学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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ここで新キャラ出しても良いかな?


知らぬ間の別れと警察署内の調査

なんとかコータが回復を果たし、ようやく床主東警察署に着いた小室一行。

しかし、窓からは誰一人として彼等を迎える者は居らず、壁には血が付着し、荒れ果てて廃屋と化した署を見て、麗は酷く動揺する。

 

「そ、そんな・・・!折角ここまで来たのに・・・!」

 

「どうやら死人に押し寄せられて落ちたようだな。しかしだ、道路にはここから逃げた痕跡がある」

 

リヒターがフォローするように、道路や駐車場に残された無数のスリップ痕を指差す。

指が指された方向を、孝やシャーロットが見入る。

 

「ホントだ・・・どうやら奴らから慌てて避難したんでしょう。ここには一台も車がありません」

 

孝がスリップ痕を見ながら言った後、シャーロットがスリップ痕を触りながら、いつ頃出来た物なのかを検討する。

 

「これは、結構前からここから逃げ出した様だな」

 

「方向からして、向こうの連絡橋に向かったか、あるいは目立つ場所で避難したか・・・」

 

スリップ痕が続いている方向を見ながら、リヒターは床主空港を繋ぐ連絡橋と小学校を見る。

それを見ていた一行一同は、その憶測に納得する。

突然、連絡橋へと偵察に向かっていたパッキー達が、全員にワルキューレの機甲部隊の事を知らせた。

 

「大変だ、連絡橋を多数の戦闘車両が渡って来てる!」

 

「なんだと、それは本当か?」

 

マイヤーがパッキー達に聞き、リヒターが孝達に「ここで待て」と告げる。

そして何名かがコータだけを連れて、パッキー達と一緒に偵察へと向かった。

物陰に隠れて、橋から内陸部に渡ってくる戦車や装甲車、輸送車両などを双眼鏡で見る。

 

「どうだ、型は分かるか?」

 

隣にいたスコルツェニーは、コータに内陸部に渡って、何処かに集結しようとしている戦車や装甲車などの戦闘車両のことを聞き、双眼鏡を渡す。

軍事オタクであるコータは、渡された双眼鏡を覗き、直ぐに車種が分かった。

 

「戦後型が沢山ありますね・・・しかも東西関係なくアメリカのM60A3戦車にロシアのT-72M戦車など・・・第2世代戦車ばかりだな。自走砲も装甲車、全部統一されていないじゃないか、まるでフィンランド軍の様だ」

 

隣に居たスコルツェニーは、コータの知識の広さに驚きを隠せない。

同じく双眼鏡を覗いていたラッツが、口を開いた。

 

「M16とか、AK74とかに似た突撃銃や自動小銃、ブルパップまで使ってるぞ」

 

「歩兵の装備は、みんな女性兵士じゃないか。しかも先進国の歩兵装備並だ。どう見てもPMCの装備じゃないな」

 

その場にいた一同は、コータの知識の高さに驚きを隠せなかった。

次にパイパーがワルキューレの機甲部隊の数を数える。

 

「戦車数や自走砲と対空型、装軌・半装軌・装輪式装甲車、歩兵の見える数からして旅団規模か・・・戦闘が行われている地域に向かっているとされると、向こうで師団の集結中を行っているという計算だな」

 

彼の言うとおり、車列は微かに聞こえる銃声や爆音の方へ向かっている。

本隊はおそらく戦闘が行われている目前に居るだろう、それも集結中であり、狙うのは今だが、戦車が四両程度で、しかも相手は戦後型が多数、どう考えても勝ち目はない。

 

「こちらが戦闘団規模なら奇襲している所だが、今の戦力では返り討ちだ。手を出すのは止めておこう」

 

的確な判断をしたパイパーは、全員で警察署まで戻る。

敷地内で待っていたメンバーに、床主と空港を繋ぐ連絡橋で、旅団規模の機甲部隊を目撃したと報告した。

 

「ここにヤークトティーガーなど残して置くと、橋の連中に気付かれて攻撃されるだろう」

 

リヒターの言った事に全員が納得し、マイヤーが案を出す。

 

「と、なれば。一行を二つに分ける必要がありますな。一つは署内を調査する、もう一つは何処かに戦闘車両を隠す」

 

出された案は、何の反対もなく全員が賛成、次に警察署を調査するメンバーを決める。

 

「取り敢えず、小室達は警察署(あの建物)を調査する。残りのメンバーは女子供に決定だ」

 

沙耶は、マイヤーが言ったことに異議を唱える。

 

「ちょっと待ちなさいよ。男共の誰かは残らないわけ?」

 

リヒターは顎に手を当てて沙耶に便乗する。

 

「確かに、男では必要だ」

 

