学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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ご都合主義的な物が完成~


開発に成功!

孝に教えられたルリはパッキー達を見つけて、そこへと向かう。

向かった先には人集りが出来ており、高城邸で共に戦った四人の男の一人エドワード・リヒトーフェンが何かの飴が入った瓶を抱えて自慢げにこの飴の事を語っていた。

 

「この飴を食べれば、面倒な語学を一々勉強せずに済む!あっと言う間にこの世にある言葉を理解できるぞぉ~!」

 

「麻薬じゃないだろうな?」

 

全員が疑いの目を向ける中、リヒトーフェンは、偶然人集りの中に居た金髪眼鏡のフランス人の少女ペリーヌ・クロステルマンに目を付けた。

 

「そこのお嬢さん。この飴は如何ですかな?」

 

流暢なフランス語で喋り掛けられたペリーヌは、周囲を見渡し自分だと気付く。

 

「え、私ですか?ですがその怪しい飴はお断りしますわ」

 

「なんか苦そう~」

 

ペリーヌに続いて隣にいるイタリア人の少女フランチェスカ・ルッキーニも、嫌そうな目で飴を見る。

 

「これを食べれば、面倒臭い語学の勉強なんかしなくても聞けば分かるし、話せば通じる飴なんだよ!」

 

必死に飴を食わそうとするリヒトーフェンに対し、見ていた全員が呆れて離れていき、落ち込む。

そんな彼であったが、彼の隣にありすが居ることに気付き、飴を初心な少女に渡した。

 

「いるかい?」

 

「うん、ありすが貰ってあげる」

 

ジークを抱えながらありすは飴を口に含んだ。

何の異変も無いまま彼女はそのまま去っていったが、アッシュとコワルスキーの会話を聞いたありすはリヒトーフェンに戻ってきた。

 

「ありすあの人達の言葉分かるよ!」

 

「なに!?皆の衆、開発は成功だ!全員食べろ!一々言葉を換えずに済むぞ!」

 

リヒトーフェンが大声で叫んだ後、枢軸国の兵士達や少女達が彼の前に殺到した。

 

「安心しろ!全員分のはある!押すな押すな!」

 

これを見ていたルリも飴を取り、口に入れた。

食べた瞬間、押し圧せる枢軸国の兵士達の言葉が手に取るように理解できた。

先程嫌がってたペリーヌとで飴を口に入れて、食べていた。

 

「本当に彼等が喋ってる言葉が分かりますわ・・・」

 

飴を食べた瞬間、ペリーヌは今まで分からなかった言葉が理解できる事に驚いている。

様子を見に来た孝達にも飴が渡され、半強制的に食わされた。

飴は全員分の数が足り、二人分が余った。

新しい着替えを探そうと、ルリは二階へ再び足を運び、被服専用販売エリアに向かう。

気に入った服を見つけたので、それを持って一階に戻ろうと階段まで向かう途中、ニット帽を被った男とぶつかった。

 

「いってなぁ!気を付けろ!」

 

男に睨み付けられたルリは、無言で謝った後、鞠川とありすが寝息を立てながら寝ていたが、無視してセルベリアが何かを組み立てている場所を通り過ぎる。

興味本意でタンクトップを着た彼女に話し掛けた。

 

「なにしてるんですか?」

 

集中していたセルベリアがルリの存在に気付き、自動拳銃P229を後ろから近付いてきた美少女の額に突き付ける。

 

「ッ!?済まない」

 

謝った後、拳銃をガンホルスターに仕舞い、作業に戻った。

蛇に睨まれたカエルの様な状態になったルリは、ガタガタと震え、床に尻餅を着く。

立ち上がり、農具用の販売店に向かい鎌を調達、そして銃器など保管してある場所を日本兵に聞き出し、そこへ向かう。

保管庫代わりにされている倉庫に向かうと、様々な小火器が保管されている。

当然ながらここにも先客がおり、自分の恋人といえる愛銃を整備していた。

その中から自分の武器を探し、ようやくアサルトカービンライフルSG553を見つけた。

ついでにスチェッキンAPBとグロック17二挺の自動拳銃を貰っておく。

机で銃の整備を行っているバルクマンの隣に座り、プラスチックのマガジンに弾丸を入れ始める。

5.6mm×45弾をマガジン内に入れていく中、ルリは隣から目線を感じ取る。

一方の隣で座るバルクホルンは、顔を赤らめながら、ルリの机に置かれている突撃銃について話し掛ける。

 

「あ~うん。その自動小銃は何だ?えらく近未来的だが・・・」

 

咳払いをしながら話し掛けたバルクホルンに、ルリは一度弾倉にライフル弾を入れるのを止めて返答する。

 

