研究所内を完全に鎮圧したタカ達ことブラボーチームであったが、戦闘の影響でゾンビが集まってきた。
「2時方向からゾンビの団体さんが来ております。やりますか?」
「いや、弾の無駄だ。リック、迎えのヘリを要請しろ!」
ポンチョのゾンビ接近の報告を聞いた後、ダッチはリックに命じた。
「
受話器を取りながらリックは、ブレインに負傷者の数を問う。
「いや、こんなの掠り傷だ。どうってことはねぇ」
「負傷者は無し。予想だにしない敵兵力との交戦の為に、弾薬が不足している。迎えの“車”を要求する、オーバー」
その間、ダッチはジョージが持っている書類とアタッシュケースを何なのかを問い詰める。
「その書類とアタッシュケースの中身は何だ?」
聞かれたジョージは、若干額に汗を流しながら目を泳がす。
「あぁ、これは俺の会社の書類と大事な物だ。ここを占拠した連中はこいつで会社に金を要求しようとしていたのさ」
アタッシュケースを叩きながら答える。
それに対しダッチは睨みを効かせ、ジョージの胸ぐらを掴んだ。
「この嘘吐きめぇッ!マフィアだか研究所だのみんな俺達を引っ張り出す口実か!ホントのことを話せッ!」
「あぁ!分かった、分かった!離してくれ!」
下ろされたジョージは本当のことをダッチに話した。
「この任務はこの書類とこいつの回収だ。俺とあの日本人、淫乱女と韓国人でやるハズだったが、衛星写真に写った敵の戦力が多かったんだ!俺達だけじゃ無理だったんだよ!ここの所長は俺の後輩だったんだ・・・仇は取れた。それに任務は成功だ」
「だから俺達を引っ張り出したのか・・・で、アルファチームの連中は?」
来なかったアルファチームのことを聞かれたジョージは、それにも答える。
「連中はそこらでゾンビ狩りをしている。まだ銃声と爆音が聞こえるから、おそらくまだ掃討中だろう。向こうの小さい山で落ち合う予定だ・・・」
ダッチの視点から右を指差すジョージ。
彼がそちらの方向に視線を向ければ、小山があった。
「あれは演技だったのか(それにしても上手かったな)。では、予定を変更してここに下ろせ」
「そいつは無理な相談だ。もうじき日本国防軍の爆撃機か、護衛艦のミサイルで研究所は吹き飛ぶ。あの報告が合図だ、早く回収地点に向かえ」
真相を聞いたダッチは、無線手のリックの隣にヘリはどうなのかを問う。
「ヘリは回収に来るのか?」
「いえ、ここから11時の所にあるあの小山で回収すると言ってます」
「そうか。では全員直ぐに出発だ、ここにもうじき爆弾かミサイルが来る」
タカ達は「どうしてわかるんだ?」と互いに顔を合わせたが、ダッチが威圧する様な表情をしていたために解体していた銃器を直ぐに組み立て、小山に向かうダッチ達の後に続いた。
「リーダーさん、どうしてそんなに急かすの?急かされるのは嫌いじゃないけど・・・」
「その綺麗な顔が吹き飛ばされたく無ければ、口を閉じてろ」
ジェイダーに質問されたダッチは、口元に指を当てて、目で彼女を威圧した。
「そ、そう。分かったわ」
目から殺気を感じ取ったのか、ジェイダーは静まり返り、先を行くダッチの後に続く。
「ケッ、やれる時間もねぇのか」
「残念だったな」
舌打ちをするリックにポンチョは笑顔で言う。
人気のない市街地を歩く中、何事もなく通過したが、小規模な森林から草むらが揺れるのをリックが見た。
全員が草むらに銃を向け、リックが確認しに向かう。
「俺が向かいます」
インベルMDを構えながら草むらへと消えていった。
入ったリックは、地面に血痕が残っていることに気付いた。
「なんだこりゃあ、ゾンビでも居るのか?」
血痕を見ながら、辺りを見渡すと、女性の微かな声が聞こえた。
「(少々時間を食っても大丈夫だろう)」
良からぬことを考えながら声が聞こえる方へと向かっていった。
向かった先には、皮を剥がされた人間の死体が木に吊されており、地面や木に返り血が飛びかかった後がある。
「なんだこりゃあ・・・イカれてんのか・・・?」
周りのスプラッターな光景を見ながら、声の正体を見つけた。
それは顔の形が整い、鮮やかな黒色の髪を持ち、スタイルも悪くない女性であった。
服は脱がされ、身に付けている物は下着だけで、木に拘束されており、怖がる表情の口元にガムテープが貼られている。
「へっへっ、こいつはいい女だぜ」
イヤらしい顔付きと目付きでズボンのチャックを外し、女性に近寄った。
その瞬間、リックの胸に刃物が出てきた。
血は女性に降りかかり、女性は涙を浮かべて失禁し始める。
「う・・・あ・・・」
そのまま力尽き、仰向けにされた後、林の方へと彼の死体は消された。
数分後には、死体の処理を終えた長い黒髪を持ち、大きなバストを持つ少女が林から出てきた。
それは超人的な身体能力を手に入れた桂言葉だ。
「ご協力ありがとうございました。濡れたままでは気持ち悪いでしょう?替えの下着を持ってきましたから暴れないでくださいね?」
女性は恐慌状態に陥っており、近付いてきた言葉が殺すのではないかと思っている。
しかし、彼女が持っているのは替えのショーツであり、刃物ではない。
