学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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やっちまったよ・・・ゾンビ物で戦車戦・・・


敵戦車確認!

ティーガーⅡの砲撃で血煙が上がり、榴弾を喰らったゾンビはミンチになった。

まだ何体かはノミと同じようにティーガーⅡとパンターに向かってくるが、砲塔に搭載された汎用機関銃MG34の銃撃でなぎ倒されていく。

後続のパンターも、爆破音で釣られたゾンビを榴弾や搭載されているMG34で始末する。

 

「大方片付いたな。残りに構うな、弾薬の無駄になる」

 

バウアーは首に装着している喉頭マイク(喉に当て直接振動を拾うマイク)で後続のパンターに乗るクルツに指示した。

その指示の後にパンターは正面に砲塔を合わせて、バウアーのティーガーⅡの後について行く。

一方の山本は、一生聞くことが出来ないとされたティーガーⅡやパンターの砲声を耳にしてかなり興奮している。

 

「ヒァッハー!マジモンの砲声だぜぇ!!」

 

「静かにしろ、山本!」

 

「はい・・・」

 

バウアーのお叱りで山本は直ぐに黙り、謝る。

もちろんその大戦後期のドイツ戦車の砲声は、床主で展開していたワルキューレの部隊の耳に入っていた。

とある巡回中の中歩兵の一人がバウアー達の戦車の砲声を聞いていた。

 

「この砲声・・・私達の戦車の砲声じゃない!」

 

持っていたケル・テックPFBターゲットタイプの安全装置を外し、警戒態勢に入る。

隣に居たもう一人の中歩兵が、呆れたように口を開く。

 

「戦車の砲撃音ってどれも一緒でしょう、どうせどっかの馬鹿が撃ちたいが為にぶっ放してでしょ?」

 

そう言うが、米製ブルパップライフルを装備した中歩兵は軍事オタクであったらしく、直ぐにその言葉を否定する。

 

「絶対に違う。この砲声は大戦下のドイツ戦車で尤も有名なティーガー重戦車の8.8(アハト・アハト)の砲声、間違いない!」

 

「はぁ・・・なにいってんだか・・・」

 

興奮する軍事オタクの女兵士に呆れているもう一人は、無線機を取り出し、その事を本部に報告する。

 

「ああ、本部(HQ)我々(ワルキューレ)に存在しない砲声を確認。位置は、どっち?「東」東の方から聞こえました。オーバー」

 

『了解、M5軽戦車2両を確認に向かわせる。貴官は任務を続行せよ、アウト』

 

「確認に行かせるってさ。迂回続けよ」

 

「う・・・うん・・・」

 

軍事オタクの中歩兵は、確認に向かった2両のM5スチュアートが心配でならなかった。

もちろんその彼女の心配事は皮肉にも当たる事となる。

 

その頃、確認に向かったM5A1軽戦車は、バウアー達の戦車が居る方向へと向かっていた。

 

「間違ってたら、その報告した奴は血祭りに上げてやるんだから」

 

砲塔から身を出して、文句を言いながら辺りを確認する女性の戦車長、彼女以外成人した女性は居らず、車内に居る乗員達は皆年端のいかぬ少女ばかり、それも戦車長と同じく整った顔の美少女ばかりだ。

後続のもう1両のM5A1軽戦車は、殿の文句を垂らす戦車長のM5軽戦車に続く。

その後、暫く進んでいると、バウアー達の戦車ティーガーⅡとパンター戦車を発見した。

 

「嘘っ、マジであったの!?」

 

驚いた戦車長は、無線手にバウアー達の戦車を報告する様に指示した。

それと同時に砲手と装填手に攻撃命令を掛ける。

 

「徹甲弾装填!それと後ろのあんたも!確実に仕留めるわよ・・・!」

 

