学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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ウィッチ勢が本気を出します。


死ぬしかない・・・

圧倒的な生ける屍の数、さらに高城邸で現れた強化タイプのゾンビも居り、最悪なことにあの謎の白人の女性と日本刀を持った長い黒髪の少女まで居る。

この絶望的な光景を見たシュルツは、腰を抜かし、恐怖する。

 

「も、もう・・・駄目だ・・・お終いだ・・・」

 

凄まじい数の奴らやゾンビが向かってくる中、アリシア、セルベリア、リエラ、ミーナ、ルリが到着し、それぞれが持つ武器を構える。

 

「まだ諦めるのは早いわ」

 

リエラは常に携帯していたナイフを取り出し、それを鞘から抜いた。

彼女の奇行に他の者達が、呆れた顔で見る。

 

「おいおい、頭でもおかしくなったのか?」

 

「違うわ。ちょっと驚くような事になるけど・・・これなら状況が打開できるはず・・・!」

 

力を込めてナイフを握った後、突然リエラの身体が青白く燃え上がった。

突然の出来事に、アリシア、セルベリア、エイリアスの三人は驚きを隠せない。

 

「う、嘘!槍も盾も持ってないはずなのに・・・」

 

「まさかあのナイフ、ヴァルキュリアに関する道具か!」

 

「す、凄い!あのナイフは槍だったのか!」

 

彼女達が発した言葉を聞いた他多数は、何を言ってるのか分からないし、何が起こっているのか分からない。

青白く燃えるリエラの赤の髪が、下の銀色に染まっていく。

一番近かったゾンビが、発光した目を光らせながらリエラに襲い掛かったが、彼女が放った一蹴りで、凄い勢いで吹っ飛んでいき、何体かの奴らやゾンビを巻き添えにした。

そんなありえない光景に、ヴァルキュリア人を除く全員が、唖然する。

特にゴロドクのショックは大きかった。

 

「あ、あれが魔女のバアさんの孫娘なのか・・・!」

 

握っていたPPsh41を落とし、青白く光るリエラを見ながら膝をつく。

ミーナを始めとするウィッチ達もリエラに負けずと、体内の魔力を溜め始めた。

 

「カールスラント軍人が、民兵ごときに負けては居られないな・・・!」

 

笑みを浮かべながら言ったバルクホルンは、近くにあった標識を引っこ抜き、複数の奴らを標識で振り払う。

セルベリアも左手を青白く光らせ、全力疾走で突っ込んできたゾンビ達を一瞬ではね除けた。

 

「負けていられん、ハァー!」

 

続いて横から来たゾンビを左腕で思いっきり殴り、胴体を貫通し、それを振り払った。

左手にいつの間にか持っていたFNミニミの引き金を引き、ノロノロと近付く奴らを連射力で薙ぎ倒していく。

 

「あ、あの女、ぶん殴っただけで身体を貫いたぞ・・・!」

 

唖然していた枢軸国軍兵士の一人が、口を開いた。

様々な死地を潜り抜けてきたスコルツェニーも驚きを隠せないでいる。

さらに非現実的な現象が起きる。

レイピアを抜いたペリーヌが、掌に電力らしきエネルギーを溜めていた。

 

「この技は使いたくはありませんが、迷ってる暇はないですわ!トネール!!」

 

「フランス語・・・?」

 

ドラムマガジンのルガーP08を抱えてるしかない沙耶がふと呟く。

その直後、ペリーヌが手をかざした方向に居たゾンビや奴らが強力な電力を浴び、次々とコンクリートに倒れていった。

少し息を整えたペリーヌは眼鏡を掛け直し、周囲にゾンビや奴らが居るにも関わらず、静電気を浴びた髪を整える。

 

「朝方に折角整えた髪が静電気を浴びてしまいましたわ、早く直さないと」

 

「髪が静電気を浴びただけなの・・・?」

 

必死で髪を整えているペリーヌを見た沙耶は、ただ唖然するばかりだ。

驚くべき事は次々と起こる。

 

