学園黙示録 ゲンブンオブザデット   作:ダス・ライヒ

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スナエリナチスゾンビのゾンビを召還しようと考えてます。

前半バウアー編、後半本編(敵側視点)です。


戦車での市街地の移動はご用心

床主に上陸したイーディ達、彼等はそのままバウアーとヴィットマン達が入った市街地へと進んだ。

市街地に入ったバウアーとヴィットマン達は小室一行に対して包囲網を敷いたユズコ軽師団の一部に奴ら、感染者の集団と遭遇していた。

 

「むっ、あれはチェコの35t軽戦車。何故あんな所にあるんだ?」

 

キューポラからユズコ軽師団傘下の第1軽戦車大隊の35t軽戦車を発見したバウアーは疑問に思う。

ちなみに山本もバウアーの言ったことに驚きを隠せないで居る。

 

「マジかよ!一体ワルキューレってどんな秘密結社だよ!」

 

ツッコミを入れる山本であったが、バウアーから「煩い」と拳骨を食らう。

敵は彼女等だけではない、角材やバール、小火器類なので攻撃してくる奴らに噛まれた戦乙女の成れの果ても襲ってくるのだ。

 

「小銃を持った血塗れの女がこちらに向かってきます!」

 

「死人共の新しいタイプか?放っておけ、今は目の前にいる35tが先だ。徹甲弾装填、目標1時方向、距離九十六m!」

 

砲手が知らせた後、バウアーは後ろから迫ってくる感染者の集団よりも目の前で奴らを掃討している35tの撃破を優先する。

 

「装填完了!」

 

「照準完了!」

 

撃て(ファイヤー)!」

 

徹甲弾の装填と照準完了の知らせの後、バウアーは砲撃を命じた。

71口径8.8cm戦車砲KwK43の砲声が響き、88㎜徹甲弾が35tの装甲を簡単にぶち破り、数秒後、大破した。

脅威を排除に成功したバウアー達は、市街地の中を進む。

 

「クルツにヴィットマン大尉、市街地はとても危険だ。戦車が居たなら随伴歩兵も居るかもしれん、用心して進んでくれ」

 

了解(ヤヴォール)!』

 

市街地を警戒して進むように指示したバウアーは、キューポラから索敵を行う。

クルツのパンターG型とヴィットマンのティーガーⅠ後期型は、バウアーのティーガーⅡの後ろからついてきている。

彼等の戦車には随伴歩兵が居ないので、神経を倍に尖らせ、怪しい場所をマークしていく。

 

「(随伴歩兵が欲しい・・・先程kar98kやMP40の銃声が響いたから、何処かに転移した友軍の歩兵部隊が居るはずだ・・・)」

 

額に汗を浸らせながら、心の中で思うバウアー。

その願いが叶うとは直ぐに知らずに。

一方、随伴歩兵となる軍曹(STG)率いる火星軍の降下兵分隊も、バウアー達が居る市街地に入っていた。

 

「STG、ここの世界はおかしな感染症でも流行っているのか?人が人を食べてるぞ!」

 

黒人の隊員は奴らが死体を貪り喰っている光景が信じられないようで、一人で騒いでいる。

 

「落ち着けよ、どうやら俺達はゾンビ映画の中に入っちまったらしい」

 

「お次はゾンビパラダイスか・・・俺達元の世界に帰られるのかな?」

 

STGが黒人の隊員を宥めた後、顎髭の隊員が弱音を吐く。

 

「STG、排気ガスの臭いがするぞ。それに体温が低い集団を発見、それに戦車も見える」

 

ヘルメットで見えないが、ゴーグルを着けた隊員がバウアー達と感染者の集団を発見し、分隊長であるSTGに知らせる。

 

「戦車か・・・また博物館で見るような型だろう。体温の低い集団?今日は防寒着もいらない暖かい気温の筈だが、何かの感染症かもしれない。警戒して進むぞ!」

 

了解(イエッサー)!』

 

四人は周囲を警戒しながらバウアー達の元へ向かった。

あちらこちらで奴らの死体や、無惨な形に成り果てたワルキューレの軽歩兵や中歩兵の死体が転がっており、黒人の隊員の表情が不安定になる。

 

「ここに長くいたら健康に悪そうだ。早く見付けてここから出ようぜ」

 

「私もだSTG、どうも肉の腐る臭いと焼ける臭いはとても居心地が悪い。センサーをフル稼働しよう」

 

バウアー達を探すSTG達、彼等の前に多数の奴らが立ちはだかる。

 

「人食い共だ!」

 

「応戦しろ!こいつ等はもう死んでいる!」

 

顎髭の隊員が叫んだ後、STGは奴らを排除するよう指示した。

彼等の右手に装着された火星軍正式採用の歩兵用レーザー兵器が猛威を振るう。

次々とレーザーで奴らが切断されていく中、教会の鐘に潜むワルキューレの偵察分隊がSTG達を発見する。

 

「あれ、噂の奴らじゃない?」

 

「そうね。一応師団本部に報告しときましょう」

 

机に置かれている無線機でSTG達の存在をユズコ軽師団本部に知らせる。

 

