今回は未来戦記組が参戦します。後、レーザー兵器とかチート過ぎね?自分が言うのは何だけど。
孝達は血漿を手に入れた物の、田原が血塗れの戦乙女に襲われたあさみを庇って犠牲となってしまう。
自分の不甲斐なさで彼を死なせてしまったあさみは深い心の傷を負った。
そして何とかモールに辿り着くが、そんな彼等を出迎えたのは、マイヤーやパイパー、スコルツェニー、リヒターの第二次大戦時のドイツの英雄達だった。
無論、周囲にバリケードなど無い、彼等は奴らに襲われる覚悟でここで孝達の帰りを待っていた。
「お帰り、血漿は手に入れたのか?」
まず口を開いたのはパイパー、孝の目の前に立つ。
これに対し孝は、頷いてから、手に入れた血漿を背中に掛けていた背嚢から取り出し、彼に渡す。
「これです。田丸さんの犠牲を無駄にしないために急がないと!」
「まずはそうしなければな。マイヤーにリヒター、反省点はそれで良いですね」
「そうだな。さて、老い先短い老婆を助けることにしよう」
パイパーに聞かれたマイヤーとリヒターは頷き、モール内へ戻る。
スコルツェニーは双眼鏡を取り出し、周囲を警戒した後、孝達を早くモールへ入るように急かした。
「急げ!いつ何処から歩く死人が襲ってくるか分からんぞ!」
その頃、また新たな
公道の片隅で身長190㎝程の大男が倒れ込んでいる。
「ここは・・・確か俺は・・・そうだ、霧に呑まれて・・・」
大男は周囲を見渡した。
その光景は大男にとっては驚きの物ばかりであった。
「どうなっている・・・!?外の環境は最悪のハズだが・・・」
起き上がり、再び周囲を見てから頬を抓るが、夢でないことに気付く。
「どうやら夢ではないらしい・・・外出着も必要なさそうだ・・・」
男は自分の服装に装備を確認した後、公道に足を踏み入れる。
「核戦争前にタイムスリップしたか?だが、前に見た世界とは少し地形も建造物が違う」
一人口を開きながら、男は道に沿って歩みを始めた。
周辺からは銃声が彼の耳に入ってくるので、そちらの方向へと進む。
「向こうから銃声・・・なんの騒ぎだ?」
何の武器を持たずに彼はその方向へと進んでいく。
そんなこの世界の現状を知らないイレギュラーな男に、暴徒や道を外れた警官達が、彼を囲む。
「おいそこのでけぇ外国人、死にたくなければ食料を置いて行きな!」
「言葉は分からん。しかし、生憎だが、何も持ち合わせてはいない」
棍棒や包丁、二連散弾銃を向けた暴徒達に対し、男は英語で答えた。
「この野郎・・・言葉が通じねぇみたいだな?構わねぇ!
「「「「「「応!」」」」」」
一斉に棍棒や包丁で襲い掛かった暴徒達であったが、この男は軍隊格闘術を学んでいたらしく、あっさりと返り討ちにされてしまう。
「なっ!?こいつめぇ!穴だらけにしてやるぜェ!死ねぇ!!」
散弾銃を持つ暴徒は引き金に指を掛けて引こうとしたが、他の暴徒が持っていた包丁を、彼が拾い上げ、散弾銃を持つ暴徒に投げた。
真っ直ぐ飛んだ包丁は散弾銃を持つ男の額に刺さり、引き金を引く前に、道路に倒れ込んだ。
まだ息のある道を外した警官が、彼の名前を問う。
「うぅ・・・あんた、一体誰なんだ・・・?」
彼は散弾銃を持ち上げ、包丁が刺さった暴徒から予備の弾薬を探りながら答える。
「俺か?俺はゲイツ、ゲイツ・アーノルド・シュワルツだ。パンツァーゲイツとも呼ばれていた」
ゲイツの名前を聞いた警官は気絶した。
そして武器と装備を手に入れたゲイツは、銃声が聞こえてくる方向へと、再び歩み始めた。
もちろんゲイツだけではない、他の転移者は別の場所に居た。
床主の何処かにある小屋で転移者である“彼女”が目覚める。
「ここは・・・?」
彼女は目覚め、周囲を見渡す。
