学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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中々投稿できない・・・


リヒター、高城邸へ。

高城邸に近い場所にて、この世界に転移したばかりのリヒターは、白人の女性に殴られ、知らない場所の地面に倒れていた。

 

「ぐぅ・・・ここは・・・?そうか・・・私は・・・」

 

頭を左手でさすりながら、立ち上がる。

そして左手にこびり付いた自分の血を見ながら、思い出す。

 

「そうか・・・私はあのフロイラインに頭を・・・」

 

一連の出来事を思い出したリヒターは、辺りを見渡し、ルガーP08を抜こうとしたが、無いことに気付く。

 

「盗まれたか・・・やれやれ、拳か殴れる物で対処しなければならないな」

 

皮肉を言いながら、出口へと向かう。

そこから複数の男の声や銃声が聞こえてくる。

その声が聞こえる方に視線を向けてみると、ただならぬオーラを見せる屈強な男が日本刀でゾンビを次々と切り裂いていた。

 

「これが噂のサムライ・・・!」

 

その男がゾンビを切り捨てる様に釘付けになるリヒター、後ろから近付いてくるゾンビの気配に気付かずに、ただ男が戦う姿をマジマジと見ていた。

男はそれに気付いたのか、リヒターの方へ向かって日本語で叫ぶ。

 

「後ろだ!異国の者!」

 

「!?」

 

男が言っている言葉が分からないリヒター、そして彼から見れば男が襲い掛かっている様にしか見えない。

 

「私は害を与える人間じゃない!」

 

ドイツ語で言っているために男には通じない。

何事にも動じそうもない彼の頬を日本刀の刃先が掠め、後ろから噛もうとしていたゾンビの頭を串刺しにした。

彼の額から血に混じった汗が浸り落ちる。

直ぐに男の顔を見て、息をついた。

その男の表情は、戦場を駆け巡ってきた旧日本将兵の生まれ変わりのような表情をしている。

 

「壮一郎総帥!危ない!!」

 

男の部下らしい黒服の男が、声を掛けた。

リヒターを助けた男の後ろにはゾンビが居り、今にも彼を仲間に引き入れようとしていた。

部下の男はゾンビに体当たりし、地面にゾンビと一緒に倒れ込む。

 

「クソッ、銃が!」

 

体当たりした衝撃で、手に持っていたライフルkar98kを落とし、ゾンビを抑えながら拾おうとしたが、それで抑える力が弱まり、ゾンビに噛まれてしまった。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

壮一郎と呼ばれた男は近くに居たゾンビを排除し、彼の元へ向かおうとしたが、それよりリヒターの行動が早かった。

彼はkar98kを手に取り、ゾンビに肉を食われながらも引き離そうとしている壮一郎の部下を助けるために向かう。

金属類が付いている銃座でゾンビの頭を思いっきり殴り、壮一郎の部下を解放。

そして弾が入ってるかどうかボルトを引いて確認し、狙いを向かってきたゾンビに定め、引き金を引いた。

弾丸は真っ直ぐ頭部に命中、ゾンビは糸が切れたかのように倒れる。

次に狙いを定め、引き金を引いた。

弾丸が無くなるまで撃ち尽くすと、噛まれた男から弾薬を取って装填し、直ぐ狙いを付けて撃ち始めた。

この辺りのゾンビが全滅すると、噛まれた男に壮一郎が近付き、鋭い瞳から涙がこぼれ落ちている。

 

「もう私は駄目です・・・私を檻の中に閉じ込め、見せしめの代わりに・・・」

 

この部下の言葉通り、壮一郎は彼を檻の中に入れた。

彼は家族の名を言いながら、口から血を吐き、暫くしてから息絶えた。

 

「他に噛まれた者が居るか?!」

 

「居ません!噛まれた者は自決しました!」

 

「よし!物資を確保した後、廷に戻るぞ!」

 

「ハッ、総帥!」

 

