学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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見てはいけない物を見つけた

敷地内の戦闘はまだ続いていた。

研究所を占拠した一団は素人や実戦経験皆無な者ばかりで、タカ達の足下などに及ばない一団であるが、数は彼等よりかなり多い。

 

「こいつは参った。30人くらいと思ったが、300人か1000人もいそうだ」

 

「三個大隊が相手か、弾薬が底を尽きそうだな」

 

M240を撃ち続け、愚痴を漏らすマックに、ビリーは賛同する。

ブレインとポンチョは、ベランダからRPDの銃撃で遮蔽物に抑え込まれていた。

 

「クソぉ、あの機関銃なんとかならんか?!」

 

「大丈夫か、血が出てるぞ?」

 

左腕から血を流しているブレインにポンチョは伝える。

 

「ケッ、拭いてる暇なんかねぇーよ」

 

「あいつの機関銃の銃身が焼けたら、手榴弾をくれてやろう」

 

「そうだな」

 

2人がそう決めた後、何名かが向かってきたが、あっさり返り討ちに遭う。

ベランダに居る機関銃手達は、2人を血眼になって探すが、全く見つけられない。

味方の悲鳴が聞こえてくるだけだ。

 

『ウヘッ!』

 

『オワァッ!』

 

『敵はそこ、そこぉ!アァ~!』

 

「ど、何処に居るんだァー!」

 

恐慌状態に陥るヤクザ達は、あろう事か味方に向けて機関銃を撃ち始める。

 

「止めろー!味方だ!」

 

そのまま動く物全てに撃ち始め、中毒者とヤクザは混乱状態になる。

 

「あいつ等、トチ狂って味方を撃ち始めたぞ」

 

「ろくな連中じゃないな」

 

機関銃手の死角に入ったブレインにポンチョは、味方に撃たれる中毒者やヤクザ達を見て笑いながら、M26破片手榴弾のピンを抜いてベランダに投げ込んだ。

弾薬箱にでも破片が当たったのか、破片手榴弾ではない爆発力を起こし、死体が落ちてきた。

 

「大当たりだ!」

 

落ちてきた死体を見て、ブレインは笑みを浮かべる。

一方、ジョージとダッチを追って本棟に入ったタカ、ミキ、希の3人。

廊下には、専攻した2人に立ち向かっていったヤクザと中毒者、不法滞在者の死体が転がっていた。

希の顔が少し不安になるが、タカがフォローする。

 

「心配すんな、こいつ等は襲ってこない」

 

その時、中国語や韓国語、様々な語学が聞こえてきた。

さらに所々から聞こえてくる。

 

「来たな・・・取りこぼしか・・・?」

 

FMCを構えたタカが行った後、部屋という部屋から56式などを持った不法滞在者や入国者達が飛び出してきた。

直ぐに手短な一人の中国人を射殺、ミキもステアーAUGで後ろから迫ってきた中毒者を射殺する。

向かってくる中毒者や不法移住者を希もMP5kで仕留めていく。

 

「室内戦ならこいつの番だな!」

 

背中に下げていたスパス15を取り出し、叫びながら突っ込んでくるヤクザや中毒者達に向けてフルオートで撃つ。

 

「死ねや!アバベッ!」

 

「腕が!俺の腕が!」

 

「いてぇよ~、母ちゃん・・・」

 

「食われれてる!俺の身体が食われてる!!」

 

弾倉の中身が切れた瞬間、人体のパーツがそこら中に転がり、腕や脚を失った者が悶絶し、中毒者は幻覚を見て錯乱状態になっている。

まだ襲ってくる中毒者が居たが、タカが取り出したコルトガバメントシーキャンプカスタムやミキが取り出したベレッタM84でトドメを刺される。

 

「う、ウェ~」

 

余りにも刺激の強い光景であった為に、希は床に向かって嘔吐した。

ミキが嘔吐する彼女の背中をさすりながら、やらかした張本人であるタカは頭をさすりながら困った表情をしていた。

もちろん襲ってきた連中は死体となっている。

丁度その時、ジョージとダッチが階段から下りてきた。

隠れていた不法滞在者達が彼等を襲い掛かったが、あっさりと返り討ちにされ、最後の一人がダッチに、身体をボウガンの矢で突き刺され、壁に突き刺さったまま死亡する。

 