そして起き上がり、壁を探って何かを探すが、見付からなかったらしく、諦めた。
「通信機器が付いてないとすると、ここは船内じゃなくて、地球の小屋のようね。装備一式はあの机に置かれているようだけど」
壁に手を付けながら彼女は、机に置かれているサバイバル装備を見ながら言う。
机の上に置かれているのは大きめのリュックサック一つ、PMマカロフ自動拳銃一丁に予備弾倉四本、レーション六パック、飲料水三本、サバイバルナイフ一本、ライターにコンパス一つに地図が一枚。
「まるで誰かが来る事を予想して準備してたみたいね。有り難く貰っておきますか」
リュックサックにサバイバル装備一式を入れた後、マカロフを握り、頭に緑色のバンダナを巻いて外に出た。
彼女の前に広がる光景は、ゲイツが見たとおりである。
「看板を見るからして、ここは日本ね。内戦でもやってるのかしら?」
銃声に耳を澄ませながら、彼女は拳銃を構えながら聞こえる方へ進む。
そして目の前に
うっかり声を掛けてしまい、奴らに気付かれた。
「すみません、アメリカ軍の基地は何処に?」
存在に気付いた奴らは、彼女を仲間に入れようとしたが、通りを歩いていた簡素な戦闘服を纏ったワルキューレの軽歩兵が持つ、フランス製ブルパップライフルGIAT FAMASで頭部を撃たれて、死体に戻された。
周りにいた奴らも、駆け付けてきた軽歩兵達に片付けられる。
突然の出来事に彼女は、その軽歩兵達を叱り付けようと近付く。
「貴方達!民間人を撃つなんて正気なの!?それと何処の所属よ!」
両手を腰に付けて叱る彼女、何処からともなくやって来た謎の女性に、基礎訓練しか受けてない素人な戦乙女達は悩む。
「ねぇ、聞いてるの?あっ、そうだわ。私はハイト、アメリカ海兵隊の少尉だわ。そこの長距離無線機を持っている娘、アメリカに連絡して」
思い出した彼女ことハイトは、
少し悩んだ彼女達は、手に持つ銃をハイトに向けた。
「何のつもり?」
この場にいる全員に銃を向けられたハイトは、マカロフを引き抜こうとするが、分が悪いと弁え、逃げ場所を目で探す。
素人な戦乙女達が鳴らした銃声を、聞き付けた奴らが聞き付けて集まってきた。
彼女は一か八かの掛けに掛けて、近くに居たFAMAS持ちの軽歩兵に体当たりを掛け、転倒させてから額にマカロフ拳銃を突き付け、息の根を止める。
前にいた世界で持っていたライフルが、FAMASに似ていた為、ハイトはこれを奪い、周囲で固まっていた戦乙女達に対してフルオートで撃ち込む。
何名かが5.56㎜弾を浴びて地面に倒れ込む中、直ぐに反撃しようとAKの外見と筒型の弾倉が特徴なPP-19ビゾン短機関銃を撃ってきた。
周りから集まってきた奴らに気を取られていた軽歩兵達も、先にハイトを片付けようと銃を向けて発砲してくる。
数十分後には敵軽歩兵は全滅、残るは奴らのみとなったが、どう見ても致死量に値する外見なので、ハイトは頭部に狙いを定めて発砲した。
「やはり弱点は頭、これなら・・・!」
この場にいた奴らを全滅させたハイトは、死んだ軽歩兵達から装備を出来るだけ奪って、その場を移動する。
ハイトのサバイバル生活が今に始まった。
最後の転移者達は四人だ。
「う~ん、ここは何処だい?」
「冥府だよ、まっくらだ」
未来的歩兵装備をした兵士四名が、芝生の上で目覚める。
「いや、よく目を開いてみろ」
分隊長らしき男が言って、全員が目を見開いて周りを見た。
そこはゲイツとハイトが見た光景と同じであった。
「直ぐにホログラムマップを見てみよう」
バックパックから取り出したホログラムマップを置き、開いて現時点を把握する。
「なになに、ここは21世紀で、ニッポンだって!?」
「ホントか!?
