学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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中村「はっ?あのデブが学黙の連載を再開するだって?おいおい、冗談は止せよ。どうせ数ヶ月先だろ」

何処かで良くボコられる中村君が、佐藤二佐殿の学園黙示録連載再開を聞いてこう思ってるに違いない。
あの宮殿の続きからです。


死を決めつけられた男

斧槍を持ち、コートを羽織った女性衛兵が警備する宮殿内に入ったスプリットとストアー、白髪が目立つ老人の執事が彼等を出迎える。

 

「報告にあったスプリット様とストアー様ですな」

 

「以下にも」

 

二人が本人と分かると、老執事は報告書に目に通して再度確認し、その後口を動かす。

 

「ただいまこの屋敷の主であるマリ・ヴァセレート様は、来訪者と共に我が国の総統閣下と夕食中でございます。それと着替えをお願い致します」

 

メイドが礼服を持ってきた後、二人はそれを受け取り、着替え室まで案内される。

その頃宮殿の外では、爆薬を抱えた平服を着たテロリストが巡回していた装甲車に突っ込み、自爆した。

 

「テロリストの攻撃だーッ!!」

 

巡回していたkar98bを構えながら兵士は存在を知らせる為に叫んだが、マンホールから飛び出してきた抵抗組織の小銃や短機関銃等を装備した構成員達が飛び出し、近くにいた兵士を射殺する。

 

「余所者が!俺達の国から出て行けー!」

 

そう叫びながら構成員達は向かってきた兵士達に向けて銃を撃ち続けた。

近くで戦闘を行っているので、宮殿内に居た者達に銃声が聞こえる。

丁度スプリットとストアーの主は、この国の総統と来訪者と共に夕食を取っている最中であった。

 

「何事だ?」

 

フォークとナイフをテーブルに置いた総統と呼ばれる高貴な礼服を着た老人は、隣に居る白い礼服を着た将官に問いかける。

 

「はっ、ロールデン愛国戦士と名乗るテロ組織とアイスバーンと呼ばれるレジスタンスの共同襲撃です」

 

「また“あの方”の気紛れの所為で禄に食事もとれない・・・直ぐに現地部隊を呼び込み、殲滅させろ。それと構成員の一人生かして捕らえ、アジトの場所を聞き出せ。また襲撃されては適わん」

 

総統の指示を受けた男は、食事室を出て行った。

残ったのはテーブルに付くナチス・ドイツ一般親衛隊黒い制服を着た若い男性が一人と値が張る高価なドレスを着た若い女性二人、年にあったドレスを着た老婆一人に老人である総統一人、青年と同じ特徴的な黒い制服を着た中年の男一人だ。

 

「ここの地区は抵抗組織が多いですね。いっそのこと絨毯爆撃で潰しましょうか」

 

老婆が怖いことを言うが、かなりのルックスを持ち、青年が異議を唱える。

 

「また街を瓦礫の山に帰るのかい?余計に抵抗主義者が増えると思うが・・・」

 

その男に便乗するように総統が口を開く。

 

「彼の言う通りですよ、ミス・マイムグレン。爆撃すれば何名かは消せますが、瓦礫が我々の目を塞ぎ、見つけ出すのが困難になります」

 

「あら?そういうことになるの。歩兵を使って一軒一軒調べるしかないわね」

 

爆音と銃声が宮殿の外から聞こえる中、彼等はどう抵抗組織を片付けるか話し合う。

外から聞こえる銃声に落ち着けない中年の男が、ワインを口に運び、気を紛らわせようとする。

金髪碧眼のかなりのスタイルを持つ美しい童顔のゲルマン系の女性は、気にせず食事を続けていた。

もう一人の童顔で181㎝の長身な金髪でエメラルドグリーンの瞳を持つ先の美女と似た顔立ちの美女は、ルガーP08を取り出し、残弾を確認している。

食事を中止している彼等に取っては、二人の金髪美人の行動が分かった。

 

「まさか奴らを殺すつもりなのかい?衛兵に任せておきなよ」

 

青年は言った後に野菜を口に含み、拳銃を取り出している美女を見る。

 

「ちょっと出て行って直ぐに片付けてくるだけから・・・」

 