「そこに立ってろ」

 

笑顔で言った後、タカ達と合流、ジョージはSA58を下げて、タカ達に問う。

 

「お前等、生きてたか?!」

 

「生きてますよ!外は激戦です!」

 

「その分だと、外はドンパチ賑やかだな。本棟の一階から最上階まで鎮圧した。後は地下だけだ、そこから蟻みたいに沸いてきやがる」

 

地下へと続く階段を指差しながらダッチは、タカ達に告げた。

直ぐに彼等は地下へと続く階段へと向かうが、行く手を阻むかのように民間用銃器や猟銃を持った一団が襲ってきた。

 

「ほうら、来た!」

 

ジョージはSA58をフルオートに切り替えて向かってきた一団に発砲、タカもスパス15の再装填を素早く終え、引き金を引く。

ミキと希もフルオートで発砲し、ダッチはAK107の銃身に装着されたGP25に専用の擲弾を装填し、躊躇いもなく発射した。

人が発するとは思えない声を上げて襲ってきた一団は全滅し、タカ達は地下へと続く階段へと向かった。

 

「敵兵は居ないようだが・・・」

 

ダッチは地下を見回しながら口を開き、それにジョージが答える。

 

「馬鹿共やジャンキー、不法滞在者や入国者の間違いだろう。そこら中から声がするぞ、二手に分かれよう。お前等は左を、俺とダッチは右に行く」

 

左をタカ、ミキ、希が向かい、右をジョージとダッチが担当する。

地下からでも銃声が聞こえ、外は未だに戦闘中と分かる。

 

「結構、不気味な所ね。ここで銃撃戦をやってないのに血痕が残ってる・・・研究所の職員の血だわ・・・」

 

ミキの発言で希が不安になるが、言った本人が謝った後、警戒しながら先を進む。

至る所血だらけで、空薬莢も落ちており、誰のかすら分からない指まで落ちている。

銃声が近い距離から聞こえてきた為に、遮蔽物になる壁に隠れ、聞こえてきた方角に銃を構えながら警戒する。

 

「ダッチとジョージさんの銃だ。出会い頭に遭遇したと思う」

 

タカがミキと希に告げた後、銃声が連発してくる。

気にせず前進する中、死んだ生き物が発する臭いがする。

 

「死体が発する臭いだな。近くに死体でも置いてあるかもな」

 

死体の臭いを察知したタカは、臭いがする方へと向かっていった。

そこには悪臭を放つ死体が山積みにされていた。

 

「うっ、何よこれ・・・!?」

 

「希、お前は外を警戒しておけ。急用以外こっちに来るな!」

 

通路で警戒する希にタカはそう伝えた。

積み上げられた死体の服装から、ここの研究者や職員の者と思われる。

女性の死体は全裸にされており、男の体液が裸体に付着している。

これを見たミキは、怒りを感じた。

 

「惨いことを・・・!」

 

部屋を後にした後、韓国語が聞こえてきた。

在日朝鮮人・韓国人の者だろう。

 

「タカさん達、敵兵が来ますが・・・?」

 

「殺して構わん」

 

「あ、はい」

 

希は、部屋越しからタカの返答を聞いた後、MP5kの弾倉を新しい弾倉に差し替え、声がする方に構える。

 

『向こうで声がしたぞ』

 

『日本語だ、まだ生きている日本人が居たか』

 

足音と声が大きいが為に、人数は2名と把握できた。

ドットサイトを覗いて、まだこちらに気付かない在日朝鮮人に狙いを定め、引き金を引いて発砲する。

 

『敵が、ア!?』

 

連続で2名を仕留めた希は息継ぎをした後、部屋にいるタカとミキに告げる。

 

「仕留めました」

 

「よし、俺達は別ルートを行こう。最悪なことに通信は出来ないが、ダッチさん達の先回りだ」

 

部屋を出た2人の後を、希はついていった。

まだ銃声は室内に響いているが、タカ達はヤクザや薬物中毒者、不法滞在・入国外国人にも遭遇していない。

地下駐車場に着いた彼等は、鉄製の吊り橋の上から見えるどんでもない物を目撃した。

 