「じゃぁ、Zbvの連中はここに残って貰おう」

 

エーリカとリネット、ペリーヌは、驚きの声を上げる。

 

「拒否権はないぞ、あまりダラダラしてると気付かれるからな」

 

反対の声が上がる間もなく、リヒター達は素早く行動し、戦闘車両類に乗り込み始めた。

余り出番が無いリヒトーフェン達は、何処かに向かおうとしていた所を、ありすに止められた。

 

「何処行くの?おじちゃん達」

 

ありすが言った後にジークが吠えた後、一同全員が振り返る。

 

「何処行くって・・・それりゃぁ・・・」

 

「そうだ、ありすちゃん、この飴をミス鞠川の所へ持って行ってくれないか?」

 

デンプシーが言っている最中、リヒトーフェンが割り込んで、翻訳飴が大量に入った大きな瓶を、ありすに渡す。

 

「うん、じゃあ持って行くね」

 

「あぁ、頼むぞ~」

 

ジーク共々ありすが瓶を持ちながら孝達の所へ向かう中、リヒトーフェンは一息ついて、デンプシー、ニコライ、正樹と共に、小室一行からダッシュで離れる。

 

「それ!気付かれる前に逃げるぞ~!」

 

「気付かれたら、惨い殺され方をするからな~」

 

「我々の手立てを悟られたら、連中も只では済まないであろう。この場はひたすら逃げるべし!」

 

「とても(なげ)ぇ砲塔を積んだ駆逐戦車まであるんだ、勝ち目がねぇよ!」

 

走りながら喋るリヒトーフェン達だが、もちろんリヒター達は忙しくて気付かない。

彼等が向かった先には、転送装置っポイ場所に到着し、ニコライがウォッカを飲みながら小室一行に手を振る。

しかし、全く見られておらず、声すら届いていない。

 

「俺達が居なくても生き残れよ~!また会えるとしたら、そん時はウォッカを用意しといてくれ~!じゃあな~」

 

次に正樹が敬礼しながら小室一行に告げる。

 

「これから先、諸君等に様々な試練が降り掛かるだろう。毒島嬢か川島少尉、志雄大と手合わせ願いたかったが、恐らく一生適うことがないであろう。悔いはあるが命には代えられない、健闘を祈る!」

 

デンプシーが次に口を開く。

 

「短いつきあいだったが、悪くはなかったぜ。こんなに早く別れるのは後味が悪いが、俺達にも都合があってな。本当にすまねぇ、だがこれは作者の所為だ。また会う時は事が終わるまで面倒みてやるぜ!あばよぉ!」

 

装置を起動したリヒトーフェンが、最後を締めくくる。

 

「途中離脱で済まんのぉ~しかしワシは急な用を思い出してな、それに脱出手段を見つけてしまった。翻訳飴は出来るだけ多く作ったのを渡しておいたぞ、ただし武器は渡せんがな!生きてたらまた会うことにしよう。それでは皆の衆、行くぞぉ!」

 

周囲に電流が走り、雲行きが怪しくなる。

それが終わる頃には、リヒトーフェン達の姿はなく、小室一行は数時間姿を見せないリヒトーフェン達は逃げたと判断したと言う。

 

「せんせ~い」

 

「な~に、ありすちゃん?」

 

「これおじさんから貰ったの」

 

ありすは鞠川に大量の飴玉が入った大きな瓶を見せる。

これを見ていたシュタイナーは直ぐに、リヒトーフェン達は逃げたと誰よりも先に判断した。

その頃の小室一行は、警察署近くで乗り捨てられていたアーミット社のハンビィー二台(兵員輸送型含め)を見つけ、新たな足とする。

幸いなことにPMC所属のハンビィーはM2重機関銃付きであった。

その近くでM4A2シャーマン中戦車の残骸から無事なM2重機関銃を取り外し、孝達が乗ってきたハンビィーに取り付ける。

 

「これで少しはマシになるだろう。それでは、我々は行くぞ」

 

SdKfz 251兵員輸送1型に乗っていたパイパーは、孝とシュタイナーに告げる。

次に同じく乗っているリヒターが口を開く。

 

「合流地点は小学校前の公園だ。中戦車の様な四駆が三台もあるだろう、大丈夫なはずだ」

 

「室内の探査は慎重にやれ、気を抜くなよ。敵に包囲されたらハンビィーのスピードで突破しろ」

 

言い終えた後に、ワルキューレ仕様のハンビィーに乗っていたパッキーがアドバイスする。

車列はハンビィー三両を残して出発し、リヒター達は合流地点である小学校前の公園へと向かう。

これからとんでもない出会いや発見をすることを知らずに。

残された孝達とシュタイナー達、ミーナ達は小さくなっていく車列を眺めていた。

見えなくなったところで、この中で一番階級の高いセルベリアが仕切る。

 

