスだけだ。

 

「落ち着け!この度アホ!」

 

走りながらも中村の頭を精確に拳骨を入れる佐藤。

 

「無駄弾を使うな、分かったな?!」

 

「は、はいっ!」

 

悲鳴に混じった返事をしながら中村は、屋上の階段に向けて全力疾走した。

屋上に着き、出入り口の扉を蹴破ると、直ぐに扉を閉めて、バリケードになる物を置いて、自分達も必死に扉を抑える。

 

「来たぞ・・・!」

 

佐藤の言葉に中村は息を呑み、力を入れて扉を抑え付ける。

扉の向こう側から足音が聞こえ、一時的に止まった。

次の瞬間、扉に強烈な振動が起こり、中村が倒れ込んでしまう。

 

「ギヤ・・・!」

 

「馬鹿野郎っ!さっさと戻れっ!」

 

その指示通り中村は直ぐに扉を抑え、力を踏ん張る。

内側から並の少女とは思えぬ力が加えられ、その都度、扉から離れそうになる中村。

佐藤は必死に抑えて、言葉を出られないように踏ん張っている。

暫くすれば、内側からの強力な体当たりが治まり、扉は振動しなくなった。

 

「よし、諦めたか・・・」

 

中村は尻餅を付いて、安心しきっていると、扉の窓ガラスが割れ、言葉の左腕が飛び出してきた。

そしてその左腕にはMP-443が握られており、言葉は適当に発砲し始めた。

 

「クソッ!」

 

舌打ちしながら佐藤はM4を構えて空かさず反撃に出る。

ライフル弾が言葉の左腕を掠めると、持っていた拳銃を放し、床に落としてしまう。

直ぐに腰を抜かしている中村にFNミニミを撃つように命じる。

 

「中村ァ!直ぐに弾幕を張れっ!」

 

「へ、は、はい!」

 

即刻中村はミニミを構え、扉に向けて撃ちまくった。

彼が扉に向けて機関銃を撃ち続けてる最中に、迎えのヘリロシア製のMi-8が見える。

その際に佐藤はポーチからM18発煙手榴弾を取り出し、ヘリが着陸できる位の場所に投げ込む。

投げ込まれた発煙手榴弾は煙を吹き出しながらコロコロと転がり動きを止めた。

それを確認したのか上空で学園の周りを迂回してたロシアの輸送ヘリMiー8が、発煙弾が投げ込まれた場所へと着陸しようと向かってくる。

数分後には、煙が巻かれた場所に着陸し、後部ハッチからAKS74、PKM軽機関銃を持ったタクティカルベストを着たロシア人の男2人が佐藤と中村を手招きする。

 

「あんたがサトウか?!」

 

ヘリのローター音が大きいので大声を出して質問するAKS74持ったタクティカルベストの男。

それに対し佐藤も大きな声で返答する。

 

「そうだ!それと例の物はあの眼鏡猿が持っている!!」

 

男は腰を抜かしてミニミのトリガーを引き続けていた中村を起こすと、PKM持ちに中村を預ける。

 

「一体何を撃っていたんだ?彼は?!」

 

「少女の皮を被った悪魔だ!」

 

その佐藤の答えに男は笑みを浮かべて、扉の窓から中の様子を覗いた。

 

「おい、そんな奴は何処へ?」

 

再び佐藤に問い詰めたが、佐藤はもうヘリに乗り込んだ後だった。

彼もヘリに戻ろうとした瞬間、何者かに首を掴まれて、窓から内側へと引きづり込まれた。

その状況を見ていた佐藤は、パイロットに直ぐに離陸するように指示をする。

 

「早く離陸しろ!あの小娘に殺されるぞ!!」

 

そのドスの効いた指示にパイロットは直ぐに従い、AKS74持ちを残して飛び去っていった。

前に置いていたバリケードが扉が開けられたと同時に、吹き飛ばされると、制服を血に染めた言葉が出て来て、先程男が持っていたAKS74をその場から去ろうとするヘリに向けて発砲したが、小口径の5.45㎜弾ではまるで意味が無かった。

 

「逃げられてしまいましたか・・・でも、流石にこの5.45㎜弾では生物でしか意味がありませんけどね・・・さて、どうすればいいか・・・」

 

段々遠くなっていくMi-8を眺めながら言葉は、左腕や両足に刺さったガラスの破片を痛みを感じさせる素振りも見せず、次々と抜きながら途方に暮れていた。

その頃、Zbvは榊野学園から移動を開始した。

彼等の目的地は偶然にも小室一行達が奮闘する床主であった。




次はバウアー編です。

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