「あ~こちらオクルス5、軽戦車小隊を壊滅させた四名を発見。どう対処するか指示を願う、オーバー」

 

『そのまま監視を続行し、チャンスがあれば攻撃せよ。アウト』

 

「チャンスがあれば攻撃しろってさ」

 

無線手からの知らせで、狙撃手がフランス製狙撃銃PGM338を構え、観測手がSTG達を双眼鏡で捕らえて、一を把握し、風向きを確認する。

狙われていることを知らないSTG達はと言うと、もう既に奴らを全滅させていた。

 

「ゾンビは全滅したな?それじゃ、先に進むぞ」

 

「待ってくれSTG、戦車がこちらに向かってくる!」

 

「なんだと?美人の軍隊の戦車か!?」

 

「いや、それよりもデカイ戦車だ。見覚えがある」

 

顎髭がバウアー達の接近をSTGに知らせた。

数分後には、バウアーのティーガーⅡとクルツのパンターG型、ヴィットマンのティーガーがやって来た。

 

「ン!?これはドイツ軍の重戦車じゃないか!俺達を追ってきたのか!?」

 

「どうやら違うみたいだ」

 

ゴーグルはキューポラから上半身を出しているバウアーを見ながら呟いた。

STG達とバウアー達は接触し、お互い敵意がないかをアピールする。

 

「バウアーさん、こいつ等大丈夫なんですか?」

 

山本は英語でバウアーにSTG達の格好を見ながら質問したが、隣にいたクルツに「大丈夫さ」と肩を叩かれる。

 

「彼等も兵士だ。ここで殺し合いをしても生き延びることは出来ないと判断して、協力を申し出たのさ」

 

クルツが言ったことに納得した山本は、STGとバウアー、ヴィットマンが互いに向き合って、何かを話し合っている所を見た。

狙撃手が狙っていることも知らずに。

 

「火星軍第12軌道降下兵中隊A分隊隊長です。貴方は?」

 

「ドイツ国防軍陸軍第8戦車中隊、通称黒騎士の隊長エンルスト・フォン・バウアー大尉だ。よろしく頼む」

 

「自分はドイツ武装(ヴァッフェン)SS第101重戦車大隊の隊長、ミヒャエル・ヴィットマン大尉だ」

 

「大尉で大隊長ですか・・・大隊の指揮を任されるなんて、指揮能力が高いですね」

 

お互いの経歴を話し合っている間、ワルキューレの狙撃手がバウアーに狙いを定めている。

狙撃の異常がないと、観測手が狙撃手に知らせた後、引き金に指を掛けた。

だが、狙撃手はマリーナに寄って命を落とすことになる。

 

「なんだっ!?」

 

マリーナのM21狙撃銃の銃声が聞こえた後、全員地面に伏せて、クルツが叫ぶ。

直ぐに視線が教会の鐘に集中し、そこに潜んでいた偵察分隊の存在に気付いた。

 

「あそこに狙撃兵が居るぞ!教会の塔を吹き飛ばせ!!」

 

ヴィットマンは教会の鈴を指差しながら叫び、黒人の隊員が威力の高いレーザー砲で塔を一撃で吹き飛ばす。

 

「凄い火力だ・・・」

 

「すげぇ・・・数十年後はあんなのができるのか・・・」

 

クルツと山本はSTG達が持つレーザー兵器の火力に驚きの声を上げた。

それぞれの自車に乗り込んだバウアー達は早速出発の準備を始める。

STG達はクルツのパンターに乗っている。

数分後、先程の35tの随伴歩兵と交戦しているイーディ達の存在に気付き、直ちにそこへ向かう。

 

「銃声だ!それに聞いたこともない銃声・・・クルツ、確認に向かえ!」

 

「了解しました、中隊長殿!」

 

キューポラから上半身を出したクルツは返答し、STG達と共にイーディ達の元へ向かった。

一方交戦しているイーディ達はと言うと、別の35t軽戦車や複数の随伴歩兵と銃撃戦を行っていた。

火力はイーディ達の方が上だが、数はワルキューレの方が多い。

急いでヤンがAT4を35tに向けて撃とうとするが、ブレン・ガンを持った兵士に抑え込まれ、撃てないで居る。

後ろから奴らの集団がやって来たが、戦闘爆撃機のハリケーンのロケット攻撃で吹っ飛ぶ。

 

「あの航空機の攻撃は凄まじいです!」

 

応戦しながらリィンがイーディとリコルスに向かって叫ぶ。

久しぶりの戦場に、ホーマーはえらく興奮しているが、他の面子はそうはいかない。

ハリケーンが旋回してきた時、確認に来たクルツのパンターに乗るSTGのレーザー攻撃で撃墜され、イーディ達の近くで爆発する。

 

「キャー!これ以上私を痛めつけないでくださいまし!!」

 

空に向かって叫ぶイーディ、彼女等を攻撃していたワルキューレの部隊はパンターG型とSTG達の攻撃で全滅する。

クルツがキューポラから出て、イーディ達に声を掛けた。

 

「そこの兵士達、こちらに敵意はない。生き延びたければついてこい!」

 