「え、これ?マリが僕の為に買ってくれたライフルだよ」

 

「そ、そうか。私達が使うボルトアクションや自動小銃、騎兵銃とは違うのだな」

 

机の上に置かれていた5.6mm×45弾を手に取って、物珍しそうに見た。

この世界の銃に興味があるためか、赤い顔がいつの間にか治まっている。

その時、後ろからジャンバーを羽織った長身でグラマラスな少女シャーロット・E・イェーガーが向かってきた。

 

「よう、バルクホルン。隣にいるのは新しい妹か?」

 

「ち、違うぞイェーガー大尉!彼女は客人の中の一人だ!」

 

知り合いらしかった為に、ルリはシャーロットに話し掛けた。

 

「あの~誰です?」

 

「お、自己紹介がまだだったな。私はシャーロット・E・イェーガー、機械いじり好きだ。よろしく」

 

ルリに挨拶をした後、バルクホルンに気付いたシャーロットは、彼女に変わって勝手に自己紹介し始める。

 

「隣に座ってるのがゲルトルート・バルクホルンだ。いつも妹のことと宮藤のことを心配してる」

 

「なッ!?コラッ!」

 

図星だったのか、シャーロットに突っ掛かるバルクホルン。

全ての弾丸がマガジン内に収まった後、それを肩鞄に全て入れ込み、武器庫から出ようとしたが、シャーロットに止められる。

 

「待ちなよ。これ、君の?」

 

トランクを渡されたルリはそれを受け取って中身を見てみれば、スターリングMk7短機関銃と専用弾倉十八本が入っていた。

 

「ステン・ガンの魔改造みたいな機関銃だな?」

 

ルリが持つスターリングMk7を見ながら、バルクホルンが言った後、シャーロットもそれに納得する。

そして忘れていたのか、彼女に名前を問う。

 

「あ、名前聞くの忘れてた。取り敢えず名前は?」

 

「僕はルリだよ」

 

「外見と同じく可愛らしい名前だな。まぁ、宜しく!」

 

シャーロットはルリの肩を叩いた後、武器庫に入った。

ルリは彼女とは逆に武器庫を出て、冴子かバウアーを探そうとモール内を探検する。

暫く歩いていると、ルリの上に事故で乗り掛かった婦警と偶然にも鉢合わせた。

 

「あっ!先程は失礼しました!床主東署交通課、中岡あさみ巡査です!気軽にあさみとお呼び下さい!」

 

自分より6㎝下の少女の前で自己紹介を始め、敬礼するあさみ。

ルリも敬礼して自分の名前を告げる。

 

「僕はルリです。え~と軍隊の階級的には親衛隊二等兵かな?それとも伍長かな?」

 

顎に人差し指を当てながら悩むルリに、眼鏡と坊主頭で首にアクセサリーにヘッドフォンを掛けた男が、物珍しそうに二人を見ている。

直ぐにルリはその男の名を訪ねた。

 

「あ、そこの人。名前は?」

 

「え、俺?田丸ヒロだけど。所で嬢ちゃんよ、そのトランクに入ってるのはなんだい?」

 

田丸が指を差したトランクに、ルリは中身を見せた。

 

「サブマシンガンじゃねぇか。こいつはステン・ガンの進化形かな?」

 

じっくりとスターリングMk7を見ながら、冷静に解説を始める。

そしてルリの腰に差してあるP232とスチェッキンAPB、グロック17に目が入る。

 

「おっ、映画では美女の御用達であるP232にグロック17、ロシア製のマシンピストルスチェッキンのサプレッサーモデルAPBじゃないか!俺は拳銃には目がないんだ」

 

目を輝かせる田丸は、ずっとルリの腰に刺さってある三挺の拳銃に注目していた。

第四者から見れば、少女の腰を見ている変質者そのものなのだが。

 

「あの・・・その拳銃本物なんだよな?」

 

「はい、そうですけど」

 

「ちょっとだけ触っても、OKかな?」

 

近くで話を聞いていたあさみは直ぐに田丸を止めようとする。

 

「ふぇっ!?ちょっと、何言ってるんですか田丸さん!危ないですよ、それにルリちゃんも!」

 

「いや~ハンドガンマニアとして目の前で本物を見せられたりするとじっとしてられないんですよ。それにこのご時世に本物なんて拝める機会なんて滅多に来ないんだぜ?多めに見てくれよ婦警さん!」

 

田丸の熱弁にあさみは涙目になりながら悔しがっていた。

ルリは素直に拳銃三挺を田丸に渡した。

 

「流石は嬢ちゃんだ!いや~前に来た奴らは頼んでも全く見せて貰えず、酷い場合には拳が飛んできたからな~」

 

