くぅ疲マン   作:宇宙飛行士

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5話 団結の力

1,早乙女レイの憂鬱

 

 

 

 

早乙女レイは、自分のことを魔法少女戦士と言ってくる彼との出会いについて思い返していた。

 

 

 

 

 

 

 

あれは数年前の話だ。

自分が母親との買い物に付き合い、街の大型デパートに居たときのこと。自分が母親に初めて買ってもらった魔法少女ステッキを喜んで何の気なしに振っていた時のことである。

 

そのデパートの中央広場と呼ばれる場所では、ある催しが行われていた。アイドルのコンサートのようなものだったと思う。後から知った話だが、それはご当地アイドルが初めて行う、発表会を兼ねたコンサートだった。だからだろうか、その周りには人が集まっていなかった。

まだ幼い頃の自分はそんなのは気にせず、ただ賑やかにやってて面白そうだなと思ってその場所に近づいていった。

 

そして、それを後悔することになる。

 

 

━━ダンちゃんがんばえー!応援してるぞー!ジョイン仮面ももっと声だせ!俺たちの声援がパワーになるんだ!!

 

━━ああ、その通りさ!彼女はもっと輝ける。頑張れ!ファイトだダンちゃん!僕たちがついてるぞ!!

 

 

その場所には熱心に応援する、自分よりも背丈の高い二人組がいた。一人は先導してやんややんやと旗をもって応援していて、もう一人は仮面ライダーのお面を被ってくぐもった声で声援をかけている。

 

早乙女レイは幼いながら、彼らをみて思った。

 

 

こいつらはアカン、と。

 

 

しかし、それに気づくのは遅かった。旗をもって応援していた男はこちらに気づくと、目にもとまらぬ早さでこちらに向かって走ってくる。

 

━━応援するならもっと近くでやろうぜ!

 

そう言いつつ、気づくと自身を肩車し、もう一人の仮面を被った男のところへ連れていかれる。

 

やめろ!HA☆NA☆SE!!と言っても止まらない。そのままやけにテンションの高い二人と共に、自分はご当地アイドル『ダンちゃん☆』の応援に加えられる。

 

早乙女レイはこの時真実に気づいた。

何故この『ダンちゃん☆』の周りに人が集まっていないのか。

この二人組が異常に熱を込めてダンちゃん☆を応援しているからである。肩車されているので、遠くの人たちが此方を見て苦笑しているのがよくわかった。つまり悪く目立っているのである。

 

 

━━ダンちゃん頑張れー!!

 

━━そこでジャンプだ!ダンちゃん!!

 

━━HA☆NA☆SEッ!!

 

 

三人全ての声援が合わさり、それはこのデパートに大きく響き渡った。終いにはダンちゃんが此方に向けて苦笑いしていた。それを見て、早乙女は申し訳無さすぎて目が死んだ。

 

━━ふう、今日は良いライブだったぜ。ありがとうなジョイン仮面、あと純真魔法少女戦士……名前は?あ、早乙女レイ?わかった、ありがとう純真魔法少女戦士~早乙女~。俺たちの団結があったから、今日は素晴らしいものになったんだ。

 

━━ああ!僕たちはもうベストフレンド、いやスピリチュアルフレンドさ!!君も楽しかっただろ?レイちゃん!

 

━━はい。そうですね(思考停止)

 

 

旗を持った男と仮面を被ったままの男、そして目が死んだ幼女と傍目から見たら異常な空間がそこには広がっていた。

 

 

━━そうだ、今日という出会いを記念して、ジョイン仮面と早乙女にこのカードを渡すぜ。

 

そう言って、旗を持っていた男が此方にデュエルモンスターズのカードを渡す。

 

 

━━良いのかい?このカードを貰っても。

 

そう同じようにカードを渡された仮面ライダーのお面を被った男が言う。それを聞き、怪奇ハタ人間(早乙女命名)は、

 

━━ああ、このカードは俺のデッキに入れるつもりはないし、俺には姉御がいるから。そして、これで俺たちは同じ属性のヒーローを持つ仲間、炎のダンちゃん☆同盟だ!