「さて、我々は探査を始めるか。まずは拠点を決めなければならないな」

 

ちなみにシュタイナーは黙ったままである。

一同はそのまま警察署内へ入り、拠点になるような部屋を探す。

 

「奴らは居ないみたいね・・・」

 

荒れ果てた署内を見渡しながら、麗が口を漏らす。

付け足すように、シュタイナーが言う。

 

「気を抜くなよ・・・死に損ないは何処から出てくるか分からんぞ。武器を片時も離すな」

 

その言葉に全員がゾッとして、身震いを始める。

辺りを警戒しながら、休憩室と書かれた部屋を発見し、ここが調査拠点に最適と判断したセルベリアは、ドアを開けようとする。

 

「開かない。鍵でも掛かっているのか?」

 

「どれ、俺が開けてやろう」

 

「頑張って~!」

 

開かないドアに対し、ジークを抱えたありすに応援されながらコワルスキーが、ドアに体当たりする。

大男に体当たりされたドアはたった一回の体当たりで破壊され、中にいた奴らがコワルスキーに、襲い掛かった。

 

「うわっ!?ヤベっ!」

 

「俺に任せろ!」

 

鉄パイプを持ったアッシュが空かさず入り、部屋にいた奴らを手早く片付けた。

 

「ありがとう相棒」

 

「どうも。ほら、立てよ」

 

アッシュに礼を言った後、コワルスキーは彼の手を借りて立ち上がる。

この動きの早さに、冴子は感激していた。

 

「中々の連携だ、橋での小室君との連携を思い出すな」

 

その場にいなかった者達が感心した。

全員が入れる充分な広さがあると判断したセルベリアは、署内の調査を二人一組で行うことにする。

 

「調査時間を短縮する為、二人一組で行動して貰う」

 

「的確な判断ね、戦えないのはどうするの?」

 

沙耶は判断が良いと褒めた後、非戦闘員はどうするかを問い、セルベリアの代わりに孝が答える。

 

「それは戦える奴が残ればいいだろう。違うか?」

 

「察しが良いわね。それじゃ、あたしと先生は残らせて貰うわ。もちろんありすちゃんもね」

 

孝を評した沙耶は、ルガーP08からドラムマガジンを外して机に置いて、椅子に座る。

それとミーナが防衛を行うメンバーを選び始める。

 

「じゃあ、居残り組を決めるわね」

 

「居残り組って・・・」

 

麗がミーナが言った調査拠点に残るメンバーの名称にツッコム。

聞こえなかったのか、ミーナはそのまま続ける。

 

「私とビショップ曹長はここに残ります。シュルツ准尉も良いですね?」

 

「あぁ?はい、是非残らせて頂きます」

 

「俺も残らせて貰うよ。部屋を一つ一つ見るのは疲れる」

 

「私もですわ。いつ何処から敵が現れる場所なんて、不意打ちを受けて噛まれたらどうするつもりですの」

 

「(怖いんだ、クロステル)」

 

シュルツは敬礼しながらミーナに告げ、それに続いてブルクハイトとペリーヌも残ることにする。

ペリーヌが残ったことに、エーリカが恐がりと思う。

 

「俺も残らせて貰う。文句は一切受け付けん」

 

シュタイナーも残ることとなり、調査メンバーを決めると言う所に、バウアーが手を挙げる。

 

「どうしたの、バウアー少尉」

 

「い言忘れてたんですけど、ルリちゃんがショッピングモールから一言も喋ってません」

 

一同がルリが喋ってないことを、バウアーが言ってから気付いた。

当の本人は、喉に指を差して、喋れないアピールをする。

 

「喉に怪我したの?」

 

「大丈夫か、ルリ?」

 

鞠川がルリの喉に手を当てて、病状を確認し、冴子が心配そうに彼女の顔を見る。

喋れないルリに、セルベリアは調査メンバーから外そうとしたが、ルリが行きたいとメモ帳に書いて告げたので、メンバーに入れることにした。

 

メンバーはこの通り。

1,セルベリア、エイリアス

2,アリシア、バウアー

3,バルクホルン、エーリカ

4,シャーロット、フランチェスカ

5,リエラ、冴子

6,孝、麗

7,コータ、ルリ

8,アッシュ、コワルスキー

 

以下のメンバーが、調査を行うことになる。

 

「大方決まったな。では、調査開始だ」

 

セルベリアが言った後、署内の調査するべく、休憩室を出た。

その前にありすが翻訳飴を全員に渡す。

 

「ありすちゃん、これは一体・・・?」

 

「何かの役に立つと思って、持っててね」

 

有り難く飴を頂戴することにする一同、まずは何処をどの組が調査するのかを決める。




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