エメラルドグリーンの瞳を持つ長身の女は席を立とうとしたが、先に食事を終えた金髪碧眼の美女が立ち上がる。

 

「ユリエ、あれは私にやらせなさい。丁度苛々してたところなの」

 

「へぇ~あんたが殺るの。じゃ、私はワインでも飲みながら気長に待ちますわ」

 

立ち上がったユリエと呼ばれる女は席に座り、ワイン瓶を持ち、コルクを親指だけで開けて瓶ごと飲み始めた。

金髪碧眼の美女が部屋を出ようとした瞬間、老婆が彼女を止める。

 

「マリ、庭の掃除が大変よ」

 

「あ?明日からここを離れるのよ。それにいつ来るか分からないし、それまでに綺麗になってるでしょ?」

 

納得のいく返答したマリと呼ばれるゲルマン美女は、美しい近衛兵に敬礼されながら扉を開け、食事室を出た。

直ぐに玄関を開けて外に出た後、銃声や爆音がする方向へと、ゆっくり歩きながら向かう。

一方戦況は膠着状態であった。

宮殿内に侵入したレジスタンスやテロリストの数が多く、衛兵や警備兵が圧倒されている。

衛兵達の中にはスプリットとストアーの姿もあったが、レジスタンスが持つ軽機関銃で、遮蔽物に釘付けにされている。

そこへマリが歩きながら到着し、気付いた構成員やテロリスト達が銃を彼女に向けて撃ち始める。

 

「死ね!」

 

だが、銃弾はマリを避けるかのようにそれていき、そのまま銃弾は後ろにいた衛兵や警備兵に命中する。

 

「なんだ!?弾が金髪の女を避けてるぞ!」

 

銃を撃ち続ける構成員達は、銃弾が対象を逸れると言うあり得ない現象に恐怖し、手榴弾を投げ込んだが、マリは手榴弾に驚くこともなく、それを持ち上げ、投げた本人に投げ返した。

 

「はっ・・・?アバッ!?」

 

投げた本人は返された手榴弾が爆発し、身体の上部が吹き飛んで無くなり、芝生に倒れた。

これに驚いた構成員はマリを集中砲火するが、銃弾は彼女を避けるばかりだ。

 

「く、来るな!化け物!!」

 

手に持つフランスのMgs38短機関銃をマリに向けて乱射するが、意味はない。

圧倒的な存在であるマリは、右手を拳銃の形にして、機関銃を乱射する男に向けて「バン」と、口にした。

これに対し男は、彼女の奇行に驚き、引き金から指を離す。

 

「な、なんだ・・・?」

 

その男が言葉を口にした後、男の頭部が爆発し、マリに返り血が付着する。

仲間が無惨な死を迎えたのを目撃した構成員達は、再びマリを集中砲火するも効果無し。

指鉄砲で次々とレジスタンスやテロ組織の構成員達を処分していく。

自分達が倒せない敵が出てきた為に攻撃を仕掛けた抵抗組織の構成員達は、我先へと宮殿の廷内から逃げだそうとするが、残った衛兵や警備兵、増援に殺されていき、何名かが活動拠点散策の証人の為に、生かして捕らわれる。

“害虫駆除”を終えたマリは、そのまま宮殿内に入ろうとしたが、スプリットとストアーが目の前で跪き、彼女の行く手を遮っている。

 

「なに、あんた等?」

 

マリは、二人をまるでゴミを見る目で睨み付ける。

 

「我が名はスプリットであります、報告の為にこちらへ伺った所存!」

 

「同じく、このストアーも報告の為、こちらに来訪しました!」

 

スプリットとストアーは、名乗った後、報告を始める。

 

「誠に申し訳ありませんが・・・」

 

「ルリ様を保護できませんでした・・・このストアー、一生の不覚!」

 

頭を下げながら伝えるスプリットに、ストアーが付け足し、さらに彼が続ける。

 

「しかし、ルリ様からマリ様へ伝言があります!『用事を済ませてから貴女の元へ戻る』と・・・」

 

報告したストアーは、息を呑み、スプリットが頭を上げてマリの表情を確認してみれば、乙女のように随分納得している表情だった。

この表情に安心した二人は立ち上がり、その場を去ろうとしたが、彼女が発した言葉に怒りを覚える。

 