 

そう自分のE・HEROバーストレディを見せながら怪奇ハタ人間は答える。

 

自分に渡されたカードにはレディオブファイアと記されたモンスターが。そこで何故炎のダンちゃん☆同盟なのか早乙女は理解した。

 

 

━━じゃあここで一旦お別れだ。ジョイン仮面、純真魔法少女戦士~早乙女~。

 

そう言って、怪奇ハタ人間は背を向け離れていく。それを見て、もう一人の男は同じように背を向け声を出す。

 

 

 

━━うん、それじゃあ、二年後に!!

 

 

 

 

 

 

「「シャボンディ諸島で!!!」」

 

 

 

 

そう言って、三人は別の道を歩んでいく。

 

 

 

早乙女はこの後自分の母親の元へ合流した。自分の様子を見て「何かあったの?」と心配して声をかけて来た母親に、

━━地獄を見た、と早乙女は声を返した。

 

 

 

しかしこのとき、早乙女レイは思いもしなかった。シャボンディ諸島ではないが、まさか本当に、離島で怪奇ハタ人間とまた出会うこととなるとは━━

 

 

 

 

 

 

2,やっぱり小学生は最高だぜ!(逮捕)

 

 

オシリスレッド寮の俺の部屋で、俺は純真魔法少女戦士~早乙女~と腰を据えて会話をしていた。

 

お、早乙女やんけ!とりあえず積もる話もあるやろ?レッド寮で話そうぜ、俺の部屋一人部屋だから快適でござるよ!

という感じで部屋に連れ込み、現在に至っているわけである。

 

アレだよね。部屋に連れ込み、の前に『ロリの小学生』という情報を組み込むと、事案っぽくならね?……まあ大丈夫やろ!ようはアレだよ、気合いだよ(必死)人生なんとかなるもんやで。きっと。

 

そう心中で何故か自己弁護を行い始める俺。しゃあないしゃあない。だって警察怖いもの。権力に人は逆らえないのかなーって。うっうー!(ダミ声)

でも、なんで純真魔法少女戦士~早乙女~はこのデュエルアカデミアにいるの?泳いで来たの?と俺は聞いた。すると早乙女は「そんなわけないだろ!……やっぱ頭可笑しいよこの人」と返答する。

ハッハッハッ!早乙女は活きがいいなあ。言葉の切れ味が鋭いぜ。やはりあの時の俺の目に間違いはなかった……やはり天才か(ツッコミの)

 

そうして何故この島、デュエルアカデミアにいるのかについての経緯を早乙女から聞き、その要点をまとめる

 

・早乙女はカイザー亮(丸藤君兄)に恋をしている。

・丸藤君兄はデュエルアカデミアにいて、どうしても会いたかった。

・でも早乙女の学年的に丸藤君兄が卒業した後にしかデュエルアカデミアに入れないから、そこらへんを誤魔化してこの学園に忍び込んできた←今ここ。

 

それを聞き俺は、すごいと思った(小並感)

 

いや、やっぱり純真魔法少女戦士~早乙女~なんやなって。心が透き通っててピュアピュアだぜ。プリティでキュアキュアは卒業する世代のくせに。さすが炎のダンちゃん☆同盟のメンバーだぜ。

 

そんな感想を抱いた俺。しかしある疑問をここで気づく。

 

え、じゃあ早乙女今までどこで寝泊まりしてたの?あ、オシリスレッドに編入した体を装って、十代の部屋にいたんだ。ふーん。

でもそれっておかしくないかなぁ?