そう言って車内に戻った戦車長。

車内では装填手が徹甲弾を装填し、砲手がそれを確認した後、バウアーのティーガーⅡに照準を合わせて、発射装置を押し、撃った。

砲弾は真っ直ぐティーガーⅡの側面に向かって行くが、53.5口径37㎜戦車砲M6の徹甲弾でも重戦車であるティーガーⅡの装甲を貫けるはずもなく、弾かれて地面に落ちるだけである。

 

「ちょ、側面を狙ったハズなのに何で効かないの!」

 

どうやらこの戦車長にはティーガーの頑丈さが分かってないらしい。

僚車のM5スチュアートも砲撃するが、ティーガーⅡには全くダメージが通らない。

一方、攻撃されてるバウアー達は、直ぐに反撃を開始する。

 

「む、あれはM5軽戦車。米軍(アーミー)英軍(トミー)もこの世界に来てたのか」

 

バウアーはキューボラから自車に攻撃をしているM5A1軽戦車を見ながら言う。

 

「何処の連合国の所属か分からんが敵であることは確かだな。砲塔2時方向、後ろのスチュアートを狙え!退路を塞ぎ、その後手前の奴も()る!」

 

装填手が砲から榴弾を取り出し、新しく徹甲弾を装填、確認した砲手が砲塔をこちらに砲撃をするM5軽戦車に狙いを定めて発射ペダルを踏み込み、砲撃する。

 

後で砲撃をしていたM5軽戦車が88㎜徹甲弾を喰らい、大破する。

前にいたM5軽戦車はその場から逃げようとしたが、運が悪いことに左右に逃げ道がない場所から砲撃していた為に、唯一の退路を塞がれてしまい、袋の鼠となる。

そんな袋の鼠となったM5軽戦車に情けを掛けることも無く、クルツ等が乗るパンターG型の70口径7.5㎝戦車砲kwk42から放たれた75㎜徹甲弾を喰らい、大破した。

 

「これが生の戦車戦・・・!」

 

ティーガーⅡの車内で山本が呟いた。

彼は砲塔のハッチから身を出して、撃破されたM5軽戦車を見る。

 

「M5A1スチュアート軽戦車・・・まだ動いてる車輌があったか・・・それとこのM3、米軍か英軍を示すマークが入ってない。代わりに入ってるのは戦乙女(ワルキューレ)?」

 

山本は撃破されたM5軽戦車の米軍や英軍所属を現しているマークの代わりに入ったワルキューレの兜マークを見ながら疑問に思う。

 

「まぁ、なんれあれ敵であることは変わりない。このまま前に進むぞ」

 

バウアーの言葉で納得した山本は車内に戻る。

彼が戻ったと同時に、再びティーガーⅡとパンターはエンジン音を響かせながら前に進んだ。

戦闘の影響下でゾンビが集まってきたが、バウアー達は無視する。

その歩く屍達は、燃えさかるM5軽戦車の車内で焼け死んだ乗員達の肉を自身が燃えているにも関わらず、食らい付いた。

 

夜明けが近付く中、前へ進むバウアー達にまたワルキューレの戦車隊が襲ってきた。

今度はM5A1軽戦車では無く、M3A5リー中戦車4両だ。

 

「次はオーストラリア軍か?側面に回られるなよ!」

 

「M3A5リー中戦車、また珍しい戦車で来たなオイ」

 

再びティーガーⅡとパンターは戦車戦を再開した。

今度は広い場所で遭遇し、大戦後期のドイツ重戦車や中戦車にとって豆鉄砲同然だった37㎜戦車砲を詰んだM3やM5軽戦車ではなく、アメリカの多砲塔戦車M3リー中戦車だ。

前方右側に搭載された37.5口径75㎜戦車砲M3は流石に前面装甲は撃ち抜けなくても、側面に回り込めばティーガーⅡに勝つことも出来る。

それを見込んでか、4両のリー中戦車は2両ずつ、左右に分かれる。

 

「俺は右をやる、クルツは左をやれ!」

 