「へぇ~そうなの。用事を済ませてから帰るの・・・あ~ぁ、八つ当たりでこいつ等の家族殺しちゃった」

 

「「なん・・・だと・・・!?」」

 

まず、一差し指を顎に付けて悩む金髪美女に襲い掛かったのは、スプリットであった。

自分の家族を単なる八つ当たりの為に殺された男の怒りは凄まじい。

 

「やはり約束は守るつもりもなく、私の家族をそんなことの為に殺したなど!断じて許さん!!」

 

己の怒りと全身全霊の技をマリにぶつけたが、軽々しく指一本で止められる。

 

「ば、馬鹿な!あれはスプリットの最強の技であるはず!何故あの女は止められるのだ!?」

 

友の最強の技が、何の変哲もない一際美しいだけの弱い女性に簡単に止められた事をストアーは驚きを隠せない。

 

「指一本で私の技を防いだだと・・・!?」

 

「私は言ったよね?必ず連れ戻してこいって。それを実行できないなんて・・・あんたもう用済みだわ・・・死ね・・・!」

 

マリはスプリットに告げた後、そのまま腕に触れている指先から謎のエネルギーを放ち、殺しに来た男の身体を爆発させた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「す、スプリットぉぉぉぉぉ!!!」

 

友の死に絶望するストアーは、こちらを振り向いたマリに拳を構え、凄まじい殺気を放ちながら近付いてくる金髪の美女に警戒する。

 

「ねぇ、そこのゴミ。楽に殺してあげるからそこでじっとしてなさいよ。大丈夫、直ぐに終わるから」

 

口を動かし、狂気染みた笑みを浮かべながら近付いてくるマリに、一か八かの勝負を挑むストアー。

常人の目では捉えられない速度でマリの左手を奪う。

 

「あら?私としたことが・・・」

 

彼女の左手をポケットに入れて、捕らえに来た兵士を数名殺害してから、宮殿から脱出する。

数秒後には、マリの左手は完全に修復し、ストアーが逃げ去った方を眺める。

 

「まぁ、どうでも良いや。どうせ誰かが勝手に殺すし」

 

気にすることもなくマリは宮殿内に戻っていった。

 

その頃病院内で二手に分かれた孝達は目当ての血漿を発見し、病院から抜け出そうとしたが、銃声と大きな物音が聞こえた為、逃げ道を奴らに封じられた。

 

「玄関口が封じられたぞ!どうする兄ちゃん?!」

 

「どうするって、別の出口を探すしかないでしょ!?」

 

玄関に殺到している奴らを見た田丸は、孝にどうするかを聞き、それを聞いた彼は直ぐにその場から三人を連れて玄関から離れる。

一方のアリシアとルリは、消音器を外したM4A1カービンとスターリングMk7を乱射しながら、強行突破で孝達の元へと向かう。

 

「M4の銃声!アリシアさん達だ!」

 

アメリカ在住経験があるコータは直ぐにアリシアとルリの存在を銃声で関知し、向かってきた奴らを撃ちながら出迎える。

 

「先程の銃声は!?」

 

「ゴメン。銃を使える歩く死者が居たから撃っちゃった!」

 

「マジかよ・・・」

 

銃を使える歩く死者と聞いた田丸は、息を呑む。

 

「これ・・・反動がきつい・・・!」

 

あさみは退路を塞ぐように現れた奴らを、慣れない手付きで奴らの頭に狙いを定めてグロック17の引き金(トリガー)を引きながら撃つ。

 

「こいつの出番だな!短機関銃と勘違いされるが、立派な自動拳銃なんだぜ!」

 

ここぞと出番ばかりに田丸は、イントラテックTEC(DC)-9Mモデルを取り出し、向かってくる奴らに向けて撃つ。

まれに頭に命中して倒れる奴らも居るが、他は足に当たって倒れたり、胴体に当たって余り効果がない。

脱出の道が開けたら、直ぐに孝達はそこへ向かう。

外からは、目と肌には生気が無く、全身血塗れの軽歩兵や戦車兵、パイロットのワルキューレの兵士達が病院内に入ってくる。

 

「う~ぅ・・・」

 