十代の部屋に居させてもらってるって言ったけど、十代の部屋は、十代、丸藤君、コアラマンの三人部屋だったでしょ?じゃあ早乙女合わせると四人部屋の大所帯じゃん。

え?なんで一人部屋の俺のところに早乙女を寄越すっていうことにならなかったの?レッド寮担当の大徳寺先生からそんなこと聞いたことすらないんですけど。

お、おい。もしかして俺の部屋ってなんか事故物件的なサムシングだったりするのか?もしくはデュエルアカデミアからなにかしらの意図が働いてるのか?やべぇよやべぇよ、まじかよ。怖くなってきたんですけど(震え声)

 

突然浮上してきた問題に驚愕する俺。今度それとなく大徳寺先生に聞いてみよ。

 

そう俺が決意した時、俺の部屋に十代がノックも無しに訪れる。

俺は早乙女が男装でこの学園に忍び込んできたことを聞いていたので、やっべえと焦ったが、どうも十代にはもうバレていた様子。ガッチャマンやるやん。そう感心する。まさか早乙女の男装を見破るとは。頭ガッチャ!してると思ったら、そうでもないのね。

 

ガッチャマンへの評価を変えつつ、俺は早乙女とガッチャマンの動向を見守る。

 

その結果、デュエルすることに。

 

 

え?どうしてそうなるの(困惑)

 

やっぱ頭ガッチャしてるわ。

 

 

 

3,なんかバーストレディ、いつもより迫力あるぜ(十代談)

 

 

レッド寮の裏の崖下で、ガッチャマンと純真魔法少女戦士~早乙女~のデュエルが始まった。

 

いつの間にかそれを見るギャラリーに、丸藤君、コアラマン、明日香っち、丸藤君兄が追加されて、各自にその様子を実況している。

俺はそんな彼らを後目に早乙女の応援をしていた。いけるいける早乙女どうして諦めるんだそこで!応援してる俺と今はいないジョイン仮面のこと考えてみろって!や、いけー早乙女、がんばえー(やんややんや)といった具合にだ。あ、早乙女がキレ気味にこっち睨んできた。うっす。

 

早乙女のデッキは『恋する乙女』といったモンスターを軸にした、相手のモンスターのコントロールを奪って戦うデッキだ。

恋する乙女を攻撃したモンスターに乙女カウンターを置き、それをなんやかんや色々して自分のものにする。

今相手にしているガッチャマンも、自分のフェザーマンやスパークマンが奪われて戦いづらいようだ。

まあ、あれだ。今回のデュエルを端的に言うなら、『やっぱり……嘘だったんじゃないですか』から『Nice boat.』までを組み込んだ恋する乙女の心模様を描く、スクールデイズデッキだろう。流石早乙女だ。これからの成長が楽しみだぜ(震え声)

 

二体のヒーローが奪われた状況をガッチャマンはどう切り抜けるのか。見ている俺を含め皆が注目する。ついでに俺にしか見えてない、自己申告で精霊(笑)だと言っているバーストレディの姉御と、フェザーマンの旦那も俺の両隣で静観している。いやなんかもう慣れたわ。普通半透明で近くを浮遊してたら落ち着かないもんだと思うけど。人間って適応するもんでござる。

 

ガッチャマンは自分のターンを迎えカードをドローする。そしてニヤリと笑って、次の言葉を紡いだ。

 

「女の子に男のヒーローをぶつけたのが間違いだったぜ。やっぱ女の子には女の子だろ!━━俺はバーストレディを召喚!」

 

そう言ったあと、ガッチャマンの場にE・HEROバーストレディが現れる。

 

恐らくこのガッチャマンの発言を聞いていた旦那と俺には、この時同じ疑問が思い浮かんでいただろう。

 

……女の子?という疑問をだ。

 

勿論口には出さない。隣に俺のモンスターである姉御がいるからだ。

しかし女の子、女の子かあ。たまげたなあ、と一人曖昧な表情で沈黙している俺であったが、隣にいる旦那はそんなのはお構い無しに「おいあんた!!ふざけたこと言ってんじゃ…」とガッチャマンに向かって言う。

俺は急いで「やめろフェザっちゃん!!」とビビりつつ止めに入ったが、時すでに遅し。旦那は姉御に連れられどこかに行ってしまった。

その後どうなったか?

