炒り豆さん、黒騎士中隊を参戦させて宜しいですか?
1945年5月。
ドイツ第三帝国は首都ベルリンがソ連赤軍の手によって陥落、その後連合諸国とソビエト連邦に降伏した。
この降伏により命令書でドイツ東部軍はソ連赤軍に降伏せよ、と命じられたが口頭命令で連合軍側が居る西側に1人でも多く脱出せよ、とも命じられていた。
英雄的行動をしたエルンスト・フォン・バウアー大尉は連合側に降伏に向かう多くの戦友の脱出させる為、偶然にも手に入ったティーガーⅡと残った1両のパンターG型と共に追撃を行うソ連赤軍に攻撃を開始する。
「黒騎士中隊に神のご加護があらんことを!黒騎士中隊、突撃!」
眼帯を付けた男バウアーは2両の戦車だけで停止したソ連赤軍の機甲部隊に攻撃を開始した。
前方に居たT34/85がティーガーⅡの71口径の88㎜砲に撃たれ大破する。
中隊の古顔であるクルツが操るパンターも負けじとT34やトラックを撃破していく。
ソ連軍はもう戦争は終わったと思いこんでいたらしく、迎撃態勢が取れていない、その所為でティーガーの重装甲を安全な距離から貫ける122㎜砲を持ったIS-2スターリン重戦車ですらまともに動くことが出来ずバウアーのティーガーⅡの砲撃で撃破された。
「目標10時方向にT34、ファイアー!ン、なんだこの霧は?」
クルツはT34を撃破したてから戦場の周囲に霧が出てくるのを確認した。
バウアーも前方のIS-2を撃破してからそれに気付く。
「視界不良、霧で敵を見失いました!」
「気を付けろ、この霧では何所から撃たれるか分からんぞ!」
バウアーは砲手に告げ、キューポラの窓を覗いて周囲の索敵を始める。
しかし、謎の光が彼等黒騎士中隊の2両の戦車を包み、この世界から黒騎士中隊を消してしまった。
車内にも光が現れ、中にいるバウアー達は余りの光の強さに目を抑え、驚く。
「ウワァ!なんだこの光は!?」
それがこの世界でのバウアーの最後の言葉だった。
一方の小さな女騎士の方は3号突撃砲G型に乗り込み、負傷者や難民を乗せて連合側が陣を構えるドイツ西部に降伏のために何両かのトラックを連れて移動していた。
「いいぞ・・・分かってるじゃないか・・・」
車内では負傷した前任の戦車長が後任の操縦士に言う、その操縦士は第12SS装甲師団所属の少年兵士だ。
「はい、ありがとうございます」
今、この突撃砲の戦車長は何故か眼帯を付けた少女バウアーだ。
ややこしいことにこの少女の名もバウアーだ。
車体から顔を出しながらいつ何所から敵が来るか双眼鏡を使って索敵を行っている。
「そんなにキビキビすんな、敵と遭遇した時に戦闘に集中できないぞ?」
「は、はい・・・」
頭に包帯を巻いた戦車兵が緊張したバウアーを宥めた。
彼女が後ろを見れば、負傷した兵士や民間人、そして難民を乗せたトラックが西へと進路を進めるⅢ号突撃砲にしっかりと付いてくる。
これを見た彼女への負担は大きい。
その時、上空から米陸軍の数機の戦闘爆撃機P47サンダーボルトが来襲した。
白旗を挙げてるのにも関わらず、そのまま西へと降伏に向かうバウアーの部隊に襲いかかる。
「
「は、はい!」
Ⅲ号突撃砲は急いで近くにある森林に身を隠そうとするが、後ろを振り返ったバウアーが見た物は機銃掃射で潰されるトラックや撃たれて死ぬ負傷者や難民達であった。
それを見て恐怖するバウアーに負傷した戦車兵が彼女を我に返す。
「しっかりしろ!イワン共に屈辱されるよりマシな方だ。俺達は急いで・・・」
戦車兵の言葉の途中でバウアーが乗るⅢ号が火に包まれた。
原因はサンダーボルトの対戦車ロケット砲の攻撃らしい、吹き飛ばされた少女はこのまま死ぬかと思いきや、彼女の身体を謎の光が包み込み、黒騎士バウアー達と同じくこの世界から消えてしまった。
やっちまったよ・・・炒り豆さんに怒られないかな・・・
お次は源文勢では無く、有名なゲームの方々の転移です。