「シュトゥルム!!」

 

ハルトマンが身体の周りに強力な風を発生させ、勢いを付け、奴らとゾンビの大群に突撃した。

彼女が突っ込んだ辺りに強風が巻き起こり、奴らやゾンビが空高く飛び上がった。

 

「どうやって回転して居るんだ・・・?」

 

人間が高速回転するの見た孝は、思わず口に出してしまう。

次にフランチェスカとシャーロットが何かを始めようと準備している。

 

「ストライカーユニットが無いのが心配だが・・・やるしかなさそうだな」

 

「うん、シャーリー!あれやろう!」

 

「そうだな。よし、行くぞ!」

 

「なにをするつもりだ?」

 

迎撃を行っている全員が、シャーロットがフランチェスカを持ち上げて、助走を付けているという謎の行動を取る二人を妙な目で見る。

そのまま二人は全身に魔力を込め、フランチェスカを持ち上げていたシャーロットが、彼女を奴らやゾンビが集中している地点に勢いよく投げ込んだ。

投げ出されたフランチェスカは全身に魔力を纏い、光熱の弾丸となって、密集地帯に突っ込み、煙が上がる。

そこから見事着地に成功したフランチェスカが両腕を広げ、真剣な表情をしていた。

 

「着地成功・・・!」

 

その後、左右からやって来たゾンビをキックで容易く片付けた後、高速でやって来たシャーロットからベレッタM1938A短機関銃を受け取る。

 

「大丈夫か、フランカ。ストライカー無しでのあれは?」

 

「大丈夫だったよ、シャーリー」

 

「もうなにがなんだか分からないわ・・・」

 

シャーロットの問い掛けに笑顔で答えた後、周囲から続々とやって来る奴らやゾンビを片付けていく。

それを見ていた麗が思わず口に出してしまった。

G43狙撃銃型を持っていたミーナが周囲に耳を合わせ、モールの左側からやってくる襲撃部隊の残党兵を察知し、それをハルスに伝える。

 

「ハルス中尉!後方左側にさっきの襲撃部隊が!」

 

「なに、うぉっ!?本当にいやがった!」

 

ハルスがStg44を構えた先には、フルカスタムのM4カービンを構えた少年兵等を撃つ。

三人でやって来た少年兵等は血飛沫を上げながら、地面に倒れ込む。

排除が完了したと確認したミーナは、次の指示を飛ばす。

 

「次、建物から死人が複数出てきます!」

 

「心得た!」

 

その指示で、近い距離にいた冴子はモールから出てきた奴らを手早く片付ける。

その後、ミーナは銃を撃ち続けながら、指示を飛ばす。

次々と起こるありえない現象に、唖然して居た沙耶とゴロドク、他の者達もただ圧倒的な強さを見せる彼女らに呆然としていた。

そんな時、平八が負けては居られないと言わんばかりに、左手で一四年式拳銃を撃ち、右手に軍刀を持ちながら奴らやゾンビの大群に一人で突っ込んだ。

 

「何をするつもりだ!?」

 

「決まっておろう。おなご共には負けてはいられんのだ!」

 

ハーゲンがG43を抱えながら平八に声を掛け、敵陣に突っ込む彼は、雄叫びを上げながらハーゲンに答える。

平八が言った言葉が、耳に入ったゴロドクはPKM軽機関銃を抱え、奴らの大群に乱射し始める。

 

「俺はソビエト連邦国土防衛英雄、アナートリイ・ゴロドク様だ!女子供が戦ってる前でこの俺様が後ろで指を咥えていられるか!!」

 

勇敢にも彼女等の前に出ようとしていたが、スコルツェニーに止められる。

そしてMG42を乱射しているヴォルナーと並んで、死体の山を築く。

呆然としていたあさみに、リネットは声を掛けた。

 

「あの・・・二脚を持ってもらえませんか?」

 

「え?あ、は、はい!」

 

