所変わって、日本国本州に降下した大韓民国陸軍所属の空挺部隊。
「なんだこりゃあ、チョッパリとウエノムが一匹もいねぇーぞ!」
迷彩色のジャンプスーツを身に付け、迷彩色のヘルメットを被った空挺兵が、K2アサルトライフルを周囲に向けながら残念そうに叫ぶ。
他の空挺兵達も周囲に銃器を向け、警戒したが、周囲に敵兵も居ないために手に持つ小銃や機関銃を下ろす。
「折角日本人をぶち殺すチャンスだったのに。こうなれば第2軍と本土に残ってればよかった」
「そう焦るな、民間人を片っ端からぶち殺せば良い。それに国には海兵隊二個師団が残っているからな。安心しても良いんだぞ?」
悔しがる空挺兵に別の空挺兵が助言するかのように言う。
「元士殿!日本兵は何処でありますか?!」
「知らん!おかしい・・・ここらで日本軍の部隊が展開してるはずだが・・・」
新兵に聞かれた下士官は、予想していたことは違う出来事に、地図を見ながら頭を悩ます。
その後、全隊員が降下したのを確認した将校が招集を掛ける。
「大隊集合!これより、我が軍が上陸してくる沿岸地区の制圧に掛かる!進撃路は他の部隊が担当する!耳に入れた我が隊の者は早く来い!置いていくぞ!」
大隊長は充分に集合しきれて無いにも関わらず、沿岸の方へと向かっていった。
後を追うように所属であろう兵士達が追い着こうとする。
何故韓国軍が侵攻してきたのか?
理由は指揮系統の麻痺、生存権の確保、デマなどの様々な憶測であろう。
奴ら発生の際に大韓民国は、政府組織が壊滅状態に陥っており、軍の指揮系統も混乱。
ついには「日本に歩く死者が居ない」と言う嘘まで信じ切ってしまい、現在に至る。
韓国軍の大多数の戦力が日本侵攻に費やされており、国土を守る戦力は僅かながら残っている。
長年に渡る反日教育の所為か、反対する者は奴らの餌食になった為か、遂に侵略という決断をしてしまった。
もちろん韓国だけではない、今も睨み合いが続く朝鮮民主主義人民共和国や、資源が眠る諸島を巡って日本と争う中華人民共和国も、本来奴らに向けるはずの戦力を日本へと矛先を向けたのだ。
当然のことながら日本は宣戦布告など受けてなどいない。
首都の東京は既に放置されており、通告を受ける者などその場には居なかった。
海上自衛隊やアメリカ海軍の核ミサイル迎撃命令を無視したのもこの事であろう。
しかし、この反日国家同盟は、戦力を温存している自衛隊やワルキューレの存在や、ましてや奴らの存在など頭には無いのだ。
こうして反日同盟国家は破滅の道へと進む。
一方言葉は、上空で起きた核爆発や韓国軍の侵攻に、困惑していた。
「(上空でキノコ雲が上がった後に、韓国の軍隊の侵攻とは・・・元々ネットで見た時はまさかここまでだとは・・・)」
核爆発の影響で使い物にならなくなった携帯を見ながら、言葉は頭を抱えて悩む。
落下傘が降下した地点を双眼鏡で侵略者の数を確認した後、地図を広げる。
「(さ~て、何処で身を隠しましょうか。幾ら強くなった私でも、流石に軍隊を相手には出来ませんし)」
軽食を取りながら、深く考え込む言葉。
「(それに韓国だけ無いとすると、あの北朝鮮や中国も攻めてくると考えると・・・生き残れる自信がありませんね)」
彼女が考え込んでいる間に韓国陸軍や北朝鮮人民解放軍が本州に上陸、続いて中国地方にも中国人民解放軍が上陸した。
至る所に爆撃した後、工兵隊が建設した即席滑走路に着陸する。
この無駄と思える爆撃はしっかりとタカ達の耳に入っていた。
「本格的な上陸が始まったようだな」
「これからここの土地の者は泣きを見るだろう・・・」
ダッチが言った後、ビリーが付け足す。
タカと光稀は負傷したポンチョを担ぎながら見ていた。
そして後衛を希とジェイダーに任せ、彼等は四国へ歩みを始める。
「あの侵略者達はどうなんだろうな」
「さぁ、戦乙女達が片付けてくれるんじゃない」
「だろうな」
ポンチョを担ぎながら語るタカと光稀、彼等が居る地帯にも侵略軍が迫る。
その証拠に木を薙ぎ倒す音が耳に入ってくる。
ロケット攻撃か、ミサイル攻撃でも行っているのだろう。
巻き込まれないために足を速める。
「なぁ、ちょっと聞くが」
抱えられていたポンチョがタカに喋り掛ける。
「なんですか?」
「こういう時に自衛隊ってのは動かないのか?」
「もちろん動きますとも。でも本州には自衛隊そのものが居ないみたいで、空自のF-4やF-15Jが一機も飛んでおりません」
タカの答えに上を向いた後、古今東西の航空機が飛び回っているのが見える。
数時間もすれば、戦車も来るだろう。
そう思った後、息遣いする。
「はぁ、はぁ、足の感覚が段々薄れてる・・・」
「壊死してるかもしれない・・・ジェイダーさん、どうすれば?」
光稀は後衛を担当するジェイダーに治療法を聞いた。
「何処かで止まって血を流さないと・・・」
「駄目だ。病院へ行こうにも電磁パルスの所為で電子機器はおじゃんだ、それに空挺部隊も相手にせねばならん」
ジェイダーの考案をあっさりと否定したダッチ。
暫くして森を出たタカ達は一時期、死角から襲われるという恐怖から解放された。
だが、言葉は例え状況がどう変化しようが、獲物は逃さない。
「フフフフ・・・逃がしませんよ・・・!」
ひたすら四国を目指すタカ達を見ながら、言葉は不気味に微笑んだ。
その視線を希は感じ取る。
「(なんだろう・・・この視線・・・?誰かに見られてる気が・・・?)」
後ろを振り向き、惨劇があった森を見た。
また失禁してしまうのは恥ずかしいので直ぐにタカ達の元へと向かう。
そしてタカ達にまた、恐怖が襲い掛かるのである。
民家や廃工場から先程降下した空挺兵達がタカ達を捕らえた。
「日本軍でしょうか?白人や黒人も居ますが・・・」
「構わん、白人だろうと黒人だろうと日本に味方する者は皆敵だ。殺せ」
「了解であります!」
手に持つ小銃や機関銃の安全装置を外した後、タカ達に襲い掛かるのであった。
次は防人陣が能力を使います。
Zbvの出番はどうしようか・・・?