「なんだこりゃあ?JS-3や2にKV-1、T34までありあがる」

 

駐車場にはWWⅡソ連時代の重戦車ISシリーズやKVシリーズ、代表的なT34/85、対空用のZSU-37対空自走砲、ZSU-57-2対空自走砲、第一世代のT-55まである。

さらに89式自走多連装ロケット・システム、VCTP歩兵戦闘車、SU-122-54駆逐戦車まであった。

 

「戦争でも始める気ね」

 

ミキが言った後、一同は先へと進んだ。

道中、アラビア語が聞こえ、タカはミキと希にハンドサインで「銃を撃たず、配置に着き、合図を待て」よ伝えた。

ドアに近付き、話を盗み聞きする。

 

『あの女共は我が友であるアバムを殺した挙げ句、我々まで殺すつもりだ』

 

『アマ共めぇ、今すぐここに集めた兵力で一気に・・・!』

 

『もう無理だ、奴らの刺客がきている。それに連中は強すぎる、しかもたった11人だぞ!訓練を受けてない現地兵ではとても歯が立たん!』

 

『戦力を出し惜しんでいる場合か!直ぐに機甲部隊を投入して、奴らを片付けろ!音でやって来た死者も全滅できる!』

 

『馬鹿者!それでは戦乙女の名を語る雌豚共にバレてしまうぞ!』

 

『恥だが、あの機甲部隊と乗員を地下列車に載せて退避させろ。日本人、中国人、朝鮮人、東アジア人の者達はここに残し、我々は次なる計画のために希望を載せた列車と共に退避する』

 

『いや、玉砕だ!かつてこの地の人間は国のために自らの命を犠牲にしてまで国を守った!今はアメリカの帝国主義者に寄って、腰抜けばかりしか居ないがな!我々も彼等に習おうではないか!』

 

『無謀だ!あれは追い詰められたこと!我々は解放される為に無駄死にするわけにはいかない!』

 

部屋から聞こえてくる口論をタカは聴きながら、「鎮圧する」とハンドサインで送り、ミキと希が配置に着く。

希がドアノブを握った後、タカはM84スタングレネードのピンを抜き、投げる準備をする。

またハンドサインで「声からして7人居る」と伝えた後、希にドアを開けるように命じた。

 

『なんだ?』

 

アラビア語で警備兵がドアに近付いてくる。

この男がドアに近付いた瞬間、ドアが開き、閃光手榴弾が部屋に投げ込まれ、凄まじい光と音が部屋中に響き渡り、居た者は視覚と聴覚が麻痺する。

 

『ウワァ!なんだ!?』

 

混乱状態に陥った中東系将兵達は、まともな反撃が出来ず、突入してきたタカ達に一方的に射殺されていく。

この部屋で響き渡る銃声が止めば、タカとミキ、希しか居なかった。

まだ息のある中東兵が、ミキの足を握ろうとしたが、ベレッタM84で射殺された後、唾を吐きかけられる。

一方のジョージとダッチは、ロシアの輸送ヘリMi-9で脱出しようとするアラビア系兵士達を見つけた。

 

「ロケットランチャーはあるのか!?」

 

「ここに付いてる!」

 

ジョージに聞かれたダッチは、AK107に付いているGP25を指差しながら狙いをコクピットに付け、撃ち込んだ。

コクピットに擲弾が命中したMi-9は床に墜落し、爆発した。

タカ達は直ぐに地下の脱出用列車に向かったが、既に逃げられた後であり、後ろの貨車を見れば、先程駐車場で見た戦闘車両が載せられていた。

研究所内の敵兵力の残りは、脱出用の列車で撤退され、取り残された兵力は全て、タカ達に寄って全滅させられた。

 

「研究所を制圧!」

 

地下から出てきたダッチが、無線兵であるリックに伝えた。

彼の後ろに居たジョージは、研究所内で回収したと思われる書類やアタッシュケースを持っていたが、怪しむ者は、ダッチ一人だけ。

タカ達も出てきた後、指揮官であるジョージに地下の駐車場で見た機甲車両のことを知らせたのであった。


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