学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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なにか読者に飽きられているみたいなので、未だ出ていない淫獣の視点でいきます。
その前にワルキューレ側の視点だけどね。

劇中に出てくる空母はアメリカ海軍のエセックス級航空母艦、艦名はマーリアン。
外見は全く変わらず、船内や兵装は現代空母に近いくらい改装され、防空能力が上がっているが、搭載できる艦載機が減っており、練習空母として使用されている。
マクシミリアンの移動用として使われ、任務を終えた艦は、太平洋側で無差別に領海・領空侵入を計った船や飛行機を落とす任務に就いていた。
搭載されている小火器は↓
散弾銃 ベネリM1 MPS AA-12
回転式拳銃 S&W M27
自動拳銃 SIG シグプロ
自動小銃 ノベンスキーN4CQBモデル M2カービン
突撃銃 AK103 AR-18
短機関銃 MP5k PP-19ビゾン
小銃 リーエンフィールドNo4


宮藤芳佳のサバイバル
宮藤、空母へ。


ケストナーの部隊が、小室一行の前に敗退した知らせはワルキューレの日本方面軍司令部に伝わった。

 

「報告します、ケストナー下級司令官とその配下の部隊が例の生存者の一団に撃退されました」

 

戦況オペレーターからの報告を受けたアレクサンドラは、少し驚いた表情をする。

 

「例の生存者が、熟練のみの部隊を撃退だと・・・?一体どんな奴らなんだ・・・?」

 

少し頭を悩ませた後、例の一団こと、小室一行の事について、情報士官に問う。

 

「所で、例の一団についての情報は集まっているか?」

 

「ハッ、最初は運の良い学生の一団だと思っていましたが、中に武装した少女が混じってました」

 

「武装した少女だと?」

 

アレクサンドラは、武装した少女ことルリに興味を示す。

続けて情報士官は書類で確認しながら、ここの指揮官である彼女にルリの繊細な情報を答える。

 

「床主の衛星による状況確認で映っていました。画像は荒いですが、ライフルらしき物を装備しております」

 

自分の机から取り出した写真をアレクサンドラに渡した。

 

「これがその少女か・・・」

 

「はい。最初はただの見間違いと思いましたが、例の一団が学園から脱出した際に確認が取れました。これです」

 

情報士官は、彼女が二枚目の写真を見た時に、映っているルリに指を差す。

写真を見ていたアレクサンドラは、ルリが着ている衣服と装備を見て、表情を変えた。

 

「MP40・・・ナチス政権下のドイツ国防軍陸軍歩兵装備じゃないか・・・」

 

「ご覧の通りです。前任者は面白がって泳がせていたようですが、貴女が後任者として司令官になった後には、例の一団よりも他の地域の事に気を取られて、報告が遅れました」

 

「着任した時にも書いてあったな・・・見落としていたよ」

 

見ていた写真を情報士官に返した後、自分のデスクに置いてある珈琲を飲む。

 

「それ以降、彼女と同じイレギュラー達の活動が激しくなり、我々の被害が拡大したという事だな?」

 

「はい、その通りです」

 

「例の一団の監視はどうなっている?」

 

小室一行のことを聞かれた情報士官は、少し悩んだ後、答える。

 

「軽歩兵一個中隊を派遣して、包囲殲滅する予定です」

 

「熟練の部隊を退けた奴らだぞ?一週間の基礎訓練しかやっていない連中に勝てると思っているのか?」

 

「では、中歩兵一個中隊を・・・」

 

「駄目だな、今動かせる師団を使え。そして調査隊を組織し、監視から外れた最中にいつの間にか消えたもう一つの機甲部隊も探せ」

 

了解(コピー)!」

 

アレクサンドラから消えたもう一つの機甲部隊、リヒター達の事を示された情報士官は敬礼した後、仕事に取り掛かった。

動かせる部隊は無いのかと、部隊管理を行っているオペレーターを呼び出す。

 

「今動かせる師団クラスの部隊はあるか?」

 

「あ、はい。ユズコ師団長の軽師団が動かせますが」

 

「軽師団?ドイツ国防軍陸軍ではあるまい、直ぐに動かせるか?」

 

「北朝鮮軍の空挺部隊を排除した後の為、再編成を終えた後、現在待機中です」

 

「よし、直ぐに出撃命令だ」

 

「コピー!」

 