それぞれ2両ずつ相手にティーガーⅡとパンターは散開する。

まず最初から砲撃を始めたのはクルツのパンター戦車だ。

一度停止してから相手が進む進路に来るとされる位置に照準し、砲撃を命じる。

予想通り、敵戦車がその位置に来た為に、わざわざ当たってるかのように命中、車体が燃え上がり、その後大破した。

もう1両は上部に搭載されている37㎜戦車砲塔でパンターに砲撃するが、中戦車の割りには前面装甲が重戦車並の装甲を貫けるハズもなく、最初に撃破されたリー中戦車通りに撃破された。

 

続いてのバウアーのティーガーⅡに挑んだリー中戦車が黒騎士であるバウアーに勝てるはずもなく全滅した。

ちなみにバウアーとクルツは一発も外してなどいない。

戦闘が終わり、再び前に進み始めると、今度はM4シャーマン中戦車20両で襲ってきた。

 

「今度は連合軍(アーミー)主流のシャーマンか・・・数は一個中隊、数で潰そうとしているな」

 

バウアーの言うとおり、側面を狙うわけでもなく、ソ連赤軍の人海戦術の様にただ突っ込んでくるだけである。

 

「次はM4か・・・ふぅ・・・居るのはジャンボじゃなくてA1やA2、A3にA6、ファイヤフライとスーパーシャーマン居ないだけでマシか・・・しかしA6は納得できるけど、なんでこんなにシャーマンがあるんだ?さっきのM5といいM3といい」

 

襲ってくる大戦期のアメリカ製戦車に対して山本は疑問に思うばかりだった。

バウアー達は湧いてくるように突っ込んでくる多数のT34中戦車と幾度も戦ってきたので、馬鹿みたいに突っ込んでくる20両のM4シャーマンの殲滅など動作のこともない。

直ぐに砲を前方のM4シャーマンに向けて砲撃し、進出を遅らせた後、残骸を避けようとするM4シャーマンに狙いを付けて次々と撃破した。

最後の一両がその場から逃げようとしたが、あえなく撃破され全滅した。

ちなみに外した徹甲弾の数、2両含めて7発。

 

「またあんな数で押し寄せられたら徹甲弾が持たないぞ。今度からは一発も外さないようにせんとな!」

 

残りの徹甲弾を確認しながらバウアーは口を開く、再びエンジン音を響かせながら人気がしない街を進んだ。

そして明け方、幸いにもガソリンスタンドを発見し、直ぐに燃料補給を開始した。

夜中から昼頃まで、ずっと車内に居た為、慣れない山本には苦痛であった。

停車したのと同時に車外に出て身体を伸ばす。

そして進む方向を見ていたバウアーに英語で質問する。

 

「〔すみません、バウアーさん。このまま前に進んで何処へ行こうと言うのですか?〕」

 

「〔俺には分からん。だが、我々には、向かわなければならないと思う・・・〕」

 

バウアーの返答に山本は首を傾げた。

その後燃料補給が終わると2両のドイツ戦車は再び進んでいた方角に進路を取り、障害物があったら避けていきながら前に進んだ。

道中、ゾンビと幾度もなく遭遇したが、進路場に邪魔になる奴だけを排除して進んで行った。

そして夕日が落ちて、夜になると、銭湯を発見。

そこでバウアー達はクルツと乗員等と共に身体の汚れを落としていた。

山本はと言うと、MP40を持たされてティーガーⅡとパンターの警備をやらされていた。

彼が身体を湯に浸したのは、何週間も風呂に入ってないとされる大戦末期からやって来たドイツ戦車兵達が上がってきた頃である。




M5スチュアートって発射ペダルかな?間違ってたら感想に書いてください。

この後ヴィットマンと合流させようと思ってるけど、皆さんどうですか?

それとパイパーとヴァルキュリアーズに誰か付けようかな?(例えばラッキースケベ的な少年とか、幼女とかrPAM

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