━━刹那で忘れちゃった。まあいいか、あんな畜生(無関心)

 

 

 

え?姉御?俺は何とも思ってなかったっすよ。マジっすよ。ちょ、ちょ待てよ!(必死)俺は無実や!い、いやだ!死にたくない、死にたくない!うわああああ!!!

 

 

 

SEKAI NO OWARI(白目)

 

 

 

 

4,乙女とは(哲学)

 

 

 

後から丸藤君に聞いたが、ガッチャマンはバーストレディ召喚→魔法カード『バーストリターン』で場のヒーローを回収→融合でフレイムウィングマンの流れで勝利したらしい。

俺は気づいたら自分の部屋にいたので、ガッチャマンと早乙女のデュエルを最後まで見ることが出来なかったのだ。というかもう次の日になってるし、俺の身に一体何が……まあそういう日もあるか(パリピ感)

 

というかガッチャマン、バーストリターンで切り抜けたのか。なるほどその手があったか。俺はいつも、バーストインパクトで場を一掃する前にしかバーストリターン使わないから、その発想はなかったわ。姉御検定準一級(自称)の俺じゃまだまだだぜ。さすがガッチャマン先輩や。融合使えるってだけで強いわけじゃないんやね。納得である。

 

 

そして純真魔法少女戦士~早乙女~は結局丸藤君兄に告白したらしい。そしてフラれた。

 

俺はそれを早乙女から聞き、ドンマイと肩に手を優しく置く。

バッカ、お前はまだまだ若いじゃん?人生これからだぜ、という感じで励ましの姿勢を早乙女にとった。ここまで苦労して来てフラれたわけだから、結構落ち込むよねと思ったからだ。さすがに男友達を相手にするように『やったぜ(ガッツポーズ)』とはしない。それに早乙女は小学生だし。ここは年上として正しい対応をしておこう。

 

そんな俺の気づかいを知ってか知らずか、早乙女は「ありがとう。でも大丈夫」と笑顔で俺に答えた。け、健気やでぇこの子は…(確信)逆に此方を気遣ってくるとは。これは約束された勝利のヒロインやろなあ(納得)と俺は一人感動する。

しかし、早乙女は続けて俺にこう言った。

 

「だって、私には十代様がいるから!!」

 

 

ああ、なるほど。

 

 

━━やはり天才か……(白目)

 

 

 

そうして、早乙女は迎えに来た両親とともに船でこの島を出ていった。別れ際に盛大なラブコールをガッチャマンに残して。

 

 

俺は去っていく船を見送りながら、アイツ将来Nice boat.されるんじゃねぇかなぁ……と一人思いました。まる。

 

 

 

 

5,俺たちの戦いはこれからだ!

 

 

 

平和な日々が過ぎていく。

具体的にいうと、三浦君とガッチャマンがデュエルしたり、サンダー君がデュエルアカデミアに戻ってきたり(というかいなかったのか……)、俺だけ課外授業という名の遠足にハブられたり。そんな日々だ。

 

だが刻一刻と、運命の出会いが近づいていることを俺は知らなかった。

 

まさかあの時別れたスピリチュアルフレンドが、ダーカーザンブラックよろしく、より黒くより漆黒の仮面を被って中二病スタイルで帰ってくるなんて……

 

 

 




『ボツネタ設定』

・ご当地アイドル『ダンちゃん☆』
今回主人公とジョイン仮面に応援されていた女の子。昔は鳴かず飛ばすの人気であったが、47都道府県最強のデュエルアイドルを決める天下一デュエル大会において決勝まで進み、惜しくも負けてしまったものの、その際に言った「ありがとうございました、いいバトルでした」がきっかけで人気が爆発。現在はトップアイドル。去年は「ライフで受ける!」が流行語大賞を受賞した。

・ジョイン仮面
謎 の 存 在



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