大喜びしながら田丸は、マイヤー達の悪口を言う。

 

「なぁ、他にもあんのか?」

 

「う~ん、分かんないよ」

 

「そうか・・・仕方ないから軍オタの坊主に聞くか。にしても羨ましいね。少し近寄り難い奴が多いが、銃で完全武装な上に、ルリちゃんの様に可愛く、エロイ姉ちゃんも居て。じゃあな~」

 

残念な返答があった田丸は拳銃をルリに返し、その場を去っていった。

返された拳銃を抱えたルリは、あさみにグロック17と弾倉数本を渡す。

 

「あさみお姉ちゃんは婦警だからこれね」

 

「えっ?あさみ、自動拳銃なんて持ったこと無いよ~」

 

「一応持っていた方が良いよ。お巡りさんの拳銃より使いやすいし」

 

そしてあさみは泣く泣くグロック17と弾倉数本をルリから受け取る。

突然鞠川の悲鳴が聞こえ、ルリはあさみと共に現場へ向かう。

そこには先程ルリがぶつかったニット帽の男が、鞠川にナイフを突き立てていた。

現場には孝、麗、沙耶、コータ、冴子、ありすが来ており、あさみは貰ったグロック17の安全装置を外さす、人質を取る男に向けている。

 

「クソッ、もう少しだって所を!」

 

悔しがる男の言葉が終わった後に、赤髪の女性ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケがH&KP7の安全装置を外し、男に構えた。

 

「直ぐにその人を離しなさい!さもなくば射殺します!」

 

「撃ってみやがれ!この女に当たっても知らねぇぞ!?」

 

男はドスの効いた声でミーナに告げる。

他にも悲鳴を聞き付けた者達が集まって来て、男の立場がさらに悪化する。

 

「近付くんじゃねぇ!」

 

「す、直ぐに離しなさい!撃っちゃうぞ!?」

 

一切の震えを見せないミーナに対し、あさみは震えながら拳銃を構えていた。

 

「ケッ、臆病者の婦警さんはそこらで指をくわえて見てな!」

 

あさみに対して強く出る男であったが、後ろから来た少女エーリカ・ハルトマンに足下を崩され、鞠川を離し転倒、迫ってきたコータに拳銃を突き付けられる。

 

「な、何様のつもりだ!?このデブが!」

 

「おっと、動かない方が良いよ。いつ撃鉄を引いてしまうか分からないから」

 

冷徹な言葉を告げるコータに、男はナイフを捨て、命乞いを始めた。

鞠川はルリに抱き付いている。

後からやって来た軍人達に、男は喚きながら連れて行かれる。

 

「や、やめてくれ!た、頼む・・・命だけは!」

 

泣き喚く男に、孝はミーナに問い掛ける。

 

「怯えてるように見えますが・・・一体どうなるのですか?」

 

「屋上から落とされるか、良くてもリンチされるかよ。今までは拘束して済ませてたんだけど、貴方達が来る前にやって来た連中が来てから、死者が増えたわ。問題を起こる度にああやって力で抑え付けてる、この前なんて見せしめなんてやったのよ」

 

胸糞が悪い様に語るミーナに、孝はシュタイナー達が相当危険な者達と認識した。

事態は直ぐに収拾され、モールに避難してきた一般人達はざわめき、シュタイナー達から距離を置こうとする。

そして孝達はマイヤーに頼み、許可を得た後、旅支度を始める。

 

「このまま居たら、私の家よりタチが悪いことになるわ。マイヤーさん達が止められ無くなるのも時間の問題よ。それと何人か居なくて、見ない顔が居るんだけど?」

 

一室を借りて、これからの事を語る沙耶は、今まで行動を共にしてない者が居ることに直ぐに気付いた。

その人物はルッキーニにペリーヌ、エーリカ、エイリアスの四人だ。

沙耶は直ぐにツッコム。

 

「ちょっと、あんた等何勝手に入ってきてんのよ!」

 

「だって、これから冒険にでるんでしょ?楽しそうだからついていく!」

 

「エイリアスも同感だ。花を育てようにも水が出ないから外で調達したいぞ」

 

「わ、私は別に・・・出て行ったきり帰ってこない坂本少佐と会うかもしれないという事を信じてついてきた訳ではありませんのよ・・・」

 

「ここは退屈だから暇つぶしに~」

 

周りが苦笑いをする中、新しいメンバーに溜息をつかずにはいられない沙耶、その次の瞬間である。

 

「おい、お前!どうしたのか!?しっかりしてくれ!」

 

老人の叫び声が聞こえ、直ぐさま現場に向かった。

そこには、老人が倒れた老婆を抱えて叫んでいる所であった。




ウィキなどを参考にさせて貰ってます・・・

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