直ぐにリネットはブレン・ガンの二脚を立て、それをあさみに持ってもらい。

この事態を引き起こした少年の周囲に居た奴らの頭を正確に撃ち抜く。

周囲から胸囲を除かれた少年は殺されると思い、その場から一目散に逃げ出す。

呆然としていた沙耶は、目の前で起こっている現実では見られない現象をただじっと見ており、後ろから近付いてきた奴らに気がつかなかった。

 

「危ない!」

 

アリシアが掛け声にようやく気付いてルガーを撃とうとしたが、アリシアの方が早く、発砲音の後に眉間に穴が奴らが倒れるのを見て、我に返る。

小声で呟きながら、ルガーを構える。

 

「私は天才なのよ、これくらいの現象がなんだって言うの。既に奴らが現れている時点で現実味が・・・!」

 

近い距離で奴らを蹴散らしていた麗や冴子が「遂に頭がおかしくなった」と思っていた。

圧倒的な力を見せつける小室一行であったが、奴らとゾンビの数が減るどころか増える一方だ。

奴らやゾンビが来る方向から銃声が聞こえてくる。

生ける屍に近い状態となったワルキューレの戦闘員達だ。

128㎜の砲声の後に、駐車場の出入り口から出て来た車両を見たスコルツェニーは、モールの敷地内からの脱出を指示する。

 

「全員聞け!これ以上戦っても死人の仲間入りになるだけだ、理解の良い奴は直ぐに敷地内から脱出を優先しろ!!」

 

「分かりました!みんな、敷地外へ急ぐんだ!!」

 

この指示に異を唱える者は居らず、全員が敷地外目掛けて走り出した。

当然、あの洋風美人と和風美少女が見逃すはずがない。

奴らやゾンビに任せずに、自ら小室一行に突っ込んでくる。

 

「き、来たぞ!魔女だァ!!」

 

ゴロドクが再装填をしながら、美女と美少女を見て叫ぶ。

一人トラックに乗ったバウアーは、MK107を構えて空中を浮遊している美女に撃ち続けるが、銃弾がまるで彼女を避けるかのように、全く命中しない。

 

「あ、当たらない!どうして!?」

 

声を荒げた彼女が乗るトラックに魔女のような美女が、銃撃を者ともせずに迫る。

 

「ひや~!キタキタキタキタキタ!!」

 

それを阻止せんと、リエラが美女に高速で体当たりを掛けた。

脇腹に強力な体当たりを諸に食らった美女は、凄まじい早さで地面に叩き付けられる。

美少女の方は、日本刀を鞘から抜いて、奴らやゾンビを次々と死体に戻していた平八に斬りかかるも、容易く封じられてしまう。

 

「小娘も日本刀を使うか!毒島嬢と一緒だな!」

 

振り払った後、拳銃をガンホルスターに戻し、軍刀を突き立て、日本刀を持つ少女に突きをかます。

それを防いだ少女はよろけた後、平八に頭を捕まれ、地面に叩き付けられる。

 

「君はまだ未熟!だが、今は構っている暇はない!」

 

少女に告げた平八は停車していたトラックの荷台に、他の枢軸国軍兵士達と共に乗り込んだ。

木製ストックで奴らを倒したゾーレッツも、平八が乗るトラックに乗り込む。

 

「バートル!次はお前だ、早く来い!!」

 

正徳に声を掛けながら、彼の後ろにいた奴らやゾンビに銃撃する。

 

「急げ、早くしろ!」

 

「分かった!平野にあさみ、早く乗るんだぞ!」

 

数体の奴らを斬り捨てた後、正徳はずっと奴らを倒していたコータとあさみに声を掛けた後、ゾーレッツの手を借りてトラックの荷台に乗り込んだ。

榴弾や重機関銃の攻撃で突破口が開かれ、最初に敷地外に出たのは佐武郎が乗る三式中戦車チヌだ。

 

「掩護射撃を行う、その間に早く敷地内から出るんだ!」

 