STGと呼ばれる男は、現時点と自分達が居る場所を把握し、細かい顎髭を生やした男がホログラムマップを見ながら言う。
黒人の男が頭を抱えて叫ぶ。
「おいおい!1世紀進んだだけかよ!まだ身体に悪い時期だよ」
「そう喚くな、これでも少しは環境に配慮されてる時期なんだぜ」
顎髭の男はそう黒人に告げた。
「なぁ、STG。もう少し詳しい情報は?」
「いや、21世紀としか分からない。詳しい情報は一切無いな。もしかしたら・・・別の世界かもしれない・・・」
このSTGの言葉に全員が驚愕する。
「二度目か・・・さて、何処へ向かう?STG」
「向こう側から銃声がするだろう?そっちへ行こう」
STGは他の三名を引き入れて、銃声がする方へと向かった。
道路に出ると、そこらに居る奴らを掃討中なワルキューレの機甲部隊に遭遇した。
「お、美人の兵隊さんの集まりだ。それにしても型が古いな・・・」
後部にWWⅡ時の英陸軍歩兵装備を乗せたM5A1スチュアート軽戦車五両が、四人の未来的装備の兵士の為に停止する。
先頭車両の戦車長がキューポラから飛び出して、STG達を見る。
「なにあいつ等、どっかの愛好家団体?」
後部に乗っている旧式装備の軽歩兵達、リーエンフィールドNo4小銃を構えている。
先に彼女等の行く手を阻んだSTGは、声を掛ける。
「聞かぬは恥だ。おーい、お嬢さん達!」
自分達が分かる言葉で話してきた為、混乱する。
「私達が分かる言葉で話してきました!」
「ますます危険ね、発砲開始!」
M5軽戦車の前方機銃M1919から、STG達に向けて掃射される。
「うぉっ!?」
「へっ、聞かない?」
彼等が纏う防弾チョッキに、戦車長は驚きを隠せない。
STG達は反撃に出て、手に装備された小火器で、M5軽戦車の砲身がやられる。
「全員、こいつ等は敵だぞ!」
そのまま交戦状態に至る。
戦闘不能に成ったM5軽戦車は、そのまま後退しようとしたが、逃がされるハズもなく、履帯を撃破され、行動不能となる。
乗員は全員脱出し、後続のM5が主砲をSTG達に向けたが、撃つ前に撃破される。
残りのM5軽戦車は37㎜対戦車砲を撃ち込んでくるが、中々当たらず、次々と撃破されていく。
最後に残った戦乙女達は、一目散にその場から逃げ出した。
「ちょっと派手にやりすぎたかな?」
「STG、民間人の集団がやって来るぞ!」
もちろん向かってくるのは奴らである。
彼等は未だこの世界の現状を知らない上、今何が起こっているのか分からないのだ。
「なんだこいつ等!体温が全くないぞ!?」
「ゴーグルに故障があるんじゃないか?」
奴らを発見した男は「違う」と顎髭の男に告げる。
「どう見ても普通の人間じゃないな。構えておけ」
STGが告げると、全員が武器を構えて警戒した。
そして奴らがSTGが出した左腕に噛み付こうとした瞬間、隊員達が持つレーザーが放たれる。
レーザーを食らった奴らは上半身が吹き飛ぶ。
残りの奴らは僅か三分で全滅、STG達は直ぐにその場を後にする。
「STG!アレは何だ!?」
「分からん、どうやら何かの生物兵器らしい!」
「そんな、そんなの条約違反だよ!」
彼等は走りながら、バウアー達が居る方向へと向かっていった。
一方、反省点を洗い出していた孝達。
病院で血漿を取りに行った一人であるあさみは、屋上でずっと病院を眺めていた。
「(私が不甲斐ないばかりに市民の一人である田丸さんを・・・)」
血漿は間に合った物の、あさみの心には大きな穴が開いたままだ。
彼女の他に、屋上には見張りとして立っている者が居るが、彼女の相談など無視するだろう。
そんなずっと悩んでいるあさみにさらなる悲劇が襲った。
「敷地内に死人が入ったぞ!伝令、報告に行け!」
「
士官帽からアホ毛が飛び出している少女バウアーは、直ぐにモール内に居る者達に知らせに行った。
それが気になったあさみは、バウアーが置いていった双眼鏡を持って、大日本帝国陸軍歩兵の野戦福を纏った見張りが監視している奴らを見た。
その奴らの服装は日本警察の婦警であり、あさみが良く知る人物でもあった。
「ま、松島先輩・・・?」
自分やマイヤー達に避難民を託して、応援に向かった先輩の成れの果てを見たあさみは、驚きを隠せない。
そして凄まじい後悔があさみを襲い、思考が混乱する。
「私の所為だ、私の所為だ、私の所為だ!」
頭を抱えて混乱するあさみを見張りは見ていたが、無視して手に持つ三八式歩兵銃を、敷地内に入った奴らに構えた。
帰ってきたバウアーが、息を切らしながら、見張りに告げる。
「発砲して良いらしいです!」
「そうかい、嬢ちゃん」
見張りはバウアーの報告を聞いた後、安全装置を外して、サイトに取り付けられた狙撃スコープを覗き、応援に向かった先輩の成れの果ての頭部を撃った。
銃声の後にあさみはパニックを起こし、バウアーを突き飛ばして、モール内へと駆け込んだ。
「きゃっ!」
突き飛ばされたバウアーは、パニックを起こしてモール内へ駆け込んだあさみを見ていた。
次回は、襲撃回にしようかな?