イーディ達に告げたクルツは車内に戻り、砲手に砲塔をイーディ達に向けたままにするよう指示を出す。

 

「あちらの嬢ちゃん達がいつ対戦車火器を撃ってくるか分からん。榴弾を装填して、警戒しておけ」

 

車体がバウアー達が居る方向に向いて、砲塔がイーディ達の方向へと向けたままにされた。

乗っているSTG達にとっては迷惑な物である。

 

「うわぁ!俺達の存在に気付いてないか?」

 

慌ててキューポラから上半身を出したクルツは、STG達に謝る。

 

「済まない、これからは声を掛けるよ」

 

「ずっとエンジンの上に座ってたら健康に悪い。砲塔に乗せてくれ」

 

クルツは黒人の隊員の頼みを承諾した。

そしてバウアー達と合流し、イーディ達を迎える。

 

「俺はドイツ国防軍陸軍所属のエンルスト・フォン・バウアー大尉だ。そこにいるのが武装SSのミヒャエル・ヴィットマン、君達を案内したのがクルツ・ウェーバーとSTG達だ」

 

イーディ達の目の前に立って、自分達の紹介をしたバウアー、現用米陸軍完全装備の歩兵の事を山本に問う。

 

「山本、21世紀の米軍(アーミー)はこんな嬢ちゃんでさえ兵隊にするのか?」

 

「アメリカ軍は18から入隊できますけど・・・この人達どう見てもヨーロッパ系ですよ。セーラー服の娘を除いて」

 

STG達と楽しそうに話している芳佳を見ながら、山本は答えた。

次にバウアーがイーディ達の所属を聞き出す。

 

「君達はアメリカ軍のどの所属だ?陸軍か、海兵隊か?」

 

「アメリカ軍・・・?私達はその国の所属ではありませんわ!元ガリア公国義勇軍、第7小隊のアイドル、イーディ・ネルソンですわ!」

 

「あ、アイドル・・・?馬鹿モン、俺は所属を聞いているだ。それにガリア公国義勇軍とは何だ?」

 

バウアーに一喝されたイーディは、即刻事の全てを話した。

 

「成る程、転移して、気が付いたらそんな格好になっていたのか。詳しいことは落ち着いた所で話そう。爆撃機(ヤーボ)がまた飛んできそうだ」

 

耳を澄ませてワルキューレの爆撃機のエンジンを聞き取ったバウアーは、直ぐに移動することを皆に伝えた。

道中、奴らと何度か遭遇したが、無視してそのまま小室一行と別れたリヒター達が居る公園へと進路を取った。

その頃、小室一行に対して包囲網を敷いていた師団本部では、包囲網の中でバウアー達の存在を知る。

 

「包囲網に敵重戦車タイプを多数確認しました。それと問題があります」

 

目に入れても痛くない容姿をした副官の女性が写真を持って、師団長であるユズコが肘を乗せている机の上に置く。

 

「これが問題です」

 

イーディ達が写った写真を見たユズコは驚いて、豊満の胸を上下に揺らしながら立ち上がる。

 

「エェー!?アメリカ軍の兵士じゃない!どうしてこんなところに・・・?」

 

写真を両手にとって見ながら、疑問に思う。

ユズコが着てるのは大戦時のイギリス陸軍将官用野戦服で、その上から黒いコートを羽織り、赤いベレー帽を被っている。

直ぐに頭をフル回転させ、対策を考える。

 

「もう少し増員が必要なようね・・・腿ちゃんは呼べる?」

 

「はい、任務を終えて再編中です」

 

副官は無線手から受話器を受け取り、それをユズコに渡す。

 

「もしもし腿ちゃん、私ユズコ。頼み事聞いてくれるかな?」

 

『その声はユズコじゃないか!それよりも腿ちゃんと言うのは止めてくれ。で、頼み事って何だ?』

 

「貴女の戦車を借りたいんだけど。駄目?」

 

『友人の頼みだ、直ぐに向かわせる。それより相手は強力か?』

 

「キングタイガーとタイガー戦車、パンター戦車が居るの。私の戦車じゃ勝てなくて」

 

写真を見ながらユズコは向こう側の腿に伝える。

 

『よし、M51スーパーシャーマン一個小隊を送ろう』

 

「ありがとう腿ちゃん!今関係ないんだけど、昇格したって本当なの?」

 

心配そうな表情で、ユズコは腿に聞いた。

 

『なっ・・・!?本当のことだ・・・だが、理由は言えん・・・!』

 

「私腿ちゃんのことが心配だよ!士官学校で成績も低いし、問題を人に押し付ける癖なんてあるから」

 

『こ、これ以上言わないでくれ!スーパーシャーマンは送っておいたからな!じゃあ、切るぞ!』

 

「あぁ、待って!変な気を起こさないでね!じゃあね」

 

無線が切れた後、受話器を無線手に返し、不安な表情をしながら腿を心配するユズコ。

数分後には新たな仲間を加えた小室一行が警戒網に入ったという知らせが入ったのだ。




次回は本編です。
ところでタイム・トルーパーの隊員達の名前って誰か分かる?
顎髭のトビーは分かるんだけど。

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