キューポラから上半身を出しながら佐武郎は敷地内に居た者達に告げた。

全力を出し過ぎて、禄に動けなくもなったフランチェスカとシャーリーが、互いに肩を抱えながら、鞠川達が乗るハンビィーに乗り込み、その次に奴らを倒しながら沙耶が乗った。

 

「先生、孝達がまだ!」

 

「こんな、キャッ!所で待ってたら、ヒャン!」

 

周囲から爆発音で一々驚く鞠川、沙耶は呆れて狙撃銃SR-3ヴィーフリを持ち、上部ハッチから上半身を出して、狙撃を始める。

標識を振り回し続けていたバルクホルンと、奴らやゾンビを吹き飛ばしていたハルトマンが、蹌踉けながらも戦っている。

 

「どうしたハルトマン、勲章を授与されたカールスラント軍人でもその程度しか持たないのか・・・?」

 

「トゥルーデこそ・・・既にくらくらじゃないか・・・」

 

呼吸を乱しながらも、二人はトラックになんとか辿り着いた。

 

「クロステルぅ・・・もう力が出ないから手貸して・・・」

 

「魔力を使いすぎるからですわ!さぁ!」

 

バルクホルンの方はマイヤーの手に捕まって、なんとか乗車に成功した。

 

「さぁ、お嬢さん(フロイライン)。手を!」

 

「カールスラント軍人である私が・・・す、済まない・・・」

 

次にエイリアスが、孝達が乗る軍用バギーに強引にも乗り込み、麗の膝の上に腰を下ろした。

 

「こっちの方が楽しそうだな、よいしょ!」

 

「ちょっと!強引に乗り込まないでよ!それになんで膝なんかに」

 

「でも、ここしか空いてなかったみたいなんだ・・・」

 

エイリアスが言った後に、後ろに視線を合わせれば、ヴォルナーとハルスが後ろの座席を陣取っていた。

 

「何をしている小僧、早く出せ!」

 

「あぁ、はい!しっかりと捕まっていてください!」

 

ヴォルナーの怒号で勢いよくアクセルを踏み、敷地外へと進むバギー。

後部座席で、ヴォルナーとハルスが、奴らや凄まじい早さで追い掛けてくるゾンビを撃ち続ける。

 

「こいつ等、何故か早いぞ!?」

 

「凄まじい早さだ、近付かせるなよ!」

 

「あんなのありかよ!?」

 

「エイリアスも槍が使えれば、リエラのように・・・!」

 

後ろから凄い早さで追い掛けてくる複数のゾンビに、麗の膝の上でエイリアスは悔しがっていた。

その一方で、力を使い終えたリエラが、アリシアに肩を抱えられながら、マイヤー等が乗っている鉄十字のトラックの荷台に、ミーナの手を借りながら乗せられた。

 

「まだ残っている者は居ますか?」

 

「何だって!?おい、お前等、早くしろ!!」

 

冴子が問い掛けるなり、スコルツェニーは残っている者達に早く車両に乗るように指示した。

コータとあさみ、セルベリア、ルリは、まだどの車両にも乗っては居なかった。

アッシュとコワルスキー、ブルクハイトは、シュタイナーが乗っているハノマークに乗り込んで命拾いした。

ちなみにシュルツも既に登場済みである。

セルベリアとルリはこのまま銃を撃ちながら敷地内まで強行突破するつもりであり、あさみはまた奴らに囲まれた少年を助けようとしていた。

コータは行動に出ようとしている彼女に声を掛ける。

 

「あさみさん、もう少しで敷地外です!急いで!」

 

「少し時間をください、平野さん。本官はあの少年を助けに行きます!」

 

グロック17を取り出して、少年の周囲に居る奴らに発砲し始める。

銃を撃ってくる敵が居るのに、こんなに立ち止まっておいて大丈夫なのかと思うが、そう言う敵は先に敷地外に出た佐武郎達が排除してくれる。

ハノマークに乗るシュタイナーは、kar98kを少年に構え、安全装置を外して引き金に指を掛ける。

他の搭乗者は「奴はあの餓鬼を殺す気だ」と小声で言った。

周囲の奴らが残ったまま、あさみは少年の手を取ってその場から脱出しようとしたが、既に少年は奴らに噛まれており、あさみの苦労は水の泡となる。

 

