学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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前回までのあらすじ!

ようやく高城邸に到着した小室一行、ルリと冴子がはぐれてしまうというハプニングに見舞われたが、翌日到着。
安全な場所へと到達できた。
だが、彼等はこの家の者達、いや国枠右翼に呑み込まれようとしていた!

ようやく戻った本編、そして新キャラ追加。
RUSEのリヒター転移からです。


本編
視点は少女に戻る。


1945年 1月23日 アルデンヌ

 

この日、ドイツ軍の西部戦線における最後の攻勢は失敗に終わり、更なる被害を恐れたドイツ軍司令部は作戦停止命令を出した。

しかし、既に退却は始まっており、戦闘が終わったのは4日後の27日であった。

前線司令部にてこの報告を受けたドイツ国防軍の一将官に視点を当てる。

 

「リヒター閣下、国防軍司令部(OKH)より作戦停止命令であります!」

 

副官であろう佐官クラスの将校が、部屋に入り、将官に指令書を持って報告する。

 

「既に知っている。バストーニュから我が軍が撤退を始めている。もうこの作戦は失敗だな、そして総統閣下(マインフィーラー)は賭に負けた。これは敗北主義的発言だが」

 

「では、閣下も退避を!」

 

脱出を進める副官に対しリヒターは、飛来するB-17を見ながら再び口を開く。

 

「さらに続けるが、精鋭を失った我が第三帝国は後5ヶ月で滅びるだろう・・・日本も例外ではない、根強く抵抗しているようだが、後7ヶ月が限度だ。米ソの国力を甘く見すぎたな」

 

窓から、ドイツ軍陣地を爆撃するB-17を見ながら、副官の勧めを断った。

 

「私は軽駆逐戦車ヘッツァーに乗り込み、迫り来るアメリカ陸軍の機甲部隊を食い止める。君は残った兵力を集めてドイツ本土へ撤退したまえ」

 

このリヒターの言葉を聞いた副官は戸惑い、自分もリヒターについていこうとした。

だが、リヒターは副官を説得し始める。

 

「なら小官も!」

 

「いや、君は言われたとおりに本土へ撤退したまえ。そして力無き者を守るんだ・・・」

 

説得に応じた副官は、敬礼をした後、部屋を出た。

そしてリヒターは、外で待っていた自殺志願者の乗員達と共に軽駆逐戦車ヘッツァーに乗り込み、圧倒的な物量で迫り来るアメリカ陸軍に向かっていった。

 

暫く進んでいくと、先遣隊のM4A3E2ジャンボウ突撃戦車一両とM4A3シャーマン75㎜砲塔型中戦車が三両、M8グレイハウンド装甲車一両が現れた。

リヒターは突撃戦車の横のシャーマンに砲撃を命ずる。

48口径75㎜対戦車砲が火を噴き、リヒターが指示したとおりにシャーマンを撃破した。

僚車が撃破されると、ジャンボウはヘッツァーに向かってきたが、履帯を破壊され、側面を撃たれ、撃破された。

残りのシャーマンも全滅し、残ったグレイハウンドは逃げようとしたが、リヒターが逃すはずもなく、撃破されてしまう。

 

「よし。では、敵陣に突っ込もう」

 

そのまま敵陣へと向かっていったヘッツァー。

しかし、空から飛来してきたP-47Dがヘッツァーを攻撃、リヒターは燃え盛る車内で自分の死ぬのを待った。

 

「ここで終わりか・・・最後にもう一度、シェリダンに会いたかったな・・・」

 

死に際に言った後、目を瞑った。

しかし、彼は謎の光に包まれ、燃え盛るヘッツァーからリヒターは跡形もなく消えた。

そして、この死者が歩き回る世界に、リヒターが転移した。

 

「うう・・・ここは・・・?」

 

床主市、高城邸の近くで転移し、倒れ込んだリヒター。

 

「おかしいな・・・私は確かヘッツァーの車内で焼かれていたはずだが・・・?ここは・・・ヴァルハラか地獄のどっちだ・・・?」

 

辺りを見渡し、状況を把握しようとするが、突然後ろから来た人(暴徒)に気付き、不用意に話し掛けた。

 

「すみません、ここは何処でしょうか?」

 

もちろんパイパー然り、ドイツ語で話し掛けている。

相手が日本人なので通じるはずもないが。

 

「この野郎・・・頭のイカれたコスプレ野郎か。一思いに殺してやる」

 

リヒターも相手が話している言葉すら理解できないので、暴徒は彼に手に持った釘バットで襲い掛かった。

 

「うぉ!?何をする!」

 

いきなり襲われた為に、リヒターは、腰に差してあるルガーP08を取り出し、安全装置を外し、撃鉄に指を掛けた。

 

動くな(ハルト)!私はいつでも君を撃てる」

 

そう告げたが、ドイツ語であるために全く通じるハズもない。

 

「どうせモデルガンだろうッ?!さっさと死にやがれッー!」

 

飛んで、釘バットを振り翳そうとする暴徒にリヒターはルガーを向ける。

 

「(やもえん・・・殺すか・・・)」

 

そして何の躊躇いもなく撃鉄を引いた。

 

「ウゲェッ!!これは本・・・物・・・!?」

 

リヒターは堅いアスファルトの道路に倒れた暴徒に対し、眉間に向けてもう一発ルガーを撃った。

 

「悪く思うなよ・・・?」

 

そう言った後、ルガーを仕舞い、暴徒の死体から地図を拝借した。

 

「漢字とひらがなが書かれているからしてここは日本か・・・私は日本語は喋れないし、読めないのだが・・・」

 

地図に書かれている日本語が読めず、悩むリヒター。

その後、地図をポケットに仕舞い、高城邸に向かって行く。

 

「(ン?あれは白人の女性だ。何故こんな所へ?まぁ良い、欧州の大概の言葉は喋れる)」

 

たまたま見つけた白人の女性?に何の警戒もせず向かっていった。

 

「失礼、お嬢さん(フロイライン)。ここは一体・・・」

 

地図を出しながらよく見る日本に来た外国人の様に質問するが、女性が棒のような物で殴られ、意識が途絶えた。

 

そして翌日・・・・・・。

 

「ふわぁ~、ン・・・」

 

高城邸の中で貸し出された部屋に置かれたベットで目覚める美少女ルリ。

シーツを退けて、着替えを取ろうとする。

 

「顔を洗わないと・・・」

 

着替えを終えた後、ルリは部屋を出て行った。

一方、ワルキューレの本部である海上プラントでは新たな動きがあった。

基地の廊下を以下にも絵に描いたような女軍人が、ミリタリーブーツを鳴らしながら司令室に向かう。

ブロンドの髪を纏め、肌の色からして白人女性と見える。

顔も整っており、美人とも言える。

瞳の色はエメラルドグリーン、美貌もそれなりである。

着ている服は、濃い緑色の野戦服だ。

彼女の姿を見たワルキューレの将兵達はざわつき始める。

その女軍人の正体は・・・・・・!?




次週に続く!

はい、ようやく入った本編です。

今思えばルリちゃんの出番少なくねぇ?(PAM

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