「こんなに汚してしまって、まるで赤ちゃんみたいですよ」
ショーツを替えながら言葉は地面に染みる尿を見ながら笑顔で言う。
女性の下着の履き替え作業が終わると、何かを思いついたかのようにリックの死体から回収したM26破片手榴弾を束にして持ってきた。
何をしているのか分からない女性だが、ショーツに線を通して、手榴弾のピンに括り付け、隣に火薬箱をガムテープで付ける。
彼女はブービートラップを仕掛けているのだ。
「こんな物でしょう。もう一回付き合ってくれましたら解放しますよ。簡単です、助けてと叫べばいいのですよ」
笑顔で語る言葉の頼みを聞きながら女性は、尻に妙な感覚を感じながら瞳から涙を流しながら首を上下に動かした。
「近付いてくるのがあの外国の兵隊様な人達で無ければ、私が殺します。安心してくださいね?」
もの凄い殺気に満ちた瞳で見られた女性は、ショック死寸前に至った。
口を塞ぐガムテープを外された後、水を飲まされる。
「分かった、分かったから。これが終わったら解放してよ?」
泣きじゃくった声で告げられた言葉は、可愛らしい笑顔で答えた。
余談であるが、この女性は言葉と出会う前に避難民の列からはぐれてしまい、暴徒に襲われそうな所を言葉に助けて貰った。
もちろん超人的な身体能力を持つ言葉に寄ってである。
暴徒は無惨にも人体から皮を剥がれ、出血して力尽きた。
その異常な殺し方に恐怖し、自分も殺されると思い、暴徒に無理矢理引き千切られた衣服のまま彼女から逃走しようと試みたが、あっさりと捕まり現在に至る。
女性はこれが最後だと願って、言葉の異様な視線を感じながら力一杯助けを呼んだ。
「助けてー!」
叫ぶように助けを呼んだ女性の声は、リックの帰りを待つタカ達の耳に入った。
全員が女性の元へ向かい、周りの異様な光景に目を奪われる。
「ひでぇことしやがる・・・」
ポンチョはどす黒い気持ちになりながら銃をありとあらゆる方向に向けて警戒する。
タカとミキは口元を左手で抑え、希は吐きそうになりながらも拘束されている女性の元へと向かう。
「大丈夫ですか?」
MP5kA4を血で赤く染まった地面に置いた後、女性の拘束を解こうとした瞬間、木の後ろに手榴弾と火薬箱を見たマックが声を上げた。
「止めろ!そいつはブービートラップだぁ!!」
「え・・・?」
気付かずに女性を立たせてしまった希、女性のショーツに通された線が手榴弾のピンを抜いた。
爆発した手榴弾の破片は隣に巻き付けてあった火薬箱に引火、火薬が爆発、木の根本が折れて倒れる。
近くに居た希はビリーに引っ張られて助かったが、拘束されていた女性は、吹き飛んでおり、内蔵が希の身体に飛びかかっており、彼女は恐慌状態に陥った。
「ああ、ああああああ!怖いよ!!」
自分の身体に付いた女性の内蔵を振り払った希は失禁した。
ジェイダーが希の隣に寄り添い、抱きしめる。
「な、なんてことを・・・!」
「イカれてる・・・完全にイカれてやがる・・・!」
ミキが口を抑えながら言った後、タカが付け足す。
この光景を見ていたビリーは、額に汗を流しながら口を開いた。
「俺は怖い・・・それにこんなえぐいことをしでかした奴の視線を感じる・・・!」
「止してくれ、恐れを知らぬ戦士だろ!」
若干不安な表情を浮かべながらポンチョはビリーに向かっていった。
「こんな殺し方をするのは、おそらく相当頭の逝ってる奴だ」
銃に掛かった血を拭きながらダッチが口を開く。
そしてマックとブレインが、リックの死体を発見したと報告する。
「リックの奴の死体を見つけました。でも、相当えぐく殺されてました」
「何というかその・・・皮を剥がされて元の姿が想像できません・・・」
「ゲリラだ!特殊訓練を受けたゲリラだ!!」
マックとブレインの報告を聞いていたジョージは、叫ぶようにダッチに言った。
これを聞いたダッチは、冷静に返す。
「ゲリラか暴徒なら、武器を回収していく。それなのにここに落ちている武器は拾わない・・・」
この言葉にジョージ以外は納得、タカ達はリックの
一方のアルファチームは、ゾンビの掃討を終えた後、航空自衛隊の飛行一個中隊によって爆撃される研究所を見ながらタカ達と同じ回収地点へと向かっていた。
道中、ワルキューレの機甲部隊と遭遇、リーダー格の男はマヌケにも声を掛けた。
「嬢ちゃん達、何処へ行くのかな?」
M4シャーマン中戦車の戦後型、M51スーパー・シャーマン戦車のキューポラから上半身を出す片眼鏡のショートヘアーの女性に声を掛けた。
チームの一員であるサリーが、リーダー格の男に近付いたほんの数秒後に、アルファチームは機甲部隊の機銃掃射を喰らい、全滅した。
その後、機甲部隊は転移してきたWWⅡのドイツ軍の方へと前進していった。
ワルキューレの機甲部隊は、M50/M51スーパー・シャーマン戦車にセンチュリオン中戦車、
歩兵戦車ヴァレンタイン、ブラック・プリンス歩兵戦車、シャーマン・ファイアフライ中戦車、M5A1ハーフトラック、ユニヴァーサル・キャリア、ダイムラー装甲車、M10C 17ポンド対戦車自走砲など。
歩兵の装備は、WWⅡのイギリス陸軍の装備です。
砲兵隊もいるよ。