「え・・・そんな・・・!?」

 

彼女が少年の顔を見た時、発砲音の後に眉間に穴が空いていた。

既に機能しなくなった少年の身体は、道路に倒れた。

その間に「早く来い」と言う叫び声が聞こえてきたが、あさみの耳には入らなかった。

そしてあさみが我に返る頃には、起き上がった少女に退路に塞がれている。

 

「ひっ!もう、逃げ場が・・・無い!?」

 

目の前の日本刀を携えた少女に恐怖するあさみ。

右手に握られたグロックを向けようとしたが、少女の殺気が満ちた瞳に睨まれ、動けなくなる。

さしずめ蛇に睨まれた蛙のような物だろう。

敷地外に近い距離にいたコータがAR-10を少女に向けたが、あさみの視線がこちらに向いていることに気付く。

 

「な、何をして居るんですか!早く逃げ・・・」

 

「私の分まで生き残ってください、コータさん」

 

笑みを浮かべながら告げた後、あさみは勇気を振り絞って日本刀を振りかざそうとした少女の足に蹴りを入れて立ち上がり、大声を上げながらコータ達とは違うモールの方へと走り出す。

コータの方は、無理矢理ブルクハイトにハノマークに乗せられる。

気が付けば他の車両はみんな敷地外へと出ており、最後のトラックの荷台にセルベリアとルリが居る。

最後に残っているのはシュタイナー達が乗るハノマークだけだ。

美女の方は、ヤークトティーガーやM2重機関銃、対戦車ライフルに寄って封じ込まれている。

 

「は、離してください!俺はあさみさんを助けるんだ!!」

 

「黙れ!貴様に何が出来る!?あの女はもう死んだのも同然だ!」

 

シュタイナーは、コータの胸倉を掴みながら恫喝した。

その手を払い除けようとしたコータであったが、今度は拳銃を突き付けられた為、服従するしかなかった。

再びあさみの方へ視線を合わせたが、既にあさみは重傷であり、日本刀を携えた少女に追い込まれていた。

退路も完全に奴らやゾンビに防がれており、出血も酷く、今から助け出しても、治療できるはずもなく大量出血で死ぬのが彼女の運命だった。

死期が迫る中、あさみは立ち上がり、コータが乗るハノマークに向かって警察官らしく敬礼した。

それを見ていたシュタイナーが、あさみに最期を下すようコータに命ずる。

 

「小僧、婦警に最期を下してやれ」

 

「そんな・・・出来ませんよ!」

 

「このまま何もせず、婦警の姉ちゃんがバラバラにされるのを待つのか?」

 

ブルクハイトが口を開いた後、コワルスキーが言う。

 

「生きたまま腕や脚を切り落とされるなんてさぞや苦しいぜ?早く楽にしてやれ」

 

次にアッシュが、コータが持つAR-10を奪い取ろうとする。

 

「いいから早く()っちまえよ!このまま婦警さんに地獄を味あわせる気か!!お前がやらないのなら俺がやるぞ!?」

 

叫びながらAR-10を奪おうとしたが、コータは泣きながらアッシュの手を払い除け、スコープを覗き、狙いをあさみに定め、引き金に指を掛ける。

目線が涙で曇る中、泣きながらコータは引き金を引いた。

発砲音が響き渡り、銃口から放たれた7.62㎜×51NATO弾があさみの額を貫いた後、脳を貫通してあさみの生命は途切れた。

コータから見たその光景は、時間がゆっくりと動いている様に見えた。

そして、あさみが完全に倒れ込んだと同時にコータ達を乗せたハノマークは、モールを後にした。




あさみが死んでしまったよ・・・

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