涙を浮かべるかのように目から血を流しながら来る戦乙女達、そんな彼女達は孝達に向かって手に持つ銃を撃ってきた。

 

「うわっ!?銃を持った敵が居る!」

 

コータはUMP45を、銃を撃ってくる集団に向けたが、その正体がまだ息がありそうな女性であった為に、少し躊躇う。

 

「橋を封鎖してた部隊と同じ戦闘服?だが、敵であることには変わりはない!」

 

躊躇いを捨て、生ける屍と同じような銃を撃ってくる者の頭に向けて単発で撃ち、無力化した。

孝も足に向けてイサカM37散弾銃を胸の辺りに向けて発泡、頭部に飛び散った鉄球が当たり、床に倒れる。

 

「こっちよ!早く!」

 

病院内から脱出できた孝達、「後は来た道を戻るだけ」と思った瞬間、先の兵士達と同じようなワルキューレの身体の一部が無い者、全身丸焦げの戦車兵やパイロット達が、彼等に護身用の拳銃を撃ちながら襲い掛かる。

その中には年端もいかない少女まで混じっていた。

 

「また銃を使う奴らかよ!?」

 

孝は既に死体な戦乙女達に散弾銃を撃ち、突破口を開き、その中を突っ切る。

後に続く者達は、それぞれ手に持つ銃を撃ちながら先行く孝の後へと続く。

グロック17を撃ち続けていたあさみは、引き金を引いても弾が出ないことを不審に思い、弾倉を引き抜いて確認すれば、弾倉内の9㎜パラベラム弾が切れた事に気付いた。

 

「弾倉を入れ替えないと・・・!」

 

手を振るわせ、走りながら弾丸が満載の新しい弾倉を取り出そうとした瞬間、ポケットに入れていた弾倉を全て地面に落としてしまった。

 

「ひ、拾わないと!」

 

「駄目だ、あさみさん!」

 

奴らや死人な戦乙女達が、追いかけて来ているにも関わらず、あさみは立ち止まって、弾倉を拾い始めた。

それをコータが止めようとするが、弾倉を拾うのに気を取られている彼女には聞こえていない。

 

「早く、早く拾わないと・・・!」

 

素早く弾倉を拾い上げていくあさみ、そんな彼女を孝達は掩護射撃をするのだが、別の方向から死人の戦乙女達が現れ、田丸に任せ、孝達はそちらの対処に回る。

奇跡的に全て拾い終えた彼女は立ち上がって、孝達に追いつこうとしたが、強力な腕力に引っ張られ、コンクリート製の道路に叩き付けられる。

 

「痛っ・・・!・・・っ!?」

 

痛がる彼女の目の前には、目と鼻と口から血を流している飛行帽を被った愛らしい顔の美少女が居た。

美少女の腹には割れたキャノピーのガラスの破片が無数に刺さっており、腕や脚にもガラスの破片が刺さっている。

 

「あっ!?こんな肝心な時に!」

 

あさみに近付く奴らや死人な戦乙女をTEC-9で撃ち続けていた田丸だが、彼女が襲われているピンチな時に持っている自動拳銃が弾切れを起こした。

再装填をしている暇はないと判断した田丸は、改造さすまたを持って美少女に向かう。

両腕で強く掴み、あさみを動けなくした少女は、愛らしい口を大きく開け、首に食らいつこうとしたが、田丸の改造さすまたで吹き飛ばされる。

直ぐに田丸はあさみの自動拳銃を取って空の弾倉を外し、新しい弾倉を装填。

再びこちらに向かってきた血塗れな美少女の頭に撃ち、無力化する。

 

「大丈夫かい、婦警さん」

 

「あっ、申し訳ございません!本来市民を守るはずの警察官がこんな失態を・・・!」

 

手を伸ばした田丸に、あさみは飛び上がり、こんな時にも関わらず田丸に頭を下げて謝っている。

孝は信号弾を持つアリシアに、モールに居るマイヤー達に助けを呼ぶ為、信号弾を撃つよう指示した。

 

「アリシアさん、信号弾を!」

 

「えぇ!分かったわ!」

 

アリシアは信号弾の入ったワルサーカンプピストルを取り出し、空に向けて撃とうとしたが、信号銃を持つ右手首に穴が開き、カンプピストルを落とす。

 