壮一郎の指示で、部下達はこの辺りの物資を回収を始めた。

リヒターは頭に傷を負っていた為に、彼の部下から治療を受ける。

そしてライフルを持つ彼に英語で声を掛けた。

 

「英語は喋れるか?」

 

「もちろん、少し訛りがあるが」

 

「それなら話は早い、君も付いてきたまえ」

 

物資の回収が終わった後、壮一郎とリヒターは、車に乗り込んだ。

高城邸へ向かう車の車内にて壮一郎が自己紹介を始め、リヒターに質問する。

 

「私は右翼団体の総帥をやっている高城壮一郎と言う者だ。君の名とどうしてその格好をしているか、そして何処から来たのか問いたい」

 

壮一郎がリヒターの将官の野戦服を見ながら問う。

 

「まずは名前から、エーリヒ・フォン・リヒターだ。ドイツ国防陸軍所属、階級は元帥だ。何処から来たかと言うと、信じられないが1945年1月のベルギーからだ」

 

この返答に壮一郎は眉間にしわを寄せる。

 

「信じられないなら私を車から放り出せ・・・」

 

「いや、現状にも死者が歩き回っている。信じられん光景は世界の何処も彼処で起こっている有様だ。タイムスリップしたドイツ人が居るのも不思議ではない」

 

壮一郎が大笑いした後、リヒターもそれに便乗した。

そしてリヒターは、自分の戦歴を話し始めた。

 

「私の初の実戦は大戦前のスペイン内戦だ。士官学校を卒業したてだった私は当時新型のⅢ号戦車の戦車長をしていた。そして次は歩兵でベルグマンMP28を握りながら廃墟と化した戦場を駆け回ったよ」

 

「そうか、では、将官までに出世したのはどうしてだ?」

 

「東部戦線のブラウ作戦だ。あれで私は将官クラスに出世した」

 

転移するまでの経歴を話したリヒター、運転手がリヒターの話を聞いている壮一郎に知らせる。

 

「もうすぐ到着です。総帥」

 

「そうか。では、続きは廷内で話そう」

 

話は終わりと、壮一郎は思ったが、リヒターが思い出したかのように再び口を開いた。

 

「あぁ、忘れていた。済まないが白人の女をこの辺で見なかったか?私を襲ってルガーと帽子を取られてしまった」

 

「いや、見てはいない。それはそうとこの帽子は君の物か?」

 

壮一郎は答えた後、行方知れずとなっていた将官用の制帽をリヒターに渡した。

 

「ありがとう。帽子は見つかったが、ルガーは見つからなかったか・・・」

 

「君には貸しがある。是非部下にその女を捜させよう」

 

「いや、結構。こんな物騒な世の中だ、捜さなくて良い・・・」

 

壮一郎の提案を断ったリヒターは、帽子を被った。

車が高城邸に到着した後、廷内を見渡す。

 

「ようこそドイツの軍人。我が屋敷へ」

 

先に車を出た壮一郎の手をリヒターは取り、迎えの露出の多いドレスを着た彼の妻に、欧州風の挨拶をする。

ここへ避難してきた人々が、壮一郎と妻、そして異国の者であるリヒターに注目している。

屋敷のベランダから視線を感じたリヒターは、ベランダに視線を向けた。

そこには自分と同じドイツ人と敵対国であるソ連ことロシア人にアメリカ人、白人の少女が居た。

他は日本人の少年少女に金髪の成人女性だ。

 

「壮一郎、彼等は?」

 

「知らん。百合子、あのベランダに居る者達は?」

 

壮一郎の妻、百合子はベランダに居る小室一行の事を話した。

 

「そうか・・・では、後で彼等と話そう」

 

そう百合子に告げた後、避難者達を説得するべくある行動に出た。

リヒターは、その行動をただじっと見ていた。




リヒター&壮一郎回です。

次は問題は・・・あるかな・・・?

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