軽師団に出撃命令を出したアレクサンドラは、珈琲をまた口に含んだ。

そして出撃命令を出された軽師団は、床主に向けて師団全部で移動を開始した。

その師団の装備は殆どが大戦中にしようされた兵器ばかりであり、現代の技術は医療・通信・整備機器だけである。

機械化歩兵旅団の装備でさえ、大戦中の小火器やハーフトラックだけだ。

戦車は大戦中で使われた戦車ばかりで、旅団や連隊には纏まってはいない。

大隊で纏まっているのだ。

第1戦車大隊は35t軽戦車中心、第2戦車大隊は38t軽戦車F/G型中心。

第3戦車大隊はM3A3軽戦車中心、第4戦車大隊は九五式軽戦車中心、第5戦車大隊 オチキスH35軽戦車中心。

第6戦車大隊から第8戦車大隊は全てM5A1軽戦車で編成されている。

師団本部大隊は、旧日本軍の中戦車である九五式中戦車チハがあるが、装甲が中戦車とは言えないので、軽戦車扱いを受けているのだろう。

マシと言えば、護衛中隊M24チャーフィ軽戦車だけだ。

床主に到着したユズコ軽師団は、直ちに中隊単位で展開し、腿旅団と共に小室一行に対する包囲網を敷いた。

その頃、床主から少し離れたワルキューレの海上部隊の拠点と化した港で、一人の異世界から来た少女が護送(?)されていた。

 

「は~い、もう少し我慢してね~」

 

何かの施設として使われている建物の外から、背中にAR15系統のクローンであるLMTCQB16を掛けた市街戦用迷彩服を纏った中歩兵装備の女性兵士が、手招きをしている。

何名かの女性警備兵がつきそうで付いており、その表情は少し嫌そうな顔付きだ。

建物から白衣を着た身長150㎝の日本人の少女を抱えた半裸の女性が出て来た。

抱えられている少女は美少女で、半裸で下着だけを着けた女性はかなりのスタイルを持つ美女だ。

抱えていると言うより、少女が女性の胸を下着越しに顔を埋めて擦り、抱き付いているのが正解か。

その巨乳に顔を埋める少女の表情は何とも幸せそうで、まるで赤ん坊のようだが、抱き付かれている女性は余り良い気分ではない。

 

「まだ・・・?ちょっと重いんだけど・・・」

 

「はい、我慢。この娘寝てるし、落としたら私らが怒られるんだから」

 

「そんな~」

 

疲れた表情で、女性は寝息を立てる少女を抱えながらウィリージープまで向かう。

ようやくウィリージープに到着した女性は、寝ている美少女を後部座席に乗せ、一息ついた。

 

「ようやく終わった・・・」

 

隣にいた警備兵から、コートを受け取って羽織り、先程出て来た建造物に帰る。

運転席と助士席に座る二人の女性士官は、少女がグッスリと寝ているのを確認した後、車を停泊しているボートまで運んだ。

 

「どうしてあんなに警戒してるのかな?こんなに可愛いのに」

 

「白衣とか着てるから、余程危ないんじゃないの?」

 

笑みを浮かべながら、ジープは停泊しているドイツ国防軍海軍が使っていた小型ボートの隣に停車した。

ボートには何も積まれて居らず、白衣を纏って胸元を開けた凄まじい妖艶なオーラを匂わせる眼鏡を掛けた赤毛の美人科学者に、舵を取る幼い顔付きの白いセーラー服を着て三角帽子を被った女性水夫と三名の勤務服を着た女性海軍士官が居るだけだ。

角に手持ち用の回光通信機が置いてある。

士官はジープから寝ている少女を抱き抱えて、待ち構えていた海軍将校に渡す。

 

「準備が整ったようね。じゃあ、行って頂戴」

 

美人科学者が、海軍将校に抱えられたのを確認すると、舵を取る水兵に指示を出した。

言われたとおり、水兵はボートのエンジンを掛け、微かに見える空母へと向かっていった。

ボートに運ばれた少女は、女性科学者の膝元で眠っている。

 

「ようやくまともな設備があるところで研究できるわ。そしてこの娘に隠されている謎が分かる」

 

美人科学者は妖艶な笑みを浮かべながら、綺麗な手で少女の頭を撫でる。

少女が纏っている白衣の胸元に付けられた名札を見れば、英語で"宮藤芳佳"と書かれており、下には異世界人と記載されている。

二人の海軍将校は美人科学者の話を暇潰しに聞いており、もう一人は、徐々に大きくなっていく空母を見ていた。

数分もすれば、空母が完全に見え、手持ち型の回光通信機を持った将校が、空母にいる警備兵に自分達のモールス信号で存在を知らせる。

空母からも回光によるモールス信号の返答があったので、回光通信機を下ろした将校が、美人科学者に報告する。

 

「乗船許可が下りました。これからマーリアンに乗船します」

 

その報告で頷いた美人科学者を見た将校は、舵を取る水兵にボートを空母に着けるよう指示を出した。

空母の正体はエセックス級航空母艦だった。

1991年に練習空母を努め、それを最後に退役した空母だが、ワルキューレは何処からか手に入れたようだ。

外見はほぼ変わっていないように見えるが、対空砲や対空ミサイルの数が多い。

飛行甲板には、大戦中を思わせるようにか、SBDドーントレス艦上爆撃機が四機ほどあり、場違いなイギリス空軍のレジプロ戦闘爆撃機ハリケーンが八機やヘリがあった。

甲板を見る限り、女性や少女しかこの空母には居ないようだ。

海上専用の出入り口の前でボートが止まり、そこから案内役の経験の無さそうな艦長の若い女性や副長、担架を持った白いセーラー服を着た少女の水兵四人が出迎える。

 