「キャッ・・・!」

 

「ッ!何処から!?」

 

コータはこれを狙撃と判断し、周囲を見渡すが、見つからない。

道路に落ちたカンプピストルを取ろうとしたアリシアだが、再び狙撃が行われ、カンプピストルに命中し装填されていた信号弾が爆発、モールからの望みは絶たれた。

 

「ウワァァァァァァ!!」

 

唖然していたあさみの後ろから、まだ成人していない全身血塗れの戦車兵やパイロットを合わせた四人が襲い掛かった。

これに気付いた田丸は直ぐにあさみを孝達の方へ突き飛ばし、彼女の変わりに噛まれた。

 

「グワァァァァァ!!いてぇ・・・!」

 

一気に四人に噛まれ、激しい激痛が体中を駆け回る。

田丸に取り付いた血塗れの戦乙女を振り解こうと、銃を向ける孝達だが、外れれば田丸に銃弾が当たってしまう。

ルリがスコップを取り出して、田丸に食らい付いていた少女の戦車兵やパイロット達を引き剥がす。

 

「あ、ありがとう・・・嬢ちゃん・・・」

 

「早くここから離れましょう!平野、手伝ってくれ!」

 

重傷を負った田丸を孝とコータが担ぎながらモールの方向へと向かう。

残りのあさみと速攻で右手を応急処置したアリシア、ルリは重傷者を担ぐ二人の護衛を務めた。

暫く歩いて担がれていた田丸が、物置小屋で「降ろしてくれ」と言ったので、彼を物置小屋に降ろした。

火力が一番高いライフルを持つアリシアと連射力に高いサブマシンガンを持つルリが、ドアの前で奴らと新たな敵を警戒する。

 

「あ、ありがとう・・・それと爆弾があったらくれねぇか・・・?」

 

言われた通り、梱包爆弾を持っていたコータが鞄からそれを取り出す。

直ぐにコータは田丸に梱包爆弾を何に使うか問う。

 

「一体何に使うつもりなんですか?」

 

「何って・・・自爆に使うに決まってるだろ・・・ゴフッ!」

 

答えた後に血反吐を吐いた田丸、このような状況であさみは、頭を抱えて軽い恐慌状態になる。

孝は奴らに噛まれた人間がどうなるか嫌になるほど分かっていた。

例え奴らでは無くても、あれは学園で最初に見た肌に生気がある奴らと似た“物”であり、田丸がこの先どうなるかは、既に分かっている。

もちろんその話を聞いているコータですら分かっており、田丸が奴らになる前にこの場で殺そうと考えていた。

 

「おい・・・早くしろ・・・ガハッ!俺が・・・奴らに成る前に・・・!」

 

血を吐きながらも田丸は力を振り絞って、コータの梱包爆弾に手を伸ばした。

それを見ていたあさみは小声で何度も何度も田丸に謝る。

奴らの存在を確認したアリシアは直ぐに孝達に知らせた。

 

「奴らが来たわ!数は私とルリちゃんだけでは持ちそうもないかも!」

 

「良いから早くしろ・・・!俺は、ゴハッ!奴らには成りたくない・・・!」

 

アリシアの知らせと血反吐を吐きながら梱包爆弾を要求する田丸に、コータはどうするか戸惑い始める。

そして梱包爆弾に信管を刺して田丸に渡した。

 

「す、直ぐに渡さないなんて・・・素直じゃないな・・・でも、ありがとよ・・・生き残って俺の分まで生き残れよ・・・」

 

笑みを浮かべながら田丸に、孝達は直ぐに物置小屋を離れた。

彼等が行った後、田丸は信管に火を付けて、奴らを引き付ける為、鈴を鳴らす。

音で引き寄せられた奴らは、田丸が居る小屋へと吸い込まれるように向かう。

彼が小屋に入ってきた奴らに対して笑みを浮かべた頃には、孝達はモールの後少しの距離まで到達している頃だった。

そして数秒後には梱包爆弾が爆発、小屋の中にいた田丸は複数の奴らと共に自爆した。

その破壊力は、小屋を木っ端微塵にする程の破壊力であった。




書き溜めていた物を投稿しました。
アニメ第二期の製作発表されると良いね。

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