「セムテ博士、練習空母マーリアンにようこそ。艦長のマルズです。実験施設は整っております」

 

「そう。では、案内して」

 

はい(アモーレ)

 

セムテという女性科学者は、将校達と一緒に空母へ乗り込み、将校に抱き抱えられていた芳佳は、少女水兵が広げた担架に乗せられた。

船内に入ったセムテと芳佳達は、外から対空砲の砲声が聞こえた。

 

「何事?」

 

「不法侵入機がこの船の防空網に入りましたね。ボフォース40㎜機関砲が侵入した航空機に対空射撃を行っております。あっ、エリコンの20㎜機関砲の砲声まで聞こえる」

 

慣れているのか、艦長はマーリアンに搭載されている対空機関砲の砲声を聴き分ける。

普段銃声や爆破音など聞いていないセムテには聞き慣れていない為、少し耳を抑えている。

 

「どうしました?」

 

艦長は振り返って、耳元を抑えているセムテに、問い掛ける。

 

「何でもないわよ。取り敢えず実験室までまだなの?」

 

腕組みをしながら返したセムテは、まだ実験室に着かないのかを問う。

 

「格納庫までちょっと遠いので・・・先に被験者を持って行かせて、博士は休みます?」

 

「まぁ・・・少し船に揺られてたから休むわ。案内して頂戴」

 

「承りました~」

 

質問を質問で返した艦長に、セムテは少しイライラしながらも誘いに応じた。

芳佳を乗せた担架だけは、実験室に連れて行かれる。

運ばれている最中、芳佳は目が覚めた。

 

「ここは・・・?」

 

起き上がろうと手を動かそうとするが、余り上手く動かせない。

運ばれ居ることに気付いて、周囲を見渡せば、自分を乗せている担架を運ぶ差ほど自分とは年が変わらない少女達が目に入る。

 

「貴方達は誰・・・?」

 

問い掛けるが、少女水兵達は全く聞く耳持たない。

実験室に芳佳を運ぶのに忙しいのであろう。

代わりに通路で通り過ぎていく、声を絞り出して乗員達に話し掛ける。

 

「あの、ここは何処の国の空母ですか?教えてください・・・!」

 

必死に声を掛けるが、無視されてるばかりだ。

やがて格納庫に入り、フリッツメットを被ったベネリM3を持った女性兵士が、芳佳を運ぶ水兵達の前に立つ。

他にもAK103等を持った先程のセミオートショットガンを持った女性兵士と同じ装備の女性兵士が何人か居る。

 

「例の少女だな?向こうまで運べ」

 

言われたとおり水兵達は指定された位置に芳佳を乗せた担架を置いた。

去っていく水兵達を見ながら芳佳は、代わりにやってきた放射線防護服の集団にここは何処なのかを聞き始める。

 

「あの、ここは何処の空母ですか?それに貴方達は何処の所属なんですか・・・?」

 

『意識が戻ってるぞ』

 

『構わない、実験室に入れろ』

 

芳佳の言葉に耳を貸すことなく、防護服の集団は仮設実験室に芳佳の担架を運び出した。

周りが組み立て式の防護壁に囲まれた施設に入った芳佳は、少し不安になる。

起き上がろうとしたが、首から下は麻酔でも打たれているのか、全く動けない。

 

「私を解放してください!離してよ!」

 

『黙らせた方が良いのでは?』

 

『被験者を傷つけたら、セムテ博士が煩いからな。口を抑える程度にしておけ』

 

騒ぎ出す芳佳の口を、付き添いでついてきた防護服が大きな手袋で塞ぐ。

防護マスク越しから見えた顔は女性だった。

そのまま、実験室の中央に置かれた実験台の上に拘束されてから置かれ、防護服の集団が去っていく。

ようやく身体の自由が効いた芳佳は立ち上がろうとするが、拘束されていることに気付かなかったのか、諦める。

 

「(私・・・どうなっちゃんだろう・・・?)」

 

天井に着けられた円形型の蛍光灯を見ながら、この先自分がどうなるかを考える。

防護ガラスから机や椅子が置かれているを見た芳佳は、少し露出が多めのセムテが座るのを見た。

 

「(イヤらしい服装の女の人・・・白衣を着ているというと医者か科学者かな?それに胸も大きそう・・・)」

 

拘束されている芳佳は、セムテの揺れる巨乳をマジマジと見ていた。

実験設備が整ったのか、アナウンスが実験開始の知らせを出す。

 

『これより、魔力を持つ少女の実験を開始する。関係者以外の者は、速やかに格納庫から退避せよ。繰り返す・・・』

 

アナウンスが終わる頃には、その場に溢れていた水兵や整備員、海軍将兵が一人残らず消え、代わりにセムテを初めとする白衣を着た女性達や武装した女性兵士などが残る。

芳佳が天井を見れば、強力な光に包まれ、目の前が真っ白になった。




マーリアンの格納庫の中は、仮設実験室が作られております。

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